映画『COLD WAR あの歌、2つの心』悪女が目指す究極の愛のゴール 男は悲劇 ネタバレ・あらすじ・感想

上映中

COLD WARあの歌、2つの心』(88/ポーランド・イギリス・フランス/2018

原題 Zimna wojna

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』のオススメ度は?

5

5

究極的な恋愛物語です。

恋を手に入れても安住することを求めない人には超オススメ映画です。

こんな女にハメられたいとか命をかけたいと思っている男性必見です。

また悪女を目指したい女性も必見!

音楽が気持ち良いです。

白黒画面が芸術的です。

重たい政治の話はありません。

絶対にカップルで行くことをオススメします。

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』の作品情報

【原題】
Zimna wojna
【製作年】
2018年
【製作国】
ポーランド・イギリス・フランス
【上映時間】
88分
【日本公開】
2019年
【世界公開】
2018年
【監督】
パベウ・パブリコフスキ
【脚本】
パベウ・パブリコフスキ
ヤヌシュ・グロワツキ
ピヨトル・バルコフスキ
【キャスト】
スタッフ
監督
パベウ・パブリコフスキ
『イーダ』(14)『イリュージョン』(11)『マイ・サマー・オブ・ラブ』(04)

製作
ターニャ・セガッチアン
エバ・プシュチンスカ
製作総指揮
ナタナエル・カルミッツ
リジー・フランク
ロヒット・カタール
ジョン・ウッドワード
ジェレミー・ガワデ
ダニエル・バトセック
脚本
パベウ・パブリコフスキ
ヤヌシュ・グロワツキ
ピヨトル・バルコフスキ
撮影
ウカシュ・ジャル
美術
カタジーナ・ソバンスカ
マルセル・スラビンスキ
編集
ヤロスワフ・カミンスキ
キャスト
ヨアンナ・クーリグ
『夜明けの祈り』(17)『愛の原罪』(13)『ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー』(11)

トマシュ・コット
ボリス・シィツ
アガタ・クレシャ
セドリック・カーン
ジャンヌ・バリバール
アダム・フェレンツィ
アダム・ボロノビチ

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』の作品概要

米ソ冷戦時代のポーランドを舞台に繰り広げられた男女の激しい恋愛物語だ。しかし旧ソ連を中心とした東側の重たい雰囲気はほとんどない。恋愛には東西分断も国家も差別も民族も関係ないのだ。本作は71回カンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞。さらに第91回アカデミー賞では外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3部門にノミネートされた。とても素晴らしい映画だ。

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』のあらすじ・ネタバレ

東西冷戦の最中、国境をまたいだ世紀の恋愛と思いがちだが、それほどの困難はない。困難は歌手ズーラが自ら作り上げていくのだ。ヴィクトルは振り回される。その困難の果てに成就する恋愛こそが本物だという。「命がけの恋がしたい」その思いが二人に心を燃え上がらせる。ワルシャワ、ベルリン、パリと繰り広げる恋の行方。二人が最後に行き着く場所も選択も究極だった。

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』の感想・評価・内容・結末

“芸術性が高い”“激情的な恋の物語”“崇高な悪女”の映画

またまたすごい映画が登場しました。何が凄いか、まず芸術性が高い映画であること、次に近年稀に見る激情的な恋の物語であること。そして最後に崇高な悪女が登場することです。

一つ一つ説明する前に一気に書きますが、この恋は熱く熱く燃えたかと思ったら冷めて冷めて凍りついてしまいます。そして再度、一気に燃え上がり昇天して消えてしまいます。そんな恋なのです。

何を言っているのかわからないかもしれませんが、悪い女です。手に入れるために何でもします。でも悪女に見えないのです。憎めないのです。逆に可愛く思えてくるのです。それがこの映画の特色にあります。

冷戦という重たいタイトルと違って恋は、、、

この映画のタイトルを日本語にすると『冷戦』となります。タイトルから想像するといわゆる米ソ時代のいつ戦争が起こるかわからないあのキリキリとヒリヒリした緊迫感の時代の恋物語なのだろうかと想像していました。

しかもカラー作品ではなく白黒作品です。きっと重たい話になると思っていました。つまりポーランドは東側なので、ソビエトからの圧政によって男女の恋も追い詰められて行く映画だと思っていました。

