映画『WAVES ウェイブス』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『WAVES ウェイブス』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『WAVES ウェイブス』
(135分/PG12/アメリカ/2019)
原題『Waves』
【監督】
トレイ・エドワード・シュルツ
【脚本】
トレイ・エドワード・シュルツ
【製作】
ジェームズ・ウィルソン ケビン・チューレン トレイ・エドワード・シュルツ
【出演】
ケルビン・ハリソン・Jr.
ルーカス・ヘッジズ
テイラー・ラッセル
アレクサ・デミー
ニール・ハフ
【HPサイト】
映画『WAVES ウェイブス』公式サイト
【予告映像】
映画『WAVES ウェイブス』トレーラー
映画『WAVES ウェイブス』のオススメ度は?
星4つです
映像と音楽が抜群です
前半と後半の対比も素晴らしい
「誰か手を差し伸べてあげれば」
「エミリーには幸せになってほしい」
カニエ・ウエストが楽曲提供
映画『WAVES ウェイブス』の作品情報・概要
『WAVES/ウェイブス』原題『Waves』は2019年のアメリカ合衆国の青春映画。トレイ・エドワード・シュルツ監督。主演は『ルース・エドガー』のケルヴィン・ハリソン・Jrと『エスケープ・ルーム』テイラー・ラッセル。共演は『ある少年の告白』『ベン・イズ・バック』のルーカス・ヘッジズ。音楽はトレント・レズナー アティカス・ロス、その他カニエ・ウエストも提供している。
映画『WAVES ウェイブス』のあらすじ・ネタバレ
フロリダで高校に通うタイラー・ウィリアムズ(ケルビン・ハリソン・Jr.)は成績優秀、スポーツ万能で校内のスター。家もお金持ちで校内一の美女アレクシス(アレクサ・デミー)と付き合っている。しかし肩の怪我を隠してレスリングの試合に出場し負けたことから一変していく。酒、ドラッグに溺れ、アレクシスの妊娠発覚。両親とも亀裂。自暴自棄になってアレクシスを殴ってしまう、、、、。エミリー・ウィリアムズ(テイラー・ラッセル)は兄のせいで友だちもいなくなりひとり寂しい高校生活を送っている。そしてルークという青年が近づいてくる。
映画『WAVES ウェイブス』の感想・内容
良い映画ですが「後味」が悪かった
本映画『WAVES ウェイブス』は予告を観てとても楽しみにしていました。
まず映像がとても美しかったからです。ポスターもチラシもとてもアーチスティックな印象を持ちましたし、何と言っても映画『イット・カムズ・アット・ナイト』のトレイ・エドワード・シュルツ監督の新作というのも魅力でした。
そして鑑賞した感想は「やり切れない気持ち」を今でも引きずっています。ずっと後ろ髪を引かれているような、、、。
良い映画なのですが、悪い言い方をすれば「後味が悪い」となります。
ケルビン・ハリソン・Jr.の演技の深さには驚かされます必見!
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「誰か助けてあげて」と願いながら観る映画
さて、本映画『WAVES ウェイブス』は黒人差別を全面に出しながらも果敢にチャレンジする若い男女の物語なのかなあと思っていました。
ぶっちゃけ「差別と戦う恋愛青春物語」をイメージしていました。
しかし、事はそんなに単純ではありませんでした。結構、重たい話になりました。
そして「誰か助けてあげてよ」とか「報われない」などの言葉をスクリーンに発し続けました。
タイラーは文武両道でお金持ちで恋人も美人
アメリカ・フロリダに住む高校生タイラー・ウィリアムズ(ケルビン・ハリソン・Jr.)は成績優秀でレスリングでもスター選手。
おまけに学内で一番の美女アレクシス(アレクサ・デミー)を恋人に持っている。家もお金持ちで申し分ない存在です。
文武両道であることから大学からの奨学金の獲得も期待できます。しかしタイラーの父ロナルド・ウィリアムズ(スターリング・K・ブラウン)はとても厳しい。
自身は貧しい境遇から努力して不動産事業で成功させたことを誇りに持っており、タイラーに対して「お前もそうあるべきだ」と押し付けてきます。
学業においてもレスリングにおいてもロナルドは口を出し続けます。
ルーカス・ヘッジズは2枚目でも3枚目でも怪優もできる
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自分の考えで人生設計したいのに、、、父が、、、
タイラーとしてはもう18歳であり、自分の考えで人生を歩んでいきたいのですが、父親には逆らえません。
実はタイラーと妹のエミリー・ウィリアムズ(テイラー・ラッセル)はロナルドの前妻との子どもで、継母レネー・エリス・ゴールズベリー(キャサリン・ウィリアムズ)と少し距離があります。
でもレネーは心優しく二人を実の子どものように可愛がっています。
肩の怪我について父親に相談できなかったことも、、、
タイラーには秘密がありました。まず肩の怪我です。痛みが中々引きません。父親が服用している痛み止めを隠れて摂りますが、痛みは治まりません。
そして一人で病院へ行きます。診察の結果、肩関節に障害があり、レスリングを辞めるように言われます。
タイラーにとっては死活問題です。何故ならばもうすぐレスリングの大会があり、そこで優秀な成績を出せば大学への奨学金獲得が決まるからです。
タイラーは怪我のことを隠して大会に出ます。しかしながら試合中に肩を壊して負けます。ここからタイラーのすべてが狂っていきます。
障害のある恋愛と言ったらこの14歳の女の子です
自暴自棄でドラッグはNGでしょ!
