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『トスカーナの幸せレシピ』(92分/G/イタリア/2018)
原題『Quanto basta』
【監督】
フランチェスコ・ファラスキ
【製作】
ファビアノ・グラーネ ダニエレ・マッツォッカ
【出演】
ビニーチョ・マルキオーニ
バレリア・ソラリーノ
ルイジ・フェデーレ
映画『トスカーナの幸せレシピ』のオススメ度は?
星2つ半。
勿体無いですね。
冒頭は良かったです。
不穏な始まりがとにかく良かったです。
バディー・ムービーらしさに欠けます。
心を通わせる理由がわかりにくいです。
友だちと恋人と観に行ってください。
映画『トスカーナの幸せレシピ』の作品概要
三ツ星レストランで腕を振るう一流シェフであるが、暴力沙汰を起こし刑務所へ入った男。社会奉仕活動のため障害者施設で働くことになり、天才的な味覚すなわち“絶対味覚”を持つアスペルガー症候群の青年と出会う。二人は「料理コンテスト」を通して自身の人生を見つめ、再生していく物語。
映画『トスカーナの幸せレシピ』のあらすじ・ネタバレ
超一流シェフのアルトゥーロは、短気な性格から仲間を殴り刑務所送りになった。出所するが再度シェフに復活するのは難しい。更生のため社会奉仕活動はアスペルガー症候群の自立支援施設で若者たちに料理を教えることだった。その施設で〝絶対味覚〟を持つ青年グイドと出会う。トスカーナで開催される「若手料理コンテスト」グイドが出場することに。当初アルトゥーロは手伝う気が無かったが成り行きでグイドを応援することに。それから二人に珍道中が始まる。果たしてコンテストで勝つことができるのか。アルトゥーロはシェフとして復活できるのだろうか、、、。
映画『トスカーナの幸せレシピ』の感想・評価・内容・結末
イタリア人らしい映画だと思います。元気で明るい、そしてハッピーエンドです。簡単にいうと人生をしくじった元一流シェフとアスペルガー症候群の青年がタッグを組んで自身の人生を見つめ歩んでいく物語です。でも映画はそれだけでは面白くありません。物語の中で障害を設けなければ平坦になってしまいます。実際のわれわれの人生も何かしらのアクシデントがあるように映画ではもっと助長したアクシデントを設ける必要があります。
この映画では腕は良いが短気な性格が災いしてトラブルばかり起こす一流シェフがアスペルガー症候群の青年と出会うことで心を入れ替え優しい人間に変わっていくのですが、「惜しい」のです。ちょっと詰めが甘いというか、、、、。主人公のアルトューロがアスペルガー青年グイドのどこを見て心を入れ替えていくの過程が今ひとつわからなかったのです。アルトューロは冒頭から不機嫌極まりない雰囲気です。刑務所からの出所場面から始まりますから当たり前ですが、とにかく笑いません。おまけに出所後すぐに娼婦を買います。さらに社会奉仕活動で訪れた自立支援センターでも不機嫌で上から目線です。
深酒で遅刻はするわ、暴言は吐くわのめちゃくちゃの男です。でもグイドを罵って彼がバスルームに閉じこもってしまい、助け出すあたりから急に優しくなります。もう暴言は吐かなくなります。そして二人仲良く「トスカーナ料理コンテスト」に参加します。ここからがバディームービーの始まりですが、本来のバディームービーならば仲は良いがいつも喧嘩ばかりして観ている方を楽しませてくれることを期待したのですがそれはありませんでした。
おそらく障害を持った人に忖度したのだと思いますが、これは映画です、そんな必要はありません。ですから思いっきりアルトューロもグイドに対して軽口を叩くような演出が欲しかったです。遠慮することは障害者の人たち逆に失礼に当たる場合があるからです。グイドはアルトューロのおかげで社会で働くチャンスをもらいましたから、もっと強くなるためにも二人は喧嘩しなくてはいけません。喧嘩して強くなれば社会では舐められすに生きていけます。実際の障害者を前にそのようなことはできないかもしれませんが、映画ならではの「キツイ」演出があっても良いと思うのです。なんでもかんでも弱者と決めつけて真綿を扱うようにしては人間は強くなりません。
さてさて、映画はアルトューロの過去の暴力事件や人間関係でトラブルを起こした人物が審査委員長であることが、ちょっとハラハラ感を醸し出しますが、盛り上がりに今ひとつ欠けます。できるならもっと嫌な圧力をかけてくるとか、グイドの料理道具を隠すとか、あり溢れた演出でも良いから仕込んで欲しかったです。最終的にはコンテストでは負けて、勝負には勝ったのです。これが微妙です。負けたなら負け、勝ちなら勝ちと決めて欲しいのです。ここに一種のストレスを感じました。まるでゆとり教育の「みんな仲良くしましょう」です。
余談ではありますが、イタリア映画は本当に豊かな才能で溢れていると改めて感じています。今年だけで数本のイタリア映画を観ました。『シシリアン・ゴーストストーリー』『幸福なラザロ』『ドッグマン』映画『ザ・プレイス 運命の交差点』『サスペリア』『イル・ヴォーロ with プラシド・ドミンゴ 魅惑のライブ 3大テノールに捧ぐ』『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』など。
一番印象に残っているのは『ドッグマン』です。次に『シシリアン・ゴーストストーリー』この二つは陽気なイタリア人を想像するわたしたち日本人の期待を見事に裏切ってくれました。イタリア人は本当はとても冷酷で陰険で性格も暗い人たちなのか、と感じました。実際、『ドッグマン』を観るとイタリア人は誰かに嫌われることを極端に恐れているのが描かれており、日本人のそれとは比較にならないと感じさせました。同時に毎日、生きた心地がしない世界があるとも感じました。
もちろん、すべての作品にはちゃんとしたメッセージがあります。一貫して言えるのは「人生、楽しまなきゃ意味がない」です。これは簡単なようで難しいです。わたしなどは日々の生活に必死で楽しむ暇などありません。笑うことさえ忘れがちです。でもイタリア人は根は暗いかもしれませんが、人生に笑いを持ち込むことで楽しむ方法を知っている人たちだなあといつも感心させられます。見習いたいものです。
まとめ 映画『トスカーナの幸せレシピ』一言で言うと!
「差別・偏見に気を遣いすぎると逆効果になることもある」
正直、これって経験ありませんか?体の不自由な人を見てこちらがあまりにも気を遣いすぎると逆に障害を持っている人は恐縮してしまって、周囲の目が集まって傷つくこともあるそうです。
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映画『トスカーナの幸せレシピ』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
フランチェスコ・ファラスキ
製作
ファビアノ・グラーネ ダニエレ・マッツォッカ
製作総指揮
アンドレア・ボレッラ
脚本
フィリッポ・ボローニャ ウーゴ・キーティ フランチェスコ・ファラスキ
撮影
ステファーノ・ファリベーネ
編集
パトリツィオ・マローネ
音楽
パオロ・ビバルディ
アルトゥーロ(ビニーチョ・マルキオーニ)
アンナ(バレリア・ソラリーノ)
グイド(ルイジ・フェデーレ)
マリナーリ(ニコラ・シリ)
マリオン(ミルコ・フレッツァ)
ジュリエッタ(ベネデッタ・ポルカローリ)
コラーディ(ジャンフランコ・ガッロ)
チェルソ(アレッサンドロ・ヘイベル)
2018年製作/92分/G/イタリア
原題:Quanto basta
配給:ハーク