クリント・イーストウッド監督デビュー作品『恐怖のメロディ』ストーカー映画の先駆けである。ネタバレ、あらすじ

スリラー&サスペンス映画
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『恐怖のメロディ』
103//1971
原題『Play Misty For Me

監督 クリント・イーストウッド

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近年、社会問題となっているストーカー。加害者は自分が犯罪を犯していることに気が付かない。

ストーカーを題材にした『危険な情事』も本作に影響を受けている。

 今でこそストーカーと言う言葉は日本語、いや世界的にも認知されている。ストーカーの被害に遭った人、あるいは現在遭っている人は星の数ほどいるだろう。でもこの映画が製作された約50年前はまだ好意的な行為と見なされていた傾向がある。有名人であればそれを応援するファンであったり、金銭的な援助をしてくれるスポンサー的な存在で怪訝には出来なったかもしれない。今日では付きまとい行為として立派な犯罪になる。これをテーマに映画を撮ったクリント・イーストウッド自身も被害者だったのかはわからないが、画期的な作品であったことはいうまでもないし、その後の映画史の中で大きな役割果たす。マイケル・ダグラス、グレン・クロース主演の『危険な情事』がことさら有名だ。

荒野と風の音から海と波とカモメの声

 この映画の始まりが面白い。本来ならばイーストウッドは荒野あるいは砂漠から馬に乗って登場すると言うイメージがあるが、この作品では何と海を見下ろす豪華な家のテラスから登場する。聞こえてくるのは風の音ではなく波の音とカモメの声だ。それから軽快なロック調の音楽をかけて車で走りだす。オープンカーをイーストウッドは青春を謳歌する青年のようだ。何故か笑ってしまう。

古今東西“君子危うきに近寄らず”と言うものの、、、。色には惑わされるのが男か、、、。

 それで職業はDJ。語りも様になっている。しかも無類の女好き。タイプの女を見つけると口説く。出来れば後腐れのないアバンチュールを求めているが、それが仇となるのだ。よくある話だ。君子危うきに近寄らずとでも言おうか。ラジオ局で毎日のようにリクエストする女がいる。曲名は『Play Misty For Me』この映画の原題である。この女がイーストウッドをストーキングする。それが本当に恐ろしいことばかり起きる。突然、車に乗ってきたり、仕事場に現れたり、料理を作ってきたり、泣き叫びは自殺未遂はするわで大変だ。

恐怖を更に増幅させるための演出が秀逸だ

 自分の浮気心から招いたとは言え、多くの人を巻き添えにしていく。ストーキングとは本当に恐ろしい。さて、映画の中でイーストウッド演じるトビーがかつての恋人とよりを戻す場面がある。ラブシーンだ。それまでストーカーに追われて恐怖の連続だったのに、一転緩やかなテンポで愛し合う。滝つぼから夕陽へと。結構濃密に描かれている。これは必要か否かと問われたイーストウッドは必要だと答えたそうだ。この後の更なる恐怖を盛り上げるための演出だそうだ。確かに一旦、落ち着きたいところだ。イーストウッド監督作品はラブシーンが多い。『ブロンコビリー』『ダーティーハリー4』『アウトロー』『マディソン郡の橋』『白い肌の異常な夜』等。

ヒッチコックとは一味も二味も違う映画になった

 この映画でイーストウッドはヒッチコックを意識しているようだ。ただ真似ているわけではない。恐怖感の種類が違う。ヒッチコックの場合はジワジワ迫り来る謎の恐怖があるが、本作では来るぞ来るぞとはっきりわかる。効果音も多用していない辺りが良い。

この作品でイーストウッドは監督としての手応えを掴んだという。もし本作で監督をやっていなかったら『運び屋』も撮っていなかったかもしれない。

追記 ストーカー役のジェシカ・ウォルターイブリンが最後、断崖絶壁の海に浮かぶ死体を自身で演じているのには驚いた。あの場所は波の高いし岩場だから危ない。すごいガッツだ。

ドン・シーゲルがバーテン役として出演している。これも面白い。

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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督クリント・イーストウッド
製作ジェニングス・ラング ロバート・デイリー
原作 ジョー・ヘイムズ
撮影 ブルース・サーティーズ
音楽 ディー・バートン

キャスト
クリント・イーストウッドデイブ ジェシカ・ウォルターイブリン ドナ・ミルズトビー  ジョン・ラーチマッカラム警部 ドン・シーゲル

作品データ
原題  Play Misty For Me
製作年  1971
製作国  アメリカ
配給  CIC
上映時間 103

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