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『パリに見出されたピアニスト』(106分/フランス・ベルギー合作/2018)
原題『Au bout des doigts』
【監督】
ルドビク・バーナード
【出演】
ランベール・ウィルソン
クリスティン・スコット・トーマス
ジュール・ベンシェトリ
カリジャ・トゥーレ
映画『パリに見出されたピアニスト』のオススメ度は?
星3つ半です。
少年のシンデレラストーリーです。
路地裏でゴミのような生活をしていた少年。
不良仲間と窃盗ばかりしていた少年。
ピアノの才能だけはあった。
性格も最悪です。
傲慢で優しさがありません。
でも、変身します。
恋人と観に行ってください。
映画『パリに見出されたピアニスト』の作品概要
才能はあるが、貧しく、教養もなく、チャンスもなく、人脈もない人っています。本映画は路地裏でゴミのような生活をしている不良がピアニストとして大成するメタモルフォーゼです。頑張れば夢は叶うといいますが、やはり良い師匠と出会うことが大事だと思います。
映画『パリに見出されたピアニスト』のあらすじ・ネタバレ
貧しい、仕事もない、母子家庭、人脈もない、そして不良仲間との付き合い。路地裏でゴミのような生活をするマチューはパリ駅に置かれたピアノを一心不乱に弾いていた。偶然通りかかった音楽大学のピエール教授に声をかけられて人生が好転していく。恋、レッスン、衝突、不良仲間との決別、あるゆる困難を乗り越えてマチューはピアノコンテストへの出場を勝ち取る。
映画『パリに見出されたピアニスト』の感想・評価・内容・結末
『レディ・マエストロ』との違いはあれど成功物語には変わりない
この映画は先に観た『レディ・マエストロ』の少年バージョンであると言って良いと思います。
もちろん時代も背景も違います。共通しているのは貧しいこと、仕事がないこと、お金がないこと、人脈もないことなどです。
でも少し違うのは『レディ・マエストロ』のアントニアは自らの夢である指揮者になる、という強い気持ちを持って生きていました。
でもこのパ『パリに見出されたピアニスト』の少年はマチュー・マリンスキー(ジュール・ベンシェトリ) には夢も希望もありません。
悪い仲間と窃盗などをしながら糊口をしのいでいます。
貧しいことは不幸だ
でもマチューは人の助けによってピアニストになっていくのです。ここが両映画の大きな違いです。
マチューは自らの意思を実現することができませんでした。彼の生まれがとても貧しく、周囲の環境もあまり良い人たちがいませんでした。
路地裏で隠れるように生きています。生き方、稼ぐ方法がないのです。
母と幼い弟の三人暮らしで、毎日が必死です。
周囲の友人も不良ばかりですから必然的に悪事に手を染めていくのです。
つまり生き方の選択肢がないのと、周りの人たちが足を引っ張ると言う2つ悪習に見舞われていました。
不良になってもやっぱりピアノが好きなのだ
でもです、神さまっているんですかね。キリスト教的に考えると性善説ですか。
天から授けられたピアノの才能を放っておけなかったのでしょうか。
音楽大学の教授ピエール・ゲイトナー(ランベール・ウィルソン) と偶然出会うのです。それもパリの駅構内で。
構内に設置してる「自由にピアノを弾いてください」で一心不乱にピアノ弾いていました。それを見たピエール教授がスカウトしたのです。
なぜそこでピアノを弾いていたかと言うと自身の家はボロボロのアパートで思いっきり弾けない。
おまけにピアノもしょぼい。思いっきり弾けるのはこの場所だけです。
人間のクズみたいな性格だけど、、、才能はある
彼は不良仲間との窃盗の合間にピアノを弾いてストレスを発散していたのでしょうか。
そう考えると救いがあります。自身の犯罪に対して負い目があったということです。
でも結局は悪事を働いていたため刑務所に入れられることになります。
そこで彼はピエールに連絡し出してもらいます。条件は奉仕活動をするということで。
そこから物語が一気に進んでいきます。初めて見る大学生活、同世代の若者の生き生きする姿、そして音楽を含め様々な芸術。
彼が刺激されないわけがありません。ピエールの狙いはそこにあったと思います。
マチューの性格ですが、本当にひねくれています。殴りたくなるほどです。
世の中を斜に見ています。人の言うことを聞きません。自分本位で生きています。
人に感謝などしません。傲慢です。
そしてすぐキレます。わたしだったら逃げ出したくなります。
教授に拾われて将来の道が拓けていく
でもピエールはその性格も全部ひっくるめてピアノのレッスンを受けさせます。優しさがあります。
