映画『透明人間』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『透明人間』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『透明人間』
(122分/PG12/アメリカ/2020)
原題『The Invisible Man』
【監督】
リー・ワネル
【脚本】
リー・ワネル
【製作】
ジェイソン・ブラム カイリー・デュ・フレズネ
【出演】
エリザベス・モス
オリバー・ジャクソン=コーエン
オルディス・ホッジ
ストーム・リード
ハリエット・ダイア
マイケル・ドーマン
【HPサイト】
映画『透明人間』公式サイト
【予告映像】
映画『透明人間』トレーラー
映画『透明人間』のオススメ度は?
星4つです
エリザベス・モスが良いです
エリザベス・モスの最高作品です
「ストーキングは恐ろしい」
「女性を支配するな」
「自由に生きる」
女性の時代をテーマにしていると思います
映画『透明人間』の作品情報・概要
『透明人間』原題『The Invisible Man』2020年に公開された米豪合作のホラー映画。監督は『ソウ 』シリーズの製作や『アップグレード』の監督のリー・ワネル。主演は『ザ・スクエア 思いやりの聖域(17)』『アス(19)』のエリザベス・モス。過去の透明人間映画のモチーフを残しつつ、21世紀型の新しい透明人間として描いた秀作。「ストーキング問題」と「女性の自由」をテーマを置いている。
映画『透明人間』のあらすじ・ネタバレ
海辺に立つガラス張りの大豪邸。室内のインテリアも美術館のように美しい。ベッドに横わたる男女、セシリア・カシュ(エリザベス・モス) とエイドリアン・グリフィン(オリバー・ジャクソン=コーエン)セシリアは目を開けて静かにベッドを後にする。監視カメラの目をかいくぐって豪邸を脱出する。しかし男が目覚めて追いかけてくる。すんでのところで妹の車に乗って逃げ切る。セシリアはエイドリアンからDVを受けていたと告白する。数日後、エイドリアンが自殺したとの一報が入る。莫大な遺産を相続したセシリアだが、奇妙なことが起き始める。
映画『透明人間』の感想・内容
エリザベス・モスの最高演技を観ましょう!
この映画『透明人間』は本当に面白いです。ぜひ観て欲しいです。
主演のエリザベス・モスが素晴らしい演技を魅せてくれています。絶賛ですね。モスは最初から最後までほとんどスッピンです。
被害者か加害者かわからないほど見事な演技をします。そしてモスに対して「あなたの妄想じゃあないの?」とか「あなたの気持ちがわかる」と言った両極的な感情を持って見入ってしまうところです。
ラプンツェルは18年間自由がありませんでした
H・G・ウェルズの独創性が産んだクリエイティブ作品は多い
さて、『透明人間』をモチーフにした映画は過去たくさん作られています。『透明人間』(1933)(ジェイムズ・ホエール監督)『インビジブル』(2000)(ポール・バーホーベン監督)などが有名ですが、その他世界中を見渡せば明らかにインスパイアーされた物語が星の数ほどあります。
漫画『ドラゴンボール』にも『ジョジョの奇妙な冒険』にもそのようなキャラクターが出ていたと思います。
原作はアメリカのSF作家、H・G・ウェルズが1897年に発表した小説『透明人間』になります。
この一本の小説を源流に映像作品、アニメ、その他の創造物を生み出すこと素晴らしいことだと思います。今更ながらH・G・ウェルズの独創性に驚愕します。
女性に自由がなかった時代を描く名作です
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ストーキングの恐ろしさが如実に伝わってくる
さて、本映画『透明人間』ですが、人間の欲望をうまく取り入れています。その欲望は主に“男”のものです。
「もし透明人間になったらあなたは?」と聞かれたら大抵の人は法律に反することをするのかもしれません。
銀行強盗をするとか好きな人の家へ忍び込むとかです。本映画『透明人間』も同様です。主人公セシリア・カシュ(エリザベス・モス) に付きまといます。
そうです。完全なる「ストーカー物語」です。
過去作もストーキングをしていますが、今作は現代社会に透明人間を出現(透明なのに)させて、社会問題となっているストーキングの恐ろしさを描いている秀作と言えます。
クリント・イーストウッド監督第一弾は「ストーカー」されるDJ
最初の数分の“無音状態”でスクリーンに吸引されます
トップカットが良いです。海から豪邸へアップして行きます。ガラス張りで美術館を彷彿させるようなデザインです。建築マニアが観たら喜ぶのではないでしょうか。
男女がベッドで寝ています。セシリアが目を開けます。静かにベッドから出ます。抜き足差し足で歩きます。
もうこの場面だけで「あ、この女の人逃げるんだ」をわかります。セリフはおろか音もほとんどない演出で観客をスクリーンに吸引します。素晴らしいです。
