映画『凪待ち』悔恨、依存、そして誕生 ギャンブル依存の香取慎吾のダメっぷりが最高 ネタバレ・あらすじ・評価・感想

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6月28日(金)公開『凪待ち』公式サイト
『孤狼の血』白石和彌監督と『人類資金』香取慎吾が挑む、ギャンブル依存症の男の<暴力と狂気>を描く衝撃作。彼女を殺したのは誰だ――?恋人を殺され、どん底で生きる男に、容赦ない絶望が襲い掛かる。6月28日(金)TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開。
映画『凪待ち』予告編

『凪待ち』(124/日本/2019

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映画『凪待ち』のオススメ度は?

4

星4つです。

まず香取慎吾のクズっぷりが最高に素晴らしいです。

恒松祐里さんも本当に美しい。

でもやっぱりこの人、リリー・フランキーです

とびっきりの演技です。

全部持って行っちゃいます。

恋人と観に行ってください!

こんなクズ男に引っかかっちゃダメですよ。

そうならないように念を押しましょう!

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映画『凪待ち』の作品概要

本映画『凪待ち』を震災地である宮城の石巻を舞台で撮っている。テーマは悔恨、依存、そして誕生にあると思う。震災地では今なお、自分だけが生き残ってと後悔する人も多いと聞く。そして精神的に何かに、誰かに依存していく人もいるそうだ。そこからの脱却、再生、そして誕生も描いている良作と言える。

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映画『凪待ち』のあらすじ・ネタバレ

ギャンブル依存症で酒飲みのどうしようもない木野本は恋人の亜弓の故郷である宮城へ引っ越す。真面目に働く約束をしたが所詮はクズ男。亜弓の娘が家出騒ぎを起こし、二人は大げんかする。そして夜の国道沿いで亜弓を車から降ろしたことで事件が発生する。

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映画『凪待ち』の感想・評価・内容・結末

クズは結局はクズで生きていく宿命なのではないか

惜しい、実に惜しい作品である。もちろん、良い映画である。でも結末がいま一つなのだ。はっきり言ってしまえば「クズはクズ」なのだ。だから救いってはいけないと思うのだ。

映画を観ていない人はわからないと思うが、人間社会も含め生物の中には本当に役に立たない存在というのがある。役に立たないどころか迷惑ばかりかける存在だ。

でもその迷惑をかける存在というのも実はその生態系の中では必要なのは言うまでもない。その存在で“人の振り見て我が振り直せ”を学ぶからだ。

20パーセントしか真面目に働いていないのだ

アリの集団は働き者と言われている。でも実際に働いて巣を維持しているのはわずか20パーセント。残りはサボっている。

それで優秀な20パーセントだけを集めて巣を維持できるかというとできない。やはり20パーセントしか働かない。

つまり一つの集団の中で働き者、サボる者、そして戦う者、盗む者などと確実にいるらしい。人間社会も同じで人口の何パーセントは犯罪を犯すものがいるそうだ。そういったことから考慮すると本映画の主人公の怠け癖は必要な存在だと言える

香取慎吾演じるギャンブル依存症男はセガレになれるか

本映画の香取慎吾演じる木野本は根っからの怠け者で遊び人である。彼を更生させようと色んな人が手を差し伸べるが結局はダメなのだ。

だからこの映画の結末で「わしのセガレやから」というセリフを聞いてガッカリしてしまったのだ。これで台無しになって気がしたのだ。ここは突き放して欲しかったのだ。たぶんこの木野本は再び人からお金を無心してギャンブルを行うと思います。

白石和彌監督は“凪ぎ”を“待つ”で再生と誕生をイメージさせている

本映画『凪待ち』は白石和彌監督であったから大いに期待して観た。前作の『麻雀放浪記2020』(19)はイマイチだったが『孤狼の血』(18)は絶品だった。でも本作は最後の最後が勿体無いだけで全体的にはすごく良かったと思う。

