映画『名もなき生涯』ネタバレ・あらすじ・感想。テレンス・マリック自身の神への忠誠映画。正義を通して得られるものは?

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映画『名もなき生涯』ネタバレ・あらすじ・感想。テレンス・マリック自身の神への忠誠映画。正義を通して得られるものは?2019年公開

映画『名もなき生涯』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。

映画『名もなき生涯』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。

YouTubeで予告映像もご覧ください。

映画『名もなき生涯』公式サイト
絶賛上映中!テレンス・マリック監督最新作。自らの信念と家族への愛だけでナチスに立ち向かった、一人の男の実話。
『名もなき生涯』日本版予告映像

『名もなき生涯』(175分/アメリカ・ドイツ合作/2019
原題『A Hidden Life

【監督】
テレンス・マリック
【製作】
グラント・ヒル ダリオ・ベルゲシオ ジョシュ・ジェッター エリザベス・ベントリー
【出演】
シュテッターアウグスト・ディール
シュテッターバレリー・パフナー
マリア・シモン
トビアス・モレッティ
ブルーノ・ガンツ

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映画『名もなき生涯』のオススメ度は?

4.0

4つです

信仰心の強い男

男を信じる女

No!」と言える勇気

残された家族は、、、

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映画『名もなき生涯』の作品情報・概要

『名もなき生涯』原題『A Hidden Life2019年のアメリカ合衆国・ドイツの伝記映画。テレンス・マリック監督作品。アウグスト・ディール主演。ヴァレリー・パフナー)ブルーノ・ガンツ共演。第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに併合されたオーストリアを舞台に田舎の農村で農業を営みながら、信仰心の厚い夫婦の生涯を描く。ナチス・ドイツからの忠誠を拒否することで人間の尊厳を貫き通した名もなき人がいた。

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映画『名もなき生涯』のあらすじ・ネタバレ

第二次世界大戦時のヨーロッパ。戦況はドイツが有利に傾いている。オーストリアもどナチスに併合された。田舎の農村で妻子と慎ましやかな生活をしていたフランツ・イェーガー(シュテッターアウグスト・ディール) に徴兵の知らせが届く。一度目の訓練には応じる。しかし二度目の徴兵は戦地へ行くためのもの。フランツは戦争は神の教えに背く行為であると公言しナチス・ドイツへの忠誠を拒否する。そのため彼の家族は村八分にされる。フランツは収容所に送られ拷問を受けるが一向に決意は変わらない。その間、妻ファニ・イェーガー(シュテッターバレリー・パフナー)と手紙を通して人間とは何かを語り合う。そして死刑の判決が出る。妻はフランツの元へ駆けつけて言葉をかける。

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映画『名もなき生涯』の感想・評価・内容・結末

テレンス・マリックの映像美は圧巻

この映画はとても美しいです。まず自然の描写が素晴らしいのです。大スクリーンに地球ってこんなに美しいのかと改めて気がつきます。

そしてこの映画の主人公のが美しいのです。純粋というか頑固というか、信念を貫く姿勢が神様の姿を彷彿させるのです。

この映画の監督はもはや生きる伝説テレンス・マリックです。近年のマリックの製作スピードは20年前のそれとは打って変わって速いのです。

かつては20年間も活動を停止していたマリックがなぜ次々と作品を発表しているのかが少しずつ見えてきました。(それは別の機会で書きます)

マリックの映像美は圧巻です。他の映像作家の追随は許しません。

ピーター・ジャクソン監督が描く戦争も凄まじい恐怖です

ヨーロッパ諸国で絶賛されている映画

さて、この映画『名もなき生涯』はヨーロッパ諸国では絶賛されています。実話です。その理由は宗教色の強い映画だからです。

マリック自身が敬虔なキリスト教徒です。神への信仰心が強いのです。

神への忠誠を誓っています。映画の中のフランツ・イェーガー(シュテッターアウグスト・ディール) はナチスドイツへの忠誠を拒否する理由は「忠誠するのは神のみ」だからです。

