映画『糸』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『糸』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『糸』
(130分/G/日本/2020)
【監督】
瀬々敬久
【原案】
平野隆
【脚本】
林民夫
【主題歌】
中島みゆき
【企画プロデュース】
平野隆
【出演】
菅田将暉
小松菜奈
山本美月
高杉真宙
馬場ふみか
倍賞美津子
二階堂ふみ
成田凌
斎藤工
榮倉奈々
【HPサイト】
映画『糸』公式サイト
【予告映像】
映画『糸』トレーラー
- 映画『糸』のオススメ度は?
- 映画『糸』の作品情報・概要
- 映画『糸』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『糸』の感想・内容
- 映画『糸』の結末・評価
- 映画『糸』のエンディングが最悪
- 【夢に向かって頑張っている映画】
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』
- 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
- 映画『ルース・エドガー』
- 映画『ハリエット』
- 映画『チアダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
- 映画『マディソン郡の橋』
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』
- 映画『キングダム』
- 映画『リメンバー・ミー』
- 映画『風をつかまえた少年』
- 映画『パリに見出されたピアニスト』
- 映画『レディ・マエストロ』
- 映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
- 映画『さよなら くちびる』
- 映画『王様になれ』
- 映画『ブレス あの波の向こうへ』
- 映画『ガラスの城の約束』
- 映画『リアム16歳、はじめての学校』
- 映画『ビリーブ 未来への大逆転』
- 映画『旅のおわり世界のはじまり』
- 映画『トールキン 旅のはじまり』
- 映画『チワワちゃん』
- 映画『芳華-Youth-』
- 映画『翔んだカップル』
- 映画『WAVES ウェイブス』
- 【オススメ昭和を感じる映画】
映画『糸』のオススメ度は?
星2つです
小松菜奈さんが良かった
榮倉奈々さんも良かった
菅田将暉くんは二度「結婚」します
成田凌くんも二度「結婚」します
中島みゆきさんの「評価はいかに?」
映画『糸』の作品情報・概要
『糸』2020年8月21日に公開された日本映画。監督は『楽園』『友罪』の瀬々敬久。主演は菅田将暉(映画『花束みたいな恋をした』や映画『浅田家!』映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』映画『アルキメデスの大戦』や映画『タロウのバカ』)と小松菜奈(映画『余命10年』や映画『恋する寄生虫』や映画『さくら』や映画『閉鎖病棟 それぞれの朝』)。中島みゆきの楽曲『糸』をモチーフに製作された。平成生まれの若者が出会い、別れ、再会を通して最後に成就する恋愛物語。その過程で米当時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災等に事件、事故、震災を挿入しながら描いている。共演は二階堂ふみ(映画『ばるぼら』や映画『翔んで埼玉』)、成田凌(映画『さよなら くちびる』や映画『カツベン!』) 、斎藤工(映画『孤狼の血 LEVEL2』)、榮倉奈々など豪華なことで話題となる。
映画『糸』のあらすじ・ネタバレ
高橋漣(菅田将暉) と園田葵(小松菜奈)は13歳の時に出会い恋に落ちる。 サッカー少年の漣のためにお弁当を持参する葵。しかし葵には重大な秘密があった。義父からの暴力と虐待。漣は葵を連れて町を出る。誰もいないペンションでファーストキス。翌日、警察に追われて、漣と葵は引き裂かれる。この際、漣は葵の「手を離した」ことをずっと悔いて生きていく。数年後、チーズ工場で働く漣はかつての親友・竹原直樹(成田凌)の結婚式で上京し、葵と再会する。葵は大学生。漣の気持ちがザワザワする。漣に心寄せる桐野香(榮倉奈々) は健気で明るい。次第に交際へと発展する。一方、葵は若き起業家水島大介(斎藤工) と同棲している。しかし斎藤のビジネスは失敗し、二人は沖縄へ。その後、斉藤は蒸発し葵は単身シンガポールへ、、、。
映画『糸』の感想・内容
ごめんなさい、わたし菅田将暉くんと成田凌くんが大好きなので、本当は批判的なことは書きたくないです。ごめんなさい。
でもやっぱり違和感を覚える映画だったので書きます。
映画『糸』は中島みゆきさん音楽勝ち映画です
『糸』観てきました。多分この映画を観た人の多くは涙を流したことでしょう。感動したと言う感想も多く見受けられます。
でもこの映画がなぜ心を打ったかと言うと中島みゆきさんの楽曲である『糸』を聴いたことあり、「馴染深いから」ということを忘れてはいけません。感動する楽曲だと知っているからです。
俗に言う“音楽勝ち”映画なのです。最初からこの楽曲がイメージ付けられてしまっているからです。
他の楽曲であったならそんなに感動はしなかったでしょう。中島みゆきさんの感想を聞いてみたいです。
そしてもうひとつ、出演している小松菜奈さんと榮倉奈々さんの熱演が素晴らしかったからです。
それだけです(もちろん菅田将暉くんも良かったですが)はっきり申し上げてそれだけなんです。
平成に生まれて平成を生きるということが、とても困難であるようなイメージを与えますが、昭和世代とて大変でした。
