映画『万引き家族』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『万引き家族』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。


映画『万引き家族』NHK BSプレミアム放送 3月30日(月)午後9時00分〜10時58分
平成映画の金字塔、いや日本映画に燦然と輝く名作です。
是枝裕和監督作品です。
是枝監督と同じ時代に生きていられることが幸せです。
第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得した作品です。
「本当の家族とは」愛なんです。
素晴らしい作品です!!
こんなご時世だからこそ絶対に観るべし!
映画『万引き家族』(120分/PG12/日本/2018)
【監督】
是枝裕和
【製作】
石原隆 依田巽 中江康人
【出演】
リリー・フランキー
安藤サクラ
松岡茉優
城桧吏
樹木希林
映画『万引き家族』のオススメ度は?
星5つです
家族とは?
日本社会とは?
平成映画の金字塔です
観てから論じよ!
是枝裕和監督はすごい
映画『万引き家族』の作品情報・概要
『万引き家族』2018年6月8日公開の日本映画。是枝裕和監督作品。第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得。リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林出演。是枝監督14作品目。一貫して「家族」「弱者」「日本社会」を描いている。胸に突き刺さるような名作である。
映画『万引き家族』のあらすじ・ネタバレ
東京の下町の壊れそうな家に同居する5人。彼らには血の繋がりは全くない。しかし家族のように明るく楽しく暮らしている。柴田治(リリー・フランキー)は日雇い労働者で怪我をして働けなくなる。柴田信代(安藤サクラ)はDVの前夫を殺した過去がある。今は真面目にクリーニング店工場のパート勤務。柴田初枝(樹木希林)は年金受給者であり、夫とはすでに離婚しているが、夫の再婚相手の家へ通っている。柴田亜紀(松岡茉優)は家出し風俗で働いている。柴田祥太(城桧吏)は治と信代が拾ってきた子供。学校に行かず治と万引きを繰り返している。そこへ幼児虐待を受けているゆり(佐々木みゆ)が加わる。一家は貧しいながらも明るく楽しく幸せな生活を営んでいる。しかし初枝が死んでから何かが壊れ行く、、、。
映画『万引き家族』のキャストについて
柴田治(リリー・フランキー)
得体の知れない人。前科者です。飄々としています。弱い者イジメはしない人、父親になりたい人、という設定。心は優しいです。もうこのリリー・フランキーさんの演技はつかみどころがありません。素晴らしいです。今現在、日本の役者の中でピカイチではないでしょうか。本映画の役柄も根は優しい人間ですが、やはり“知性教養”が足りなかったから軽犯罪に走るのか、それともすでに日本という国の薄情さを嘆いた先の行いだったのかは捉え方によっては双方あると思います。リリー・フランキーさんを観ていると“恐ろしさと癒しさ”という親近感を持ってしまいます。
リリー・フランキーさんのこの演技を観よ!
柴田信代(安藤サクラ)
前夫を殺しています。正当防衛になっています。元風俗嬢です。クリーニング屋で働いています。安藤サクラさんは一見、ツンケンしていて性格がきついと思われましたが、本当に心優しい“お母さん”を演じていました。安藤サクラさんは芸能一家に生まれてきてのプレッシャーもあったかと思いますが、今や父親を凌駕しています。表情が良いですね。決して美人ではありませんが、正義も悪人も演じきれる女優さんだと思います。本映画はリリー・フランキーという魔物と樹木希林さんという怪物に挟まれても堂々と演技していたと思います。この人にはこれから猟奇的な犯罪者の役とか、あるいは『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアのような役をやって欲しいと思いました。
柴田亜紀(松岡茉優)
何も不自由なく育った高校生。オーストラリアへ留学しているという設定ですが、風俗で働いています。松岡茉優さんは体当たりの演技でした。お金が欲しいわけではなく“愛が欲しい”女性だと思います。聾唖の男性との出会いの場面も素晴らしいですが、家族団らんでご飯を食べている時の嬉しそうな顔が良かったです。
ピアニストになった松岡茉優ちゃん
柴田祥太(城桧吏)
捨て子、いや拾われてきた子供です。柴田治に万引きの手ほどきを受けてもはやプロです。学校に通いたい気持ちがあります。少しずつ自我が芽生えてきます。自ら警察に捕まります。城桧吏君は顔がカッコ良すぎますね。ちょっとお上品なのです。もう少し野生感があったほうが良かった気がします。演技はさすが子役です。何も知らない“子ども”だったのが何かが違うことに気が付いていく心模様が素晴らしかったです。最後のバスの場面での別れは映画史に残る名場面です。
柴田初枝(樹木希林)
未亡人。元夫を取られた。年金生活者。元夫の次の妻の子どもからお金をもらっている。樹木希林さんはどんな作品でもその場をジャックしてしまう魅力があります。もちろん美形の女優ではありません。あの風貌、喋り方、身のこなし方から目が離せません。凝視してしまいます。本作でも息が止まるほどゾッとした場面がたくさんありました。それと相まって優しい雰囲気も醸し出しています。みんな家族ではないのに優しさを均等に配っています。なんとも恐ろしい女優さんでした。
こんな恐ろしい女優さんはもう出ないでしょう