もう自暴自棄状態に入っていきます。恋人のアレクシスだけが心の拠り所ですが、なんと彼女から妊娠していると告げられます。
「堕ろすか、産むか」で二人は大喧嘩して別れます。レスリングを失い、恋人も失ってタイラーは酒、ドラック街道真っしぐらです(ここで親が気がつくべき)
クラブへ行ってドラックをやって堕落して行きます。しかも堕落していけばいくほどアレクシスへの思いが募ります。
彼女が参加しているパーティーを突き止め、タイラーは乗り込みます。
タガが外れた人間は弱いもの、、、
酒とドラッグで勢いついたタイラーはアレクシスに復縁を迫りますが、一蹴されます。そしてアレクシスを殴りつけます。
結果、アレクシスとお腹の子どもは死んでしまいます。もう観ていて絶望的な気持ちになってきます。
こうなる前に誰かに相談すべきなのです。タイラーのように頭が良い人間であるのなら、思慮深く考えて欲しかったのです。
でもひょっとしたらここに監督の狙いがあったのかもしれません。一旦、タガが外れると人間というのは脆いもので、知性的な方向感覚が鈍ってしまうのかもしれません。
ここを踏ん張るか踏ん張らないかで人生は大きく変わることを表現しているのだと思います。結果的にタイラーは終身刑となります。
好きになった人は年上の学生さん「好きなんて言えない」
映画『WAVES ウェイブス』の結末・評価
妹のエミリーの孤独をいやすのは、、、
タイラーが犯罪者となったウィリアムズ一家も激変してます。ロナルドの仕事も低迷します。レネーも苦悩します。
そして一番の辛い思いをするのは妹のエミリーです。兄が高校のスーパースターであった時は自慢でしたが、今は殺人犯の妹で友だちもいません。
一人心閉ざしてノイ高校生活です。しかしこのエミリーに興味を持つ青年が現れます。ルーク(ルーカス・ヘッジズ)です。
兄タイラーと同じレスリング部です。最初こそルークを警戒していましたが、ルークの優しさにほだされて恋人関係へと発展して行きます。
前半タイラー、後半エミリーの構成がとても良い
ここです、ここなんです。前半はタイラー、後半はエミリーの物語に二分しているのが本映画『WAVES ウェイブス』の魅力だと思うのです。
タイラーの物語は音楽のテンポと色彩豊かな映像で映し取っています。エミリーの物語はテンポと色彩は少しまどろみますが、映像はとてつもなく美しいのです。
この構成は素晴らしいと思います。
オードリー・ヘプバーンはかなり年上の男性に恋します
ルークの本心はなに?と思わせる演出が良い
さて、エミリーの物語が始まってルークが登場した時の違和感が絶妙でした。
ひょっとしてこの男は「エミリーをからかっているのか」あるいは「弄ぶつもりだろう」などと思わせる雰囲気だったのです。
これはルーカス・ヘッジズのなせる技かもしれません。ですからエミリーとルークが恋人関係に発展するまではハラハラドキドキしてしまいました。
しかし結果的にルークがエミリーを愛していたのでホッとしました。
父親の価値観の押し付けは問題なのでは、、、
さて、本映画『WAVES ウェイブス』を観て、最終的に感じたのはやはり父親であるロナルドの責任はいかに?です。
確かに幼い頃、苦労したかもしれません。その後、努力してビジネスで成功したかもしれません。
でもそれを子どもに押し付けるのは見当違いです。つまり時代が違うのです。
タイラーはタイラーの自我の元、人生を設計したいのです。
信頼できる父親であるなら肩の怪我のことも、恋人が妊娠したことも相談できたはずなのです。ここが勿体ないです。
父子が友だちみたいな関係を望みませんが、何歳になっても子どもを支配してはいけません。ある意味、「毒親」です。
雨の中で繰り広げられる少年少女の恋愛(レイン)物語