まずタイトルのが良い津波という恐ろしい波と違って穏やかで凪いでいる海が役者の視線によって随所に挿入される。この演出はいつか来るかもしれない津波へのオマージュが込められていると感じた。

震災地はいまだに苦しんでいる人が多いと聞く。突然、愛する人がいなくなれば尾を引くのは当たり前かもしれない。人ごとかもしれないが前を向いて生きて欲しい。いつまでも過去と向き合っているのは建設的ではない気がする。

人間は過去の出来事から抜けられない“悔恨”は根深い

この映画のテーマの一つに悔恨があると思う。妻を津波から助けられなかった後悔、恋人を夜道に下ろした後悔、母の電話に出なかった後悔、またギャンブルをやってしまった後悔等々。確かに後悔する気持ちはわかる。

わたしの周りにも過去を後悔する人がいる。大抵は「俺は、バカだった」から始まる。そういうことで防御の壁を作っている。何故ならばそう言われると「そうだね、バカだったね」などと言えない

つまり最初に弱さを見せることで防御し尚且つ、自分は良い人であるとアピールしているように感じるのだ。だからわたしは自分のことを卑下ばかりする人とは親しくならないようにしている。嘘っぽいからだ。

まあ、それと震災は関係ないかもしれないが、本映画のメッセージとして白石監督はわざと「未来へ向かって生きよう」と言っているのだったら素晴らしい作品である。そう思いたい。だって時間は未来にしか進まないのだから

香取慎吾の演技のエネルギーは恐ろしい怨念を感じる

本映画『凪待ち』に於ける香取慎吾は今の実生活の表れのようにも見えた。役作りはしていると思うが、あの暴れ方には凄まじいエネルギーがあった。そのエネルギーたるや怨念である。

憎しみが半端ない。演技とはあっぱれである。この木野本という男は本当にクズのクズである。酒飲み、怠け者、ギャンブル、そして暴力

でもそれを支える恋人の西田尚美演じる亜弓と娘、美波は木野本のことを普段は穏やかで優しいから好きだと言う。優しい人は上記のようなことはしない。ましてや暴力は無縁である。ただ、亜弓は育ち的に元チンピラの父親に香取を重ねたのかもしれない。つまるところは女性というのは父性の影響を多大に負う。いつしか結婚相手が父親と同じような人になる所以は間違っていないかもしれない(わたしは暴言、暴力を振るう男は大っ嫌いであり、絶対に寄らない)

香取慎吾はもうお行儀の良いアイドルではない嬉しさ

ゆえに本映画『凪待ち』の香取は最高なクズ男を演じている。まず容姿が良い。目が腐っている。体もデブっとして顔が脂っぽい。ヒゲもどこか詐欺師っぽくて良い。喋り方もダラっとしているが、激怒する時は末恐ろしい。

そしてわたしが一番注目したのは食事の仕方が実に汚ない点だ。猫背で肩肘をついて犬食いのように食べる演技だ。これが実にこの木野本の素性を上手く表している

香取慎吾がグループ時代、テレビ番組で度々、食事する場面を見たことがある。アイドルだけあってお行儀良く食べていたから本映画を観てわたしは何だか嬉しくなった。本当に良い役者だと思う。

恒松祐里さんの伸び代を感じた

娘役の恒松祐里はとても綺麗だと思います。子役で鍛えているから演技も良いと思います。ただもう少し泥臭さが必要な気がします。上品すぎるのです

佇まいも所作もおそらく育ちの良さが出てしまって、引きこもっていた人とは思えないほど華やかなのは残念です。母親に反抗する場面もいま一つ迫力に欠けてます

香取慎吾との鏡を使っての語り場面は良い演技だと思いますが、本映画は純愛ではないので不要な演出だと感じました。でもこの恒松祐里さんはきっと将来が明ると思います。

待ってました!千両役者リリー・フランキー、全部持っていきます

そしてリリー・フランキー。この人が出てくると何でもリセットされてしまいます。本当にちゃら~とやってのけます。『万引き家族』のダメっぷりも最高でしたが、映画『凪待ち』も実に奇妙に溶け込んでいました。