ゆり(佐々木みゆ)
柴田治(リリー・フランキー) に拾われてきた子ども。虐待を受けていた。血の繋がった家族ではない柴田一家で愛されている。佐々木みゆちゃんはもう巣の演技でしょうね。こういう小さな子どもの涙って胸に突き刺さるのです。映画はこの子の横顔のアップで終わりました。
映画『万引き家族』の感想・評価・内容・結末
日本が世界に誇る映画監督は是枝裕和さん、黒沢清さん、河瀬直美さんの3Kです。そして是枝さんは頭が数個抜きん出ている存在だと言えます。是枝監督は本映画『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得しています。韓国映画『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督の前年ですから多少の影響を与えたと思います。

是枝監督のすごいのは一貫して「家族」「弱者」「日本社会」を描いています。ずっとです。『誰も知らない』の育児放棄、『そして父になる』の子供取り替え事件、『海よりもまだ深く』のクズ男、そして『三度目の殺人』では死刑制度についての是非と日本の裁判制度のあり方描いています。一貫しているのです。目線はいつも弱者に置かれています。それは多分、是枝監督がテレビマン時代に取材した経験則からきていると思われます。日本でこれほどまでに骨太にひとつのテーマを突き詰めて映画を撮り続けている人はいません。ドキュメンタリー出身の監督であるだけあって、“ねちっこい”と言われる場合がありますが、それが良いのです。
これは本当に衝撃的な映画でした。福山雅治さんが、、、

さて、この『万引き家族』がカンヌでパルムドールを獲得した時は日本のマスコミも絶賛しました。でも批判もされました。「日本人は万引きしない」とか「犯罪者を正当化している」「助成金を返せ」などです。でも違うんです。是枝監督が描きたかったことは日本社会の片隅に見向きもされない人たちがいる、彼らは懸命に生きている、さらになぜ彼らがそんな境遇にいるのか、を映画で訴えたのです。それに対して「そんな人間は負け犬だ」とか「努力しないから犯罪へ走るのだ」などと逆に是枝監督がバッシングされる事態にもなりました。“是枝叩き”自体が弱い者イジメとなったです。
『パラサイト 半地下の家族』も底辺に生きる人です

この映画では“万引き”だけがクローズアップされますが、真意は全く異なります。まず彼らは血の繋がりがありません。でもみんなが仲良く楽しく暮らしています。それは仮面家族ではありません。本当に楽しそうなのです。唯一、出自が明らかになる柴田亜紀(松岡茉優) は裕福な育ちです。でもその家には温もりがなかったのでしょう。ですから柴田家の長女として、みんなで雑魚寝をしながら温もりを感じて生きています。その顔はイキイキとしています。

