フィンランドの映画は独特です
映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』 (91分/R15+/フィンランド・ノルウェー合作/2018)
原題『Hevi reissue』
【監督】
ユーソ・ラーティオ ユッカ・ビドゥグレン
【製作】
カイ・ノルトベルク カールレ・アホ
【出演】
ヨハンネス・ホロパイネン
ミンカ・クーストネン
ビッレ・ティーホネン
マックス・オバスカ
マッティ・シュルヤ
ルーン・タムティ
映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』のオススメ度は?
星3つ半です
青春の輝き
友情は宝なり
バカにされても気にしない
不器用でも恋をしたい
思いっきり狂おう
バカになれ!
平和になるから
映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』の作品概要
フィンランド映画。村でバカにされているヘヴィメタルバンド四人組が一念発起してノルウェーで開催されるフェス出場を目指し珍道中を「繰り広げる。監督はユーソ・ラーティオ ユッカ・ビドゥグレン。原題『Hevi reissue』友情、青春、恋愛、夢などのテーマが盛り込まれている秀作。
映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』のあらすじ・ネタバレ
12年間、コピーバンドとして活動する四人組。ライブをやったこともないし、オリジナル曲もない。、しかもバンド名さえ無い。仕事が終わるとただ集まり演奏するだけだ。村を歩けば長髪、刺青などの風貌から「ホモ、ホーモ」とからかわれる。ある日、奇跡的にオリジナル曲ができた。偶然が重なりフェスの大物プロデューサーにデモテープを渡すことができた。噂が村に広まり、彼らをバカにしていた村人たちから尊敬の眼差しを向けられるが、、、。
映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』の感想・評価・内容・結末
これぞ愛すべきおバカ映画
とてもおバカでハッピーな映画です。こういう映画は大好きです。とてつもなく笑えて泣けてきます。
青春、友情、恋愛、夢を盛り込んでいます。最初から最後までまったく飽きることなく楽しめます。
悪い人間は一人も登場しません。みんなが愛しいキャラクターばかりです。心温まる映画です。
フィンランドのヘヴィ・メタルは世界一
北欧、フィンランドのイメージはデザイン、ムーミン、クリスマス、サウナ、そしてオーロラなどを思い浮かべる方が多いと思います。
最初からヘヴィ・メタルと答える人は稀有な人だと思います。
でもフィンランドは世界屈指のヘヴィ・メタル大国なのです。フィンランド国民550万人でメタルバンドの数が3000組もあります。
街を歩けばメタルに当たると言われています。毎年、夏にエアーギターコンテストが開催されることでも有名です。この大会で日本人が優勝した記憶も新しいです。
仲間と集まり演奏するだけで楽しい
さて、映画は村の若者たちが趣味でヘヴィ・メタルを12年もやっていますが、ライブもしたことがない、ましてやオリジナル曲もない“ヘボバンド”がノルウエーの有名なフェス出場を目指して奔走するものです。
何度も書きますがおバカさん映画です。だからこそこの映画の若者たちが可愛く見えるのです。
登場する四人はみんな生業を持っています。介護施設、図書館勤務、精肉業などです。
長髪の彼らが村を歩けば「ホモ、ホーモ」とからかわれます。子どもから大人までが彼らをバカにしています。
彼らは元々楽しく音楽をやっているだけですが、ある日オリジナル曲を作ろうと思いたります。
ここでなぜ12年間もバンド演っているのに持ち歌がないのか、さらにはライブも一度も行ったことがないのか、とツッコミを入れてしまいがちですが、それは野暮ってもんです。
仲間と演奏するだけで満足なのです。
田舎っぺ魂が笑えます
偶然、ロットヴォネン(マッティ・シュルヤ) の元へノルウエーの音楽の大物プロデューサーのフランク(ルーン・タムティ)がトナカイの肉と血を買いに来ました。
ロットヴォネンはここぞとばかりにデモテープを渡します。今時、デモテープです。データではありません。そこがミソです。
データはコピーされるからです。
ここからが笑えます。プロデューサーに受け取ってもらったことで、即「出場決定」を早合点するのです。
噂が瞬く間に村中に広がります。そうなると村中の人間が手のひらを変えるように彼らに敬意を払います。もう田舎っぺです。
インペイルド・レクタム“(直腸陥没)の意味するものは?
