映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』(114分/PG12/イギリス/2017)
原題『Disobedience』
【監督】
セバスティアン・レリオ
【製作】
フリーダ・トレスブランコ エド・ギニー レイチェル・ワイズ
【出演】
レイチェル・ワイズ
レイチェル・マクアダムス
アレッサンドロ・ニボラ
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』のオススメ度は?
星3つ半です
単なるLGBT映画ではありません
ユダヤ教徒としても苦悩
自由を得たい
“性”を選択できる時代
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』の作品情報・概要
『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』原題『Disobedience』2017年に制作された愛米英合作のドラマ映画である。セバスティアン・レリオ監督作品。主演はレイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムス。本作はナオミ・アルダーマンが2006年に上梓した小説『Disobedience』を原作としている。厳格なユダヤ教徒の女性の恋愛物語。もはや人間において性を分ける必要はない。
LGBTQにテーマをおいた映画
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』のあらすじ・ネタバレ
厳格なユダヤ教徒のラビの娘として育ったロニート・クルシュカ(レイチェル・ワイズ) は父と対立して家出した。ロニートの恋愛は男女問わず人を愛すること。遠くニューヨークでカメラマンとして生業を立てている。ある日、父が亡くなったとの知らせを受け帰郷する。そしてかつて愛したエスティ・クパーマン(レイチェル・マクアダムス) と再会する。しかしエスティは幼馴染のドヴィッド・クパーマン(アレッサンドロ・ニボラ)の妻となっている。3人は互いを交錯させながらラビの葬儀の日を迎えることに、、、。
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』の感想・内容
単なるLGBT恋愛物語ではありません
わたしたち日本人の宗教は一体なにでしょうか?この映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』は厳格なユダヤ教社会で繰り広げられる恋愛物語です。
でも単なる恋愛物語ではありません。近年、映画ではLGBTの人たちをテーマに作品が多く作られていますが、本作もその流れに乗っています。
ただもっと高度というか、知性的にも哲学的にもそして宗教的にも深い作品です。
ユダヤ教徒の二人だから意義がある
世界中には多くの宗教があります。それらの宗教で同性愛を認めているものはあるのでしょうか。
わたしの見解でパッと浮かぶ宗教はありません。大抵の宗教の教義では禁じられているような気がします(すみません、わたしの見識が足りないかもしれません)
本映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』は女性同士の恋愛をユダヤ教という宗教を舞台に展開していきます。
ユダヤ教徒と聞いてイメージするのはやは差別・偏見の歴史に翻弄され、世界を流浪してようやくイスラエルを建国した人たちです。
彼らは差別されてきたからこそ“性の自由”も認めるくらいの器量なのではと思いがちですが、やはりその点は異なるようです。
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』の考察・評価
人間は思考する生き物だから“性”の選択ができる
人間は動植物と違って思考する生き物です。そして思考を繰り返して進化してきたと思います。
動植物界はオスとメスあるいは雄しべと雌しべに分けることができますが、思考を持ったわたしたちは自分で“性”を決める自由を手に入れたのです。性の選択ができる生き物なのです。
確かに古くからの宗教や哲学、概念は大事ですが新しい思考の発展を止めることは出来ません。それが人間なのです。
非常にデリケートな映画です
この映画のロニート・クルシュカ(レイチェル・ワイズ) とエスティ・クパーマン(レイチェル・マクアダムス) も決して間違った人間ではありません。
一昔前なら同性愛の人たちを病気扱いしていましたが、今では多様性を認める社会になっています。堂々と公言できる時代です。
よってこの映画の厳格なユダヤ教を舞台に繰り広げれる物語はとても意義があると思います。
ユダヤ教の心の広さと受容性を世界に伝えなければいけませんから、脚本も演出も細心の配慮を持って作られているのがわかります。
ドキドキハラハラする演出
さて、映画を観ているととても切ない気持ちとハラハラドキドキする場面で心拍数が落ち着くませんでした。
ロニートとエスティーの再会する場面にドヴィッド・クパーマン(アレッサンドロ・ニボラ)がいる気まずさと周囲の人たちの視線。
でも二人はもう火がついています。再び燃え盛った炎は消えません。そして人目を忍んで愛し合います。
とても美しいです。お互いが優しさを持っていたわりながら愛を交わします。そして二人とも本当の愛の存在を確認します。
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』の結末
呪縛から開放された喜びを共有する喜び
結果的にエスティーはドヴィッドに本当の自分の存在を告げます。ドヴィッドはショックで狂乱します。
ですが、ここからがユダヤ教の懐の深さを見せるのです。「選択の自由がある」というのです。
この瞬間、ロニートとエスティーはようやく人として認められ自由になれたのです。
自然界の動植物は生まれた時、何らかの呪縛を持っているでしょうか。持っていません。
人間が思考を持ったから呪縛されてしまったのです。
ですからこの「選択の自由がある」という言葉は生まれた瞬間に立ち返ることができるのです。
呪縛されても良いし、自由になっても良いということです。自分自身で決めなさいということです。
とても深い映画でした。
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』のキャストについて
ロニート・クルシュカ(レイチェル・ワイズ)
厳格なユダヤの教えに抗い家出しカメラマンになっています。父親はユダヤ教のラビ。レイチェル・ワイズが本作に惚れ込んで製作も担当しています。演技も素晴らしい。野生的で自分を通す人間を表現するには十分でした。
とても癖のある役柄を難なくこなしています
エスティ・クパーマン(レイチェル・マクアダムス)
かつてロニートを愛していましたが、周囲に気がつかれやめました。女性しか愛せないことを隠してドヴィッドと結婚します。レイチェル・マクアダムスは物静かな女性を演じています。でも心には何かしらのシコリを持っています。それが切なくつたわてきました。
ドヴィッド・クパーマン(アレッサンドロ・ニボラ)
厳格なユダヤ教の教えを守っています。ロニートに思いを寄せていましたが、今はエスティーを妻に迎えています。ロニートの帰郷に不安を覚えます。厳しい宗教の次期指導者になる予定ですが、愛するエスティーのことが心配でたまりません。苛立ちを押し殺しながら苦悩する演技が良かったです。
まとめ 映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』一言で言うと!
「熱せられた鉄を冷ますのは難しい」
一度、燃え盛って鎮火した鉄をもう一度、火にくべるとさらに強くなります。恋とは鉄を同じで再会すると収拾がつかないものです。若ければ若いほど熱くなるのです。
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映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
セバスティアン・レリオ
製作
フリーダ・トレスブランコ エド・ギニー レイチェル・ワイズ
製作総指揮
ローズ・ガーネット ダニエル・バトセック ベン・ブラウニング グレン・バスナー アンドリュー・ロウ エリック・ラウファー ジョバンナ・ランドール
原作
ナオミ・オルダーマン
脚本
セバスティアン・レリオ レベッカ・レンキェビチ
撮影
ダニー・コーエン
美術
サラ・フィンレイ
衣装
オディール・ディックス=ミロー
編集
ネイサン・ヌーゲント
音楽
マシュー・ハーバート
ロニート・クルシュカ(レイチェル・ワイズ)
エスティ・クパーマン(レイチェル・マクアダムス)
ドヴィッド・クパーマン(アレッサンドロ・ニボラ)
2017年製作/114分/PG12/イギリス
原題:Disobedience
配給:ファントム・フィルム