笑いと涙『バジュランギおじさんと、小さな迷子』サルマン・カーンが贈るインドとパキスタンの和平への道 ネタバレ、感想

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バジュランギおじさんと、小さな迷子
全世界大ヒット!「ダンガル」「バーフバリ」に次ぐインド映画歴代興行成績No.3! 「バジュランギおじさんと、小さな迷子」2019年1月18日(金)全国順次ロードショー

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(159分/印/2015)

原題 Bajrangi Bhaijaan

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インドとパキスタンのデリケートな問題に挑んだ勇気ある作品であるが、涙あり、笑いありと存分に楽しめる。歌って踊って幸せになれる

インド映画がこれほど世界的にヒットするのは娯楽を極めたからではないか

 ここ数年、インド映画を積極的に観るようにしている。理由は仕事でインド、パキスタン系の人と知り合ったからだ。昨年は『ガンジスに還る』『パッドマン5億人の女性を救った男』『ダンガル きっと、つよくなる』を観た。どれも面白かった。まあ、お決まりと言ったらそれまでだが、歌って踊って走って、泣いて怒ってと笑ってと全てが詰め込まれている。インドではやっぱり映画こそがエンターテイメントであり、ストレス発散のメディアなのだろう。

 あと『英国総督最後の家』を観た。インド、パキスタンの独立を描いた作品で、こちらは政治や宗教対立も描かれていて、興味深かった。私の知り合いはパキスタン人であるが、半世紀前まではインド人であった言っている。つまりイギリスの植民地時代は一つだったのである。しかしイギリスは大戦後、国力が弱体化したため管理不可となり、インドとパキスタンを分割し独立を促せたのだ。これが現在でも大きな火種になってしまった。両者は民族的には近い、言語も動揺する人もいる。だが宗教が全く異なる。インド人はヒンズー教、パキスタン人はイスラム教を信仰している。この信仰の違いは大きな騒乱の元になる。両国の独立の際には、それまで平和に暮らしていた隣人でさえ、敵になって戦ったというから相当なものだ。憎しみが憎しみを増大させるから永遠に解決できないと言われている。

どこの国にでも親切な人は必ずいる。人を疑うことを知らない少女の聡明さを見習いたい

 さて、映画はパキスタンの山村で生まれた口のきけない娘を母親がインドの優秀な医者に診てもらおう列車の旅に乗る。しかし女の子は行方不明になってしまう。ひょんなことからインド人で人の良いおじさんが彼女を助け、パキスタンの彼女の家まで送る決意をし、命がけで国境を越えていく物語だ。様々な難関が待ち失せる。日本では考えられないようなことばかりだ。もし日本で迷子の子供を見つけたのならすぐ様、警察に連絡すると万事解決へ向かう。しかしインド、パキスタンでは中々難しい。少し出てくるが女の子を売るというとんでもないこともあるらしい。誰を信じて良いのかわからないから、直接送り届けた方が安心なのだ。

 お涙頂戴ものだが、インド映画の常道を行くので楽しめる。歌って踊ってる場面を見るだけで気持ちが明るくなる。良くあんなに器用に踊れるものだと感心するし、音色もエスニックで、更に詩がまた良いのだ。随所に哲学的な表現がある。さすがインド五千年の歴史だ。もちろん人生は楽しむものだと伝わってくる。テレビやインターネットは普及しているが、インドでは未だに映画こそが一番の娯楽であるのが羨ましい。ただインド映画に慣れない人には辛いかもしれない。

喋らない少女の気持ちを分かち合おうとする姿にこの映画の本質がある

 この映画の制作者であり主人公のサルマン・カーンはインドで大人気の俳優である。彼は本作をキャリアの中で一番の作品と言っている。それはインド人、パキスタン人、ヒンズー教、イスラム教と相違はあるが、愛をいう感情は同じであると言っている。長年、両国は対立してきているが、憎しみではなく愛を持って共存しようというメッセージを送っている。それは素晴らしいことだ。映画の最後の最後お約束がある。ちゃんと少女が演じてくれる(アルプスの少女ハイジに近い)

 インドの広大な土地を南北に縦断して撮影は行われいる。特に北部の山あいは美しい。青い空を背に雄大な山脈が立ち上り、白い雪を纏っている。牧歌的な谷あいにヤギの鳴き声に響き渡り、ヒマラヤから流れ出るエメラルドの川が命を育む。前半のデリーの人混みから解放されて爽快な気持ちにさせてくれる。

 さて、冒頭に書いたが私の友人のパキスタン人に映画のことを聞いたことがあるが、パキスタン人はインド人と違ってあまり映画を観に行かないとのことだ。中々、難しい問題がある。でも映画の中で子供が登場するが、子供同士は異教徒であろうとなかろうと仲良くしているのが救われた。何か判断する時は子供に聞くほうが素直なのではないかと改めて感じた。

 この少女のように黙っていた方が、大人は分かり合えるということだ。

映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督 カビール・カーン
製作 サルマーン・カーン カビール・カーン スニール・ルーラ ロックライン・ベンカテーシュ
原案 V・ビジャエーンドラ・プラサード 
脚本 カビール・カーン パルベーズ・シーク V・ビジャエーンドラ・プラサード
撮影 アセーム・ミシュラー
美術 ラジニーシュ・ヘダオ
編集 ラメーシュワル・S・バガト
音楽プ リータム・チャクラボルティー

キャスト
サルマーン・カーン パワン
ハルシャーリー・マルホートラ シャヒーダー
カリーナ・カプール  ラスィカー
ナワーズッディーン・シッディーキー チャンド・ナワーブ
シャーラト・サクセーナ ダヤーナンド
オーム・プリー