しかも結婚するのが難しいと言われている時代に、映画の中で、菅田将暉くんも成田凌くんも二度「結婚」します。羨ましい限りです。
日本人が一番好きな女優は「オードリー・ヘプバーン」です
石原裕次郎は昭和という時代の「太陽」でした
同じく主人公が死にますが一味違う展開です
山口百恵&三浦友和の恋愛映画は本当に胸が軋む
中島みゆきさんの楽曲『糸』におんぶに抱っこした作品
映画としては何にも面白くないし、新しくもない凡作です。中島みゆきさんの楽曲『糸』におんぶに抱っこした作品、業界的に言えば「パブリ映画」となります。
中島みゆきさんの『糸』を主題歌にすれば宣伝効果が高いですよね。話題にもなります。製作陣は最初からそれを狙って小説化して、映画にしたのは見え見えなのです。
「そうだ、中島みゆきの『糸』をテーマソングに一本映画撮らない?」から始まって「じゃあ、大義名分が必要だから小説化して、話題にならないとね」そんな声が聞こえてきます。
これもひとつのメディア戦略と言えばそうですが、今後もアーチストの楽曲からって映画が作られる可能性もあります。
例えば『世界の一つだけの花』など。こういうアーチストの楽曲を利用して、相乗効果的なビジネス展開をするようであれば日本の映画界は地に落ちていくだろうと思います。
パブリ、いや出汁に使われた中島みゆきさんはどう思っているのか聞いてみたいです。
障害だらけの恋愛映画と言ったらこれです!
一枚の布になっていない「継ぎ接ぎだらけで、ほつれまくってます」
さて本映画『糸』ですが、平成という時代に生まれ、生きて、令和を迎えた「平成世代」の苦悩と格闘、葛藤を、恋愛、友情を通して成長していく物語として描かれています。
そして平成で起きた事件や事故、震災等を内包して「彼らが如何に大変だったか」を訴えています。
そしてそういった出会いや出来事のひとつひとつが“縦糸”と“横糸”で結ばれて一枚の布になる!という触れ込みです。
でも結果的に一枚の布になっていません。「継ぎ接ぎだらけで、ほつれまくってます」
大風呂敷を広げすぎると収集がつきません
製作陣は「大風呂敷を広げすぎた」と思います。まとめきれていません。兎にも角にもあらゆることを「入れすぎ」です。
出会い、初恋、逃亡、就職、進学、再会、別れ、失敗、結婚、病気、誕生、死、挑戦、成功、挫折、再出発、帰郷、再会、結婚などなど。
さらにそういう出来事に毒親、DV、児童労働、援交、飲酒、就学、学費、駆け落ち、不況、失踪、別離、海外で起業、裏切り、倒産、借金、帰国、再出発など、これでもかとのしかかってきます。
そしてそれらは平成という舞台で起きた全米当時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災の影響も大きいと訴求してきます。
これ無理でしょう。これだけの問題を詰め込みすぎたら映画は希薄になってしまいます。
もしも好きになった人が「兄妹」の可能性があったのなら?
小松さんの演技が映画の水準を3段階くらいあげてくれた
さて、あまり批判めいたことは書きたくありません。それはわたしの大好きな菅田将暉くんと成田凌くんが出ているからです。
この二人は今の邦画界にとって1番の希望の星なのです。ですからもっとちゃんとした映画に出て欲しいのです。
そしてもう一人。小松菜奈さんです。この女優はすごいです。『さよならくちびる』で一気にわたしの心に入ってきました。
この小松さんの演技が映画の水準を3段階くらいあげてくれたと断言できます。相当な役作りがあったと思います。
この非クリエイティブな映画を大感動に導くには俳優の力だけが頼りです。
そしてもう一人、榮倉奈々さんです。
この人の演技はすごかった。素晴らしかったです。ネットでは水を大量に飲んでのダイエットが話題になっていますが、実際の演技を観ていただければ、その努力と根性に納得の拍手を送ることになるでしょう。
すずさんが生きた時代の方が波乱でした
小松菜奈さんと榮倉奈々さんの名演に涙した
おそらく映画館で観ていて涙を流した人たちは、物語に涙したのではなく、小松菜奈さんと榮倉奈々さんの名演に涙したと思います。
この映画で観て欲しいのはこの二人ですね。間違いないです。
もちろん菅田将暉くんも成田凌くんも良いのですが、この二人には勝てません。まったく面白可笑しくもない物語をこの二人が熱演したことによって感動の涙を誘ったのは言うまでもありません。
結果として、お客さんは満足に繋がっています。
主役級の俳優の出演も後押しした
また本映画には、本来であれば主役を張れる役者さんがたくさん出ています。
成田凌くんもそうですし、斎藤工さん、二階堂ふみさん、高杉真宙くんなどです。映画としてめっちゃ「お得感」を得られます。
こんな良い俳優が出ているので「なんか良かった」感を抱いてしまうのも無理ありません。映画ってキャスティングが重要だなあってつくづく感じました。
知らぬ間に「良い映画」って思っちゃうんですよ。でも、もう一度言います。「継ぎ接ぎだらけで、ほつれまくってます」的映画です。
美しく切ないアメリカの高校生の恋愛映画です
中学生の時の恋を18年間かけて成就する映画
かなり批判的な記事かと思われますが、映画を観終わった人が当サイト『運だぜ!アート』のブログ記事を読んでいただくと納得できるのではないでしょうか。
本映画の関係者は気分を害するかもしれませんが、表現活動には批評が付き物の世界に生きている人たちへの応援ブログでもありますから、ご了承ください。
まずこの映画は「中学生に出会った初恋を18年後に成就する」という物語です。
たったそれだけです。ずっとですよ、ずっと主人公の高橋漣(菅田将暉) は園田葵(小松菜奈)のことを想い続けているのですよ。
愛し合うことに身分や地位やお金は必要ありません
過去ばかり見ている人間に魅力はあるのだろうか?
