映画『カセットテープ・ダイアリーズ』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『カセットテープ・ダイアリーズ』
(117分/G/イギリス/2019)
原題『Blinded by the Light』
【監督】
グリンダ・チャーダ
【脚本】
サルフラズ・マンズール グリンダ・チャーダ ポール・マエダ・バージェス
【製作】
グリンダ・チャーダ ジェーン・バークレイ ジャマル・ダニエル
【出演】
ビベイク・カルラ
クルビンダー・ギール
ミーラ・ガナトラ
ネル・ウィリアムズ
アーロン・ファグラ
ディーン=チャールズ・チャップマン
ロブ・ブライドン
ヘイリー・アトウェル
デビッド・ヘイマン
サリー・フィリップス
【HPサイト】
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』公式サイト
【予告映像】
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』トレーラー
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』のオススメ度は?
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の作品情報・概要
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の感想・内容
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の結末・評価
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』のキャストについて
- まとめ 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【夢に向かって頑張っている映画】
- 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
- 映画『ルース・エドガー』
- 映画『ハリエット』
- 映画『チアダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
- 映画『マディソン郡の橋』
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』
- 映画『キングダム』
- 映画『リメンバー・ミー』
- 映画『風をつかまえた少年』
- 映画『パリに見出されたピアニスト』
- 映画『レディ・マエストロ』
- 映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
- 映画『さよなら くちびる』
- 映画『王様になれ』
- 映画『ブレス あの波の向こうへ』
- 映画『ガラスの城の約束』
- 映画『リアム16歳、はじめての学校』
- 映画『ビリーブ 未来への大逆転』
- 映画『旅のおわり世界のはじまり』
- 映画『トールキン 旅のはじまり』
- 映画『チワワちゃん』
- 映画『芳華-Youth-』
- 【夢に向かって頑張っている映画】
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の作品情報
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』のオススメ度は?
星3つ半です
「恋人」と観に行くのが良いと思います
ブルース・スプリングスティーンの名曲が聴けます
80年代の音楽も聴けます
イギリスの階級社会についてわかります
人種・宗教差別も描かれています
若者の夢と勇気が描かれています
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の作品情報・概要
『カセットテープ・ダイアリーズ』原題『Blinded by the Light』2019年に公開されたイギリスのドラマ映画。『ベッカムに恋して 』のグリンダ・チャーダ監督作品。主演はヴィヴェイク・カルラ。原作はガーディガン紙のジャーナリスト、サルフラズ・マンズールの自叙伝『Greetings from Bury Park: Race, Religion and Rock N’ Roll』イギリスで暮らすパキスタン移民、人種・宗教差別と若者の夢と希望をブルース・スプリングスティーンの名曲にのせてつぶさに描いている。
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』のあらすじ・ネタバレ
1987年のイギリスの北西にある町ルートン。工場勤務の労働者の町であり、パキスタンからの移民も多い。高校生になったジャベド(ビベイク・カルラ )は作家になりたい夢を持って高校に進学した。しかし父マリク(クルビンダー・ギール) は理解してくれない。白人の恋人イライザ(ネル・ウィリアムズ) もできた。クレイ先生(ヘイリー・アトウェル)は才能を高く評価してくれた。そして父親が仕事を解雇された。ジャベドの大学への進学は絶望的となる。そして ループス(アーロン・ファグラ)から借りたブルース・スプリングスティーンのカセットを聴いた瞬間、ジャベドの人生に再び希望の明かりが灯った、、、。
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の感想・内容
単なる若者の「夢に向かう」青春ではなく「移民問題」も訴求している
とても良い映画だと思います。この映画は単なるブルース・スプリングスティーン好きの青年の青春物語ではありません。
この映画にはとても深刻な内容が含まれています。一番大きな問題はパキスタンからの移民であること。彼らがイギリス社会で生きていく辛さを表しています。
それは人種差別、さらにイギリス人からは異教徒であるイスラム教という宗教問題をはらんでいること。
そしてそれが階級社会で成り立っているイギリスでは最下層に属していること。
第二は1980年代後半のイギリスの経済状況は最悪であること。若者に希望の未来を描けということ自体が難しいくらいです。
不況の世の中になると人間は不況の原因は誰かなどという誤った“犯人探し”をします。歴史的にもその矛先は小なる集団に向けられます。
この場合は“移民”に向けられます。憎悪が憎悪を生み出し、一度作られた連鎖は永遠に繰り返されます。
エル・ファニングの演じるポーランド移民が「歌手」を目指す映画も秀逸です
イスラム教徒であるけれど産まれはイギリス文化の中、、、
そしてイスラム教徒の家に産まれた宗教的な問題も含んでいます。
主人公ジャベド(ビベイク・カルラ )の父マリク(クルビンダー・ギール) は敬虔なイスラム教徒で、考え方が古いというか、新しい文化を認めないタイプの人間であることも大きな問題です。
マリクは17歳の時にパキスタンを離れてました。理由は語られていませんが、母国はインドと袂を分かち混乱していたこと、あるいは自由がなかったことが想像されます。
自身は夢を持ってイギリスに来たのに息子のジャベドには自由を許しません。ジャベドはルーツこそパキスタンですが、生まれも育ちもイギリスです。
文化的影響はイギリスの方が大きいのです。
イギリス人にとって深い「心の傷」が第一次世界大戦です
イスラム教徒にとってブルース・スプリングスティーン悪害なのか?
