『さらば愛しきアウトロー』(93分/日本/2018)
原題『The Old Man & the Gun』
映画『さらば愛しきアウトロー』のオススメ度は?
星4つです。
実在した人物を映画にすると面白い。
犯罪映画だが明るさがある。
レッドフォードの笑顔がステキだ。
強盗を脱獄を繰り返すことが楽しさの証明だった人生。
楽しいことを求めた人間の物語。
恋人、友達、家族と観に行ってください。
映画『さらば愛しきアウトロー』の作品概要
ロバート・レッドフォードが引退作品として選んだのは実在した銀行強盗のフォレスト・タッカーの物語。何度も強盗し刑務所に入るがその度に脱獄を繰り返した伝説的な男。本作を持ってスクリーンを後にするレッドフォード。80を越えてもあの笑顔は健在だった。He was smiling.
映画『さらば愛しきアウトロー』のあらすじ・ネタバレ
70歳を越えても銀行強盗をすることになんの躊躇もないフォレスト。懐に拳銃を忍ばせ店内へ。背筋をまっすぐにしているが顔はシワクチャ。そして満面の笑顔も武器になる。お金が目的ではない。仲間と全米を股にかけて強盗三昧。“黄昏ギャング”と命名され刑事に追われる。フォレストは何が目的で強盗を繰り返すのか、、、。
映画『さらば愛しきアウトロー』の感想・評価・内容・結末
ロバート・レッドフォードは老いてもハンサムなハリウッドスターだった
ロバート・レッドフォード引退作品になるそうだ。レッドフォードで浮かぶのは『明日に向って撃て!』(69)『スティング』(73)『追憶』(73)となる。
とにかくハンサムなのだ。悪役も似合わないこともないが、やっぱりハリウッドの正統派の美男俳優として君臨していた。本作は実話をモチーフにしている。
イーストウッドはまだ現役だが、年をとると創作ではなく実話を撮りたがる傾向にあるのだろうか。
レッドフォードは1936年生まれだから現在83歳。でも映画ではそんなにヨボヨボしていない。
トップカットは背姿から始まる。哀愁もあるが、背中で演技できる数少ない俳優が引退とあって寂しさも感じた。
ロバート・レッドフォードの魅力は何と言ってもあの笑顔だ
レッドフォードもニヒルと言うか、屈託のない笑顔は健在だ。この笑顔で多くの女性ファンを虜にしてきただろう。
映画の実在の強盗のフォレスト・タッカーも紳士然して笑みを絶やさなかったらしいから、レッドフォードにぴったりの役柄だったのだろう。
邦題はアウトローとあるが、原題は『The Old Man & the Gun』だ。“老人と拳銃”となる。アウトローはレッドフォードの若き日の作品からイメージに尊敬を込めて付けたと思われる。
それだったら“さらばレッドフォード”でも良い気がするが。
老人の犯罪者を主役にした映画が流行っているのか
冗談はさておき、本映画の要点は70を超えた爺さん達が銀行強盗をするところに魅力があるのだ(イーストウッドの『運び屋』も80後半の爺さんが麻薬の運び屋をやっていたのが記憶に新しい)
“黄昏ギャング”と命名された。しかも、拳銃を脅しに使うが一度たりとも引き金を引いたこともない。実弾も入れてない。
それでいていとも簡単にお金を強奪する。最大の武器は笑顔だ。なぜ、70を超えてまで強盗をやらなければいけいないのか、それはもう性癖と言うしかない。スリルなのだろう。
モデルになってフォレスト・タッカーは「楽して生きるなんて、つまらない。ただ楽しく生きたいのだ」と語っていたそうだ。
強盗と脱獄を繰り返すことで、生きる理由を確認する“性”
そして彼は刑務所に17回入って17回脱獄している。言うなれば脱獄するために強盗を働いているのだ。彼にとって脱獄ほどスリルのあることはないそうだ。
お金などどうでも良いのだ。逃げるスリル、追われる高揚感とでも言うのだろうか。例えば万引き癖のある人はそのモノが欲しいのではなく、“成功した”という達成感が欲しいそうだ。そこにスリルがあり、恍惚感を覚えるのと同じなのだろう。スリル依存症か。
ロバート・レッドフォードとケイシー・アフレックの関係性が良い
映画の中の刑事役のケイシー・アフレックとのやりとりがまた良い。彼は『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07)でレッドフォード役を演じているからレッドフォードにとっては可愛い俳優だ。
あのトイレの場面では「これからの映画界を頼むぞ」とでも言っているように見えた。この場面は『運び屋』でもイーストウッドとブラッドリー・クーパーの酒場でのやりとりを思い出す。
ハリウッドにはそうやって教えを伝授する風習があるように感じる。
いずれにしても実在の強盗のフォレスト・タッカーは死ぬまで強盗を繰り返した。犯罪ではあるが、その熱意は消えなかったそうだ。
“死ぬまで現役”とはこのことだ。わたしの予想ではおそらくロバート・レッドフォードは再びスクリーンに戻ってくるだろう。
一度、銀幕を飾って人々から拍手喝采の賞賛を浴びた恍惚感ほど気持ちの良いものはないだろう。タッカー同様、決してやめられない、「楽しい生き方」それがレッドフォードにとっては俳優なのだから。
映画『さらば愛しきアウトロー』まとめ 一言で言うと!
アドレナリンがほとばしるようなような生き方をしたい!
毎日が充実して、楽しくて仕方がなかったらどんな気持ちなのだろう。それが続くと辛くないだろうか。高揚した気分も良いが、しっとりと落ち着くたい時もある。でもアドレナリンが体を駆け巡っているときは確かにスリル満点だ。そんな生き方で疲れなければ続けたいものだ。
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【年寄り爺さんが活躍する映画】
映画『運び屋』
80を越えた爺さんが、麻薬の運び屋になる話。
https://undazeart.com/themule/
映画『さらば愛しきアウトロー』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ
監督
デビッド・ロウリー
製作
ジェームズ・D・スターン
ドーン・オストロフ
ジェレミー・ステックラー
アンソニー・マストロマウロ
ビル・ホルダーマン
トビー・ハルブルックス
ジェームズ・M・ジョンストン
ロバート・レッドフォード
製作総指揮
パトリック・ニュウォール
ルーカス・スミス
ジュリー・ゴールドスタイン
ティム・ヘディントン
カール・シュペリ
マルク・シュミットハイニー
原作
デビッド・グラン
脚本
デビッド・ロウリー
撮影
ジョー・アンダーソン
美術
スコット・クジオ
衣装
アンネル・ブローダー
編集
リサ・ゼノ・チャージン
音楽
ダニエル・ハート
音楽監修
ローラ・カッツ
キャスト
ロバート・レッドフォードフォレスト・タッカー
ケイシー・アフレックジョン・ハント
ダニー・グローバーテディ
チカ・サンプターモーリーン
トム・ウェイツウォラー
シシー・スペイセクジュエル
イザイア・ウィットロック・Jr.
ジョン・デビッド・ワシントン
キース・キャラダイン
作品データ
原題 The Old Man & the Gun
製作年 2018年
製作国 アメリカ
配給 ロングライド
上映時間 93分
映倫区分 G