映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』ルドルフ・ヌレエフはパンク的バレエダンサー。ワガママに生きてこそ人生だ!ネタバレ、あらすじ、評価。

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映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』レイフ・ファインズ監督作品。

『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(127分/英・露・仏/2018)

原題『The White Crow』

映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』の作品情報

【日本公開】
2019年
【原題】
『The White Crow』
【監督】
レイフ・ファインズ
『ハリー・ポッターシリーズ』に出演しています。
【脚本】
デビッド・ヘア
【キャスト】
オレグ・イヴェンコ、アデル・エグザルホプロス、セルゲイ・ポルーニン、ラファエル・ペルソナ、ルイス・ホフマン、チェルマン・ハマートパ、レイフ・ファインズ

映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』の作品概要

旧ソ連邦時代の暗影を背景に収めながら、若き才能が開花するまでも葛藤をダンスを舞台に描いた作品。

自由を手に入れた先に何をもたらしたのか。

何かを手に入れた瞬間に何かを失くすことは常。

でも伝説を作った男はやりたいことをやったのだ。

若い才能はいとも簡単に鉄のカーテンを飛び越えてしまった。

でも暗影を感じる作品だ。

映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』のあらすじとネタバレ

母の存在と貧しい出自が与えた影響


シベリア鉄道の列車の中でその男児は生まれた。後に伝説のダンサーとなるヌルエフだ。
貧しく苦労して育つ。

ある日、母親がくじでバレエのチケットを当てる。それがヌルエフがダンサーを目指すきっかけとなる。

田舎町を離れ、都会へ向かい、必死にバレエのレッスンを重ねる。

持ち前の負けず嫌いの性格で頭角を表す。そして初の海外公演でパリへ行く。ヌルエフのとっては千載一遇のチャンス到来だ。果たして、、、。

映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』の感想と評価

50年前の米ソ冷戦時代の重たい雰囲気が伝わってくる

スクリーンから終始、米ソ冷戦時代の重たい雰囲気が伝わってくる。心臓が擦り切れるような時代だった。

幼いながらも毎日の新聞ではいつも米ソの対立、あるいは大陸間弾道ミサイル、そして核兵器の話題ばかり載っていた記憶がある。

テレビ放送はアメリカの庶民の暮らしはカラー、一方ソ連の人たちは白黒映像で放送されていたイメージがある。よってソ連は自由がなく、しかも貧しいのだと刷り込まれてしまった。