その間、漣は桐野香(榮倉奈々) と結婚し、子どもを作ってます。一見、香のこと愛しているのだろうと思うのですが、香が死んで心のほころびができるんですよね。
そのほころびが葵なんですよ。ずっと気持ちを偽って来たのが露呈するのです。その心模様と菅田将暉くんが絶妙に演じていました。これは素晴らしいの一言です。
ただですね、この設定自体が気持ち悪いのです。中学時代の恋が人生の全てなんて思っている男に魅力は無いのです。
中学で人生終わっている人間には何も惹かれません。人間ていろんな経験や出会いをして成長していくのです。
漣は中学を卒業してからそういう経験や出会いがなかったのか、と突っ込んでしまいます。あったでしょう。
そういう人生に惹かれるのです。過去ばかりを見ている人間なんて本当に魅力がないのです。
肌の色なんて「関係ない」人間らしく生きたいのだ!
過去を払拭して明日へ向かっていくのが若者
しかも漣は自分が葵を助けることができなかったと言う悔恨の念を抱き続けて生きてきました。
それって自分を良い人アピールしていると同時に、誰からも責められないように防御しているんですよね。
よく「すべて私が悪いんです」とか「私がいなければ良いんだ」とか言う人がいますが、それは最初に弱いところを見せておけば攻撃されないのと同じです。
犬って敵わない相手の寝そべってお腹見せるじゃあないですか、あれと同じなんですよ。中学時代に漣は前代未聞の警察沙汰を起こしましたから、親からも周囲からも一目置かれる存在になった可能性が高いのです。
ですから周りは気を使いますよね。つまり漣は人生の保険を中学生の時に手に入れてしまったのです。
みんな葵の境遇に同情すると当時に漣の勇気を称えますから漣の良い人アピールは成功し、「自己承認」も達成されるのですよ。
ここに安っぽさを感じてしまうのです。もっと深く物語を作らないと、、、、。
若者は傷ついても過去を払拭して明日へ向かっていくものです。
好きになった彼女は大統領候補!
昔テレビドラマで『同級生』ってのがありましたが、、、
昔、テレビ番組で同級生と言うドラマがありました。これも気持ち悪かったです。不評ですぐ打ち切りになりました。
確か中学時代の同級生に再会して恋愛が始まるって物語だったと思います。これとて同じです。
中学時代を人生のピークに持ってきたような人たちに魅力を感じないのです。
40歳前後で、家庭もあるのに中学時代の女にうつつを抜かす、そんな男ってクソですよね。本映画『糸』はそれに通じるところがあるのです。
アイデアがなく継ぎ足したことで糸がほころびたりほつれてしまった
さらにこの映画のタイトル『糸』は中島みゆきさんの代表的な楽曲をモチーフにしていますが、やはりオリジナル曲を超えることが出来ませんでした。
中島みゆきさんは人生という物語を3分半に纏め上げたのです。3分半ですよ。その中に人生を凝縮して人々に伝える“感動力”っていうのは凄いのですよ。
それを本映画『糸』は約120分に拡大してしまったのです。逆なんですよ、逆。
するとどうしても無理が出てきます。いろいろなプロットを付け加えていくだけでほころびが出てきてしまうのです。
1枚の布があるのにアイデアがないから、他の布をつぎはぎに足していきます。つぎはぎどころか途中で糸がほころびたり、ほつれてしまった「わけのわからない感動物語」に仕上がっているのです。
「で、この映画なんだったの?」です。「平成の大叙事詩?」それとも「初恋は叶う?」映画なのか、です。
オードリー・ヘプバーンが年の差を超えて結婚します
映画『糸』の結末・評価
ではどういう点がよろしくなかったかのか上げていきます。
2、場所も移動しまくっています。
3、登場人物の背景が分かりづらいです。
4、いろいろな事件や出来事を入れすぎています。
5、登場人物の成長が見受けられません。
6、終わりよければ全てよし映画となります。
1、時間軸をいじりすぎています。
1の時間軸ですがこれは本当に多くの方が違和感を覚えたのではないでしょうか。平成元年から始まって平成13年に飛んで、平成20年、平成23年飛んで、さらに平成22年に戻って、さらに平成28年、31年と移動しまくります。
頭の中で西暦計算しても追いつかないので、わけわからなくなる人もいるはずです。
