映画『ある船頭の話』ネタバレ・あらすじ・感想。柄本明vsオダギリジョーvsクリストファー・ドイル。「時代は一瞬の風で変わる」

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映画『ある船頭の話』公式サイトにて作品情報・上映館・お時間もご確認ください。
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映画『ある船頭の話』公式サイト
9月 新宿武蔵野館他 全国公開 脚本·監督:オダギリ ジョー 柄本明 川島鈴遥 村上虹郎 撮影監督:クリストファー·ドイル 衣装デザイン:ワダエミ 音楽:ティグラン・ハマシアン
映画『ある船頭の話』予告篇| 9月13日(金)全国公開

『ある船頭の話』(137/日本/2019

【監督】
オダギリジョー
【出演】
柄本明
川島鈴遥
村上虹郎
永瀬正敏

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映画『ある船頭の話』のオススメ度は?

3

3つ半

とてもリラックスできる映画です。

なんだかホッとしました。

物語は結構不快です。

オダギリジョーさんの作家性に驚きました。

クリストファー・ドイルの映像美は必見です。

恋人、友達と観に行ってください。

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映画『ある船頭の話』の作品概要

俳優オダギリージョーが長年温めてきた物語。日本人が忘れてしまったモノを大事にする精神や人への思いやりをクリストファー・ドイルが映し取っている。オダギリジョーの原風景がこの映画にある。

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映画『ある船頭の話』のあらすじ・ネタバレ

トイチは船頭一筋、数十年。毎日、多くの人がトイチが漕ぐ船で往来している。トイチに休みはない。朴訥で正直なトイチに乗客は自然と本音を口にする。しかし時代は少しずつ変わり、川に大きな橋がかかることになる。そうなるとトイチの仕事は無くなるかもしれない。ある日、トイチの漕ぐ船に女の子が流れ着いた。それから何かが狂い始める。

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映画『ある船頭の話』の感想・評価・内容・結末

令和元年にこんな映画を観ることができる幸せ

2019年、この慌ただしい時代にこういった映画が上映される意味はきっと数年後にわかると思います。

オダギリージョーさんは昔から何となく俳優だけでは終わらない人だと思っていました。

短編映画やPV作品で少しずつ才能を小出しにしていたので、本映画を観て「ああ、こういう世界観を持っていたのだ」とホッとしてしまいました。

おそらくオダギリさんの故郷が岡山の田舎なので、多少は幼少期の原風景がこの映画には反映されているかと思います。

クリストファー・ドイルの撮影は世界ナンバーワン

この映画を観た人の多くは、とにかく映像美に圧倒されます。

撮影監督はクリストファー・ドイル。

この名前を聞いてすぐにピンとくる人はかなりの映画通です。

まずウオン・カーワイ作品で鮮烈な映像を納めています。『恋する惑星』の手ぶれ感とコマ落としから始まって『ブエノスアイレス』の男色感と『花様年華』の色彩感がとにかく強烈でした。

またジム・ジャームッシュの『リミッツ・オブ・コントロール』での変幻自在具合がたまりません。

DVDの特典でジム・ジャームッシュがずっと「クリスが、、クリスが、、」と頭を掻きながらインタビューで答えてるのが印象的でした。

このドイルマンは酒を飲みながら撮影するのがひとつの売りなんです。いっつも酔っ払っています。アル中ですね。あのアル中具合が絶妙の手ブレ感を出すという人もいますが、実際の撮影を見た人に言わせると「フィルムが回ってる時は震えが止まってる」とのこと。笑えます。ウオン・カーワイもジム・ジャームッシュも手を焼く撮影監督ですが出来上がった作品を観るとどれも素晴らしく何も文句が言えないそうです。