バンド名もありませんでした。即様“インペイルド・レクタム“(Impaled Rektum直訳すると直腸陥没)に決定します。
そして彼らの音楽は“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル”に基づいての活動です。
訳分かりませんが、ヘヴィ・メタルという音楽自体が「ぶっ壊れようぜ」を目指しているのでとてもナイスなバンド名だと思いますし、目指す世界観もなんとなく理解できます。
わたしもヘヴィ・メタルが好きです。もちろん英語の歌詞の意味も分かりませんが、あの大音響で叫びまくるサウンドに合わせてこちらも絶叫するととにかく気持ち良いのです。
意味を深く考えなくても良いところがヘビメタの魅力です。もちろん、彼らは真剣に演っています。
そしてこの映画を観ていると身なりは過激ですが、とても心優しい青年なのだと何度も胸を打つのです。このギャップがとても良いのです。
死んだ友のため、恋する彼女のために
さて、若者は村に広まった噂が嘘だとバレて大炎上します。またまた罵詈雑言を浴びます。オマケにドラマーがトナカイを避けようとして交通事故で死にます。
もう終わりかと思われれましたが、トゥロ(ヨハンネス・ホロパイネン) は恋い焦がれれうミーア(ミンカ・クーストネン) に励まされ、再びバンドを組みノルウエーへ向かいます。
この過程もバカらしいのです。まず新ドラマーは精神病院から無理やり連れ出します。次にドラマーが埋葬されている墓を掘り起こし、棺桶を車の天井に縛り付け、ノルウエーへ向かいます。
テロリストと間違えられます。そして北極海へダイブ。なぜかバイキングが出てきます。そして生還。ライブへ突入です。
フルスロットルでぶっ飛ばす若者映画
もう後半は怒涛に如く進んでいきます。で、「一体なんだったの?」って感じで終わるのです。
本当に何だったのか、、、。いやこれで良いのです。メッセージなんてありません。90分全力でぶっ飛ばしただけです。
先に上げた青春、友情、恋愛、夢を完全に網羅しています。
素晴らしい映画です。
ここで今一度、なぜフィンランドやノルウエー、スウェーデンの北欧諸国でヘビメタが人気あるのかについて調べてみました。
・攻撃的なヴァイキング(海賊)時代の精神を受け継いでいる人たちにメタルはぴったり。
・国を挙げて音楽教育に熱心である。
・個人の個性を尊重している。
・音楽表現は社会に対してのメッサージの力が強い。
そして思いっきり“はっちゃける”ことができる音楽がヘビメタとのことです。
長く暗い冬は何かとストレスがたまりますよね。憂鬱になります。
ですから絶叫して狂ってしまいたいそうです。なんとなく分かります。
例えば南の国や島々へ行くと、音楽は割とゆったりしていませんか?ハワイなんて本当にゆったりしています。
時間の流れが手に取るように感じられます。ですから音楽表現も穏やかになると思うのです。
でも北方に極限に行くと時計の秒針でさえ「カチカチ」と鋭利に聴こえてきそうです。氷の音みたいに。
そんな日々を過ごしていると思いっきりバカ騒ぎしたくなるのも頷けます。
国や地域によって、あるいは背負った民族の歴史によって様々な感性の違いがあることはわかっていましたが、この映画からメッセージをもらいました。
「時にはバカになれ!」です。良い映画でした。
映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』のキャストについて
トゥロ(ヨハンネス・ホロパイネン)
村の介護施設で真面目に働いている青年。趣味でヘビーメタルのボーカル。村を歩けば「ホモ、ホーモ」とからかわれている。長髪で村を歩く姿には田舎っぽさがあまり見受けられませんでした。静かな演技でした。歌の場面ではとても迫力のあるパフォーマンスを見せてくれました。
ミーア(ミンカ・クーストネン)
村のアイドル的な存在。花屋の看板娘。父親は警察官です。高校時代からトゥロにずっと思いを寄せています。ヨウニという村のロッカーからのアプローチを受けています。北欧女性のイメージのままです。とても優しく大人しいです。しっとりした雰囲気の演技でした。
ヨウニ(ビッレ・ティーホネン)
中古車のディーラーで村のロックスター。トゥロたちヘビーメタルバンドを毛嫌いしています。ミーアにアプローチしています。
パシ/クシュトラックス(マックス・オバスカ)
図書館勤務でバンドのベースを担当しています。頭が良いです。特に音楽の造形が深く世界中にあふれている曲をすべて記憶しています。
ロットヴォネン(マッティ・シュルヤ)
家業の精肉業を手伝っています。曲(リフ)のコピーセンスは抜群ですが、一曲も作ったことがありません。精肉業の機械が回る音から奇跡の一曲を作り出す。
フランク(ルーン・タムティ)
ノルウエーの音楽界の重鎮。フェスを開催するプロデューサー。トナカイの肉を買いにフィンランドへやってきて、偶然ロットヴォネンの肉屋へ行く。血のシャワーを浴びる。ロットヴォネンからテープをもらい帰国。大物の風格が漂っていました。
まとめ 映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』一言で言うと!
「ヘビメタ最高!」
ヘビメタを「うるさい」と言って嫌う人がいますが、実は現代のクラシックと言われるほど、美しいメロディを奏でた音楽です。一度、ご鑑賞ください。
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映画『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ユーソ・ラーティオ ユッカ・ビドゥグレン
製作
カイ・ノルトベルク カールレ・アホ
脚本
ユーソ・ラーティオ ユッカ・ビドゥグレン アレクシ・プラネン ヤリ・ランタラ
撮影
ハーリ・ラティ
音楽
ラウリ・ポラー
トゥロ(ヨハンネス・ホロパイネン)
ミーア(ミンカ・クーストネン)
ヨウニ(ビッレ・ティーホネン)
パシ/クシュトラックス(マックス・オバスカ)
ロットヴォネン(マッティ・シュルヤ)
フランク(ルーン・タムティ)
2018年製作/91分/R15+/フィンランド・ノルウェー合作
原題:Hevi reissue
配給:SPACE SHOWER FILMS