クリント・イーストウッド監督『J・エドガー』は実話。米大統領を操った男である。ケネディーの死にも関与している。ネタバレ、感想、評価。

クリント・イーストウット作品
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「J・エドガー」
監督クリント・イーストウッド × 主演レオナルド・ディカプリオ
【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信)|J・エドガー
J・エドガー(レオナルド・ディカプリオ,ナオミ・ワッツ,アーミー・ハマー)に関する情報をこちらでご覧になれます。

J・エドガー』(138//2011

原題『J. Edgar

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アメリカの近代史はJ・エドガー無しには語れない。功績も大きいが非難の声もある。

約50年、FBI長官を務める。情報収集に全力をかけた人生。

ジョン・エドガー・フーヴァー。日本人で彼の名前を知っている人はかなりのアメリカ通である。いやアメリカ通と言うよりホワイトハウス通と言える。そしてすぐさまケネディーとかニクソンの名前を上げるのは更に更に通である。フーバーは8人のアメリカ大統領に仕えた。約50年という長期に渡ってだ。しかもFBIの長官という重要なポストで。大統領の殆どが彼を罷免するのも嫌がった。いや出来なかった。怖かったからだ。

大統領の公私に渡る情報を集めるのは朝飯前。それは国家のためだ。

それはフーパーが大統領の公私に渡ってのあらゆる情報を握っていたからである。妻子の情報も全てだ。もし大統領がフーパーに逆らうようなことがあればすぐさま個人的な情報は露呈され大統領の職も失ってしまう。(そこまで権力を握っているのならフーパーが大統領でも良いのではないかと思いも湧いてくるが、そこまでも欲はなかったのだろうし、外交的な能力は未知数だから、本人もわかっていたのだろう)あくまでもアメリカ国内の要職に就く人物たち、あるいは有名人、あるいは思想活動をしている人物の情報をファイリングしていたのだ。よって外交に関してはあまり興味がなかったように思う。あくまでもアメリカ国家のためである。

アメリカ史上、最大の英雄であったリンドバーグさえも利用した

この映画を見ていて最も私が興味を持ったのは『リンドバーグ愛児誘拐事件』についてである。この事件を機に後にリンドバーグ法が成立する。州をまたいで操作ができる。リンドバーグとはおそらく20世紀、最初で最後で最高のアメリカのヒーローであったと言える。ベー・ブルース、ジョン・ウエイン、マイケル・ジャクソンなど比ではない。途轍もない英雄である。なぜならば彼はアメリカ大陸からフランスまで無着陸で単独で飛行機を飛ばしたのだ。大西洋単独無着陸飛行だ。これがどういう異形なのか想像してみて欲しい。まだ機体の弱々しく、燃料も積めない、しかも気象情報も不正確の中、単独でフランスを目指したのだ。そして成功したのだ。たった一人で不眠不休で。それが当時、どれだけ凄いことなのかわかる。アメリカ国民は熱狂したのは言うまでもない。これによってアメリカ人に勇気と誇りを与えたのだ。リンドバーグがアメリカに凱旋した時は国中が拍手喝采で地響きが続いたそうだ。ニューヨークは一面紙吹雪で視界が閉ざされたそうだ。

当時のマスコミにモラルはない。フーバーは承知していた。そして権力を強大にした

この大ヒーローの息子が誘拐され、その操作をフーバーが担当することになった。これには本当に興味を持つ。リンドバーグの息子が誘拐された時のアメリカのマスコミはめちゃくちゃだった。モラルなど全くない。嘘、デタラメの報道を各メディアは競って報道した。これが子息の死に繋がったとも言える。リンドバーグの息子は死体として発見される。犯人は捕まったが、それが真犯人かどうかも今でもわからないほどだ。

映画を観るとフーバーはリンドバーグを利用している。この事件をきっかけに自身の権力を強大にしたのだ。

国家を私物化したと批判もあるが、間違いなくフーバーは国を愛していた。

フーパーがFBI長官として過ごした約50年はいかがであったろうか。彼は私物化したと揶揄されるが、国を愛していたのは道がいない。それは変質的な愛だ。国を守るためなら、共産主義者を徹底的に弾圧した赤狩りなどはいい例だ。その方法はとにかく問題と感じた人物の情報を集めファイリングする。そしていざという時に使うのだ。しかもそのネタを時折かざして脅迫に近いようなことをしている。それはそれで彼の生き方、生き様、仕事に対する変質的なものである証だと言える。

