映画『天使を誘惑』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『天使を誘惑』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
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『天使を誘惑』
(1979年製作/109分/日本)
【監督】
藤田敏八
【脚本】
藤田敏八 小林竜雄【原作】高橋三千綱【製作】大林宣彦【撮影】萩原憲治【美術】渡辺平八郎【音楽】玉木宏樹【録音】高橋三郎【照明】熊谷秀夫【編集】井上治【助監督】上垣保朗【スチル】中尾孝
【出演】
山口百恵
三浦友和
大友柳太朗 火野正平 神崎愛 津川雅彦 蟹江敬三 佐々木すみ江 中島ゆたか 岸部一徳 岡本麗 岸田森 比企理恵 結城しのぶ
【HPサイト】
映画『天使を誘惑』IMDbサイトhttps://www.imdb.com/title/tt0329670/
【予告映像】
映画『天使を誘惑』トレーラー
映画『天使を誘惑』NHK BSプレミアム放送 未定
映画『天使を誘惑』のオススメ度は?
星2つです
「うーん」褒めるところがない
映画『天使を誘惑』の作品情報・概要
『天使を誘惑』芥川賞作家・高橋三千綱が1979年に発表した小説をモチーフに映画化。山口百恵と三浦友和の主演コンビの11作目。1979年12月22日公開前に山口百恵が三浦友和との関係を「恋人宣言」した。ヒットするか否かが心配された大ヒット。監督は藤田敏八。
映画『天使を誘惑』のあらすじ・ネタバレ
佐野恵子(山口百恵) はデパートで真面目に働いている。しかし上司の岩淵薫(津川雅彦) と反りが合わず退職して田舎へと帰る。実際は恋人で翻訳家の上杉浩平(三浦友和)との煮え切らない関係に嫌気がさしたことの方が大きな理由だ。浩平は恵子の実家へ押しかけて連れ戻す。そして東京で同棲を始める。翻訳の収入だけではやっていけないことから恵子は喫茶店でアルバイトを始める。浩平の友人・松田豊(火野正平)の結婚式に出席した際、岩淵と大乱闘を起こす浩平に辟易するが、恵子はついていくしかない。浩平は出版社の女性と浮気をする。恵子は知っているが黙っている。そして恵子は妊娠してしまう。普段から「結婚なんかしない、子どもも要らない」という浩平に内緒で堕胎する。それを知った浩平は激しく恵子を責める。
映画『天使を誘惑』の感想・内容
山口百恵&三浦友和コンビが「恋人宣言後の初映画」です。コンビとして11作本目となります。山口百恵さんが三浦友和さんとのデートをスクープされて、「恋人宣言」をしたのは昭和54年10月20日と言われています。本映画『天使を誘惑』の公開は1979年12月22日です。百恵さんファンが離れてしまうのではないかと危惧されましたが、映画はヒットしています。これも新しいアイドル像を確立した百恵さんの生き方が支持された結果だと思います。まあ、お二人が付き合っているというのは、もう周知の事実であり、今更という感じだったと思いますが、やはり「潔く」恋人宣言をやってのけたのは好感度を上げるきっかけになったと思います。その後のアイドルたちの恋愛事情に大きく影響を与えたと思います。
さてさて、本映画『天使を誘惑』の評価は正直言って「微妙」なんです。もっと上手く撮れなかったのだろうかと感じるのです。ドタバタ感があるというか、「てんやわんや」した割には、「なんだこりゃ?」って感じで終わるのです。これは決してディスるわけではありませんが、大林宣彦さんの影響があると思います。映画『ふりむけば愛』で監督、映画『ホワイト・ラブ』では出演他、そして本映画『天使を誘惑』では製作を担当しています。何となく大林監督の色合いが強く出ています。その最たる例が乱闘場面を入れるところです。『ふりむけば愛』もサンフランシスコのバーで友和さんが乱闘します。周りにいた他の客も参加します。アメリカ映画によくある演出なんです。『ホワイト・ラブ』では流石に大きな乱闘はありませんでしたが、大林監督が出演していて、横暴なディレクターを演じています。今なら間違いなくパワハラです。そして本映画『天使を誘惑』でも、友和さんが激しい乱闘を行なっています。相手は何と、津川雅彦さんなんです。最先端のハリウッドの演出を取り入れることは素晴らしいのですが、「もっと工夫して欲しい」と言うのも本音です。
映画『天使を誘惑』の考察・評価
本映画『天使を誘惑』は高橋三千綱さん発表の小説をモチーフにしています。1978年発表の『九月の空』で芥川賞を受賞していますから、この時は「ノリノリ」だったと思います。映画ビジネスとしても話題の小説家の新作を映画化することでヒットを狙ったのは当然と言えます。しかし百恵&友和コンビの過去作は割と文芸作品の色濃い映画の中で、本映画『天使を誘惑』と『ふりむけば愛』映画『ホワイト・ラブ』はちょっと浮いている印象があります。なんか物語が「軽い」のです。
