映画『存在のない子供たち』ナディーン・ラバキー監督がレバノンの幼児虐待、人身売買、児童労働、難民、不法移民、不法就労、不当搾取を鋭利に描く。ネタバレ・あらすじ・感想・評価

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映画「存在のない子供たち」
両親を告訴する。僕を産んだ罪で。小さな少年ゼインに宿る、弱きものを守りたいという逞しく強い愛情を描いた感動のドラマ。/監督・脚本・出演:ナディーン・ラバキー/原題:Capharnaum
7/20(土)公開『存在のない子供たち』予告

『存在のない子供たち』125/日本/2018
原題『Capharnaum

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  1. 映画『存在のない子供たち』のオススメ度は?
  2. 映画『存在のない子供たち』の作品概要
  3. 映画『存在のない子供たち』のあらすじ・ネタバレ
  4. 映画『存在のない子供たち』の感想・評価・内容・結末
    1. 何もできない、しない自分のもどかしさを感じる
    2. 人と比べることで安堵する自分の存在
    3. ナディーン・ラバキー監督の映画制作へのスタンスはいつも弱者側
    4. 主演のゼインもまた辛い生活を経験している
    5. ゼインは必死になって弱者を守ろうとするが、、、
    6. 「立派な大人になりたかった」と過去形で泣き叫ぶ姿がキツイ
    7. 最後の最後で笑う姿に「どうか生き抜いて」と祈ることしかできない
  5. 映画『存在のない子供たち』まとめ 一言で言うと!
  6. 合わせて観たい映画あわせて観たい映画
    1. 【毒親が登場する映画】
      1. 映画『ワイルドライフ』
      2. 映画『ガラスの城の約束』
      3. 映画『荒野にて』
      4. 『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
      5. 映画『赤い雪 Red Snow』
      6. 映画『J・エドガー』
      7. 映画『ある少年の告白』
    2. 【子ども可愛がり映画】
      1. 映画『リアム16歳、はじめての学校』
      2. 『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
      3. 映画『パパは奮闘中』
    3. 【ある意味、毒親である気がする映画】
      1. 映画『ビューティフル・ボーイ』
      2. 映画『ベン・イズ・バック』
  7. 映画『存在のない子供たち』の作品情報

映画『存在のない子供たち』のオススメ度は?

星4つです。

遠い国の現実です。

胸が締め付けられます。

我々は傍観者かもしれません。

何らかも形で貢献できれば、、、、。

子どもは遊ぶのが一番です。

児童労働は反対です。

恋人、友達、親と行ってください。

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映画『存在のない子供たち』の作品概要

レバノンの女性監督ナディーン・ラバキーが描く、レバノンの現状をつぶさに写し取った良作。貧しいことは罪である。幼児虐待、人身売買、児童労働、難民、不法移民、不法就労、不当搾取がはびこる原因は何だろうか、、、。まず両親が無知であることが問題です。教育が一番大事なのではと感じる作品です。2018年・第71回カンヌ国際映画祭で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞。

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映画『存在のない子供たち』のあらすじ・ネタバレ

レバノンの貧民窟で暮らすゼイン一家。狭い一室で家族総勢10名近くが住んでいる。両親は稼ぎもないのに子供を作る。働くのは子供達。無論、学校などは行っていない。女の子が生理を迎えたらお金持ちに売られる。ゼインは妹を売れれ自暴自棄になり家出する。そして両親を訴える。訴状は「僕を生んだから」である。レバノンが抱える幼児虐待、人身売買、児童労働、難民、不法移民、不法就労、不当搾取を織り交ぜながら映画は展開されていく。

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映画『存在のない子供たち』の感想・評価・内容・結末

何もできない、しない自分のもどかしさを感じる

幼児虐待、人身売買、児童労働、難民、不法移民、不法就労、不当搾取など貧しい国々が抱える問題のオンパレードである。もちろん負のオンパレードだ。

最初から最後まで胸が締め付けられっぱなしの映画だった。かと言って私に何ができるだろうか、、、。何もできないのが現実だ。

私はこの映画が撮影されたレバノンより遠い日本で暮らしている。他人事のように観ただけだ。もっと言えばこの映画を観て自分の現状と比べて「ああ、私はあんな酷い状況で育たなくて良かった」と思う自分もいるし、この映画の現状を誰かに伝えることで「良い人アピール」をしようとする自分もいる。

人と比べることで安堵する自分の存在

いずれにしてもダメ人間だと思う。連日、テレビや新聞のニュースでどうでも良い芸能ネタに毒吐き、もっと世の中の役に立つニュースを流せと息巻くが、結局何も行動をしないのだから意味がないとさえ考えてしまう。