政治色も強く支配、統制、密告、拷問やロシアへの忠誠心を表した重たい映画なのかと思っていました。

冷戦時代のポーランドを舞台にした恋物語

でもそういった政治色はほとんどありませんでした。追い詰められるとか拘束されるとか、はたまた拷問され、殺されるといった演出はほとんどありません。

その点がホッとしたのと若干、拍子抜けしました。兎にも角にも男と女の恋の物語なのです。それがたまたま冷戦時代のポーランドを舞台に起きていただけなのです。

この映画を観ると本当の恋とは政治とか国とか人種とか全く関係のないことで、端的に言えば恋は盲目であると言う証拠なのではないでしょうか。二人は全く政府のことなど気にしていません。

音楽が全篇に渡って華を添えている

そしてこの映画に華を添えるのが何と言っても音楽です。ピアニストのヴィクトルが奏でる甘い旋律と歌手ズーラの情念を感じる歌声が絶品です。

もちろんクラッシックから民族音楽、そしてジャズ、ロック、シャンソンも気持ちよく流れてきます。白黒画面と正方形に近い画面で構成されているため、何ともアーティスティックな雰囲気で進んでいきます。この芸術性によって激しい恋の行方にハラハラさせられ、しかも悪女なのにズーラに心を同調させてしまう効果があるのだと思います。

激しい恋の炎がついたり、消えたりはズーラ次第

二人は出会った瞬間から恋に落ちます。そして激しく深く愛し合います。その炎を激しくするのも沈下させるのもズーラなのです。

ズーラは愛する男が欲しくて欲しくてたまりません。手に入れるためにはあの手この手を使うのです。恋を手に入れるとズーラの炎は消えていきます。しかしヴィクトルがポーランドでは自分の理想とする音楽ができないと悟りポーパリへと亡命します。

離れ離れになってしまったことで2人の思いはさらに激しく燃え上がります。ズーラがパリへ講演に行った時に2人は再開し二度と離れないと誓い、パリに住みます。ヴィクトルはズーラのために曲を書きレコードを作りヒットしますが、ズーラは気に入らずポーランドへ帰ってしまいます。

その時、ヴィクトルの放った言葉が強烈です。「命をかけるような恋ができないのか」ズーラを失ったヴィクトルは絶望します。

死を覚悟してポーランドへ帰国、それがズーラへの愛の証明

それは国へ帰れば収監されるからです。でもヴィクトルは帰るのです。そして刑務所へ送られます。これこそがズーラの愛に答える唯一の方法なのです。

ズーラは喜びます。何故ならばこれほど障害のある恋愛はないからです。ヴィクトルを助け、もう一度激しい恋に身を委ねる方法は国の力のある役人と結婚し子供を産むことです。

見事その計画は成功し、ヴィクトルは釈放されます。ヴィクトルにとっては打撃でしょう。愛する女が他の男の子供を産んでいることで立ち直れない気がします。

ズーラは破滅的な恋愛を求め芸術にした

つまりズーラは平坦な恋などをしたくないのです。命が擦り切れるようなギリギリの恋が本物だと言っているのです。もはや恋愛にすら芸術性を求めているのです。

女は命をかけて自分を追いかけてきた男を救出するために自分も命をかけたのです。それがこのズーラの理想とする恋なのです。男を救出してから二人はかつて行ったことのある教会へ向かい、結婚の誓いをあげ、そし最高の儀式を行います。そして二人の想いは永遠になります。まさに究極の愛の物語なのです。

パベウ・パブリコフスキ監督の両親の物語だった

監督の両親もとんでもない人だったそうです。お互いに結婚していながら次々と新しい恋人を作り恋愛を楽しんだそうです。でも両親は別れなかったそうです。

激しく恋愛するために他の恋人を作る、そして再び激しく燃え上がる。監督はそういう両親を見て育ったらしい。だからエンドクレジットに両親に捧げると言う意味がわかります。

とにもかくにも歌手ゾーラとピアニストのヴィクトルは恋愛を芸術の域まで持っていきました。その域に達するまで政治とか、米ソ冷戦とか全く関係ありません

このタイトルの『COLD WARあの歌、2つの心』は女が仕掛けた冷たい戦争の事だと思う。本当に冷たいことをとことん追求するとやがて火傷します。凍傷です。最後のヴィクトルはもう疲れきってしまっています。これだけ愛し合えば満足でしょう。