とっても良い人を演じています。真面目で面倒見が良く、お人好しで、地域の誰からも頼りされ、好かれる人です。こういう人っています。それがまさかって展開ですが、悪い奴ほどよく眠る理論に照らし合わせる合点がいきます。

わたしがリリー・フランキーの演技で惹かれたのは祭りで木野本が暴れて、チンピラに謝りを入れて、なだめる場面です。とっても良い人なんです。

震災地 石巻撮影映画 クズ人間の再生と誕生を絡めている名作

さて、映画は木野本の恋人である亜弓を殺した犯人を探すことに重きを置いていないです。第一に震災地の復興を掲げ、木野本ギャンブル依存の恐ろしさを主軸に展開していきます

弱い心との葛藤です。何度も何度も恋人の財布からお金を拝借したり、借金したり、肩代わりでもらったお金をギャンブルに投入したりと救いようがない人間を震災地に置いたという点に意味があります(でも、悲しいかな、この木野本は震災地のように復活は難しいと思いますが、、、)

震災から8年経ちましたが、まだ人々の心は荒れているのでしょうか。早く“凪いで”欲しいです。

ギャンブル依存症は本当に恐ろしい病気だと痛感させられた映画でした

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映画『凪待ち』まとめ 一言で言うと!

諦めは心の養生”“悪銭身につかず

いつまでも失敗や不運ばかりに思いを巡らせるより、キッパリと過去と決別して前を向いて進むのも人生である。そしてギャンブルなどで手に入れたお金は結局は身のためにならないと思います。ただ依存はなかなか脱するのは難しい。

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映画『凪待ち』の作品情報

映画.comより一部引用

スタッフ
監督
白石和彌
『ひとよ』(19)『麻雀放浪記2020』(19)『止められるか、俺たちを』(18)『孤狼の血』(18)『サニー 32』(18)『凶悪』(13)

脚本
加藤正人
製作総指揮
木下直哉
プロデューサー
椎井友紀子
赤城聡
撮影
福本淳
照明
市川徳充
録音
浦田和治
美術
今村力
衣装
高橋さやか
装飾
京極友良
ヘアメイク
有路涼子
編集
加藤ひとみ
音楽
安川午朗
音楽プロデューサー
津島玄一
音響効果
柴崎憲治
VFXスーパーバイザー
小坂一順
助監督
小野寺昭洋
スクリプター
野村愛
スチール
田中宏幸
制作担当
松田憲一良
キャスト
香取慎吾(木野本郁男)
『クソ野郎と美しき世界』(18)『ギャラクシー街道』(15)『人類資金』(13)『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ!』(11)『西遊記』(07)

恒松祐里(昆野美波)
『酔うと化け物になる父がつらい』(19)『殺さない彼と死なない彼女』(19)『アイネクライネナハトムジーク』(19)

西田尚美(昆野亜弓)
『五億円のじんせい』(19)『新聞記者』(19)『ウィーアーリトルゾンビーズ』(19)『生きてるだけで、愛。』(18)『ウォーターボーイズ』(01)『愛を乞うひと』(98)『ひみつの花園(1997)』(97)

吉澤健(昆野勝美)
音尾琢真(’村上竜次)
リリー・フランキー(小野寺修司)
『THE COLLECTORS さらば青春の新宿JAM』(18)『銃』(18)『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18)『万引き家族』(18)『』()『お父さんと伊藤さん』(16)『一茶』(17)『なつやすみの巨匠』(05)

三浦誠己
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麿赤兒
不破万作
宮崎吐夢
沖原一生
江井エステファニー
ウダタカキ
野中隆光
岡本智礼
本木幸世
作品データ
製作年 2019年
製作国 日本
配給 キノフィルムズ
上映時間 124分
映倫区分 PG12
オフィシャルサイト