レッスンを担当するのはかつてピアニストの夢を持っていたエリザベス(クリスティン・スコット・トーマス) です。
スパルタレッスンで有名です。他の学生たちにとって恐怖の存在です。
レッスンが始まりますが、二人は衝突します。
ここからマチューは少しずつ教養をつけていきます。
今までも演奏法は全くの自己流でしたが、譜面に込められた感情表現を見事に体現していくのです。
そしてフランス国内のコンテスト出場へ気持ちを向けます。
予定調和とわかっていても楽しめます
映画は一見、順調に進んでいくかのようですが、ちゃんと山あり谷ありの演出があります。
かつての不良仲間からの誘い、恋人ができてケンカ、母親との関係等々。
そしてピエールには大学経営の存続のプレッシャーがあり、それを打破するためにもマチューがコンテストで優勝してもらわなければいけません。
まあこれは大人の事情ですが、あらゆる困難を詰め込んで最後の最後はハッピーエンドです。
シンデレラストーリーの少年版ですね。
ただちょっと解せないのはピエールは大学を救う目的だったのに、映画の最後にはアメリカの大学に就任しています。そこは「あれ?」と思いました。キャリアアップじゃんって。
最後の最後でマチューが「ありがとう」と言った
この映画を観ていて感じたのは、やはり天賦の才能がある人は必ず誰かが手を差し伸べてくるのか、ということです。
そしてその才能を開花する道筋をつけてくれるのだと言うことです。
ただ彼の場合は天才ですからうまくいきました。
私たちのような凡人は日々、一生懸命頑張るしかないのです。世界を変えるとか考えていません。身近な家族や友人が認めてくれればオッケーです。
この映画は単なる少年のシンデレラストーリーですが、映画の中にはちゃんとした人間成長の物語が用意されていました。
あれだけ傲慢で反抗的だった少年が人に対して礼を言ったので。絶対にありえないことでした。
マチューがピエールとエリザベスに「ありがとう」と。この姿を観ることが出来て良かったと思いました。
キャストについて
ランベール・ウィルソン
渋い演技です。とにかく辛抱強くマチューを見守ります。
クリスティン・スコット・トーマス
素晴らしい演技です。最初はイケ好かない嫌な女教授です。厳しいレッスンの中に音楽への愛があり、それをマチューに優しく伝えていきます。彼女に涙は似合いませんが、最後は泣いていましたね。
ジュール・ベンシェトリ
実生活は良いとこのお坊ちゃん生まれ。ですが見事に不良少年を演じていました。あの寂しそうな目がいいのでしょう。育ちの良さがちょっと不良の仕草の邪魔をしていましたが、良い演技だったと思います。
カリジャ・トゥーレ
すっごい強烈な個性を持っている女優さんです。この人が画面に出るとパッと明るくなります。今後期待大です。
映画『パリに見出されたピアニスト』演奏された曲
ラフマニノフ
「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18」
リスト
「ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調」
ショパン
「ワルツ 第3番 イ短調 Op.34-2」
J・Sバッハ
「平均律クラヴィーア曲集 第1巻第2番 ハ短調 BWV.847」
ショスタコーヴィチ
「ピアノ協奏曲 第2番 へ長調 Op.102」
まとめ 映画『パリに見出されたピアニスト』一言で言うと!
「若さこそが失礼であり、それが若者の特権である」
若すぎてなんだかわからないことってありましたよね。その時はなぜ誰も自分を理解してくれないのかと憤慨してしまうこともありました。でもそれで良いのです。若い頃から腰が低く、謙虚な人間など気持ち悪いです。本映画のマチューのようにガムシャラに自分を貫くのってすごく良いと思います。右向け右!っという社会にうんざりしているので、こういう若者に会いたいと思いました。ブッ飛ばし人生万歳!です。
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映画『パリに見出されたピアニスト』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ルドビク・バーナード
脚本
ルドビク・バーナード ジョアン・ベルナール
ピエール・ゲイトナー(ランベール・ウィルソン)
エリザベス(クリスティン・スコット・トーマス)
マチュー・マリンスキー(ジュール・ベンシェトリ)
カリジャ・トゥーレ
2018年製作/106分/G/フランス・ベルギー合作
原題:Au bout des doigts
配給:東京テアトル