ヨアンナ・クーリグの今後に期待したい

本作の主演のヨアンナ・クーリグは今後とても楽しみな女優である。演技もうまいが、何とこの映画では実際に彼女が歌っている。その美声は全世界に響き渡った。

もちろんもちろん歌詞はポーランド語であるが、心からの歌声は私たちに深く染み入ってきた。頭のてっぺんからつま先まで震えている感覚が未だにある。

パベウ・パブリコフスキ監督の時代は20年続くだろう

この監督の芸術性への追求は映画界で抜き出ていると言える白黒画面に正方形に近い画面個性でここまで惹きつけるとは、、、。

今年公開されたキュアロンの『ROMA』も白黒で、とても高い芸術性を持った映画だった。今後、この二人が映画界をリードしていくに違いない。

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』まとめ 一言で言うと!

暑く激しく燃え盛る炎の行方は凍傷になるほどの恋が待っている

花の命短し、恋せよ乙女という言葉があるが、これは恋愛においてはお子ちゃまである。究極な恋愛の行き着く先は凍りついて身動きもできないだろう。炎の向こうには青く光る永遠の氷の世界がある。

 

以下、旧東側諸国を舞台にした映画

映画『スターリンの葬送狂騒曲』

『スターリンの葬送狂騒曲』
『スターリンの葬送狂騒曲』(107分/英/2017) 原題 『The Death of Stalin』 かつてソビエト連邦という巨大な社会主義国家があった。書記長こそが国家であり命であった。スターリンの葬儀を通して垣...

映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』

映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』ルドルフ・ヌレエフはパンク的バレエダンサー。ワガママに生きてこそ人生だ!ネタバレ、あらすじ、評価。
旧ソ連邦時代の暗影を背景に収めながら、若き才能が開花するまでも葛藤をダンスを舞台に描いた作品。自由を手に入れた先に何をもたらしたのか。何かを手に入れた瞬間に何かを失くすことは常。でも伝説を作った男はやりたいことをやったのだ。若い才能はいとも簡単に鉄のカーテンを飛び越えてしまった。でも暗影を感じる作品だ。

映画『希望の灯り』

映画『希望の灯り』は東西統一後のドイツが抱える格差社会への提言と未来を憂う人々の物語。ネタバレ、評価。
巨大スーパーマーケットの従業員が描く人間模様。若きクリスティアンとベテランのブルーノ。二人は世代を越えて友情を育む。スーパーではフォークリフトの取り合いが鍵になる。免許取得に励むクリスティアンが恋する相手が人妻だった。自暴自棄なるがブルーノに救われる。ある日、ブルーノの身に、、。人妻マリオンとの恋の行方も気になる。

映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』

映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』18歳の若者たち 東ドイツから脱出 自由獲得。ネタバレ・あらすじ・評価・感想
旧東ドイツ。18歳の若者たちが悪ふざけで行った2分間の黙祷が国家によって罰せられる事件へと発展していく。1956年、現在のドイツは東と西に分断されていた。東側はソビエト、西側はアメリカ、イギリス等の欧米諸国が実質治めていた。もちろん西からの情報は東には伝わらない。社会主義が一番と信じていた若者はハンガリー動乱におけるソビエトの蛮行が許せなかったのだ。家族が犠牲になる可能性に胸を痛めながらも若者たちは列車の乗って西へ行った。

映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督
パベウ・パブリコフスキ
製作
ターニャ・セガッチアン
エバ・プシュチンスカ
製作総指揮
ナタナエル・カルミッツ
リジー・フランク
ロヒット・カタール
ジョン・ウッドワード
ジェレミー・ガワデ
ダニエル・バトセック
脚本
パベウ・パブリコフスキ
ヤヌシュ・グロワツキ
ピヨトル・バルコフスキ
撮影
ウカシュ・ジャル
美術
カタジーナ・ソバンスカ
マルセル・スラビンスキ
編集
ヤロスワフ・カミンスキ
キャスト
ヨアンナ・クーリグズーラ
トマシュ・コットヴィクトル
ボリス・シィツカチマレク
アガタ・クレシャイレーナ
セドリック・カーンミシェル
ジャンヌ・バリバール
アダム・フェレンツィ
アダム・ボロノビチ
作品データ
原題 Zimna wojna
製作年 2018年
製作国 ポーランド・イギリス・フランス合作
配給 キノフィルムズ
上映時間 88分
映倫区分 G
オフィシャルサイ