無名な人が忠誠を拒否したことによって

映画の舞台はオーストリアの小さな村です。妻ファニ・イェーガー(シュテッターバレリー・パフナー)と3人の愛娘と農業を営みながら暮らしています。

そこへナチスドイツの足音が聞こえてきます。案の定、オーストリアは併合されました。そして男たちは徴兵されます。

フランツも同様です。でもフランツは神父に「ナチスドイツには忠誠は誓わない。絶対に署名しない」と言います。その噂は村中に伝わります。

村人からは厄介な人物として侮蔑の目で見られます。やがて一家は孤立していきます。フランツが連行され逮捕され、残されたファニも苦境に立たされます。

村八分です。農作業はおろか食べることにも事欠くようになります。

名もなき人が忠誠を拒否したことで見えてくる人間の姿を描いています。

サム・メンデス監督が伝えたい真実は?

若い夫婦の手紙のやり取りから見える真実の愛

でも二人は手紙のやり取りを通して神への忠誠を深めていきます。フランツは連日ナチスから拷問を受けますが、絶対に忠誠を誓いません。

ファニも村人からの嫌がらせを受けながらも愛する娘たちを守ります。映画は二人の手紙の読まれます。

手紙の内容には第二次世界大戦といく絶望的な愚行の中でも希望の愛と希望の言葉であふれています。

お互いの体の心配はもとより、戦争が終わったら共に畑を耕して生きていこうなどです。

悪魔の囁きは砂糖水のように甘い

しかし悪魔であるナチスの仕打ちは続きます。裁判にかけられてフランツは死刑を宣告されます。

ここで注目するのはフランツの弁護士が「言葉など形だけだ。忠誠をしたというだけで妻子も村人も助かる」と囁くのです。

これは正に悪魔のささやきです。でもフランクの心は折れません。自らの信念を貫きギロチン台へと向かうのです。

映画の中ではこのように悪魔のささやきが随所に出てくるのも特徴です。「君の行動が戦争を左右するのか?」「君が戦況を変えるのか?」です。

甘い甘い、悪魔の囁きとフランツは戦います。

二度と戦争は繰り返してはいけない

「正義を貫いて!」という妻の言葉が、、、

でもフランツの心は神への忠誠のみです。

「真理とは決して消えない光」「良心は人を臆病にさせる」「自然派人々の悲しみに気がついていない(それほど自然は偉大)」などの言葉をフランツが語ります。対比です。

この映画の作り方が素晴らしいです。そして死刑執行当日に妻のファニとの最後の面談が用意されています。ファニは泣きません。

そしてフランツの耳元で「愛している、何があろうとあなたと共にいる。正義を貫いて!神さまに言われた門を叩いて」と言うのです。

もう何も言えません。体全体が押しつぶされるような愛の世界です。

マリックが世界に警鐘していることは何か、、、

このようにフランツの最後は正にイエス・キリストが皆の身代わりになって処刑されることを選ぶ場面にシンクロするのです。

神仏の国であるわたしたちには敬虔なキリスト教徒について理解するのは難しいですが、ヨーロッパで絶賛された理由がここにあるのです。

そしてなぜ今、テレンス・マリックが宗教色の強い映画を紡ぎ出したのかがわかるのです。

世界は今まさに混乱と混沌の中、差別を憎悪を繰り返し再び大戦争へ向かっていることに警告しているのです。

しかも予期せぬ病原菌が世界を恐怖のどん底に落としています。これが引き金になって世界はますますおかしな方向へ向かう気がしてなりません。

この映画『名もなき生涯』では印象的な言葉がたくさん出てきました。最後に紹介するのはイギリスの作家ジョージ・エリオットの言葉です。

「歴史に残らないような行為が世の中の善を作っていく。名もなき生涯を送り。今は訪れる人もいない墓にて眠る人々のお陰で物事がさほど悪くないのだ」

とても深い映画でした。

*この映画の撮影は人工的な照明は一切使用していない。全て自然光で撮影しています。それはマリックのこだわりです。『天国の門』ではマジックアワーのみで撮影しています。それ以来ずっと自然光です。なぜなら経験なキリスト教徒であるマリックにとって太陽の光は神さまの光だからです。