柴田治(リリー・フランキー) と柴田信代(安藤サクラ)も法律的に夫婦ではありません。信代は元風俗嬢で、治が常連客でした。でも信代の元夫がDV男のクソ野郎だったのを助けたのが治です。ちなみに信代は元夫を刺し殺しています。二人は奇妙な絆が生まれて社会から身を隠すように暮らしています。柴田初枝(樹木希林) は年金生活者です。前夫を略奪されたこともあって、夫の2番目の家族の元へ顔を出しお金も貰っています。こちらも得たいの知れない恐ろしさがあります。そして柴田祥太(城桧吏) とゆり(佐々木みゆ) です。治と信代の子どもになります。二人とも懐いています。ここまでの人間関係をもう一度確認すると血の繋がりがありません。でも、でもです。「ちゃんとした家族」なのです。とても幸せそうなのです。
こちらは親から存在を消された子供たちを描いています

家族の幸せについて考えてみます。お金があることは確かに幸せを作るには必要かも知れません。でも一番大事なのは親からの愛情ではないでしょうか。祥太とゆりが治と信代に拾われた理由はまさしく“毒親”からの救出になるのです。近年、アメリカ映画では毒親をテーマにした作品が多々ありますが、是枝監督はもう数年前から取り上げているのです。毒親とは過干渉、過保護、幼児虐待、育児放棄と様々ですが、本映画『万引き家族』では育児放棄と虐待の二つを明確に取り上げています。
是枝監督に追随するのは大森立嗣監督です

祥太は松戸のパチンコ屋の駐車場の車の中から拾ってきました。映画では信代が刑務所に面会に来た際に告げています。詳細な状況は語っていませんが、炎天下の車の駐車場、パチンコへ行く無責任な夫婦という実際にあった事件をモチーフにしています。是枝監督はこの痛ましい事件のことを言い訳がましい長いセリフでは語っていません。信代にさりげなく言わせているのです。それだけで十分です。そしてゆりは若い夫婦の育児放棄と幼児虐待の被害にあっています。寒い冬の夕方、治と祥太が一仕事を終えて帰る時にベランダに放置されていました。中からは「好きで子どもを産んだんじゃない」という夫婦喧嘩が聞こえてきます。見かねて家へ連れて帰ります。ゆりはひどく怯えていました。そして身体中には虐待されたであろう傷があったのです。もうこれはダメでしょう。
女性監督も負けていません。甲斐監督も世界へ行くでしょう

昨年も子殺しが大問題となりました。子どもに手をあげる人間は最低最悪な人間です。映画の中の信代のセリフで「好きだから叩くなんて嘘。本当に好きならぎゅーっと抱きしめる」というのが涙を誘いました。繰り返しますが、ここに登場する人物はまるで血の繋がりがありません。血の繋がりがなくても立派な家族を作っているのです。逆に言えば「血の繋がりってなに?」です。血が繋がっていても愛情がなければ家族は成り立たないのです。

警察で尋問を受ける信代と女性警察官の宮部希衣(池脇千鶴) の会話も秀逸です。「産んだらみんな母親なの?」という信代に対して「産まなきゃ(母親)なれないでしょ」と言い放ちます。ここは必見です。世の中には産みの親より育ての親を大事にするという風潮が昔からあります。その通りだと思います。でも産みの親が毒親であるのなら引き離す必要もあるのです。このメッセージにはズシリと来ました
そして映画の最後のカットも印象的です。ゆり(佐々木みゆ) が実の父母のところに戻ってベランダで遊んでいます。そしてベランダ越しから遠くを見ます。その目は「また誰か助けてくれないかなあ」と言っているのです。ゆりには虐待が続くと思うと悲しさと怒りがこみ上げてきました。この映画『万引き家族』はタイトルだけを見て「万引きを美化している」と勝手に論じる人がいますが、全く異なります。日本社会にも世界にもこのように社会の片隅で気が付かれない存在の人たちがいること、彼らがなぜそのような境遇で生きているのか、その根本的な原因は何を“万引き”をモチーフにして描いたのです。とっても、とっても深く、知性教養の高い映画でした。
こんな親は困ったもんです

