不条理すぎる映画『ドッグマン』実話の解説・感想・ネタバレ・あらすじ・評価。マッテオ・ガローネ監督の描く人間の本質は闇だ。

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映画『ドッグマン』公式サイトにて作品情報・上映館・お時間もご確認ください。
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映画『ドッグマン』公式サイト
犬を愛する男が選んだ、あまりにも奇妙だが胸を打つ結末とは——。イタリア映画の鬼才、『ゴモラ』のマッテオ・ガローネ監督が放つ衝撃の問題作!
『ドッグマン』本予告編

『ドッグマン』103/イタリア・フランス合作/2018
原題『Dogman』

監督:マッテオ・ガローネ
出演:マルチェロ・フォンテ
   エドアルド・ペーシェ
製作:マッテオ・ガローネ ジャン・ラバディ

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映画『ドッグマン』のオススメ度は?

4

4つ半です。

とっても恐ろしい映画です。

重たい気持ちになります。

でも見ごたえがあります。

人間は生まれながらの悪人なのでしょうか。

イジメはいけません、絶対に!

友だちと観に行ってください。

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映画『ドッグマン』の作品概要

1980年代にイタリアで起こった実在の殺人事件を鬼才マッテオ・ガローネ監督が独特の不条理感で描いた作品。人間は善人か悪人かを突きつけられる。主演のマルチェロ・フォンテは第71回カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した。

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映画『ドッグマン』のあらすじ・ネタバレ

イタリアの寂れた海辺の町でドッグサロンを経営するお人好しのマルチェロ。妻とは別れているが、たまに訪れる娘との時間が唯一の幸せだ。町の人とも上手く付き合っている。でもどうしても縁が切れない友人がいる。町一番の荒くれ者で嫌われ者のシモーネ。彼に利用され、窃盗やコカインの売買をしてしまう。しまいには身代わりになって刑務所へ入ることに、、、。一年後出所してマルチェロは町へ帰るが、、、。

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映画『ドッグマン』の解説・感想・評価・内容・結末

人間の“生”の恐ろしさを表現している映画

この映画を観ている間中ずっと、本当に体が縮んでいく気がしました。恐ろしいのです。とにかく逃げ出したくなる映画なのです。

その恐ろしいというのはホラー映画のように幽霊とかゾンビが斧やナイフを持って襲ってくるモノとは違います。

また天を突き破るような大絶叫で追いかけてくるとか、高所から落とされるような恐怖感とは違います。それは生身の人間が持つによる恐ろしさとでもいうのでしょうか。

人間とは本当に生まれながらの悪人なのかもと考えてしまいした。親鸞聖人の歎異抄に通じます。西洋的には性悪説でしょうか。

対極的な人間を通して何を伝えようとしているか

この映画に出てくる人の性格は二つに分かれます。

善人と悪人、ひ弱と強靭、利用される人と利用する人、正直者と極悪人、いじられっ子といじめっ子、そして犬と主人。

主人公にマルチェロ(マルチェロ・フォンテ)は海辺の小さな町で犬のトリミングサロンを経営しています。

妻と離婚してますが、一人娘とは定期的に会って溺愛しています。町の人ともサッカーをしてそれなりに上手く付き合っています。

しかし唯一の悩みはシモーネ(エドアルド・ペーシェ)という町一番の荒くれ者に付きまとわれていることです。

ことあるごとにコカインを買いに行かされたり、窃盗の手伝いをさせられます。気が弱いし、体も貧弱なため言うことを聞かざるを得ません。これはもうイジメの構造と同じです。

