映画『田園の守り人たち』土地を守る女の戦い。ミシェル・ルグラン監督とミレー。ネタバレ・あらすじ・感想・内容。農業の近代化到来。女が自立する力強さも描く。ナタリー・バイとローラ・スメット母娘共演。

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映画「田園の守り人たち」
ナタリー・バイ、ローラ・スメット初の母娘共演!第一次大戦下のフランスで、出征した男たちに代わり、必死に農場を守り続けた三人の女たちの物語 原題:Les Gardiennes
7/6「田園の守り人たち」予告編

『田園の守り人たち』135/フランス・スイス合作/2017
原題『Les gardiennes

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映画『田園の守り人たち』のオススメ度は?

3.5

星三つ半

絵画好きな人は是非とも観てください。

確かにミレーっぽいです。

戦争の描写はほとんど出てきません(冒頭に少し)

女は守るべきものがあるのです。

悪者になっても守りたいのです。

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映画『田園の守り人たち』の作品概要

第一次世界大戦の最中、夫が出兵した田舎の農園で繰り広げられる人間模様。農地、田園、つまり土地を守るために懸命に生きる女性の物語。かたや自由に生きる女性も登場してくるから、時代の変容も感じる。農業のあり方も手作業から機械化へ進む描写も描かれており、農業経営が変わることも示唆されている。

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映画『田園の守り人たち』のあらすじ・ネタバレ

未亡人のオルタンスは娘と二人で広大な田園を守っている。息子二人は戦地へ行ってしまった。娘の婿も戦地へ。なんとか冬が来る前にタネを蒔かないと飢え死にしてしまう。そこへフランシーヌという女性が働き口を求めてやってくる。体も強く性格も明るいフランシーヌを雇うことに、、、。フランシーヌは人の倍働き人気者になる。そんな時、戦地から息子が休暇で帰ってくる。そして二人は、、、、

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映画『田園の守り人たち』の感想・評価・内容・結末

フランスの画家ミレーを彷彿させる映像表現との呼び声が高い作品。確かに映像が美しい。改めてミレーの作品を検索してみたが、確かに共通点がある。ミレーの作品は絵画であるから静止画だ。でも動きがある。特に腰を使う動きが特徴的に感じる。それに対して本作は映画という動画。実際に動きがあるとやはり臨場感が出てくる。特に小麦を蒔く場面は肘から下の手の流れが美しい。弧を描くようにタネが土に降り注ぐ。それも等間隔に落ちている。色彩も良い。最近のフランス映画の田舎の場面はどちらかと言うと、明度を上げているためとても色がキツく描かれている。しかし本作は薄暮のような明度をずっと保っており、その中でのタネ蒔きがとても芸術的に見えるのだ。これだけでもグザビエ・ボーボワ監督の狙いは成功したと言える。

さて、映画の内容だが「女たちの戦い」である。何と戦うかというともちろん戦争もあるが、自分たちの土地を守るために戦っている。どこの国もそうだが土地を持っている者は強い。田舎でも地主、小作人制度が今でも半強制的に行われている。農地解放と言われても大事主の威光は強く小作人は利用されっぱなしだ。本作ではあからさまにはそういう描写は出てこないが、女地主は収量計画から人選、給料など全てを牛耳っている。よって気に入らない労働者は気分次第でクビにできるのだ。

その犠牲者がフランシーヌ。本当に仕事ができる、人の何倍も働くし、機転もきく。人当たりも良い。おまけに新しく持たされた機械も触れる。農場主のオルタンスは次第にフランシーヌに嫉妬するのだ。彼女が目立つことに。しかも運悪くオルタンスの息子が戦争から休暇で帰ってくるなり、フランシーヌといい関係になってしまう。息子を寝取られて母親はフランシーヌをクビにするのだ。もうここまで来ると別に戦争を背景にしている意味が薄れてしまう。どこの馬の骨かわからない女に息子を取られてたまるか、である。

しかし母親の気持ちもわかる。農家を継ぐ息子の嫁は慎み深く謙虚な女の方が良い時代だったのだろう。誰からも好かれ人気者になると変な噂がたち、面倒臭くなるのだろう。ただでさえ、閉鎖的な村社会の中ではおとなしい嫁が好まれるのだろう。それと終盤、土地争いの描写で息子と娘婿が共に戦地から帰ってきた際に、少々諍いが起きる。もしここにフランシーヌのような闊達な女性がいたら、、、、。

オルタンスは戦争が終わり町で追い出したフランシーヌを見る。子どもを抱いている。オルタンスは父親が息子だとわかる。その表情に少しだけ後悔の念が読み取れる。フランシーヌは一瞬、視線を向けるが無表情に立ち去る場面で、強い女性の時代が来たのだとわかる。男に頼らなくても生きていけるフランスの土俵の深さを象徴している。さすが世界初の市民革命の国だ。

さらに数年後、フランシーヌは逞しく舞台で歌を歌っている。この時のフランシーヌの笑顔が垂涎たる表情で、救われた気持ちになる。この映画は戦争という悲劇の中で女たちの戦いを従属、解放、自立、飛躍というテーマで描かれている佳作である。また劇中に登場する農機具の変化を見ていると手作業の収穫から機械化、そして来たる大規模農業の時代が予想される。この映画の続きを描くのであればドローンによるタネ蒔き、農薬散布、収穫とく演出が加わることになるだろう。

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映画『田園の守り人たち』まとめ 一言で言うと!

出る杭は打たれる、出すぎれば杭は打たれない!
とは言うが、出すぎたら上からは打たれません。横から叩かれます。それも引っ叩く感じです。闇討ちに近いです。気がついたら杭は無残に曲がっています。曲がった杭をまっすぐにするのは自力では難しいです。誰かの助けが必要です。では打たれない、叩かれないようにするにはどうしたら良いのか。それはこの映画のフランシーヌと同じようにそこの集団、場所から立ち去ることです。それは逃げではありません。飛躍なのです。無理して戦う労力ほど無駄で虚しいものはありません。特に若者にとって。

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映画『田園の守り人たち』の作品情報

映画.comより一部引用
監督
グザビエ・ボーボワ
製作
シルビー・ピアラ ブノワ・ケノン
原作
エルネスト・ペロション
脚本
グザビエ・ボーボワ フレデリーク・モロー マリー=ジュリー・マイユ・ボーボワ
撮影
カロリーヌ・シャンプティエ
美術
ヤン・メガール
衣装
アナイス・ロマン
編集
マリー=ジュリー・マイユ
音楽
ミシェル・ルグラン
オルタンスナタリー・バイ
ソランジュローラ・スメット
フランシーヌイリス・ブリー
ジョルジュシリル・デクール
アンリジルベール・ボノー
クロヴィスオリビエ・ラブルダン
コンスタンニコラ・ジロー
マルグリットマチルド・ビズー=エリー
2017年製作/135分/フランス・スイス合作
原題:Les gardiennes
配給:アルバトロス・フィルム