映画『荒野のストレンジャー』あらすじ・ネタバレ・感想。クリント・イーストウッド最初の西部劇映画は謎解き満載

映画

映画『荒野のストレンジャー』インターネット・ムービー・データベース(英語)にて作品情報・キャストなどをご確認ください。

YouTubeで予告映像もご覧ください。

High Plains Drifter (1973) - IMDb
Directed by Clint Eastwood. With Clint Eastwood, Verna Bloom, Marianna Hill, Mitchell Ryan. A gunfighting stranger (Clint Eastwood) comes to the small settleme...
荒野のストレンジャー – 予告編

『荒野のストレンジャー』
原題 High Plains Drifter』(105//1973年)

【監督】
クリント・イーストウッド
【製作】
ロバート・デイリー
【出演】
クリント・イーストウッド
バーナ・ブルーム
マリアンナ・ヒル

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映画『荒野のストレンジャー』のオススメ度は?

5

5つです。

この映画は名無しの男という設定が良い。

今なお、謎解き映画となっています。

ダンカン保安官は一体誰なのか?

イーストウッドは正義の味方なのか?

最後の墓場は誰なのか?

ストレンジャー(Drifter)とは幽霊なのか?

存在しているのか?

何度観ても謎解きに夢中になれます。

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映画『荒野のストレンジャー』の作品概要

ドン・シーゲル監督、セルジオ・レオーネ監督の作品でクリント・イーストウッドは多くのことを学んだのだろう。監督第二弾で初めて西部劇を撮ることになった。量監督へ感謝の気持ちが読み取れる。

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映画『荒野のストレンジャー』のあらすじ・ネタバレ

荒野の街ラーゴに一人の男がやってくる。彼はただバーに入って酒を飲みたかっただけ。しかし街の住民が彼をからかう。あっという間に3人殺される。住民たちは恐怖するが、彼を雇うことにする。一年前、ならず者三兄弟を牢屋にぶち込んだが、そろそろ出所して復讐にくるのだ。住民たちは三兄弟が恐ろしい。自分たちの手は汚したくないから通りすがりのストレンジャーに殺しを依頼するのだ。しかし、、、。