映画内で時間軸を移動させるのはせめて3回位だと言われています。それ以上、現在と過去を繰り返すのであれば「役者による回想」として語り部を入れるのです。
「平成20年はリーマンショックにより~」とか「平成23年の3月11日~」などとです。
これらの時間軸の移動の説明が不鮮明であることと、「果たして物語に影響あるのか」という期待を持って観ていましたが、当の本人たちに多大な影響を与えていません。
時間と空間という如何しようも無い障害が立ちはだかります
2、場所も移動しまくっています。
2の場所なのですが時間軸が移動するたびに北海道であったり東京であったり、沖縄であったり、シンガポールであったりと変わるのですが、後半に繋がる伏線として設定されていないのが問題なのです。
なぜ東京なのか、なぜシンガポールなのかを明確な答えとして用意されていません。
漣と葵が再会する場所が東京という設定はあまりもありふれていますが、ここは良しとします。
葵が水島大介(斎藤工) と沖縄へ逃げるのは何故でしょうか?水島に目的があったのでしょうか。映画では「こんなところに住みたかった」感がありますが、結局は水島は消えます。
アメリカの黒人差別って本当に恐ろしい
沖縄へ行く理由として、昔からのドラマなどでよくある設定は「南の島へ高飛びだ」って感じでしょうか。
よく昔のテレビで強盗団が「よし、マニラへ逃げるぞ」とかあります。アメリカ映画だと「メキシコへ逃げよう」です。そういったイメージでしょうか。
であるなら水島は相当な負債を抱えていますから、自己破産が待っています。でも葵は水島から相当な手切れ金をもらってシンガポールへ渡るのですから、債権者にとっては「持ち逃げ」同然です。
シンガポールへ渡った葵には特に目的はありませんでした。
友人の高木玲子(山本美月) を頼ってです。ここでネイルマッサージとして働きますが、ここも意味不明です。
最初は中国系の派遣型マッサージ店で働きますが、玲子がヘマをして首になります。そこから奮起して起業して次々と従業員を増やし、ホテルへ派遣して行きます。
でも、でもなんですよ。従業員の顔ぶれですが、中国系の人が多いのです。おそらくシンガポール人をイメージされているかと思いますが、現実問題としてシンガポール人の女性は「人の足を触るような仕事」はしないと思うのです。
マレー系、あるいはインド系の人がやる仕事なのです。もしくは、本土中国からの出稼ぎの人。
海外ビジネスで一番難しいのは、こういった多種多様な人種を扱うことです。
映画の中では玲子が会社の金を使い込んでという設定でしたが、海外で日本人同士がビジネスをする時は、逆に結束が固くなるのが常です。いわゆる「信じられるのは日本人だけ」です。
しかも葵は大学で経営学を習っていたのですから、財務管理を怠るはずがありません。ここはやっぱりシンガポール人に乗っ取られたとい設定の方が良かったでしょう。
玲子を悪者にしたのは安易すぎます。
悪者にしない方が、後半の冴島亮太(高杉真宙) が生きてきます。(なんだか予算があるからダイナミックに海外行っちゃうと言うようなイメージを持ってしまいました)
芸銃的な恋愛映画はウディ・アレンに決まり!
3、登場人物の背景が分かりづらいです。
次に登場人物の背景、プロフィールが分かり辛いのは主に漣のことを指しています。漣は一体どういう育ちをして、どういう家族がいたのか全くわからないのです。
本映画『糸』の漣の結婚式には漣の両親や兄弟、親戚関係者が一切登場しません。これって本映画『糸』ではあり得ない設定なのです。
だって糸は縦糸、横糸と色んな人の出会いや経験が折り重なって一枚の布を作っていくのに、漣の人生を誕生させた両親の存在が無視されているのです。
わたしのいう「ほころびやほつれ」とはこういう点をさしているのです。これだと漣の人生を祝福する気持ちになれないのです。
色んな人に感謝することで成就した恋愛であると信じたいのです。
たた映画を見ながら、勝手に想像しました。
漣はとても良い青年に育っていますから両親ともに優しく朗らかな家庭なのかなと。裕福であれば高校・大学と進学も考えたけど出来なかったのは実家が貧乏なのかなと。
またチーズ工場に入社したときの漣の立ち振る舞いはどう見ても精神的に何か問題を抱えているように見受けられるのは、葵との逃走事件後、なんらかの制裁によって傷ついたのかなと。
LGBTQ映画の純愛を観よ!
