映画『美女と野獣(1991)』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『美女と野獣(1991)』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『美女と野獣(1991)』(84分/アメリカ/1991)
原題『Beauty and the Beast』
【監督】
ゲイリー・トルースデール カーク・ワイズ
【脚本】
リンダ・ウールバートン
【製作】
ドン・ハーン
【出演】
ペイジ・オハラ
ロビー・ベンソン
リチャード・ホワイト
レックス・エバーハート
ディズニー映画『美女と野獣(1991)』日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』4月24日(金)よる9時00分~10時54分放送予定
第64回 アカデミー賞(1992年)においてアラン・メンケンが作曲賞を受賞したアニメーション・ミュージカルの金字塔作品
ディズニー映画史上、いえ、アカデミー史上、初めて作品賞にノミネートされた歴史的な作品です。
ステレオタイプな女性像からの脱皮を目指しています。
批判もありましたが、当時としては最大のヒットとなりました。本作の女性像が後々のディズニー映画に登場する女性たちに多大な影響を与えました。
必見です!
映画『美女と野獣(1991)』のオススメ度は?
星2つです
「人は見かけで判断してはいけない」というテーマ
ちょっと時代遅れかもしれません
女性の立場の描き方が古いです
ディズニーにとって意味のある作品です
『アナと雪の女王』のヒットにも影響ある作品です
映画『美女と野獣(1991)』の作品情報・概要
『美女と野獣』原題『 Beauty and the Beast 』ディズニーの長編アニメーション映画作品。フランスの民話『美女と野獣』(J・L・ド・ボーモン夫人版)を元に1991年に制作された。第64回 アカデミー賞(1992年)においてアラン・メンケンが作曲賞受賞している。2017年実写版としてビル・コンドン監督がエマワトソンを主演に迎えて製作されている。ディズニーが新たな女子像を目指した作品であり、後世の作品に影響を与えたと言われている。
映画『美女と野獣(1991)』のあらすじ・ネタバレ
ベルは自由闊達な女の子。読書が大好き。父親は自称発明家。街の人々からは変わり者一家と思われている。ベルの好意を寄せるのは街一番の狩の名人でハンサムな男ガストン。街の女性たちの憧れの存在である。ガストンは自分に興味を示さないベルを何とか口説き落として結婚したい。あの手この手を使って誘惑するが徒労に終わる。ある日、ベルの父親が街を出て行方不明になる。ベルは心配になり探しに行くとお城に軟禁されていた。しかも城主は恐ろしい姿の野獣だった。ベルは父親の身代わりになってお城に軟禁されることになる。野獣には秘密があった。数年前に突然現れた老女の姿をした魔法使いを「醜い」と邪険にしたことで、魔法をかけられて自身も醜い野獣にされてしまったのだ。元の姿に戻るには真実の愛を手に入れるしかない。もう時間がない。囚われの身になったベルは、野獣は、、、、。
映画『美女と野獣(1991)』の感想・評価・内容・結末
本映画『美女と野獣(1991)』を観ると、なんだか古臭いと感じる人、あるいは懐かしいと感じる人に分かれるかと思います。それもそのはずです。もうかれこれ30年近く前に製作された映画です。しかも今のようにフルCGではなく、手書きの2D作品だからです。2D作品はどこか温かみを感じるのはわたしも古い世代の人間だからかもしれません。たまにはこういう手書きのアニメを観るとスタジオで日夜問わず絵を描き続けるクリエーターの姿が目に浮かび頭がさがる思いです。
ディズニーの大ヒット作はやっぱりこれです
さて、この『美女と野獣(1991)』ですが、現在のディズニーにおける“女性”の立場において大きな影響を与えた作品であることは間違いありません。先の『アナと雪の女王』にも繋がります。ご存知の通りアナ雪ではエルザとアナは独立した強い女性として描かれています。今のディズニーには昔のようにいつも王子様を待つという女性像はありません。かつては『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』などに登場する女性たちの幸せはハンサムでお金持ちの王子様と結婚するというものでした。しかも女性たちは働きもせず、言うなれば“玉の輿”を狙うという今ではバッシングされてしまう女性たちです。最悪なのはずっと眠っていた『眠れる森の美女』です。
アラジンに登場したプリンセスは一味違います
このような女性の描き方に対して人権団体がクレームを言うのも無理がありません。女性は男性の飾り物、あるいは女性には自由意志が無い、結婚だけが女性の幸せなのかと言う意見が寄せられてディズニーは新しい女性像を作り上げたのが本映画『美女と野獣(1991)』なのです。しかしながら結果的には「結婚します」それがまた大きな論争を呼びました。なぜなら冒頭でのベルは自由闊達で読書が好きで、いつの日にか小さな村を飛び出して自立していく女性を想像させます。大きな夢を持っていると思わせながら最後は「結婚かよ」です。
ナタリー・ポートマンがダース・ベイダーと結婚します
そしてもっと手厳しいクレームが寄せられます。ベルは発明家の父の為に自らの命を差し出す“自己犠牲”を行ったことです。これは大問題です。今でいう“毒親”の支配という脅威にさらされている娘なのです。そしてもうひとつ、演出において決定的な過ちがあります。それは野獣が絶えず怒り狂って、ベルを恐怖で支配していること、そしてベルがその恐怖に抗うことができずに“仕方なく”恋に落ちてしまうという今でいうDVを彷彿させるような演出があることも忘れてはいけません。これらの理由で人権団体が食らいついたのも無理はありません。
スカーレット・ヨハンソンが演じる強い母
