映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』は愛妻家の鏡。女性の地位向上に貢献。作品情報・ネタバレ・あらすじ・感想・評価

2018年製作
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実話が存在する!?話題のパッドマン 5億人の女性を救った男の魅力
数々の映画賞を獲得した「パッドマン 5億人の女性を救った男」は、インドで実際に起きた実話をベースした映画作品です。妻を助けたいと一心で動き出した主人公ラクシュミは、様々な困難を乗り越えて、5億人の女性を救った男となります。今回は、パッドマン...

『パッドマン 5億人の女性を救った男』(137分/印/2018)
原題  Padman

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宗教的な理由で生理用品が使えない人たちが未だに多くいる。一人の男がタブーを破って挑戦した勇気はインドに光を与えた。パッドマンは英雄だ。

最初は愛する妻のためだった。しかしいつしか全インドの女性のため、世界の女性のための発明となった

  このインド映画は素直に感動をもたらした。妻のため、女性のため、弱い人のために無心で突き進む姿と自分の信念を貫けば道は開ける、人は付いてくると言うことを教えてくれた。インド人の多くはヒンズー教を信仰している。どの宗教もそうかもしれないが、女性に対しては差別的と言うか、厳格なところがある。日本もつい100年前まではそうだったであろう。女性の生理時の対処法が尊重されていないのだ。ヒンズー教では女性の生理は不潔と見做され、生理中は食卓を同じするのはご法度で、寝室に入るのも許されないそうだ。ではどのように対処しているかと言うと、一般的に日本の女性はナプキンやタンポンを用いているが、インドでは布で処理している。出血が多いと漏れてしまう。更にその布はあまり衛生的でない水で洗い日陰に干して使うから殺菌されず不潔だ。それによって多くの女性たちが病気になる可能性が高いと言う。

自らも実験台になりトライ&エラーを繰り返し作り上げた生理用品

 そこでこの映画に登場するラクシュミは妻の体が心配になり、便利で清潔な生理用品を作ろうと決意するのだ。これがまたとんでもない波乱を巻き起こす。ただでさえ、忌み嫌う女性の生理なのに男が綿花を重ねて作るとなっては村中から白い目で見られ、激しく罵られる。でもラクシュミは諦めない。何度も何度も試作品を重ねて実験を繰り返す。女子大生にアンケートを取ったり、自らズボンの下に装着したりと孤軍奮闘していく姿に笑い泣きしてしまう。でも相変わらず家族からは激しく罵られ、応援していた妻も実家へ引き戻され、挙げ句の果てに村から追い出されてしまう。

大金持ちになるより、貧しい人と起業したい思いが湧き上がる

 たまたまラクシュミは国内最大の発明展覧会で賞を獲得する。スポンサーが付き大量生産する契約がくるが蹴ってしまう。彼の目標は大金持ちになるのではなく女性の役に立ちたい、そして女性に起業してもらうことで貧困からの脱却を願っているのだ。つまり貧乏であるから知識がない、知識がないと不衛生、不健康になるのだ。ここでラクシュミに大きな力を貸してくれる女性が現れる。高学歴で都会育ちの美女、パリーだ。ラクシュミの妻ガヤトリとは180度違う。この二人が全国を行脚しながらナプキン製造機とナプキンを販売していく。二人の活動は世界にも配信されニューヨークに招かれてラクシュミは講演を行う。

恋しい気持ちが募る二人だが、ヒンズーの教えを守る純愛

 ここでてっきりラクシュミとパリーが結ばれるのかと期待してしまうが、そうはいかない。パリーはラクシュミに思いを寄せているが、妻帯者だ。ラクシュミもパリーに思いを寄せているが、故郷にいる妻を捨てられない。何とも歯がゆい。言い方は悪いが、妻はラクシュミに恥知らずと罵り実家に帰ってしまっているのだからここは応援してくれるパリーでしょ!と言いたくなる。でもヒンズー教の教義にあるかないか不明だが、不倫は罪だから成就しないで二人は離れる。

インド版、『利他の心』自分の利益だけを目指していたら天は応援してくれないだろう。

 そして世界的にも有名になったラクシュミは故郷に錦を飾る。

 この映画は従来のインド映画とは一味も二味も違った。もちろん歌も踊りもあるエンターテイメントだが、どちらかと言うとヒューマン物である。妻を愛する気持ちの強さに胸を打たれるが、みんなからバカにされ蔑まされても自分の信念を貫く姿に涙が出てくる。しかもいつも明るく振る舞って、決して挫けない。愚痴などもっての外だ。私自身、何かアイデアが浮かんだら若い時のように挑戦する気持ちが萎えてきている。やる前にああだこうだと言い訳を作って挑戦しない臆病者だ。それは失敗した時の面子の保持もあるが、自身の知性を自慢したいのと、勇気がないだけなのだ。

 いつの頃からかつまらない人間になってしまったとつくづく感じた。しかも思いつくアイデアは自分だけの利益のためと言うくだらない物だ。このラクシュミのように自分だけの利益だけではなく、インドの全女性から世界の女性のためになると言う素晴らしいアイデアが神様に認められ成功への道筋を作ってくれるのだろう。何か成す人間はおそらく天から選ばれたのだと思う。この映画を観て日本のことわざを思い出した。『利他の心』。今一度心に刻んでで生きてみようと思った。

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【宗教観について考える映画】

映画『歎異抄をひらく』

親鸞聖人の考えをわかりやすく映画にしました

映画『歎異抄をひらく』親鸞聖人を読み解く時代 石坂浩二 ネタバレ・あらすじ・感想・評価 生きる意味とはなんだ!
人はなぜ生きているのか?という問いに立ち止まる時がある。多くは人生の終盤を迎えて過去を振り返ることで“死”の準備をしている気がする。本作は『歎異抄をひらく』はそう言う疑問に答えている。親鸞聖人の弟子たちが書き残した名著をわかりやすくアニメで説明している。人間は誰もが悪人であると言うショッキングな言葉から始まる。

映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』

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笑いと涙『バジュランギおじさんと、小さな迷子』サルマン・カーンが贈るインドとパキスタンの和平への道 ネタバレ、感想
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映画『ヒア アフター』

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映画『幸福なラザロ』

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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督
R
・バールキ
脚本
R
・バールキ
撮影
P
C・スリーラム
音楽
アミット・トリベディ


キャスト
アクシャイ・クマールラクシュミ
ソーナム・カプールパリー
ラーディカー・アープテーガヤトリ
アミターブ・バッチャン

作品データ

原題 Padman
製作年 2018
製作国 インド

配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

上映時間 137

映倫区分

G

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