歳をとると感覚が鈍る。フーバーは時代に乗れなかった。

人間、歳をとると失うものがある。感覚だ。時代に順応する感覚だ。彼のことを疎ましく思う人たちの出現を読めなかった。そして自身を排除する動きを止められなかった。もう一つ歳をとるとカリスマ性が失われていく。そして病魔には勝てない。フーバーが死ぬと彼が持っていたファイリングは全て焼却されたという。

ゲイであった。もしフーバーが長期に渡ってFBI長官をやっていなかったら、ケネディー暗殺は、、、、。

もう一つ興味深いのはフーバーが人生を共にした人物は男である。いわゆるゲイであった。死後、その事実は公表されているがこの映画ではさりげなく演出されている。タラレバであるが、もしフーパーが8人の大統領に仕えていなかったら、他の誰かが長官をやっていたらと言う話が度々持ち上げるが、正直言ってアメリカは大きく変わっていたと思う。赤狩りも行われなかったかもしれないし、キューバ危機も違った形になっていたかもしれない。ベトナム戦争はもっと長期化したかもしれない。そして最も高い仮説を立てるならケネディーは死んでいなかったのかもしれない。フーバーはケネディー暗殺に深く関わっていたと言われている。でもケネディは女性関係の弱みがかなりあったから違う形で罷免されていただろう。今のようにカリスマ化もされたいないだろう。

情報とは武器であるし、ビジネスでもあるということ。

いずれにしてもこの映画で私たちは情報というのはとても大きな武器だ。そしてビジネスだということだ。自らの情報をSNSで流すことで良いこともあるが、悪いこともある。どちらかと言えば後者の方が多い。「情報を持ったものが世界を制する」この言葉を思い出した。クリントイーストウッドの『荒野の用心棒』の中で使われていた言葉だ。

あの映画から47年後に発表された本作。イーストイットは情報の大切さを今度はフーバーを通して伝えている。非常に恐ろしい。

情報を入手するか、発信するか、その利用法によって人間関係も変わってしまう。

今日も街のあちこちでありふれた日常の一コマとして、多くの人がスマホやカメラで情報を入手し発信している。盗撮や盗聴など犯罪スレスレのことを行っている人もいる。この映画を観るとこれほど情報が氾濫する中で誰かに情報を取られないかと心配になる自分もいる。情報が入手すればするほど不信になってくる。特に自分に近い人の情報を持つと不信感が湧き出てくる。でもいつかそれが当たり前になって無意識になり、無関心になり、無責任になってしまう。人格も変わってしまう。

情報デブになって気をつけること

情報デブという言葉はあるが、デブになってしまうと動きも重くなる。不健康になる。不健康になったらあとはどうなるかわかっていることなのに、止められないのいが人間なんだろう。

*この映画ではクリント・イーストウッドは実在の権力者を描いたが、後の実話シリーズでは市井の人たちにテーマを求めていく。

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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督
クリント・イーストウッド
製作
クリント・イーストウッド
ブライアン・グレイザー
ロバート・ロレンツ
製作総指揮
ティム・ムーア
エリカ・ハギンズ
脚本
ダスティン・ランス・ブラック
撮影
トム・スターン
美術
ジェームズ・J・ムラカミ
衣装
デボラ・ホッパー
編集
ジョエル・コックス
ゲイリー・D・ローチ

キャスト
レオナルド・ディカプリオジョン・エドガー・フーバー
ナオミ・ワッツヘレン・ガンディ
アーミー・ハマークライド・トルソン
ジョシュ・ルーカスチャールズ・リンドバーグ
ジュディ・デンチアニー・フーバー
エド・ウェストウィック
ジェフリー・ピアソン
ジェフリー・ドノバンロバート・ケネディ
アダム・ドライバー

作品データ
原題 J. Edgar
製作年 2011
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 138
映倫区分 G