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映画『荒野のストレンジャー』の感想・評価・内容・結末

 イーストウッド監督第二弾作品。西部劇の定石である復讐劇に一味も二味も新たなエッセンスを加味している名作です。

イーストウッドにとって監督第二弾の作品です。最初の西部劇映画。

この映画でイーストウッドにはあまり台詞がないように感じます。それがとても良いのです。

まず冒頭からすごい。荒野の遥か向こうに陽炎が立ち込めています。その陽炎の中から馬に乗ったストレンジャー(イーストウッド)が現れます。

姿勢が良い亡霊のようです。

同時に何か起きそうな少し不安気なメロディー(笛ぶえの音)が聴こえてきます。

荒野を越え山を越え砂漠を渡っていくと、湖がある街に着きます。街は保守的で外部の人間を好まない雰囲気を漂わせています。

街のストリートを馬で進むと突然訪れたよそ者をジロジロとみなが見ます。田舎特有の視線です。

たた通りすがりの街の問題に巻き込まれただけ

イーストウッドは馬を止め一息しようとバーに入ります。ただバーに入って一杯飲んで休みたいだけです。

よせば良いのにイーストウッドにちょっかいを出す奴らがいて、あっという間に三人殺されてしまいます。

そこからイーストウッドがこの街の抱える問題に巻き込まれていきます。

街はなんと金鉱を持っているのでした。

しかし一年前、その金鉱の権利が国にあると判明しました。

もしそれを公になれば国有地となり街の収益が減ってしまうという事態に発展。

死活問題です。

街の保安官のダンカンは正直者で、公にすることを進言したばかりに殺されてしまいます。

ならず者退治に駆り出されたイーストウッド

街は辛うじて権利を保つことができました。しかし保安官殺し依頼した相手が悪かったのです。

ならず者三兄弟のたかり屋たちでした。弱みに付け込んで大きい顔をし出しました。

そこで街の人はこのならず者の始末を考えるのですが、殺すことは出来ずに牢屋にぶち込むだけにとどまります。

これが街の大きな重荷になって行きます。一年後ならず者が刑期を終えて街へ復讐に来るからです。

そこへタイミングよく、イーストウッドが現れたのです。早撃ちガンマンで流れ者ですから打って付けです。お役目ごめんになったら今度はしっかりと殺せば良いのです。

そして都合よくならず者三兄弟の退治をクリント・イーストウッド演じるストレンジャーに頼むと言う話です。

でも無理がある、と言うか辻褄が合いません。イーストウッドには殺す理由がないのです。

ただの通りすがりです。しかも、一見その三兄弟が悪人のように感じますが、一番の悪党は実は街の住民たちです。

善人面する奴ほど悪い「悪い奴ほど良く眠る」

住民たちは自らの手を汚さず人を殺すことを考えています。善人ぶっているのです。

よく言うではないですか。悪い奴ほど良く眠るつまり虫を殺さぬ顔をしている人間ほど残酷なのです。

この映画でイーストウッドが黒澤明監督の影響を受けているのが如実にわかります。

『七人の侍』です。弱い者は善人だ、と言いますが、それが幻想だと気づかせる場面があるのです。

映画の中で農民は弱く情けない風情を出していますが、菊千代が暴露します。

「百姓ほど汚くて卑しくて卑怯者はいない、こんな顔して何してるかわからない」と言って百姓が侍を殺して奪った刀や槍、甲冑を取り出して投げつける場面です。

本作でも街の住民たち全員が善人面をしています。

クリント・イーストウッド監督第二弾は悪党に殴られない理由がある

さて、本作は冒頭で書いたようにイーストウッドにとって監督2作目で西部劇では一作目に当たります。

以後、西部劇は『許されざる者』まで続きます。

イーストウッドの作品の中では彼は時折、悪党にコテンパンに、いわゆる半殺しに合うシーンがありますが、本作にはありません。

2本目の監督作品だからか、いやレオーネ3作品『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』でコテンパンにやられたから自身の監督作品はカッコよく演じたいと思ったのでしょうか?

いや違います。本作ではやられる必要がないのです。

名無しのストレンジャーが怖いにも理由がある

本作のイーストウッドの役柄には名前がありません。

原題は『High Plains Drifter』、ドリフターは漂流者。邦題はストレンジャー(名無しの男)、つまり見知らぬ者です。

何度も書きますが、通りかかっただけです。

ストレンジャーに罪はないから半殺しにする必要がありません。

またこの映画ではこのストレンジャーに対する恐怖心も上手の描いています。

この描き方にイーストウッドの監督としての才能が見受けられます。

街の住民たちは共有する秘密を持っています。保安官殺しです。

みんなで殺しを計画し、傍観しました。共犯です。それを守ることで結束しています。

故に現れたストレンジャーを警戒し恐怖を感じるのです。そして肚の中では秘密がバレたらストレンジャーを殺せば良いと考えています。

罪を重ねれば重ねるほど結束も固くなると信じているのですが、それは諸刃の剣のごとく崩壊して行きます。

冷酷で極悪人として振る舞うのは住民の真の姿を描いている

イーストウッド演じるストレンジャーはすぐに人を殺す冷酷者として描かれています。けれどインディオや身体的障害を持っている人には優しい一面を見せます。

またイーストウッドの過去にトラウマがあるかのようなフラッシュバック的な演出がありますが、実際は街の住民たちが犯した保安官殺しのトラウマを上手く表現しています。

そのフラッシュバックの保安官とストレンジャーが微妙に被ってくるのが秀逸です。素晴らしい。この演出が何を意味するのか考えながら観るのが最高に面白のです。

保安官がイーストウッドそっくりなのも謎解きになる

どう観ても鞭打たれている保安官はイーストウッドに見えてきます。でも違います。

前保安官のダンカンです。でもひょっとしたらイーストウッドはダンカンの亡霊なのか?等と考えてしまうです。

エンディングにイーストウッドに名前を尋ねるシーンがあります。

「あんたの名前を聞いてなかったね」イーストウッドは「すでに知っているだろ」と答えます。

さあ、ここです。この場面で全ての謎が解ける、いや解けない。何度も入るフラッシュバックの映像の意味がわかるようでわからないのです。いや「わからなくてオッケー」というニュアンスで良しとしましょう。

その後、名無しの保安官の墓標に名前が入っている映像が映ります。さあ、なんと彫ってあるでしょう。これが謎解きのヒントになります。

果たしてストレンジャーとは一体誰なのか、何なのか?

