
『アルキメデスの大戦』(130分/日本/2019)
映画『アルキメデスの大戦』のオススメ度は?
星2つ
第二次世界大戦がおわって74年。
戦争は反対です。
そのことを念頭に観に行きましょう。
映画『アルキメデスの大戦』の作品概要
日本のVFXの第一人者である山崎貴監督作品。主演は若手ナンバーワン俳優菅田将暉が天才数学者を演じる。彼の目的は戦争を阻止すること。巨大軍艦建設における入札と不正も描いている。舘ひろしが山本五十六を演じている。
映画『アルキメデスの大戦』のあらすじ・ネタバレ
戦争の足音が聞こえてきた昭和初期。この先、アメリカとの戦いをいち早く想定していた。日本海軍は世界に誇る強い軍艦を必要としていた。しかし海軍の中の派閥争いもあり、二つの軍艦の案件が出されていた。お互い潰すために奔走する。戦争大反対の天才数学者が軍艦建造阻止のために動く。
映画『アルキメデスの大戦』の感想・評価・内容・結末
この映画をとても楽しみしていたからちょっと残念な気持ちである。まず菅田将暉さんが出るから観たのだ。予告がとても印象的だった。「数学で戦争を止めようとした男」などのコピーに惹かれた。誰でも戦争は嫌だ。絶対にしてはいけないと思う。だから本作は反戦映画だと思って観に出かけた。でも、結局は「反戦」への強いメッセージは感じなかった。『空母いぶき』よりは良かったが、消化不良の映画であることは間違いない。
冒頭の戦闘シーンは果たして必要だったのかわからない。VFXが得意な監督だから一番力を入れたのは間違いないが、あの悲惨な戦いが後半に生きてこないからだ。戦艦大和は沈むのはわかっているから悲しいのだ。何の罪もない若者が犠牲になるから涙するのだ。だから観てしまうのだ。この悲しさを背負って進めて行かなければ、、、
さて、気分を入れ替えて観た。何と言っても菅田将暉さんが良い。彼は青山真治監督作品の『共食い』から劇的に変わった。とても良い俳優だ。彼の演技がなかったら寝てしまうところだった。グイグイ引き込んでいく。「戦争は嫌いだ、反対だ」「絶対してはいけない」などの言葉にこちらも頷く。すごく良かった。
映画はつまり、巨大軍艦を作るに当たっての入札を巡る駆け引きの物語だ。現代社会のゼネコンをイメージすると良いだろう。タワーマンションを建てるのにどこが安く請け負うかを入札で競う。昔も今も変わらない。そしてそこにはきな臭い匂いがするものだ。
私が映画を観る際、一番大切にしたいのは人間成長物語があるかないかである。正直、この映画ではあまり成長が感じられないのだ。菅田将暉君演じる数学者は反戦家であったのに結局は戦争に加担することになる。成長というより退行している。本当に戦争反対であるならそれを貫いて欲しかったのだ。
映画は実話ではない。完全なフィクションである。山本五十六の描写も酷いものになっている。「え、すべて計画通りだったの?本当は戦争したかったの」って感じだ。もう少し人間描写をしっかりと描いて欲しいと思った。
映画『アルキメデスの大戦』まとめ 一言で言うと!
人間描写が甘い。
あれだけ戦争が嫌いだった数学者が、なぜ戦争に加担することになった心情光景が描けてない。
合わせて観たい映画
【残念な反戦映画】
映画『空母いぶき』
忖度してしまった映画

映画『アルキメデスの大戦』の作品情報
スタッフ
監督
山崎貴
原作
三田紀房
脚本
山崎貴
製作
市川南
エグゼクティブプロデューサー
阿部秀司
山内章弘
プロデューサー
佐藤善宏
守屋圭一郎
ラインプロデューサー
阿部豪
撮影
柴崎幸三
照明
上田なりゆき
録音
藤本賢一
美術
上條安里
装飾
龍田哲児
VFX
山崎貴
VFXディレクター
渋谷紀世子
衣装
水島愛子
ヘアメイク
宮内三千代
編集
宮島竜治
音楽
佐藤直紀
カラーグレーター
齋藤精二
音響効果
岡瀬晶彦
特機
奥田悟
キャスティング
梅本竜矢
スクリプター
阿保知香子
助監督
安達耕平
制作担当
櫻井紘史
プロダクション統括
佐藤毅
キャスト
菅田将暉櫂直
柄本佑田中正二郎
浜辺美波尾崎鏡子
笑福亭鶴瓶大里清
小林克也大角岑生
小日向文世宇野積造
國村隼長野修身
橋爪功嶋田繁太郎
田中泯平山忠道
舘ひろし山本五十六
作品データ
製作年 2019年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 130分
映倫区分 G
ハッシュタグ
#アルキメデスの大戦
オフィシャルサイト