映画『サムライ』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『サムライ』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
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『サムライ』
(105分/フランス/1967)
原題『Le Samourai』
【監督】
ジャン=ピエール・メルビル
【製作】
ジョルジュ・カサティ
【出演】
アラン・ドロン
ナタリー・ドロン
カティ・ロジェ
フランソワ・ペリエ
【HPサイト】
映画『サムライ』IMDbサイト
【予告映像】
映画『サムライ』トレーラー
映画『サムライ』NHK BSプレミアム放送 11月19日(木)午後1時00分〜2時46分
11月19日(木)午後1時00分〜2時46分
とてもすばらしい映画です
オープニングからヒリヒリするような緊迫感が絶品です
アラン・ドロンには危険が似合います
美しすぎる
映画『サムライ』のオススメ度は?
星4つです。
映像の力を見せつけられます。
音響や効果音に頼っていません。
沈黙の中に殺伐とした雰囲気に息が詰まります。
アラン・ドロンが美しい。
ナタリー・ドロンのデビュー作。
夜中に一人ぼっちで観ると怖いです。
映画『サムライ』の作品概要
『サムライ』は、1967年制作のフレンチ・フィルム・ノワール。アラン・ドロン主演。サムライの生き様を彷彿させる暗殺者を演じている。後世の映画作品に大きく影響を与えた。共演のナタリー・ドロンの映画デビュー作品。孤独な殺し屋。この映画で表しているのは正にこのひとことでは無いでしょうか。原題は『Le Samouraï』監督はジャン=ピエール・メルビル。
映画『サムライ』のあらすじ・ネタバレ
孤独であることが暗殺者の条件。場末のアパートの一室でカゴに入った鳥と暮らしている男ジェフ。彼は暗殺者として生計を立ている。ほとんど人を交流を持たない。目立たないように生活している。唯一、交流があるのは娼婦だけだ。暗殺の仕事をする際のアリバイ工作のために利用している。数々の暗殺を完璧にこなしたが今回はホテルのピアノ弾きに顔を見られてしまう。警察に尋問されるがアリバイ工作が功を奏し釈放される。しかしその後、依頼主の組織から命を狙われることになる。警察、組織の双方から追われる立場になった暗殺者は、、、。
映画『サムライ』の感想・内容
“サムライ”とは孤独な仕事であると言うイメージの時代
「サムライの孤独ほど深いものはない。さらに深い孤独があるとすればジャングルに生きるトラだけだ」
映画の冒頭にこの説明が入ります。おそらく当時のフランスでは一種の“サムライ”ブームがあったのでしょうか。
それとも日本の映画への憧れもあったのかもしれません。
特にフランスでは黒澤映画の評価が高く、出演俳優ではやっぱり三船敏郎がサムライそのものだったのではないでしょうか。
後にアラン・ドロンは『レッド・サン』で三船敏郎と共演することになります。
この映画でサムライらしきヒットマンんを演じたことはドロンにとって大きなことだったのかもしれません。
アラン・ドロンがまさかの「コメディ映画」に?
トップカットの緊張感がすごい
さて、本映画『サムライ』のトップカットはとても印象的です。
どこかのホテルかいや古いアパートの一室から始まります。
小さな窓の向こうに雨が降っています。
小鳥が「ヒーヒー」と鳴いています。
右側のベッドからタバコの煙が上がっています。
このカットがしばらく続きます。
まるで場末のホテル、あるいはどこかの国の牢獄なのではないかと思わせるほどの緊張感が伝わってきます。
このカットを観るだけで監督のジャン=ピエール・メルビルの演出への期待が高鳴ります。
おそらく当時のフランス映画界はゴダールやトリフォーのヌーベルバーグの影響を受けていたため、芸術性の高い演出になっていると思われます。
フランスで最も愛されている日本人監督は「河瀬直美」間違いなし!
最初のセリフまで9分30秒の意味は?
ジェフ(アラン・ドロン)の雰囲気が只者ではないのはすぐにわかります。
とてもハンサムな顔です。
このハンサムな顔で犯罪を犯すという設定は人々を虜にします。
近年公開された『永遠に僕のもの』などはまさにその典型です。またロバート・レッドフォードの最後の主演作『さらば愛しきアウトロー』も『明日に向かって撃て!』もハンサムは犯罪者であるからヒットしたと言えます。
ジェフは身支度をして出かけます。そして女のアパートへ。
女ジェーンは娼婦のような仕事をしています。ナタリー・ドロンが演じています。
彼女のデビュー作です。二人は実生活で結婚しています。
そしてここで注目して欲しいのはこの映画『サムライ』で最初に発するセリフがジェーンの「ジェフ?」という言葉です。
単なる名前ですが、なんとこの映画が始まって9分30秒ほど経っています。
それまで誰もセリフを喋っていないのです。
この映画の映像で引っ張る力を見せつけられた瞬間なのです。
映像だけで勝負しようとする監督の心意気が伝わります。
青山真治監督もカンヌ映画祭で高く評価されています
少しの音とハンサムなアラン・ドロンだけで引っ張る強さ
映画において“声”や“音”はとても重要な材料です。
ハリウッド映画のように最初から最後まで効果音で占められた映画もいいのですが、この時代のフランス映画のように映像と少しの音だけで構成された作品を観ると当時の映画作家たちのこだわりが見えてくるのです。
もう圧巻です。雨の音、外からは行き交う車の音、そして鳥の声、、、。
なんだか本当にこの世の果てまで来てしまったような、、、そして何か破滅的なことが起きるのでは、、、、と予感させるのです。
しかも演じるのは世界一ハンサムはアラン・ドロンです。もう堪りません。
黒沢清監督は日本より「フランス」で大人気!