ジャベドは「書く仕事」したいという夢を持っています。父はそれを否定します。さらに白人女性イライザ(ネル・ウィリアムズ) との恋愛も歓迎しません。
マリクはイギリスへ移民として渡ってはいますが、結局は狭い知識とパキスタン人移民の狭いコミュニティーの中で生きているのです。
そして自身が家長であるということで威張りちらしています。会社から解雇されて無収入になっても威張りちらしています。そしてマリクには「まとめも職に就け」というのです。
「物書き仕事」はまともではないのです。マリクは嫌気がさしています。大海へ出たいのです。挑戦したいのです。
それを誘ってくれたのがブルース・スプリングスティーンだったのです。ブルース・スプリングスティーンに感化されること自体がイスラム教徒にとっては驚きだったと思います。
激しいリズムとビート、そして絶叫とダンス。慎ましやかな行いが好まれるイスラム教徒にとっては目を背けたくなる音楽です。
イギリス文学と言ったらシェイクスピアです
パキスタン移民に仕事を取られた白人
ジャベドが住んでいるルートンはロンドンから北西へ50キロほど行った小さな町です。労働者の町です。そしてパキスタン系移民が多く住んでいます。
上気したようにイギリスは階級社会です。貴族に産まれた子どもは貴族に、農家は農家、靴屋は靴屋になる運命です。
労働者もたぶんに洩れず、ルートンにある自動車工場などで働いていたと思います。でも、パキスタンからの移民が彼らの仕事を奪ったのです。
ですから労働者はパキスタン人を「パキ」と言って侮蔑を浴びせ憎悪しているのです。労働者の多くは白人です。
抱腹絶倒のイギリス版『ウォーターボーイズ 』最高!
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の結末・評価
ブレイディみかこさんの著書を読むとイギリスがわかってくる
最近読んだブレイディみかこ著書『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』にも書かれていましたが、イギリスの階級社会はそれそれの階級の中での差別が多くあるそうです。
しかも下層へ行けば行くほどお互いの足を引っ張るという傾向があるそうです。一見、白人は「良い人」ってイメージあるじゃあないですか。でもそうでもないのです。
公立の中学・高校などは本当に学力が低く、荒れています。そういったスクールには移民の子どもはあまり通っていないらしく、労働者階級の貧しい白人の子どもたちが通っています。
移民系の子どもたちは私立の進学校に通っていることが多いそうです。
でもブレイディみかこさんの息子さんは敢えて、公立の中学校へ通ったそうです。それがまた痛快な話で最高に面白い内容なので是非とも皆さんにも読んで頂きたいです。
イギリスの女流作家も厳しい時代を生き抜きました
ブルース・スプリングスティーンの音楽がまさに“雷”だった
さて、話は逸れましたがジャベドがスプリングスティーンの音楽を初めて聴いた時の感動がとてもわかります。
わたしも若い時にあるアーチストの音楽を聴いて雷に打たれたようなショックを受けました。「なんだ、この音楽」って感じでその夜は朝まで放心状態で聴いていたと思います。
ジャベドは友だちのループス(アーロン・ファグラ)からスプリングスティーンのカセットテープを借りていましたが、ずっとポケットにしまったままだったのです。
『ボーン・イン・ザ・USA』と『闇に吠える街』のアルバムです。
でもある夜、父を些細な喧嘩をして「夢を捨てる」という失意に陥るます。たくさん書いてきた原稿を捨てます。
その時に聴いたスプリングスティーンに心を再び強くするのです。この場面の演出はとても素晴らしかったです。
諦め、失意、絶望、復活、挑戦をスプリングスティーンの歌声と歌詞が心身に降り積もっていく様子に希望を感じさせました。
現代イギリスの最高アーチストはエルトン・ジョンか!
一生懸命にやれば必ず誰かが応援してくれる
さらにパキスタンからの移民ではありますが、応援してくれる先生との出会いも大きかったと思います。国語教師のクレイ先生(ヘイリー・アトウェル) です。
ジャベドの作家としての才能をいち早く見抜き、大学への推薦などの手助けをしてくれます。
結果的にその甲斐あって、ジャベドはロンドンの大学へ進学します。
卒業式の際、ジャベドは優秀な学生として全生徒と父兄の前でエッセイを読みます。今まで仲違いしていた父が遅れてやってきます。そして和解します。
ヴィクトリア女王が差別・偏見なしでアジア人を見つめたいたは真実か?