わたし個人的に是枝作品が大好きですから、ご贔屓めな感想になってしまいました。でも是枝監督の映画作品にはブレが全くないから好きなのです。初志貫徹なのです。しかもドキュメンタリーの雰囲気を織り交ぜてきます。特に警察との尋問される場面の役者のカメラ目線には凝視せざる得ない力がありました。柴田治(リリー・フランキー) の「俺、教えられるもんが何もないから」は自身が無学で教養もない人間であること、でも父親になりたかったという切望。柴田信代(安藤サクラ) の「産んだらみんな母親なの?」に続き「そうね、母親がにくかったから」は自身の生い立ちが毒親で苦しんだからそんな“母親”に育てられている翔太とゆりを救出することが、憎らしい母親への復讐にもなったということが想像できます。
*その他印象に残ったセリフをあげます。
「俺、教えられるもんが何もない」警察官に「なぜ、子どもに万引きを教えたのか」を聞かれて答える治。
「勉強できない奴が学校へ行くんじゃないの?」と警察官にいう翔太。それに対して「学校でしか学べないことがあるんだ」「何?」と聞く翔太。警察官は「“出会い”かなあ、友だちとの」と言います。その時の翔太の目には輝きがありました。ここには希望を感じました。
まとめ 映画『万引き家族』一言で言うと!
「目立たず、騒がず、ひっそりと幸せに生きたい」
これはわたしの個人的な考えです。あまり目立ちたくありません。目立つと誰かに攻撃される気がします。みんなが集まって騒ぐ場所にも近寄りたくありません。なんか面倒くさいことをやらされそうで、、、(お酌とか歌とか)。ひっそりと家に引きこもっていたいです。誰にも干渉されたくありません。この映画を観ていると本当にそんなことも考えてしまいました。でも社会生活に必要最小限の関わりは持っています。
合わせて観たい映画
【毒親が登場する映画】
映画『存在のない子供たち』
これがレバノンの現状なのだろうか。出生証明書もない子供たち

映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。

映画『荒野にて』
父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。

『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。

映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。

映画『J・エドガー』
息子が可愛くて仕方ありません。徹底的な教育を施します。

映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。

映画『タロウのバカ』
現代ニッポンにバカと叫ぶ!

【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。

『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。

映画『パパは奮闘中』
蒸発した妻の代わりに子育てします。

【ある意味、毒親である気がする映画】
映画『ビューティフル・ボーイ』
薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。

映画『ベン・イズ・バック』
薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。

映画『万引き家族』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
是枝裕和
脚本
是枝裕和
製作
石原隆 依田巽 中江康人
プロデューサー
松崎薫 代情明彦 田口聖
アソシエイトプロデューサー
大澤恵 小竹里美
撮影
近藤龍人
照明
藤井勇
録音
冨田和彦
美術
三ツ松けいこ
セットデザイン
郡司英雄
装飾
松葉明子
衣装
黒澤和子
ヘアメイク
酒井夢月
音響効果
岡瀬晶彦
編集
是枝裕和
音楽
細野晴臣
助監督
森本晶一
キャスティング
田端利江
制作担当
後藤一郎
ラインプロデューサー
熊谷悠
柴田治(リリー・フランキー)
柴田信代(安藤サクラ)
柴田亜紀(松岡茉優)
柴田祥太(城桧吏)
ゆり(佐々木みゆ)
4番さん(池松壮亮)
北条保(山田裕貴)
北条希(片山萌美)
黒田大輔
清水一彰
松岡依都美
毎熊克哉
井上肇
蒔田彩珠
川戸頼次(柄本明)
堀春菜
溝口奈菜
安藤輪子
逢沢一夏
宮内桃子
橋本真実
まりゑ
瑛蓮
高木直子
松浦慎一郎
友咲まどか
結城さなえ
森本のぶ
足立智充
笠井信輔
三上真奈
柴田譲(緒形直人)
柴田葉子(森口瑤子)
前園巧(高良健吾)
宮部希衣(池脇千鶴)
柴田初枝(樹木希林)
2018年製作/120分/PG12/日本
配給:ギャガ