セシリアは同居の男、エイドリアン・グリフィン(オリバー・ジャクソン=コーエン)から何らかの暴力を受けており逃げることにしたのです。
その際用いたのはジアゼパムという睡眠作用がある薬をエイドリアンに飲ませています。エイドリアンの家は厳重のセキュリティーです。
この厳重さをみると、エイドリアンが超お金持ちだとわかります。
逆にこんなお金持ちと暮らせるなら多少の我慢は必要だろうと思ってしまう自分もいます。しかしながら我慢もできないほとのDVを受けているのだろうとセシリアの血走った目から伝わってきます。
我が子は可愛いかもしれないがやりすぎは「嫌がらせ」でしょう。
精神的なDVの恐怖が忍び寄ってきます
男は光学研究の第一人者で数々の発明や商品を世の中に出して成功しています。おそらく国や大手企業からも重宝されているから収入も無限なのでしょう。
そんなエイドリアンはセシリアだけに固執しています。セシリアをずっと手元に置いて離れないようにしています。暴力で支配しています。
映画内ではセシリアを殴る場面はありませんでしたが、透明人間になって女・子どもを殴る場面がありましたからセシリアにも暴力を振るっていたのでしょう。
そして実際の暴力よりも精神的なDVの方へ物語は進んでいきます。
DVに支配された子どもを描いています
リー・ワネル監督の観客の心理をよんだ演出方法が素晴らしい
セシリアがエイドリアンの家から脱出してからエイドリアンは自殺します。有名な研究者の自殺はメディアを賑わせます。
そしてセシリアに莫大な遺産が転がり込みます。もうハッピー、ハッピーです。でもこのままでは映画として成り立ちません。
映画のプロットとしてこういう喜怒哀楽を入れるのはとても大きな効果を生み出します。
なぜならが観ているわたしたちも「そんなわけで終わらないだろう」とツッコミを入れることができて、実際に後半は途轍もない恐怖感に包まれるからです。
この演出は本当に上手いと思いました。観客の心理をよんで映画内に引き込む手法を用いるリー・ワネル監督の真骨頂だと言えます。
スポ根物語はDVが多いことは明らかです
映画『透明人間』の結末・評価
被害者から加害者に追い込まれる恐怖感
さて、物語はセシリアを被害者から加害者に追いやって行きます。警察官の友人ジェームズ・レイニア(オルディス・ホッジ)の家に身を寄せますが、奇妙なことが続発します。
ガスコンロの火が突然燃え上がったり、ベッドのシーツが外されたり、、、。セシリアは求人先の面接に行きますが、入れたはずのポートレートがありません。
そして信頼する妹から縁切り宣言されます。理由はセシリが送ったメールにありました。しかしセシリアはメールなど送っていません。
送っていたのは透明人間になったエイドリアンなのです。自体の真相がつかめたセシリアですが、誰も信用してくれません。それどころか「精神病院へ行きなさい」と言われます。
ディズニーの「受け身」の女性像のあり方を変えるきっかけになった映画です
エイドリアンは「相手が嫌がることが愛の印」と思っている
本映画『透明人間』は歪んだ愛を持ったエイドリアンがセシリアに固執して精神的苦痛を与えることが、「真実の愛」だと盲信している男の物語です。
もう“DV”どころではありません。「相手が嫌がることが愛の印」とでも思い込んでいるのです。
実際、こういうカップルは少なからずいるそうです。“いじめる側”と“いじめらる側”の役割が決められており、面前でわざと罵声を浴びせ、辱めを与えることで、お互いが性的欲求を満たしているそうです。
話は逸れますが、以前、街中で男が女の子の首に鎖を巻きつけて歩いていたのを観たことがあります。彼らにとってそれは“プレイ”とのことでした。
典型的なDV野郎です。
相手が嫌がっていることをしてはいけない
ただ本映画『透明人間』はセシリアは心底「嫌がっている」ことを忘れてはいけません。問題はそこなのです。
小さい男の子は気に入った女の子の気をひくためにわざと嫌がることをする傾向があります。でもそれは成長と共に良し悪し判断能力が備わりますから減少していきます。
でもエイドリアンにはそれがわからなかったのだろうと思うのです。天才科学者の悲しき性質も表しています。
幼少の頃のDV経験が精神的な病と招く
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心が折れなかったセシリアの勇気を応援したい
さてさて、映画は精神異常者のセシリアの暴走が続きます。
周りの人たちはセシリアに同情的な視線を送りつつ「この人間、終わった」という冷酷な態度を示します。
ここなんです。こういう社会的立場からの孤立を目論んだのがエイドリアンなのです。被害者なのにいつしか“狂気の加害者”にさせられるのです。恐ろしいです。
つまりここはエイドリアンが「やっぱり僕だけが君の味方だよ」ってメッセージを発している証しなのです。
セシリアの身になったら身の毛がよだつどころか、完全なら拘束状態であり、絶望なのです。
