ジョージア製作の映画『聖なる泉の少女』ネタバレ・あらすじ・感想。繊細で静謐な映像美で語る「これが芸術映画の源泉」必見。

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映画『聖なる泉の少女』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。

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映画『聖なる泉の少女』公式サイト。2019年8月24日(土)より岩波ホールにてロードショー、全国順次公開
2018年 アカデミー賞®外国語映画賞ジョージア代表作!映画『聖なる泉の少女』公式サイト。2019年8月24日(土)岩波ホールにてロードショー、全国順次公開。妙なる静けさが心にしみわたる-自然と人の神秘なる交感の物語。
ジョージア映画『聖なる泉の少女』予告編

『聖なる泉の少女』91/ジョージア・リトアニア合作/2017
原題『Namme

【監督】
ザザ・ハルバシ
【製作】
スルハン・トゥルマニゼ
【出演】
マリスカ・ディアサミゼ
アレコ・アバシゼ
エドナル・ボルクバゼ
ラマズ・ボルクバゼ
ロイン・スルマニゼ

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映画『聖なる泉の少女』のオススメ度は?

3.5

3つ半。

騒がしい日々から抜け出したい時は絶品な映画です。

おとぎ話に出てくるような世界観です。

川、山、湖、人々がみんな美しいです。

恋人と観に行ってください。

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映画『聖なる泉の少女』の作品概要

ザザ・ハルバシ監督の独特の世界観がにじみ出ています。単に芸術的とは言い切れないほど、心にずっしりと映像が入ってきます。人と争ったり、罵倒したりする描写はありません。とにかく魅入ってしまう作品です。

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映画『聖なる泉の少女』のあらすじ・ネタバレ

ジョージアの南西部、トルコに近い村でずっと聖なる水を守っている一家があった。父は年老いてこの先が心配だ。三人の息子たちはキリスト教の一派であるジョージア正教の神父、イスラム教の聖職者、そして、無神論の科学者に職を得ている。頼りは一人娘のナメ。水を守るためにどうすればいいのか、さらに村の上部に水力発電が建つという、、、。

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映画『聖なる泉の少女』の感想・評価・内容・結末

映画の原点に近い作風

この映画を一言でいうと「とっても静かで美しい」となります。91分間のうちで半分はセリフがないのではないでしょうか。

水の流れる音、風の吹く音、火が燃える音、鳥の声、樹木が軋む音、大地の音などなど

登場する人物たちも静かにボソボソっと喋ります。

欧米系の怒鳴り合い、いがみ合いのような場面はありません。

人によっては退屈で眠ってしまうかもしれませんが、「これぞ、映画だ」と思えてしまいます。

ザザ・ハルバシ監督は「映像芸術であって言葉の芸術ではない」と明言しているのに納得できます。

ジョージア製作の映画が世界を席巻する日がくるかも

ところでジョージアって国はどこにあるのかわかりますか?またどんなイメージを持っていますか?

恥ずかしながらわたしもどこにあるのかパッと頭に浮かびません。たぶんロシアの向こうだったような、、、程度です。

イメージはお相撲さんがいたっけ、です。大変失礼かもしれませんが、まさかこれほど素晴らしい映画を作り出す国とは知りませんでした。

旧ソビエト連邦で91年に独立しグルジアからジョージアに国名を変えました。

新しい国ですが過去の悲しい歴史を鑑みればこれからどんどん映画が作られる可能性があります。

自然と同じように人々もとても穏やかな理由がわかる

映画を観ているととても自然に囲まれた穏やかな国です。人々も温和で平和に暮らしています。

村には古来より守られてきたがあります。その水は聖なるもので人々の病気やケガを治してきました。

防人ではありませんが、その水をずっと守り続けた一家があります。年老いた父はなんとか水を守る後継を残したいと思っています。

子どもは三人の男の子と女の子一人います。しかし三人の男の子は、キリスト教の一派であるジョージア正教の神父、イスラム教の聖職者、そして、無神論の科学者の職に就いています。

残されたナメ(マリスカ・ディアサミゼ)に父親は意思を引き継がせたいのです。

固定ショットが説得力を与えてくれる

しかし、年頃のナメの心情は複雑です。他の女の子のように恋もしたいです。

そして気になる男性もできます。果てして、、、。という物語です。

冒頭に述べました通り、この映画はとにかく静かに進んでいきます。

川の流れの映像が数分続いたり、何気ない景色も所々でカットインしてきます。映像も固定ショットが多く、音楽も付けられていません。

カメラを振り回さないこと、大音量もないことが力強さを増している

何かが変わっていく、失われていくけれど、、、。

先日観た『ある船頭の話』も良かったのですが、こちらはもっとセリフがないところが特筆すべき映画かもしれません。

映画は序破急が無いようなイメージですが、ちゃんとあります。

密かな恋、祭り、別れ、、、。終盤、村の近くに水量発電所が出来ます。それで全てが変わっていきます。守り抜いてきた水に異変が起きます。

でもこの映画ではその発電所に抗議をするとか、戦うといった描写ありません。否定も肯定もしていません。

選択は本人がすることではないのか

端的にいうなら確かに「昔からの伝統や習慣、風習は大事だけど、時代は変化していく、人間の考えも変わっていく」と。

また古い人たちも新しい人たちに強制もしていません。

選択は本人次第なのであると言っている気がします。

おそらくですがジョージアはかつてソビエト連邦に属していました。

当時の社会主義は本当に自由がなく徹底的に管理されて世界でした。

ですからジョージア国民はその歴史を繰り返してはいけない、あるいは自由を奪うようなことをしてはいけないと考えているのではないでしょうか。

環境問題についても押し付けていない

この映画は静かに環境問題について提起していると思います。

やはり水の問題だと思います。

魚が出てくるのがその象徴でしょう。鯉だと思います。

これが何らかメッセージを持っています。樽の中で飼っていますが、最後は水の中へ帰っていきます。同時にナメの姿も消えてしまいます。

いつも人間が侵した破壊で犠牲になるのは生き物です。

そろそろ人間も気がつかないと自然からのしっぺ返しが来ることを覚悟しなければいけません。おそらくとんでもない痛手になる気がします。

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まとめ 映画『聖なる泉の少女』一言で言うと!

温故知新

昔からの風習や習慣、伝統はとても大事だと思います。でもそれを守るために若者の人生を犠牲にするのもおかしな話です。古来のモノを守れなくなった理由はやはり発展と文明が村に押し寄せたからでしょう。そして若者の流出が始まった。歴史は変わります。文化も変わります。つまり人も変わるのです。変化を受け入れるか受け入れないか、、、それがいい結果になるのかはわかりません。難しい時代です。

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映画『聖なる泉の少女』の作品情報

映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ザザ・ハルバシ
製作
スルハン・トゥルマニゼ
製作総指揮
マムカ・トゥルマニゼ
脚本
ザザ・ハルバシ
撮影
ギオルギ・シュベリゼ
美術
アカキ・ジャシ
編集
レバン・クハシュビリ
ナメ(マリスカ・ディアサミゼ)
アリ(アレコ・アバシゼ)
ギオルギ(エドナル・ボルクバゼ)
ヌリ(ラマズ・ボルクバゼ)
ラド(ロイン・スルマニゼ)
2017年製作/91分/ジョージア・リトアニア合作
原題:Namme
配給:パンドラ