それは中学時代の葵との別れに原因があるのは確かなのでしょうが、葵と別れた後、一体何が彼を苦しめたのかが見えてこないのです。
あの漣の表情からすると葵との別れは一大センセーションになったので、漣の家族にも学校にもとてつもないインパクトを与えた事は確かです。
それが引き金となって漣は警察の厳しい取り調べと受けて、拘留させられたり、親から折檻されたり、周囲からいじめを受けたりとか、学校では謹慎処分になったりと、心に大きな傷になっていたのでしたら、それを明示する必要があるのです。
彼の背景であるプロフィールがずっと不鮮明なのは映画を観るに当たって大きなストレスにも繋がったと言えます。
葵の背景はしっかりと描かれていました。非常に同情しました。というか胸が痛くなりました。彼女の育った環境は劣悪でした。
母親は夫と離婚(もしくは死別)で新しい男を家にに引き込んでいます。その男から葵は激しいDVを受けています。
手も足も顔も怪我だらけす。しかも母親は葵のこと守ってくれません。男の言いなりのような感じです。完全なる“毒親”です。
こういった生い立ちを背負った葵に私たちは一気に引き込まれるのは当然です。ですから葵を応援したくなる映画なのです。
しかし、なぜか東京で再会した葵は「ちゃらんぽらんな人間」になっているようなイメージを与えてきます。大学生になっています。服装も洗練されています。
過去の傷跡(虐待)などまるで見せません(ここは少しは見せてくれないと)男の存在もあります。水島大介(斎藤工) です。
この男の人の存在は大きかったと思います。良い男なんですよ。とても優しい紳士然の男なのです。大介演じる斉藤さんにも心惹かれました。
カッコいいし、やっぱり葵の人生を受け止めているところがに男気を感じました。ですからわたし的にはこの二人を応援したくなったのです。
ですが結果的に男と別れシンガポール飛びます。先にも述べましたが、シンガポールで玲子と起業し、大成功の道を歩むのです。もうここは拍手喝采です。
あんなに劣悪な環境で育ったあの子がこうやって成功して活躍している、もう涙が止まりませんでした。
葵の育った環境が“毒親”でDVを受けていた。しかも勉強がしたくて独力で大学進学、そして起業して成功したという背景はとても良かったと思います。
桐野香(榮倉奈々) の背景もわかりやすかったです。
中学時代から付き合っているじゃがいも農園の男(石崎ひゅーい )と結婚を夢見ていましたが、捨てられて、漣に恋するという流れは良くある話です。
実家は酪農を営んでいます。漣に忘れられない人(葵)がいることも知っていながら漣のことを優しく見守ります。
ドングリを漣にぶつける場面は良かったです。結婚し妊娠、その時にガンが見つかります。周囲の反対を押し切り出産しますが、数年後亡くなります。
香の背景は良くわかりました。ただガンになって死んでしまうという設定はちょっと安易かなって感じました。その分、榮倉さんの演技が素晴らしかったので目を瞑ります。
「戦争」「核兵器」によって成就しなかった時代があります
4、いろいろな事件や出来事を入れすぎています。
4のいろいろな事件や出来事を入れすぎている点ですが、登場人物に多大な影響を与えていないのであれば削除する必要があります。
全米同時多発テロ事件が高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)にどういう影響を与えたのかは結局わかりませんでした。
当時、二人は13歳です。確かにテレビ中継を見て衝撃を覚えたかもしれませんが、以後の二人の人生にどのように影響を与えたのかが不明です。
リーマンショック時の二人は21歳です。現実問題として、こちらは不況の波が世界を襲って、就職難や首切りが横行した結果に繋がりますが、二人にどう影響を与えたかについての言及がありません。
そして23歳に時に起きた東日本大震災です。これは日本人全員の心に大きな衝撃を与えました。それは事実です。
でもここの描き方が雑です。製作陣たちの「取りあえず、津波とか入れとかないとね」って感じがするのです。軽いのです。
もし東日本大震災を入れるのであれば、やはり被災地へ行ってボランティア活動に精を出す漣と香の姿が見たかったです。
ただ香はその震災の最中にガンを告知されます。確かに香のガンは物語としては重要ですが、ここで描く必要はありません。稚拙です。
震災を絡めるならもっとしっかりと描くべきです。
幾つになっても人は恋愛願望があります
5、登場人物の成長が見受けられません。
5の登場人物の成長が見受けられないのも残念な結果になります。まず漣は結局、最後まで中学生のまんまなのです。
中学生の時の初恋を18年かけて成就しただけです。確かに結婚し子どもも出来、仕事も登り調子ですが、なんの成長があったのか不明なのです。
ひとことで言ってしまえば「ずっとグダグラしてた」です。そんなに好きなら「当たって砕けろ!」です。