普通だったここで心が折れて、エイドリアンの軍門に下ると思いますが、セシリアは最後の戦いを目論むのです。
義父の性的虐待で「死にたくなった」女性、、、、
人間は「自由」が欲しいのです。そして「女性の時代」到来なのです。
結果的にセシリアが「エイドリアンに勝つ!」で終わります。勝ち負けで表現するのは稚拙と思われますが、ストーカーを退治するには戦わなければいけないということです。
本映画『透明人間』を観ていて思ったのですが、やはり人間とは「自由が欲しい」のです。誰かに支配・束縛されている人生ほど苦痛なことはありません。
地球上に生存する動植物の多くは自由に生きています(飼育動物は例外)でも文明を持った人間だけが“不自由”なのはなんとも言えない皮肉です。
支配しようとするから不自由になると思うのです。そして本映画『透明人間』は“女性の自由”を大きなテーマに上げているのを忘れてはいけません。
人類の歴史上ずっと女性は男性の支配に苦しんできました。しかしながら21世紀は間違いなく「女性の時代」です。
近作の映画『リトル・ジョー』でも映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』でも、そして映画『ハリエット』でも同様に描かれています。
そういったテーマを入れて作品を世に送り出したリー・ワネル監督の将来に期待が高まった映画でした。
DV男から逃亡しましたが「自死」してしまう女性
映画『透明人間』のキャストについて
セシリア・カシュ(エリザベス・モス)
エイドリアンの恋人。建築デザイナー。DVを受けている。完全にエイドリアンに支配・束縛されている。エリザベス・モスも演技派絶賛でした。素晴らしかったです。「逃げる、逃げる」の表情から「やっつける、やっつける」の表情に変わっていく様が最高でした。
エイドリアン・グリフィン(オリバー・ジャクソン=コーエン)
天才科学者で大富豪。光学研究の第一人者。セシリアに異常に固執している。オリバー・ジャクソン=コーエンは透明人間のためあまり姿は表していません(笑)後半に顔のアップが見られますが、とてもハンサムです。「こんな人がストーキング?」って思わせるような演技が良かったのでは。
ジェームズ・レイニア(オルディス・ホッジ)
警察官。セシリアの友人でひとり娘を愛してやまない。オルディス・ホッジは筋骨隆々で一見強そうなので、透明人間を退治してくれるのかなあと期待しましたが見当はずれでした。弱かったです。もっと見せ場があっても良かった気がします。
まとめ 映画『透明人間』一言で言うと!
「透明人間になったら?」
と勝手に妄想してみますが、今、頭に浮かぶものはないのが本音です。こんなにセキュリティーが厳重であれば透明人間であってもバレてしまいそうです。それとご飯とか面倒くさい気がします。どうやって食べてどうやって排泄するのかなあ。あ、夢がないこと書いちゃいました。
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ゾディアック事件をモチーフに、、、
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映画『テッド・バンディ』
このテッド・バンディがいたからサイコパス映画が生まれてのかも、、
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ドイツにもサイコパスはいます
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映画『シャイニング』
やはりキューブリック描くと100倍の怖さです
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映画『ドクター・スリープ』
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映画『ジョーカー』
こんなに真面目で努力しているのに、、、
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映画『透明人間』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
リー・ワネル
製作
ジェイソン・ブラム カイリー・デュ・フレズネ
製作総指揮
リー・ワネル クーパー・サミュエルソン ベア・セケイラ ジャネット・ボルトゥルノ ローズマリー・ブライト ベン・グラント
原案
リー・ワネル
脚本
リー・ワネル
セシリア・カシュ(エリザベス・モス)
エイドリアン・グリフィン(オリバー・ジャクソン=コーエン)
ジェームズ・レイニア(オルディス・ホッジ)
ストーム・リード
ハリエット・ダイア
マイケル・ドーマン
2020年製作/122分/PG12/アメリカ
原題:The Invisible Man
配給:東宝東和