一応、映画はハッピーエンドで幕を閉じます。
本映画『カセットテープ・ダイアリーズ』はほぼ実話だそうです。原作はイギリスのガーディアン紙でジャーナリストとして活動しているサフランズ・マンズール。
彼の自伝的な回顧録をモチーフに描いています。実際、マンズールはブルース・スプリングスティーンに影響を受けたことは間違いありません。
しかも現在もスプリングスティーンの熱狂的なファンでコンサートには数百回行っているとの事。さらにスプリングスティーン公認のファンとなっています。
*原題『Blinded by the Light』は「光で目が眩む」っていう意味らしい。邦題の『カセットテープ・ダイアリーズ』の方が日本人はわかりやすいかもしれません。何と言ってもウオークマンが頻繁に登場しますから。
LGBTQ映画最高傑作と呼び声が高いイギリス発の物語
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』のキャストについて
ジャベド(ビベイク・カルラ)
マリク(クルビンダー・ギール)
ヌール(ミーラ・ガナトラ)
イライザ(ネル・ウィリアムズ)
ループス(アーロン・ファグラ)
マット(ディーン=チャールズ・チャップマン)
まとめ 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』一言で言うと!
「雷に打たれた衝撃がエネルギーをくれる」
多かれ少なかれ、人生を歩んでいると何か衝撃的なことって起きます。音楽をやっている人、小説を書いている人、会社員をやっている人も何か衝撃的な出会いがあったはずです。多くは“人”だと思います。本映画『カセットテープ・ダイアリーズ』もブルース・スプリングスティーンという人です。その出会いが建設的な未来を作り出すのであるのならとても喜ばしい事です。出来るならそんな出会いに何度も遭遇したいものです。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【夢に向かって頑張っている映画】
映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
男女差別があった時代の女流作家の生き方が描かている
映画『ルース・エドガー』
両親には感謝しているけど「良い子」でいるのもキツイ
映画『ハリエット』
人を助けるのがわたしの使命
映画『チアダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
目指すは全米制覇!
映画『マディソン郡の橋』
夢見た人とひと時の恋
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』
この国の行方をタクシーに乗せて
映画『キングダム』
目指すは天下の大将軍
映画『リメンバー・ミー』
父の夢は僕の夢
映画『風をつかまえた少年』
貧しくても夢があれば生きていける
映画『パリに見出されたピアニスト』
夢の叶え方がわからない少年に手を差し伸べる人
映画『レディ・マエストロ』
女性指揮者のパイオニアが困難を乗り越えて夢を実現する物語
映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
ソ連から亡命してまで自身の夢を掴んだ
映画『さよなら くちびる』
音楽をやりたい!その夢を果たすために何が必要か?
映画『王様になれ』
カメラマンになりたいんだ!と叫びが聞こえる映画
映画『ブレス あの波の向こうへ』
どんな時も頭の中はサーフィンの事ばかり
映画『ガラスの城の約束』
毒親の妨害を振り切って夢はまっしぐら
映画『リアム16歳、はじめての学校』
名門大学目指して母と息子で目指す受験
映画『ビリーブ 未来への大逆転』
女という事で笑われようがやりたいことがあるから気にしない
映画『旅のおわり世界のはじまり』
異国の地で歌手になることを決意した女の子
映画『トールキン 旅のはじまり』
仲間と未来の夢を語り合う青年たち
映画『チワワちゃん』
青春の儚いエネルギーが大爆発しています
映画『芳華-Youth-』
戦争に青春を取られてしまう悲劇
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
グリンダ・チャーダ
製作
グリンダ・チャーダ ジェーン・バークレイ ジャマル・ダニエル
製作総指揮
トーリー・メッツガー ルネー・ウィット ピーター・タッチ スティーブン・スペンス ハンナ・リーダー トレイシー・ナース ポール・マエダ・バージェス
原作
サルフラズ・マンズール
脚本
サルフラズ・マンズール グリンダ・チャーダ ポール・マエダ・バージェス
撮影
ベン・スミサード
美術
ニック・エリス
編集
ジャスティン・クリシュ
音楽
A・R・ラフマーン
ジャベド(ビベイク・カルラ)
マリク(クルビンダー・ギール)
ヌール(ミーラ・ガナトラ)
イライザ(ネル・ウィリアムズ)
ループス(アーロン・ファグラ)
マット(ディーン=チャールズ・チャップマン)
マットの父(ロブ・ブライドン)
クレイ先生(ヘイリー・アトウェル)
エバンズ(デビッド・ヘイマン)
サリー・フィリップス
2019年製作/117分/G/イギリス
原題:Blinded by the Light
配給:ポニーキャニオン