要は振られるのが怖いから、想い出に浸っていたい男子ってことでしょうか。
一方、葵は違います。虐待する親を捨てて自立します。キャバクラで働きながら大学へ行きます。立派です。素晴らしいです。
そしてIT長者と出会い恋の逃避行を得て成長します。さらに日本を飛び出しシンガポールで起業。失敗し帰国するも、まだ闘志は消えていません。
この生き様だけで大満足です。
だた最後の最後で「美瑛に戻るなよ」ってツッコミを入れてしまいました。というにはシンガポールで失敗した後、日本に戻ってアルバイトのような形で働いています。
そこへかつてシンガポールで共に働いた冴島亮太(高杉真宙) が戻り、再び共同ビジネスを提案するのです。
ここでは是非とも葵はシンガポールへ行って欲しかったのです。
北海道へ戻る理由が安っぽいのです。テレビでは平成から令和に向かう人々のインタビューが流れており、その中に幼少時代に食事を提供してくれた村田節子(倍賞美津子) が映ります。
それを観て日本を選びますが、どうも納得出来ないです。
現実問題として考えると、冴島は「自分を必要としている人」です。村田も漣も葵のことを必要としていません。
取捨選択としてやはり人間は必要としてくれる人、恩義がある人を大事にするのではないでしょうか。
北海道を選んだということは葵は最後の最後に「逃げた」ということでしょうか。ここが残念です。
出来るのであれば葵は水島大介(斎藤工)を探し出して、今度は助けてあげる方に回って欲しいと思いました。
素直な気持ちを言えないのも若さの特徴です
6、終わりよければ全てよし映画となります。
6の終わりよければ全てよし映画ですが、もう完全に追い込み型映画の決定版になっています。
葵は北海道へ戻って村田節子のこども食堂でご飯を食べて号泣します。そこになんと漣と香の娘が登場して葵を抱きしめるのです。
「泣いている人を見たら抱きしめてあげて」という香からの言い伝えを守るのです。ここは涙を誘ってきます。
それから雪崩式に漣が葵が来ていると気が付き追いかけます。函館港まで。
もうここからは映画ではありません。プロモーションビデオです。
映画を全部振り返ります。もちろん中島みゆきさんの『糸』が鳴り響いています。13歳の出会いから現在まで全てを流します。
繰り返します、全部です。
だったら「今までの120分の映像はなんだったんだ!」と腹が立って来るんですよ。そして二人は函館港で再会して抱きしめ合うのです。
この場面はとにかく焦らします。その二人を祝福するかのように大輪の花火が打ち上げられます。
そしてタイトルの『糸』って文字でエンドです。まあ、出会いの場面が花火大会ですからそうなったのでしょうけど。チープ。
ここで疑問なのですが、高橋漣(菅田将暉)がずっと、女々しく園田葵(小松菜奈)のことを想い続けているのは表現されていましたが、葵は過去を想い出すような伏線はほとんどなかったです。
いつ、どこで葵が漣への想いを深めて、彼こそが「真実の愛」なのだと気が付いた瞬間が不明なのです。
下記について葵に質問してみたいです。
1、シンガポールで起業して頑張っている時に漣のことを想い出しましたか?
2、食堂でカツ丼を食べる時に漣の優しい微笑みで励まされましたか?
3、帰国した日本でこき使われている時に「北海道」が恋しくなりましたか?
葵が一番お世話になった人物は間違いなく水島大介(斎藤工)で、次は冴島亮太(高杉真宙)です。この二人は遠くから見ている漣と違って、実践的に助けているのです。
それがラストのこども食堂で、さらに函館港で二人が結ばれるという設定がとてもチープなのです。「うっすい(薄い)」「ほっそい(細い)」映画たる所以はここにもあります。
「映画だから」という人もいますが、映画って「知性と教養」の賜物なのですよ。だから製作者は責任を持って物語を紡ぐ必要があるのです。
「この企画で儲けまっせ!」という発想だけではダメなんです。
映画『糸』のエンディングが最悪
でも、でもです。まだ続くんです。エンドロールが最悪なんです。
その後の二人が映し出されます。予想はしていましたが、結婚式の映像です。
みんなが祝福してるんですよね。映画に出演したほとんどの人が登場しています。ここまでやる必要ないんじゃないですかねー。
想像して持ち帰るのも映画なんですよ。
何だったんですかね。
漣の過去への執念の結実って感じでしょうか。18年間の怨念でしょうか。「想いを貫けば叶う」映画ってことでしょうか。
一気に陳腐になっちゃいました。頭抱えてしまいました。
つまるところこの映画の大義名分は、平成という時代を生きた青年たちが苦難苦闘しながら挫折を乗り越えて生きていく物語となっていると思います。
平成は“波乱”だった、あるいは波乱だった平成とでもいうのでしょうか(でもね、昭和の方がもっと波乱だったと思いますよ)
彼らが生きた中で大きな事件や事故が3つ登場しました。
一つ目はは2001年全米同時多発テロ、二つ目はリーマンショック、そして三つ目は東日本大震災です。