今、旧社会主義国をテーマにした映画を観ると自動的に重たい気持ちになるのはその影響だろう。

ルドルフ・ヌレエフが後世のダンサーに与えた影響は大きい

さて、映画はソ連が生んだ伝説的なダンサーの自由への渇望を描いた物語である。

ルドルフ・ヌレエフと言う。

恥ずかしながら私は知らなかった。色々な文献を読むと彼の存在により、男性のバレエダンサーの活躍の門戸が開かれたそうだ。

それまではバレエと言ったら女性だったのだ。現在、フィギュアスケートで活躍する羽生選手も何らかの影響を受けているそうだ。

ルドルフ・ヌレエフ、こんな嫌な奴を付き合いたくないと思った

ルドルフ・ヌレエフはとにかく嫌な奴だ。

はっきり言って性格が悪い。

ワガママ、傲慢、反抗的だ。

こんな人間と付き合うの本当に大変だ。

でもやはり天から才能を授かった者は人々を魅了する運命にあるのだ。踊りがすごいのだ(すごかったらしい)自身の踊りへの執着が尋常ではない。

バレエの先生であるプーシキンが「何のために踊るのか?」と尋ねると「物語を作るために」と答える場面が印象深い。

彼にとって踊ることは無論、芸術表現であるが、自身の踊りを人々に投影することでそれぞれの物語生まれると言うことだ。

]ヌレエフ自身は厳しい稽古をして技術を磨いてきたが、結果的にそれは物語を語る上でも手段であり、そんなに意味はないと言っている。

逆に言えば、そんな技術がなくても物語を作れるのであればそれで良い、と言うことだ。

ルドルフ・ヌレエフがこんな嫌な奴になった要因はなんだろう 敢えて演じていた可能性もある

ヌルエフがあれほど嫌な人間になった要因は多くある。

まず出自へのコンプレックスであるタタール系。貧しく苦労した幼少時代。

そしてソ連という社会主義国家で管理された生活等々。絶えず抑圧され、自由のない生活の中では誰を信じて良いのかさえわからない。

当時のソ連はKGBの力が強く国家に反抗的な人物は監視されていたのだ。スポーツ選手も然り。多くの若者はこういった状況下では羊のようにならざる得ない。

しかしヌルエフは違ったのだ。

“死か自由か” 西側への憧れだけではない 自分を通したかったのだ 

千載一遇のチャンスが訪れる。海外公演だ。しかも芸術の都パリ。

ヌルエフは初めて目にする西側に心惹かれる。そして積極的にフランス人と交わる(映画の中の他のソビエト人は他国の人を会話すらできない)

パリ公演は大成功し、帰国しなければいけない。KGBがヌルエフの行動を問題視しているのがわかる。もし帰国したら、、、。

ダンサーとして、いや命の危険すらある。ヌルエフは悩む。それも空港で。搭乗予定時刻が迫ってくる。

時計の音と心音が重なる。途轍もない緊張感と重圧だ。選択は帰国か亡命がだ。いや“死か自由か”になる。

亡命後の伝説になった

やはり若者にとて一番大切なのは自由なのだ

。ヌルエフは晴れて自由の身になりその後、フランスを中心に大活躍する。

そして現在の伝説に繋がったのだ。兎にも角にも胸が締め付けられる映画だ。

ソ連邦は時代は本当に自由がなかったのだろうか

ただ当時のソ連はこれほどまでに抑圧され、不自由な世界だったのかわからない。

映画は西側で育ったレイフ・ファインズ監督たちで作られている。歴史に“もし”は無いが、あの時ヌルエフが帰国していても同じように伝説になったのではないだろうか。

ソ連政府もバカではないから、もし殺すようなことをしたら国家のイメージダウンに繋がるから、うまくヌルエフを使ったに違いない。

しかもヌルエフのワガママ、傲慢、反抗的な性格を持ってすれば政府の高官も言いなりにさせる力があると勘ぐってしまう。

天に才能を授けられた人の生き様を真似ることは出来ないが、従順な羊でいる必要もない時代を生きていることに感謝したいと思った。

映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』まとめ 一言で言うと!

パンクなバレエダンサーワガママを貫く事こそ人生だ!」

人生は一度きり。

自分のやりたいことをやり抜け、と言っている。

そのためには誰かに迷惑かけようが構わないのだ。それが親の身に危険が迫っても自分の行き方を貫き通した方が幸せなのではないだろうか。

年老いて過去を振り返った時に多くの人が「挑戦して失敗に終わったことに後悔はない。でも挑戦しなかったことに後悔している」と言う。

*この映画を観ていてホッとするのは役者がちゃんとロシア語を話していること。多くの東側を撮った映画では英語を流暢に話している。あれを聞くとがっかりする。でも本作はちゃんとロシア人が演じており、彼らが時折話す英語がそれほど上手でないところが良い。

映画のことなら映画.comより引用
スタッフ
監督 レイフ・ファインズ
製作 ガブリエル・タナ フランソワ・イベルネル アンドリュー・レビタス キャロリン・マークス・ブラックウッド レイフ・ファインズ
脚本 デビッド・ヘア
美術 アン・セイベル
衣装 マデリーン・フォンテーヌ

キャスト
オレグ・イベンコルドルフ・ヌレエフ
アデル・エグザルコプロスクララ・サン
セルゲイ・ポルーニンユーリ・ソロビヨフ
ラファエル・ペルソナスピエール・ラコット
ルイス・ホフマン
チュルパン・ハマートバ
レイフ・ファインズ
作品データ
原題 The White Crow
製作年 2018年
製作国 イギリス・ロシア・フランス合作
配給 キノフィルムズ
上映時間 127分
映倫区分 G