中国版、真実を貫いた男の物語

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映画『名もなき生涯』のキャストについて

フランツ・イェーガー(シュテッターアウグスト・ディール)

敬虔なキリスト教徒で農夫です。若い頃は不良で下が、ファニと出会ってから信仰心が強くなりました。「罪のない人を殺せない」「神の教えに反する」という理由でナチスへの忠誠を拒否します。最後まで信念を貫きギロチンで死にます。シュテッターアウグスト・ディールはその骨太で不器用なオーストリア人を見事に演じています。強いだけではありません。妻子を心から愛しています。優しさが溢れる男を出しています。

ファニ・イェーガー(シュテッターバレリー・パフナー)

フランツの妻で農夫。3人の娘を生みます。夫婦で力を合わせて一生懸命に農業に励んでいます。出兵、連行された夫と手紙のやり取りをします。夫の生き様に共感し励まします。夫のせいで村八分にされますが自身の意思も夫に合わせます。シュテッターバレリー・パフナーを観ていると涙が止まりませんでした。確かに夫の生き様を尊重すると言おう崇高な意思は素晴らしいのですが、娘たちがいます。様々な葛藤があった役を見事に演じています。

レジー(マリア・シモン)

ファニの姉で一緒に農業をやっています。ずっと妹夫婦に寄り添います。

ルーベン判事(ブルーノ・ガンツ)

ナチスの判事です。もうヒトラーのいうことを聞いかなければ自身も危ないことを知っています。戦争は間違っていると知っていますが、どうにも出来ません。「誓いは形だけだから」とフランツを説得する場面も苦悩を名優ブルーノ・ガンツは見事に表現していました。

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まとめ 映画『名もなき生涯』一言で言うと!

「たとえ世界は滅ぶとも正義はとげよ」

神聖ローマ帝国のローマ皇帝、フェルディナント1世の言葉です。本映画の本質もここに通じると思いますが、なかなかできることではないです。やはり自分の正義を通すことで他者が犠牲になることもあります。自分の正義とは自己満足で終わることが多いです。それが人や社会に大きく、しかも良い影響を与えるのあれば大賛成です。難しいですね。人間は思考する能力を身につけたおかげで、プライド、メンツ、そして曲げることができない意地も備わってしまいました。自分がこのフランツの立場であったなら、と考えるとわたしは「言葉だけ」で忠誠を誓うかもしれません。

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映画『名もなき生涯』の作品情報

映画.comより一部引用

スタッフ・キャスト
監督
テレンス・マリック
製作
グラント・ヒル ダリオ・ベルゲシオ ジョシュ・ジェッター エリザベス・ベントリー
製作総指揮
マルクス・ロゲス アダム・モーガン ビル・ポーラッド イー・ウェイ クリストフ・フィッサー ヘニング・モルフェンター チャーリー・ウォーケン
脚本
テレンス・マリック
撮影
イェルク・ビトマー
美術
セバスチャン・クラウィンケル
衣装
リジー・クリストル
編集
レーマン・アリ ジョー・グリーソン セバスチャン・ジョーンズ
音楽
ジェームズ・ニュートン・ハワード
フランツ・イェーガー(シュテッターアウグスト・ディール)
ファニ・イェーガー(シュテッターバレリー・パフナー)
レジー(マリア・シモン)
トビアス・モレッティ
ルーベン判事(ブルーノ・ガンツ)
ヘルダー大尉(マティアス・スーナールツ)
カリン・ノイハウザー
ウルリッヒ・マテス
2019年製作/175分/アメリカ・ドイツ合作
原題:A Hidden Life
配給:ディズニー

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