それらが平成を生きた若者にどのように影響を与えてきたかについても、描いた映画らしいのですが、残念ながら描けていませんでした。
広げた布は風呂敷としては立派ですが、包むものがありませんでした。中身のない映画です。
または一枚の立派な布がありましたが、布を次々に継ぎ足した結果、あちこちほころび、ほつれてしまったようです。
そして最後に収拾がつかなくなり、打ち上げ花火で「ドーン」と終わっちゃおう映画になってしまいました。
脇を固めた成田凌くんの演技も良かったと思います。二階堂ふみさんはさすがでした。圧巻なのは榮倉奈々さんです。素晴らしかったです。
岩井俊二が描く究極の恋愛映画
映画『糸』の演出について
演出的にすごく違和感を覚えたのは高橋漣(菅田将暉) と竹原直樹(成田凌) と山田利子(二階堂ふみ)の三人がかつて、桐野香(榮倉奈々)とお酒を飲んだ店でのやり取りです。
この場面は香を偲んで漣を慰めるのと、震災で心にトラウマを抱えた利子の闇を描写する場面ですが、直樹が「ただの酔っ払い親父」に成り下がっているだけです。
グダグダ愚痴を言っているのです。勿体無いです。
そしてやけくそ気分でかつて香が熱唱した中島みゆきの『ファイト!』を歌うのですが、酔っ払いの歌には何も感動を覚えません。
このプロットはとても重要であると思うのです。ですから場所は飲み屋ではなく美瑛の写真なんか紹介される美しいラベンダー畑で、シラフで演じてもらいたかったです。
アカペラで『ファイト!』を唄うくらいの方が心に響いてくると思うのです。
また死んだ香に対しても心が動かされます。若者が酒を飲んでグタグタ言うのは聞くに耐えなかったです。
この竹原直樹(成田凌)を観ていると、彼の数年後は新橋あたりの居酒屋で若者にクダを巻いている、クソ親父像しか浮かんできません、「イケてない大人」になっちゃいます。
もうひとつ。葵が北海道に帰ってきて、村田節子(倍賞美津子) のこども食堂で久しぶりにご飯を食べました。油物が多く大した料理ではありません。
ここで一本の線が繋がってくるのですが、まず葵が13歳の時に漣に作ったのは唐揚げ弁当です。そしてシンガポールの食堂で泣きながら食べるのはカツ丼です(箸の持ち方が気になりましたが)
ここで流れる『糸』は良かったです。そして北海道へ帰ってきて食べてるのも油物のご飯です。そして一言「ここのご飯が一番美味しい」です。
味覚が乏しいです。育った環境が劣悪だったと言う設定かもしれませんが。ここはセット、つまり美術的にもっとこだわって欲しかったです。
やっぱり白いご飯とお味噌汁、梅干しとお漬物。そしておかずは北海道の郷土料理とか、、、。もしくは筑前煮とか肉じゃがとか。
漣と葵が家出をしてペンションで一夜を過ごす場面は新海誠監督の『秒速5センチメートル』を思い出しました(というか、まんまでした)
中島みゆきさんの『糸』をモチーフにして作られた映画ということですが、タイトルは『ファイト!』の方が相応しい気がしました。
主演の小松菜奈さん全開の映画でした。次に榮倉奈々さんの映画でした。「ダブルナナ」ですね。もちろん菅田将暉くんも良かったですが、もうひとつでした。
映画『糸』瀬々敬久監督について思うこと
瀬々敬久監督は当たり外れが多い気がします。前作の『楽園』は良かったです。
『64-ロクヨン- 前編/後編』は今ひとつ。社会問題、特に少年犯罪をテーマにした『友罪』はすごく期待させましたが、消化不良でした。
そして『楽園』においてはびっくりするくらい素晴らしい作品となっています。こちらは社会問題を内包しており、その中で若い二人が「これから」を生きていく姿を最後に見せてくれます。とても素晴らしかったです。
でも本映画『糸』は全くの駄作になっています。どうしてなのでしょうか?脚本に問題があるのであれば、プリプロダクションで気がつくべきです。
1番の問題は高橋漣(菅田将暉)です。全く正体がわかりません。しかもずっと13歳のまんまです。初恋の葵を忘れられず「グタグタ」18年間過ごした意味がわかりませんし、共感できません。
瀬々敬久監督とほぼ同世代の是枝裕和監督と比べると映画製作の方向性が全然違うのです。
やっぱり是枝裕和監督が世界で評価される理由がわかるのです。是枝監督の見ている世界はミクロですが、表現はマクロなのです。貫いています。
瀬々敬久監督は業界では「使い勝手の良い」監督、つまり職人かもしれません。でもやっぱり映画監督としての「作家性」を期待したいのです。
瀬々敬久監督は京都大学とのことですから知性教養は高い人だと思います。
本映画『糸』のように商業ベースだけを目的にした映画を撮り続けるのであればファンは離れていきます。残念な映画です。
(一番残念に思ったのは、シンガポールで葵が働く場面で画面分割が突然始まった箇所です。あれはなんだったのかいまだにわかりません。ひょっとして若い演出補に編集を任せたのでしょうか?)