本映画『天使を誘惑』の物語をざっくり言ってしまうと「俺、結婚する気ない男。でも同棲する女が欲しい。もちろん、他の女とも遊ぶ。子ども要らないよ。勝手に中絶しやがって」となります。これは上杉浩平(三浦友和) 側からの目線です。佐野恵子(山口百恵) 目線だと「結婚してくれないから田舎へ帰りました。こっちで代議士の息子を結婚するかも。あなたが来るって知ってたわ。貧乏だけど一緒にいるだけで幸せ。わたし、子ども出来た。産みたいけど、産んだらあなたに捨てられるから堕ろしてきました」となるのです。よく考察してみると典型的な“男尊女卑”映画です。今では問題になるような女性の描き方です。「女はいつも待っているもの」「女は男を支えるもの」「女の幸せは結婚にある」「女の人生は男に寄り添うこと」など、現代では到底考えられない生き方をしています。でも、これが当時の社会だったと思って観るしかないのです。本当にデリカシーのない映画になっています。友和さんのイメージダウンになってもおかしくないキャラクターです。
映画『天使を誘惑』の結末
最後の二人は一応、元の鞘に戻って終わる印象になっています。映画の概要を読むと、二人は「本当の愛に気がついた」などとなっています。うーん?って感じなのです。タイトルの『天使を誘惑』の天使っていうのは何を指すのかもいまひとつわからないのです。百恵さん演じる佐野恵子なのでしょうか。それとも三浦友和演じる上杉浩平でしょうか。わからないのです。本映画『天使を誘惑』の次作はいよいよ百恵&友和コンビの最後の映画『古都』になります。巨匠・市川崑監督の登場です。作品のクオリティーは天と地のほどの差が出ます。原作に力があるか否かもありますが、やはり監督の手腕によって映画は良くも悪くもなります。監督の手腕とは役者の魅力をどうやって引き出すかにかかっています。本映画『天使を誘惑』ではまったく輝きがありませんでした。でも『古都』は絶賛です。その輝きの前の一休みと考えれば本映画『天使を誘惑』の出来は納得できます。
映画『天使を誘惑』のキャストについて
佐野恵子(山口百恵)
上杉浩平(三浦友和)
上杉朔太郎(大友柳太朗)
松田豊(火野正平)
白石妙子(神崎愛)
岩淵薫(津川雅彦)
佐野正男(蟹江敬三)
佐野里子(佐々木すみ江)
吉沢静世(中島ゆたか)
徳山君彦(岸部一徳)
藤原キヌ子(岡本麗)
編集長(岸田森)
女子中学生(比企理恵)
寺西フミ子(結城しのぶ)
まとめ 映画『天使を誘惑』一言で言うと!
「女性を大事にしなさい」
今はジェンダーレスと言われていますが、やはり男性は女性を大事にしなければいけないと思います。それは男性は女性より、肉体が強いからです。暴力は絶対にダメです。
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【山口百恵文芸シリーズ】
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山口百恵と三浦友和のゴールデンカップルの始まり!
映画『潮騒 しおさい(1975)』
山口百恵も良いが漁師の三浦友和の男気が最高です
映画『絶唱(1975)』
もう「絶望的」としか言いようがない映画です
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映画『風立ちぬ(1976)』
昭和初期の上流階級の二人の悲恋
映画『春琴抄(1976)』
山口百恵&三浦友和が谷崎文学に挑む!
映画『泥だらけの純情(1977)』
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映画『霧の旗(1977)』
山口百恵さんの「悪女」は最初で最後
映画『ふりむけば愛』
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映画『絶唱(1975)』
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映画『エリカ38』
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映画『ホタル』
高倉健さん自身が“昭和の男”の代表でした
映画『天使を誘惑』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
藤田敏八
脚本
藤田敏八 小林竜雄
原作
高橋三千綱
製作
大林宣彦
撮影
萩原憲治
美術
渡辺平八郎
音楽
玉木宏樹
録音
高橋三郎
照明
熊谷秀夫
編集
井上治
助監督
上垣保朗
スチル
中尾孝
佐野恵子(山口百恵)
上杉浩平(三浦友和)
上杉朔太郎(大友柳太朗)
松田豊(火野正平)
白石妙子(神崎愛)
岩淵薫(津川雅彦)
佐野正男(蟹江敬三)
佐野里子(佐々木すみ江)
吉沢静世(中島ゆたか)
徳山君彦(岸部一徳)
藤原キヌ子(岡本麗)
編集長(岸田森)
女子中学生(比企理恵)
寺西フミ子(結城しのぶ)
1979年製作/109分/日本
配給:東宝