人工中絶問題についての描写の意味は
もうひとつ、見逃せない点があります。人口妊娠中絶についてです。
アメリカでは中絶手術の是非については大統領選挙の行方を左右するほど大きな問題です(もちろん日本でも命に関することですから大きな問題です)
タイラーとアレクシスが病院を訪れた際に中絶反対者たちが罵声を浴びせる場面がありました。
この中で中絶を関係ないのに「くたばれ、ニガー(黒人)」と言っていたところに違和感を覚えました。
命の尊さを訴える人が黒人の人権を軽んじる発言をしているからです。
これが監督のトレイ・エドワード・シュルツの狙い、つまり「差別はいけない」というメッセージであったのなら素晴らしいと思います。
高校時代の人をずっと好きでいられるなんて羨ましい、、、
映画『WAVES ウェイブス』のキャストについて
タイラー・ウィリアムズ(ケルビン・ハリソン・Jr.)
成績優秀。スポーツ万能のスター。厳格な父親との距離に悩んでいる。ケルビン・ハリソン・Jr.は良かったです。『ルース・エドガー』の不信感を抱くような演技も抜群でしたが、本作では思いっきり喜怒哀楽を表現していたのが素晴らしかった。
ルーク(ルーカス・ヘッジズ)
高校生。幼い頃父親からDVを受けている。エミリーに好意を寄せる。ルーカス・ヘッジズはいまアメリカの若手俳優で最も期待される存在だと思います。ハンサムな中に“危ない”輝きを放ってきます。どこまで信じて良いのかわからなくさせる演技は秀逸です。
エミリー・ウィリアムズ(テイラー・ラッセル)
高校生。タイラーの妹。テイラー・ラッセルは横顔の寂しさが良いですね。押し黙り、孤独感を存分に出していました。そして愛してくれる人には愛情たっぷりでした。
アレクシス(アレクサ・デミー)
高校生。タイラーの恋人。妊娠します。アレクサ・デミーは美しいですね。「ファック・ユー」を連発していました。迫力ありました。
ロナルド・ウィリアムズ(スターリング・K・ブラウン)
タイラーとエミリーの父親。厳格。自分の価値観を押しつける。スターリング・K・ブラウンの演技は恐ろしいものがありました。頑固で偏屈というイメージから最後の涙を見て優しさもある人だと感じました。
まとめ 映画『WAVES ウェイブス』一言で言うと!
「心から相談できる“たったひとり”を見つけよう」
もし究極の悩みを持ってしまったら誰にも相談できないのでしょうか。法律に抵触しそうなやましいことであったなら、そうなるかもしれません。でも大抵のことは誰かに相談することで心が楽になり、良い方向へ進むと思います。悩まずに相談を。
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映画『WAVES ウェイブス』の作品情報
スタッフ・キャスト
監督
トレイ・エドワード・シュルツ
製作
ジェームズ・ウィルソン ケビン・チューレン トレイ・エドワード・シュルツ
製作総指揮
ジェイコブ・ジャフク
脚本
トレイ・エドワード・シュルツ
撮影
ドリュー・ダニエルズ
美術
エリオット・ホステッター
衣装
レイチェル・ダイナー=ベスト
編集
アイザック・ハギー トレイ・エドワード・シュルツ
音楽
トレント・レズナー アティカス・ロス
音楽監修
ランドール・ポスター メーガン・カリアー
タイラー・ウィリアムズ(ケルビン・ハリソン・Jr.)
ルーク(ルーカス・ヘッジズ)
エミリー・ウィリアムズ(テイラー・ラッセル)
アレクシス(アレクサ・デミー)
ニール・ハフ
クリフトン・コリンズ.
レネー・エリス・ゴールズベリー(キャサリン・ウィリアムズ)
ロナルド・ウィリアムズ(スターリング・K・ブラウン)
2019年製作/135分/PG12/アメリカ
原題:Waves
配給:ファントム・フィルム