映画『糸』のキャストについて
高橋漣(菅田将暉)
13歳の時に葵と出会い恋する。サッカー選手を目指していた。葵と連れての逃避行でファーストキス。葵を守れなかったことを悔いている。「手を離してしまった」高校卒業後、チーズ工場で働く。葵とすれ違いながらも結婚し子どもをもうける。最終的に13歳の時の恋が叶う。
園田葵(小松菜奈)
13歳の時に漣と出会う。母は離婚し新しい男・義父から暴力・虐待を受けている。孤独。漣だけが頼り。漣との逃避行後、町を離れる。そして一人東京でキャバクラ嬢をやりながら進学するという強気女性。起業家の水島大介(斎藤工) と出会い恋に落ちるも男が失踪。その後、シンガポールへ渡り起業して成功する。
桐野香(榮倉奈々)
中学時代から10年間付き合ったじゃがいも農園の男に裏切られる。漣と同じチーズ工場で働く。心を閉ざす漣に興味を持ち恋に落ち、結婚し、出産。しかしガンで死去。
竹原直樹(成田凌)
漣の親友。高校卒業後、上京。若くして結婚し離婚。さらに山田利子(二階堂ふみ) と再婚。
山田利子(二階堂ふみ)
東日本大震災の時のトラウマを抱えている。
高木玲子(山本美月)
葵と同じキャバクラに勤めていたがシンガポールへ渡る。ネイルアーチストとして活動するが、トラブルにより解雇される。葵と起業して成功する。しかし会社のお金を使い込み逃走する。
冴島亮太(高杉真宙)
葵と玲子と共にシンガポールの会社を切り盛りする。倒産したが現地の残り再建を果たし、帰国していた葵を探し出す
水島大介(斎藤工)
若手起業家。葵とはキャバクラで出会う。葵に境遇を知りつつ、援助する。倒産し沖縄へ逃走し、葵と暮らす。しかし再び失踪。その際、多額のお金を葵に残していく。
村田節子(倍賞美津子)
こども食堂の主人。葵が虐待を受けていた時に親身になって食事を提供してくれた人。それを機にボランティアでこども食堂を開く。
まとめ 映画『糸』一言で言うと!
「勇気って大事だと思います」
本映画『糸』でやっぱり共感したのは園田葵(小松菜奈)です。幼少の悲惨な体験をもろともせず「挑戦する」姿に目頭が熱くなりました。やはり頑張っている女性は応援したくなります。
映画『糸』がヒットした理由を考察
100万人突破です「なぜ本映画『糸』が大ヒットしたのでしょう?」わたしには全く理由がわかりませんでした。
しかし映画評論をする上で考察する責任があります。本映画『糸』を観て「感動した」「泣いた」「よかった」という人たちにお話を聞きました。
多くの人は最後の最後に菅田将暉くんと小松菜奈さんが18年の時を越えて「愛を結実」させたことに安堵しての涙になります。
しかし、それは本ブログでも書きましたが実に「チープ」で「うっすい」話なのかをわかっていません。
本来なら葵は水島大介(斎藤工) もしくは冴島亮太(高杉真宙) に恩返しをしなければいけないのです。それが人の道なのです。
彼らは葵を助けてくれたし、応援もしてくれたのです。でも漣は13歳の時に一緒に家出をしましたが、それ以降は一切、助けてくれていません。
義理人情を重んじる人間であるなら葵は大介と亮太の思いに応えるのが筋です。
さて、そんなことを言っても仕方ありませんので、「考察」に入りたいと思います。まず令和2年の時勢から考えてみます。
日本も世界の“コロナ禍”に包まれています。とても重たい閉塞感です。誰かと寄り添っていたいです。寂しいです。何を信じて良いのかわかりません。
一人だけで良いのです。“たった一人”だけ心を許せる人間がいれば十分な気持ちになります。そして思いっきり「泣きたい」「泣かせて欲しい」のです。
涙って本当に素晴らしい“水”だと思うのです。辛いことは悲しいことがあると人間って涙が出てしまいます。人によってですが、涙を流すと「気分がスッキリする」し、また明日から元気に頑張れる効果が得られます。
本映画『糸』って何か困難や苦難を乗り越えて「愛を結実」したって作りになっているではないですか。大した困難でもないのに。
その姿に同調して涙を流すことによって「気持ちが楽になった」とか「わたしも頑張れる」と錯覚してしまうのです。それは先に書いた“コロナ禍”という閉塞感に包まれた世界からの脱出をイメージさせるからです。
しかも友だちと恋人と、あるいは家族を一緒に本映画『糸』を観ることで共通認識と連帯が生まれて、相乗効果として「なんて素晴らしい映画なのだ」と勘違いしてしまうのです。だって、隣を見ればみんな泣いているから、余計に同調してしまいます。
続く
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映画『糸』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
瀬々敬久
原案
平野隆
脚本
林民夫
企画プロデュース
平野隆
モチーフ曲「糸」作詞・作曲
中島みゆき
音楽
亀田誠治
主題歌
中島みゆき
高橋漣(菅田将暉)
園田葵(小松菜奈)
高木玲子(山本美月)
冴島亮太(高杉真宙)
後藤弓(馬場ふみか)
村田節子(倍賞美津子)
桐野昭三(永島敏行)
竹原ピストル
山田利子(二階堂ふみ)
富田幸太郎(松重豊)
桐野春子(田中美佐子)
園田真由美(山口紗弥加)
竹原直樹(成田凌)
水島大介(斎藤工)
桐野香(榮倉奈々)
石崎ひゅーい
佐々木(片寄涼太)
2020年製作/130分/G/日本
配給:東宝