この映画を観て立派な感想を書くとことはできるが、彼らを救おうと行動を起こさないからテレビのくだらない芸能ネタに毒吐く自分に絶望的になる。

間は他人と比較したがる。比較して自分より恵まれている人を妬み、僻むくせに自分より不幸な人を見て安堵し幸せを感じてしまうものだ。

だから本映画を観ている人たちもおそらく自身、あるいは自身の子どもが元気で健康に育っている現状と比較して「良かった」と思っている人もいると思う。

ナディーン・ラバキー監督の映画制作へのスタンスはいつも弱者側

さて、本映画『存在のない子供たち』はレバノンの女性が監督している。ナディーン・ラバキーさんだ。

彼女の映画製作はいつも弱者の側に立つことから始める。2001年以降、世界は分断と破壊に晒されている。今のとてつもない勢いで破滅へと向かっている。

裕福な人や国より、貧しき人や国が犠牲者と言える。もう後戻りできない状況にあると彼女は感じているはずだ。

絶望への疾走の中でもナディーン・ラバキー監督は一筋の光明を見出そうと本作を送り出した。

主演のゼインもまた辛い生活を経験している

本作の主人公ゼインを演じるは実際のシリア難民で、レバノンに移民してきた少年だ。その他出演者もほとんどが素人俳優だ

だから映画を観ているドキュメンタリーなのかと錯覚してしてしまう理由がわかった。まずゼインの目が怖い。人を信用していない目なのだ。

この目には大人への憎悪が込めらている。生まれた頃から折檻され、けなされ、殴られ、蹴られ、働かされ、搾取され、騙され、差別されて生きてきたという卑屈の目だ。

とても演技では出せない迫力がある。

ゼインは必死になって弱者を守ろうとするが、、、

少年ゼインは大好きな妹が売られ、さらに人間不信になり家出をするが、エチオピアからの不法労働者の貧しい母娘に身を寄せる。

同じような弱者に心を通じたのだろう。血も繋がらない子供の世話を一生懸命にやる姿にホッとする。たぶん、妹が売られた痛みを知っているからだろう。

しかしその母親が不法労働で捕まってしまい、子供を養うお金がなくなり、その子を売ってしまう。ゼインは嗚咽する。自分と妹を売った両親と重ねたのだろう

「立派な大人になりたかった」と過去形で泣き叫ぶ姿がキツイ

そして実家に帰って妹が妊娠し出産の際、亡くなったことを知り、男を刺す。逮捕されて留置場に行く。そして裁判で両親を告訴する。「両親の罪は何か?」と問われて「僕を生んだこと」と答える。きついです。「貧乏なくせに子供を作るな。責任が取れないのなら産むな」でと続ける。胸が締め付けられる。「けなされ、叩かれ、出て行けクソガキと言われて生きてきた。僕はずっと生き地獄で暮らしている。立派な大人になりたかった」というのだ。まだ、12歳の少年がだ。もう未来がないような表現だ。本当に痛い。

最後の最後で笑う姿に「どうか生き抜いて」と祈ることしかできない

ゼインはせめて出生証明書が欲しい。存在が認められていないから人間社会においては不在となる。

学校にも行けない、仕事も就けない、病院にも行けないのだ人間として認められていないから幼児虐待、人身売買、児童労働、不当搾取や差別の対象になるのだ。

でもだ、ようやく最後にゼインは手に入れる。最後の最後に笑う。ずっと欲しかった出生証明書用の写真撮影の時だ。ゼインが笑うのはこの映画では最初で最後だったが、少しだけ救われた気がした。

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映画『存在のない子供たち』まとめ 一言で言うと!

子どもたちに教育を!

教育が必要であると感じました。学校へ行って友と机を並べて学ぶ。知識、知性をつけて世界について考えることが大事です。自分の痛みを人に語り、人の痛みを分かつことで優しさが身につきます。子どもや女子を大切にする気持ちを育むには教育から始める必要があると思います。

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合わせて観たい映画あわせて観たい映画

【毒親が登場する映画】

映画『ワイルドライフ』

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映画『ガラスの城の約束』

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【ある意味、毒親である気がする映画】

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映画『存在のない子供たち』の作品情報

映画.comより一部引用
スタッフ
監督
ナディーン・ラバキー
製作
ミヒェル・メルクト
ハーレド・ムザンナル
製作総指揮
アクラム・サファー
アンヌ=ドミニク・トゥーサン
レイ・バラカット
ジェイソン・クリオット
脚本
ナディーン・ラバキー
ジハード・ホジェイリ
ミシェル・ケサルワニ
ジョルジュ・ハッバス
ハーレド・ムザンナル
撮影
クリストファー・アウン
編集
コンスタンティン・ボック
音楽
ハーレド・ムザンナル
キャスト
ゼイン・アル・ラフィーアゼイン
ヨルダノス・シフェラウラヒル・シファラ
ボルワティフ・トレジャー・バンコレヨナス
カウサル・アル・ハッダードスアード
ファーディー・カーメル・ユーセフセリーム
シドラ・イザームサハル
アラーア・シュシュニーヤアスプロ
ナディーン・ラバキー
作品データ
原題 Capharnaum
製作年 2018年
製作国 レバノン
配給 キノフィルムズ
上映時間 125分
映倫区分 PG12