海外での“サムライ”のイメージはこんなものだったのだろう
さて、映画は一匹狼の殺し屋ジェフが完璧な仕事をするのが生き甲斐であることがわかります。
依頼された仕事に対して冷静沈着に全うし報酬を得る、もちろん依頼主には迷惑をかけないという生き様をサムライに例えています。
まあ、このサムライの姿が殺し屋とタブることにちょっと違和感を覚えますが、当時のフランスでの印象がそうだったので致し方無いでしょう。
「孤独、無口、クール、ダンディ、冷酷、人情」とでもなりましょうか。
是枝監督はカンヌで最高賞の「パルムドール」を獲得しています
何かのミスによって歯車が狂ってしまうと後戻りができない
しかしジェフは暗殺後、顔を見られるというミスを犯したことで歯車が狂い始めます。
警察から徹底的にマークされます。
警察を演じるのはフランソワ・ペリエです。
かなりの執着を持ってジェフを追い詰めます。
今では違法を思われるような捜査も行います。盗聴や令状なしのガサ入れなど。ジェフの逃げた方も必見です。
フランスのパリは地下鉄が発達しており、ありがちですが電車の乗り降りを使っての尾行のまき方などはジーン・ハックマン主演の『フレンチ・コネクション2』を思い出しました。
黒澤明監督はフランスでも大人気
映画『サムライ』の結末・評価
最初から最後まで釘付け間違いなしの作品
セリフの少ないし、アクションもありません。
もちろん恋愛もありません。
一体、この映画『サムライ』はどこへ向かって行くのでしょうか?
ふと我に返りますが、全く飽きのこないのは正に余分なセリフを排していること、大仰な演技やアクションもないことが一番の魅力だと改めて気がつきます。
最初から最後までスクリーンに釘付けです。なんと力強い演出なのでしょう。
ジム・ジャームッシュとフランス「カンヌ」の相性もバッチリ!
ハンサムな男の死に顔は絶品だ
そして最後の最後にやっぱりハンサムな犯罪者に死が訪れます。
これがまた痺れるのです。
ハンサムな男には死が似合うのです。
ジェフは撃たれて絶命しますが、できることなら顔のアップの一つでも入れて欲しかったです。アラン・ドロ様さまって言うじゃあないですか。
まあ、タイトルの『サムライ』がこの映画の主人公のような殺し屋をさすのではありませんが、孤独に生きて、誰にも迷惑をかけず死んでいく、そんなイメージがあった古き良き時代に名作だったと思います。
冒頭の「サムライの孤独ほど深いものはない。さらに深い孤独があるとすればジャングルに生きるトラだけだ」を再度読むとジャン=ピエール・メルビル監督の日本への強いオマージュが伝わってきます。
ヴィム・ヴェンダース監督はフランス「カンヌ」が育てた!
映画『サムライ』のキャストについて
Jef Costelloアラン・ドロン
Janeナタリー・ドロン
Valerieカティ・ロジェ
Le Commissaireフランソワ・ペリエ
L’Homme de la passerelleJacques Leroy
Wienerミシェル・ボワロン
Olivier ReyJean Pierre Posier
La dame du vestiaireカトリーヌ・ジュールダン
まとめ 映画『サムライ』一言で言うと!
「サムライの孤独ほど深いものはない」
わたしたち日本人より海外の人はサムライに対して幻想的かつ鐘形のイメージを持っているようです。それはいつも刹那的であること、すなわち「死の世界」と背中合わせに高い芸術的な生き方を感じるからでしょう。死とは芸術であり、サムライというイメージが強かった時代の映画ですね。
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たった一人で夢の宮殿を作り上げました
映画『サムライ』
若き日のアラン・ドロンに気絶しそうです
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笑いあり涙ありの傑作映画!
映画『田園の守り人たち』
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映画『北の果ての小さな村で』
とってもほっこりする映画です
映画『アマンダと僕』
泣かないと決めていても「泣いちゃいます」
映画『サムライ』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ジャン=ピエール・メルビル
脚色
ジャン=ピエール・メルビル
原作
ゴアン・マクレオ
製作
ジョルジュ・カサティ
撮影
アンリ・ドカエ ジャン・シャルヴァン
音楽
フランソワ・ド・ルーベ
Jef Costelloアラン・ドロン
Janeナタリー・ドロン
Valerieカティ・ロジェ
Le Commissaireフランソワ・ペリエ
L’Homme de la passerelleJacques Leroy
Wienerミシェル・ボワロン
Olivier ReyJean Pierre Posier
La dame du vestiaireカトリーヌ・ジュールダン
1967年製作/フランス
原題:Le Samourai
配給:日本ヘラルド映画