この美しい日本の風景を守らねば

さて、この映画に映し出される風景は日本のどこかへ行けば出会えるようなモノばかりです。

とても美しいと感じる人はひょっとしたらあまり田舎の方へ行っていない人かもしれません。

そしてドイルマンが外国人ですからこう行った風景が新鮮であったため夢中で撮ったのではないでしょうか。

構図はもとより光の捉え方がたまりません。音も匂いもフィルムに刻まれているようです。

スマホが鳴らないし心地よさがあります

さて、本映画には現代文明の電話とか電気とか車とかそういった工業製品は一切出てきません。

電線もありません。それゆえにホッとします。

特に最近の映画では必ずといって良いほどスマホの着信音が鳴らない作品はありません。

ですが、本作品にはそれがありません。古き良き日本の美しい時代の一コマです。明治と大正の狭間くらいを舞台設定にしているそうです。

物語は淡々と進んでいきます。それほど複雑ではありません。

船頭が自分の仕事を通して出会った客と会話をしたり、人助けをしたり、そして時代の変遷を見つめていく、というような展開です。

柄本明の演技は神がかってる

船頭トイチを演じるのは柄本明です。これが実に良い顔をしています。真っ黒に日焼けして、本当に昔に日本人の顔のようです。

朴訥と演技しています。あまり喋らず 、ただ船を漕ぎます。

大きな川をユラユラと小舟を渡しますが、猫背の感じに船頭の人生が垣間見えてきます。なんとも言えない哀愁感があります。

静かな川の音とヒグラシの合唱がとってもたおやかな気持ちにさせてくれます。

村上虹郎も成長しているのが嬉しい

そしてトイチにくっ付いているのが源三(村上虹郎)です。こちらも百姓丸出しで共感できます。

今風の若者のようにカッコつけたり、大声を出したりしません。目がキラキラしています。

川島鈴遥は新人離れの演技だと感じました

ここに紅一点の少女(川島鈴遥)が川の上流から流れてきます。

トイチが拾って命を助けて一緒に暮らすことになりますが、二人はほとんど自身のことについて語りません。

周りの人たちの情報でなんとなく素性がわかるだけです。これがとても良いと思いました。

アメリカ映画のように自らプロフィールをベラベラ喋りすぎると映画の創造性に欠けます。

極端にセリフを排していること、そして脚本も隙間だらけのモノを書いたとしたらオダギリジョーさんの作家性はすごいと思ってしまいました。

消えていくモノ、残るモノ。時代は一瞬で変わる

さてさて、映画は現代社会の便利な時代に対しての皮肉を込めていると思います。

便利になればなるほどわたしたちは感謝の気持ちを忘れてしまいます。

「役に立たなくなったものはみんな消えて無くなる」と言い放つ場面は橋ができれば船頭の仕事もなくなるし、トイチなど必要とされないと言っています。

人間とは軽薄な生き物でモノにもそうですが、人に対しても旬な時は寄り添いますが、旬から外れると見向きもしません。

本当に薄情です。でもそれはいつの時代もどこの世界も同じなのです。適切かわかりませんが「諸行無常の響きあり」に通じます。

オダギリジョーの作家性に驚きを感じる

もうひとつ印象に残った言葉があります「風が吹けば、舟は流される。世の中も少しの風で変わってしまう」まさにその通りです。

これは本当に胸にしみる言葉でした。この言葉を聞いただけでオダギリジョーさんのクリエイティブを感じ満足しました。

やっぱり永瀬正敏さんは日本最高の映画俳優だ

この映画にはオダギリージョーさんの俳優仲間がたくさん出ています。

日本の映画界をずっと背負っている永瀬正敏さんはとても重要な役で出演しています。

永瀬さんが出てくるだけでわたしは姿勢を正してしまいます

ほとんどテレビに出ない骨太の俳優ですからスクリーンで観れるのが嬉しいのです。

それから浅野忠信さん。一瞬だけでしたが、やっぱり雰囲気が違います。目が良いんです。

その他、憎まれ役の伊原剛志さんは本当に殴りつけてやりたくなりました

町医者の橋爪功さんの飄々感がたまりませんし、 芸妓の蒼井優さんを観て、「色っぽくなったなあ」と感じてしまいました。

137分の映画ですが、浴びるように観ました

本映画は137分です。中には長く感じる人もいるかもしれません。とにかくセリフが少なくゆったりしています(わたし的にはもっとセリフを減らしても良いと思いました)

音楽も静かなピアノで付けられています。

物語を追うというより、オダギリジョーの世界観を浴びる気持ちで観ることをオススメします。

*ホタルの演出はちょっと気になりました。ゲンジホタルはあのような大河にはあまり生息していません。季節も6、7月に出現します。映画の場面にはコオロギが鳴いていますから晩夏か初秋だと思います。その季節にはホタルは飛んでいないと思います。惜しい。

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映画『ある船頭の話』まとめ 一言で言うと!

「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」

どんなに栄えたものでも、いつかは衰退していきます。文明もそうですが、実は人の思考もそうなのかもしれません。古い考えは捨てられ、新しい思想が繁栄し、さらに捨てられていく、、、。生きるとは無常なのである、、、。

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永瀬正敏さん、ほとんど喋りません。でも表情が素晴らしい

視力を失うカメラマンを演じています。最後に光を失います。泣けます。

懐かしい時代劇です。浅野忠信さんと共演は必見です。

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合わせて観たい映画

【永瀬正敏さん出演映画】

映画『赤い雪 Red Snow』

これは心底キッツイ映画です。

永瀬正敏✖️菜葉菜W主演+井浦新の映画『赤い雪 Red Snow』(実話)は“ズシリ”と積もった。人間の記憶は曖昧で都合よく作られる。感想とネタバレ。
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映画『Vision』

ジュリエット・ビノシュの恋人やりました

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映画『ある船頭の話』の作品情報

映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
オダギリジョー
脚本
オダギリジョー
製作総指揮
木下直哉
プロデューサー
市山尚三 永井拓郎 中島裕作
撮影監督
クリストファー・ドイル
照明
宗賢次郎
美術
佐々木尚
衣装デザイン
ワダエミ
衣装
飯塚直子 秋場大典 福島マチ子 松田和夫
装飾
石上淳一
ヘメイクデザイン
勇見勝彦
ヘアメイク
伊藤こず恵
音響
白取貢
編集
岡崎正弥 オダギリジョー
音楽
ティグラン・ハマシアン
VFXスーパーバイザー
進威志
サウンドエフェクト
北田雅也
特機
実原康之
助監督
松本壇
制作担当
篠宮隆浩
トイチ(柄本明)
少女川島鈴遥
源三村上虹郎
建築関係の男伊原剛志
馴染みの客浅野忠信
商人村上淳
芸妓蒼井優
牛の客笹野高史
狐の話をする女性草笛光子
仁平の父細野晴臣
仁平永瀬正敏
町医者橋爪功
くっきー
河本準一
2019年製作/137分/PG12/日本
配給:キノフィルムズ