映画『ある少年の告白』LGBTへ理解を深めてくれます。ネタバレ、評価、あらすじ。

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映画『ある少年の告白』オフィシャルサイト
ゴールデングローブ賞主演男優賞・主題歌賞ノミネート!ルーカス・ヘッジズ(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)×ジョエル・エドガートン(『ザ・ギフト』)。NYタイムズ紙によるベストセラーに選ばれ、全米で大きな反響を呼んだ衝撃の〈実話〉。

『ある少年の告白』(115//2018年)

原題 Boy Erased

近年、LGBTに関する作品が多い。本作は厳格な宗教と矯正施設について深く描いている

性の対象は自由である。人間とは進化してきた生き物であることの証明である

近年、LG BTに関する映画が非常に多いと感じている。昨年も確かにあった『バトル・オブ・ザ・セクシーズボヘミアン・ラプソディ今年は『ゴッズ・オウン・カントリー』『グリーンブック

アメリカは性に対して寛大だと思っていたが、日本の方が寛大かもしれない

この映画はキリスト教プロテスタントの一教派のバプティスト教会の話だ。この教会は同性愛を認めていない。昔から自由運動が盛んなアメリカは割と同姓愛に寛大だと思っていた。特にアーティストに同性愛者が多いからそんなに差別意識がないと思っていたが、ど根強い差別意識があるらしい。私はそれがわからなかった(日本の方がLGBTに対しての差別意識が強いと思っていたからだ)でも実際はキリスト教は性に対してとても厳格なのだ。

どこの国も田舎は保守的だ。閉鎖的であるからこじ開けるのは難しい

特に南部や中西部の田舎の方へ行けば行くほど差別意識が強い。それは黒人への差別もあるが性的マイノリティーへの差別は半端ないらしい。映画の最後にも書かれているが未だに同性愛者を矯正施設に送り指導しているらしい。それも強制的に行っているらしい。とてつもない人格心外だ。日本ではそういう施設の存在は知らない。

自分の子供の性的趣向が親にとっては恥なのか、、、それが信じられない

映画はある少年が性の対象を女性ではなく男性に向かっているということを聞いた両親が少年を強引に矯正施設へ送る。あろうことか父親はバプティスト教の厳格な牧師。同性愛を許さない宗教を信じる父親にとってはとてつもない苦痛であり、世間に対して申し訳が立たない。男は男らしく、女は女らしくと言うのはどうも世界共通らしい。しかし少年は施設に入ってもやはり自分の性の対象が男であるという事実を変えることが出来ない。

“承認”されないという苦痛から始まる

なぜ彼がそうなったかはわからないが。それは生まれながらの性でもあるし、生きながら対象が変わることもあるのだ。そうなった場合の苦しみは半端ないだろう。周りが皆同じように同性愛者ならまだ良いが、誰もいない、もしくは認めてくれないのであるなら、自分の存在理由を否定された気持ちになるだろう。LGBTの苦しみは正に承認されないという苦痛から始まるのだ。これを乗り越えるのは自分だけの力では無理だ。両親、兄弟などの家族から友人、そして町の人々の理解を得られないと難しい。本当に大きな壁だ。

男が男に恋して何が悪い。この映画はとてもロマンティックに描かれている

彼が女性に対してはあまり興味をそそられなかった場面も上手に描かれている。アメリカでは誰もが楽しくハッピーであるハイスクールパーティー際に、女の子と一線を越えそうな瞬間にためらいやめてしまう。この場面はドキドキしながらも彼の心が揺れ動く繊細な様子がエキゾチックに描かれていると思う。そして大学に入ってからハンサムな少年と出会う。二人は接近する。この場面を観ると恋には男も女も関係ないのだと思えるほど、ドキドキするのだ。実に上手い。

矯正施設の恐ろしさを見事に描いている

さて、矯正施設は本当にひどい。自由など無い。トイレに行くのも監視付きだ。同じように送られてきた少年らと集団で何やら暗唱させられたり、自分の性癖とか出自について発表する、いわば自己批判までさせられる。心の清算という言葉がよく出てくる。うまい騙し言葉を作ったものだ。「生まれながらのアメフト選手はいないだろう。君たちは生まれた時は正常であったが、何かの影響でおかしくなった」という意味だ。最初はたった2週間ではあるが、効果がなければ更に厳しい施設に1年間ぐらい閉じ込められるそうだ。

矯正施設を通して初めて本当に自分に気がついた

そしてこの施設で自殺も起きてしまう。さすがに少年は耐えられなくなり施設を出る決意をする。母親は理解して助けてくれた。数年後、少年はこの施設で経験したことを新聞に投稿した。そして書籍化されることを伝えに両親の元へ帰る。母親は変わっていた。教会にはもう行っていない。父は少年と目を合わせようもしない。まだ同性愛者への理解はないらしい。少年は父に伝える。自分の性のこと、そして教会を暴露することを。

初めての父との対話、初めての主張が少年を大人にする。父もまた成長する

そして「父さんは何も僕のことをわかってくれない。自分のことしか考えていない」父は答えルことが出来ない。自分の息子がゲイであり、しかも自分たちの教会のことを暴露するからだ。しかし救いがある。少年は父に僕のことをわかってくれと告げる。父は「わかった努力してみる」と答える。この父の言葉にやっと光明が見えるのだ。それまで父親に対して意見もましてや文句も言えなかった少年が成長した証拠だ。そして父も古い固定概念に囚われていたことを拭い去る瞬間が見えたのだ。

本当の親子になる始まりの一歩に涙してしまった

この映画のメッセージはここに全て詰まっていると思う。人間は成長し変わることが出来る生き物なのだ。変わることによって新たに生まれる良好な未来があるのだ。そして本当の親子というものが築かれるのだ。この映画はそういった意味で素晴らしい。

*余談であるがニコール・キッドマンとラッセル・クロウの変わり様がすごい。お互い確かに歳をとったが、キッドマンのあの美しさどこへ行ったのだろうか、、、。クロウの逞しさもどこいったのか、、、などと感じながら見てしまった。

映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督 ジョエル・エドガートン
製作 ケリー・コハンスキー=ロバーツ スティーブ・ゴリン ジョエル・エドガートン
製作総指揮 レベッカ・イェルダム ナッシュ・エドガートン トニー・リップ  キム・ホジャート アン・ロアク
原作 ガラルド・コンリー
脚本 ジョエル・エドガートン
撮影 エドゥアルド・グラウ
美術 チャド・キース
衣装 トリッシュ・サマービル
編集 ジェイ・ラビノウィッツ
音楽 ダニー・ベンジー ソーンダー・ジュリアーンズ

キャスト
ルーカス・ヘッジズジャレッド・イーモンズ
ニコール・キッドマンナンシー・イーモンズ
ジョエル・エドガートンヴィクター・サイクス
ラッセル・クロウマーシャル・イーモンズ
フリーブランドン
ジョー・アルウィンヘンリー
グザビエ・ドランジョン
トロイ・シバンゲイリー
デビッド・ジョセフ・クレイグマイケル
チェリー・ジョーンズマルドゥーン医師
セオドア・ペレリンゼイヴィア

作品デー
原題 Boy Erased
製作年 2018
製作国 アメリカ
配給 ビターズ・エンド、パルコ
上映時間 115
映倫区分 PG12