さて、この映画の中のイーストウッドは本当に無敵です。

無敵どころか言い方を変えれば無法者であって極悪非道の人間です。

中でも女性を手篭め(レイプ)にする場面はちょっとキツイと感じました。

劇中にこんなセリフやりとりがあります。

女「彼らはあなたを怖がっているのよ」

イーストウッド「怖がるには理由があるんだ」

うーん、上手い、実に上手い。

これがすべてのような気がします。わたしたちも何か心にやましいことがあると怖くなることがあります。

街の連中は人を殺しているから、それが露呈したくないのです。

保身です。保身は醜いです。悪事の堂々巡りが始まります。

人殺しを積み重ねたイーストウッドも同様で、本来なら罪の意識に苦しむところですが、この映画には全くそれがありません。

何故ならばストレンジャーだからです。実在しているのか否かも不明なのです。正体不明の存在ほど恐ろしき存在はありません。

この映画は一度、罪を犯すともう後戻りはできない苦しみについて訴求してきます。

もし罪を犯すのであれば強靭な精神力も必要であることも訴求しています。

もちろん後者はストレンジャーのことです。

善人の背中は嘘つきと書いてあります。

一度、嘘つきになった善人はタチの悪い悪党です。

ストレンジャーの正体はわたしたちの心の中にある恐れなのでしょうか。

そんなことを教えてくれる映画でした。

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まとめ 映画『荒野のストレンジャー』一言で言うと!

「嘘つきは泥棒の始まり」

この言葉は世界共通ではないでしょうか。もちろん言語によって言い方は異なりますが、意味合いとしては同じだと思います。人間というのは些細な嘘をつきます。安易な気持ちが取り返しのつかない問題に発展させてしまうこともあります。それが軽犯罪ならともかく重犯罪に繋がることも多々あります。優しい嘘ならともかく、心にやましい気持ちがあるままの嘘はきっと後から後悔することになります。何より自分の心を痛めつけてきます。

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セルジオ・レオーネとクリント・イーストウッドが組んだドル箱三部作の第二弾。西部劇お決まりの物語進行。流れ者、いや賞金稼ぎがふらっと街へ訪れる。そしてひと稼ぎ。しかしそこには同じく賞金稼ぎを生業にするガンマンが登場する。二人は意気投合し共闘することになる。しかし敵は手強い。レオーネの独特の演出に心踊り、汗をかく。

映画『続・夕陽のガンマン』

この映画の衝撃は大きかった ラストシーンは伝説となった

ドル箱三部作『続・夕陽のガンマン』は南北戦争の中、繰り広げれる人間という生き物の善と醜悪の葛藤を表している名作
この映画を無理やり邦題にすると『良い人、悪い人、醜い人』となる。インパクトにかけるから苦肉の策として『続・夕陽のガンマン』となったのだろう。映画は実に人間の深層心理を鋭く描いている。戦争とは愚かである。人間は悪行を繰り返す愚弄者だと言われているような気になる。反省しても舌の根の乾かぬうちに悪事を繰り返してしまう。
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映画『荒野のストレンジャー』の作品情報

映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
クリント・イーストウッド
脚本
アーネスト・タイディマン
製作
ロバート・デイリー
撮影
ブルース・サーティーズ
音楽
ディー・バートン
編集
フェリス・ウェブスター
字幕
川名完次
スタッフ・キャスト
監督
クリント・イーストウッド
脚本
アーネスト・タイディマン
製作
ロバート・デイリー
撮影
ブルース・サーティーズ
音楽
ディー・バートン
編集
フェリス・ウェブスター
字幕
川名完次
The Strangerクリント・イーストウッド
Sarahバーナ・ブルーム
Callieマリアンナ・ヒル
Daveミッチェル・ライアン
Morganジャック・ギンク
Mayor_Jason_Hobertステファン・ギラシュ
Lewisテッド・ハートリー
Mordecaiビリー・カーティス
Bridgesジェフリー・ルイス
1972年製作/アメリカ
原題:High Plains Drifter
配給:ユニヴァーサル=CIC