そして窃盗の罪を押し付けられ逮捕されてしまいます。仁義を着るというか、仕返しが怖いから罪を被ったのでしょうか。

悪人に変貌していくマルチェロを応援してしまう

そこから物語は静かに静かに復讐へと向かっていきます。その静けさがマッテオ・ガローネ監督の持ち味なのでしょう。

刑務所で一年過ごしたマルチェロは町へ戻ってきます。そしてシモーネに自ら近づいていきます。たぶんですが、刑務所暮らしで多少の度胸はついたと想像できます。

マルチェロは当初はシモーネから約束のお金をもらうだけでしたが、さすがに堪忍袋の緒が切れるのです。

そしてシモーネを巧みに誘い出して犬用のゲージに閉じ込めます。わたしはこの場面を観ているときに、一心不乱に「どうか、上手く閉じ込めて」と祈ってしまいました。

ただでさえ荒くれ者のシモーネですから、力づくでゲージを壊すかもしれませんし、マルチェロの計画を見破り殺すかもしれません。

こんな悪党には絶対に制裁を加えたくなる

兎にも角にもシモーネを犬のゲージに入れて自由を奪いました。ここからは本当に凄惨な場面が続きますが、不思議とマルチェロを応援したくなりました。

「こんな悪党など殺してしまえ」的な感情です。実際、もしわたしがマルチェロの立場で、いつも利用されてばかりいたらさすがにやり切れません。

犯罪の身代わりにもなり、お金もせびられ、良いように扱われるなんて、まさにイジメの代表です。こんな不条理は許されません。

わたしはイジメられる方にも問題があると言う人には嫌悪感を抱きます。イジメは絶対的にイジメる側に問題があるのです。これは声を大にして言います。

イジメ問題についても描いているが人間の本質に鋭く突っ込んでいる

本映画はイジメについても描いていますが、やっぱり人間の本質について鋭く描いている作品です。

映画の最後の場面でマルチェロが町の人たちに向かって吠えます。でも誰もいません。マルチェロは町一番の荒くれ者を片ずけて意気揚々としています。

自分の力を誇示しようとしていますが、虚しさが募ります。誰もいない、誰も観ていない、、、。結局、人間は孤独なのか、人は面倒なことに関わりたくないのです。

厄介なことは嫌なのです。この町が寂れているのはなぜでしょうか?実は人のコミュニケーションも希薄だったからではないでしょうか。

善人ぶっていてもやっぱり本質は悪人なのか

人間なんて所詮、他人同士なのです。深く付き合うことで災難に遭う可能性も高くなります。それだったら表向きの愛想だけで暮らした方が楽なのかもしれません。

そしてもう一つ、マルチェロはお人好しで優しい人物のように思われますが、実はかなりのズル賢さがあるのも事実です。ここに人間の本質を表しています。

シモーネに誘われますが、ちゃんと分け前を要求する場面でわかります。窃盗はいけないと思いながら、成功したらお金が欲しい、つまり強欲な人間なのです。

その場面でなぜ、シモーネと縁を切らないのか、いや切れないのかは同じ穴のムジナだからと気付かされます。でもやっぱりマルチェロを応援したくなります。

冒頭にあげたようにマルチェロとシモーネの関係性は対極です。でも犬と主人ですが、最後の最後にマルチェロが主人になったところで逆転します。

でもマルチェロのこれからは地獄に落ちる予感があります。犬のゲージではなく刑務所のゲージで一生暮らす、、、そんな終わり方の映画でした。

*イタリアで生きるということは実は相当な労力が必要だということでしょうか。イタリア人は誰にでも良い顔をしなければならないという性があるようです。

誰からも好かれたい、誰にも嫌われたくない、を気にしながら暮らさなければいけないそうです。ですからこのマルチェロが断れない理由もわかります。

*この映画ではイタリアの明るい人の笑い声も青い空も一切ありません。また町並みも灰色っぽくて薄暗いです。その雰囲気にかつてのヴィスコンティーやフェリーニ作品に通じるモノを感じ取れます。

*主演のマルチェロ・フォンテの顔、体が全てだった。全身から醸し出す雰囲気はこの映画のために生まれてきたかのようだった。映画初主演でカンヌで賞を獲るとは素晴らしい。

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映画『ドッグマン』まとめ 一言で言うと!

正直者はバカを見る!のか、、、。

確かにそうかもしれません。イジメに遭っている人は勇気がないから「やめろ!」とは言えません。怖いです。恐ろしいです。そんな時は学校などは休みましょう。行かなくて良いのです。そんな人たちから離れましょう。

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ドル箱三部作『続・夕陽のガンマン』は南北戦争の中、繰り広げれる人間という生き物の善と醜悪の葛藤を表している名作
この映画を無理やり邦題にすると『良い人、悪い人、醜い人』となる。インパクトにかけるから苦肉の策として『続・夕陽のガンマン』となったのだろう。映画は実に人間の深層心理を鋭く描いている。戦争とは愚かである。人間は悪行を繰り返す愚弄者だと言われているような気になる。反省しても舌の根の乾かぬうちに悪事を繰り返してしまう。
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映画『ドッグマン』の作品情報

映画.comより一部引用

スタッフ・キャスト
監督
マッテオ・ガローネ
製作
マッテオ・ガローネ ジャン・ラバディ ジェレミー・トーマス パオロ・デル・ブロッコ
製作総指揮
アレッシオ・ラッツァレスキ
原案
ウーゴ・キーティ マッシモ・ガウディオソ マッテオ・ガローネ
脚本
ウーゴ・キーティ マルリツィオ・ブラウッチ マッテオ・ガローネ マッシモ・ガウディオソ
撮影
ニコライ・ブルーエル
美術
ディミトリー・カプアーニ
衣装
マッシモ・カンティーニ・パリーニ
編集
マルコ・スポレンティーニ
音楽
ミケーレ・ブラガ
マルチェロ(マルチェロ・フォンテ)
シモーネ(エドアルド・ペーシェ)
シモーネの母親(ヌンツィア・スキャーノ )
フランコ(アダモ・ディオニージ )
フランチェスコ(フランチェスコ・アクアローリ )
アリダ(アリダ・バルダリ・カラブリア )
料理屋の主人(ジャンルカ・ゴビ )
2018年製作/103分/PG12/イタリア・フランス合作
原題:Dogman
配給:キノフィルムズ