このようなバッシングを受けてからディズニーの女性像のあり方が大きく変わったという意味では本映画『美女と野獣(1991)』は大きく貢献したと言えるのです。これ以降のディズニーの女性は自由闊達で独立心の高いキャラクターに変貌していきます。もちろん、白人ばかりのプリンセスでしたが有色人種のキャスティングも積極的行うようになりました。実写版の『美女と野獣(2017)』も『アラジン (2019)』も黒人やインド系の人たちが多く出ています。
レイは完全なる自由を手に入れて宇宙を駆け抜けます
さて映画の感想ですが、「人は見かけで判断していけない」の一言に尽きます。傲慢に育った王子アダムは薄汚い老婆を嘲笑ったばかりに自身が醜い野獣に変えられてしまうのです。そして何年もその姿の自分に苦しみます。王子の側近たちもティーカップや時計、ろうそく、タンスなどに変えられます。魔法使いはバラの花と唯一、外界の世界を映し出す鏡だけをおいて消えます。王子が「本当の愛」を見つけることができたのなら全ての魔法が解けて元に戻れるのです。月日は流れます。期限はバラの花びらが散るまでです。
この女性は強い、無敵です
そんなある日、一人の老人がお城に迷い込みます。野獣になったアダムは老人を幽閉します。老人はベルの父親モーリスです。父が帰らないと知ったベルは助けにいきます。そして身代わりに幽閉されるのです。この展開には確かに違和感を覚えます。父が娘の身代わりならわかりますが、娘が父の身代わりというのはあまりにも可哀想です。そしてベルはあたかも野獣に身を捧げた親孝行な女性というイメージを与えてしまいます。映画の冒頭ではベルはとても強い女性です。街一番のハンサムで狩の名人で女性たちの憧れの存在であるガストンに対しては一歩も引きません。でも野獣に対しては弱々しくなっていくのです。さらに野獣がベルに恋していく様子の描かれた方がいまひとつなのです。
宇宙一のヒロインはやっぱりキャリー・フィッシャーです
野獣の側近たちは元の姿に戻りたいからベルと野獣をくっつけようと必死です。まるでここには野獣の恋愛の意思がないように見えるのです。一方のベルが野獣に心寄せていく場面はまだ許容範囲です。なんといってもお城を抜け出して狼に襲われている時に野獣が現れ大怪我をしながら、命を救ってくれたからです。ここで「人は見かけで判断していけない」というテーマが生きてきます。ベルは野獣の中にある真の優しさに気がついて愛するようになります。これはオッケーとしましょう。最終的には野獣退治に来たガストンとの死闘の末、野獣は死に絶えます。でもここでちゃんと奇跡が起きます。ベルが野獣を抱き寄せ「愛してる」と呟くことで魔法が解けて元の姿に戻ってハッピーエンドとなります。
「うーん」というか1991年当時の世相というのが現れています。「そういう時代があった」と思いましょう。ぶっちゃけガストンは粗野で乱暴者です。本を投げ捨てたり、テーブルに足を投げ出したりします。変わって野獣はどうかと言われると、ガストンと大差ありません。ベルを怒鳴り散らすし、大きな体で威嚇したり、物を壊したりします。食事をするテーブルマナーも悪いです。つまりガストンと野獣は似た者同士であり、人を支配したい側の人間です。ガストンも野獣もヴィランです。でもガストンは最後までヴィランであったのに対して、野獣は「正義の英雄」として帰って、皆に歓迎されます。この違いは何だろうと考えると「一度、差別される側になった」に尽きると思います。正直、最後は一気に勧善懲悪へ向けてのすごい速度で物語が完結した感じがします。
動物の世界でも女性が強くなっています
映画『美女と野獣(1991)』のキャスト(声の出演)について
<ベル> ペイジ・オハラ(伊東恵里)
<野獣> ロビー・ベンソン(山寺宏一)
<ガストン> リチャード・ホワイト(松本宰二)
<ルミエール> ジェリー・オーバック(江原正士(台詞)、若江準威知(歌))
<コグズワース> デビッド・オグデン・ステイアーズ(熊倉一雄)
<ポット夫人> アンジェラ・ランズベリー(福田公子(台詞)、ポプラ(歌))
<チップ> ブラッドレイ・マイケル・ピアース(山口淳史)
<モーリス> レックス・エバーハート(あずさ欣平)
<ル・フウ> ジェス・コルティ(中丸新将)
<フィリップ> ハル・スミス
<ワードローブ> ジョー・アン・ウォーレイ(近藤高子(台詞)、白石圭美(歌))
まとめ 映画『美女と野獣(1991)』一言で言うと!
「野獣といえど、元々は美男子だった」
野獣にされた王子は元々はとてもハンサムな顔でした。元の顔は実は3枚目だった、という展開にはなりませんでした。映画ですから。やっぱり夢は残さないといけませんね。ということはベルは一挙両得というか、“二兎を追う者は一兎をも得ず”ではなく二兎を得てしまったってことですね。
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映画『美女と野獣(1991)』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ゲイリー・トルースデール カーク・ワイズ
脚本
リンダ・ウールバートン
製作総指揮
ハワード・アシュマン
製作
ドン・ハーン
美術
ブライアン・マッケンティー
音楽
アラン・メンケン
主題歌
アンジェラ・ランズベリー セリーヌ・ディオン ピーボ・ブライソン
編集
ジョン・カーナカン
作詞
ハワード・アシュマン
字幕
太田直子
(Cast of Voice)Belleペイジ・オハラ
(Cast of Voice)Beastロビー・ベンソン
(Cast of Voice)Gastonリチャード・ホワイト
(Cast of Voice)Mauriceレックス・エバーハート
(Cast of Voice)Lumiereジェリー・オーバック
Cast of Voice)Mrs.Pottsアンジェラ・ランズベリー
(Cast of Voice)Godsworthデビッド・オグデン・スティアーズ
1991年製作/84分/アメリカ
原題:Beauty and the Beast
配給:ワーナー・ブラザース映画