実話『バイス』と『記者たち 衝撃と畏怖の真実』でイラク戦争の嘘が見えてくる。ネタバレ、感想、評価

2019年製作
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ライター様向けオリジナルマニュアル

『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(91//2017

原題『Shock and Awe

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戦争というのは結局弱いものいじめ “勝てば官軍”で済ませて良いのだろうか

政府というビジネス メディアという無責任 国民という無知 

映画『バイス』を観た後、この映画を観るとさらに当時のアメリカ合衆国のことがよくわかる。ホワイトハウスのこともわかるし、アメリカ国民のこともわかる。そして何よりもメディアのことが如実にわかってくる。完全に狂気の沙汰である。メディアと言うの心底、無責任と痛感する。調子が良すぎる。非なる情報を流してもそれを認めることは滅多にない。「政府の発表を信じた」という言い訳で終わらせてしまう。

そもそも大量破壊兵器という言葉は誰が言い出したのか

しかしこの映画は小さな新聞社であるナイト・リッダー社が正しかったことをイラク戦争終結から10数年後に検証する物語である。9.11が起きて2003年イラク戦争が起きるまでの過程をアメリカの大手メディアである、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムス、CNNABCは一方的に政府よりの報道をして行く。『バイス』を観た人はわかっていると思うが、当時のブッシュ政権の重鎮たちのチェイニーとラムズフェルドらが中心となってイラク戦争へと突入していったのだ。イラク戦争へ突入する大義名分は、イラクが大量破壊兵器を保持しており、核兵器を世界に飛ばす危険性がある。フセインは危険であり、このまま野放しにしておけばアメリカも危ない、だから今のうちにイラクを叩くという嘘をでっち上げた。そして本当に大量破壊兵器があるのかどうかはわからないまま戦争に突入していくのである。

政府の最大の武器は情報操作技術だということ

チェイニー、ラムズフェルドは米国民は元より世界の人に信じ込ませようと巧みに情報操作を行った。人間と言うものは騙されやすい。騙す時は難しい言葉を使わなくてもいいのだ。出来るだけ簡単な言葉を連呼するのが効果があるらしい。この時は「イラクに大量破壊兵器あり」だ。それが嘘であろうとデマであろうと大多数が支持していけば自分もそちらの方へいつの間にか流されてしまうのだ。日常生活においても、電車の乗り口で人の流れが多い方へいつの間にか流れていく経験をした人も多いだろう。

正義ある報道が弾圧されることもある

多くのメディアが政府の見解をそのまま報道しているのに対し、ナイト・リッダー社だけは独自の取材を通してイラクに大量破壊兵器などないと発表した。その報道自体が今度は叩かれる結果となっていまう。国民からも他のメディアからもバカにされる。

結局、フセインは大量破壊兵器を持っていなかった。誰が責任を取るのか?

結果的にアメリカはイラク戦争に突入しイラクを破壊し尽くした。しかし大量破壊兵器など見つかってはいない。そのことに異議を唱えアメリカを叩く国もなかった。少しはあったがすぐに沈静化された。つまり勝てば官軍なのだ。フセインは捉えられやがて処刑された。フセインが本当に悪の人物だったかどうかさえわからない。裁判でも平等で、人権を尊重した裁判であったかどうかもわからない。

大国の逆らうことができないジレンマを抱えて生きていかなければならない

つまり第二次大戦以降、この世界は結局は大国が牛耳っているのだ。五大国である。右と言えば右へと従わざる得ないのだ。もしアメリカを倒そうとする国が出てくれば、世界は一瞬で変わるかもしれない。でもその国もいずれはアメリカと同じことをするだろう。上?に立ったら支配したいのだ。

この映画の原題を日本語に訳すと『衝撃と畏怖』となる。わかりにくい。これはイラク戦争の作戦名だ。

子どもたちの鏡になるように生きていたいものだ

現実として真実を追い求めるジャーナリストは絶対に必要である。とても重要だ。いつも長いものに巻かれるような生き方をしたくない。子供たちに恥ずかしい姿を見せたくないのだ。嘘をつくと後々、やましい気持ちが残る。そのやましさは子どもたちの軽蔑の眼差しを作ることになる。信頼を失うのだ。そうなると家庭も学校も街も、そして国家の未来にも影響を与えるだろう。墓穴を掘らないためにも真実に目を向ける姿勢でいたいものだ。幸いこの映画ではそのアメリカでも骨太である人間、知性教養ある人間がメディアの中にいると言うことが救いだ。

誰がこの戦争で一番儲けたのか知りたい

しかしだ、この映画を見ていると確かにナイト・リッダー社の記者を賛否する映画としか受け取れないのだ。私が知りたいのはなぜ当時のブッシュ政権のチェイニーやラムズフェルドがイラク戦争へ突入して行ったのかである。そこにはどのような利益があったのか、更に誰がどれくらい儲けたのかと言うことを知りたいのだ。儲かるから彼らが戦争をしたという事実を知りたいのだ。それを知ることで、あのイラク戦争の意味がわかってくる。この映画ではそれを追求していない。それが勿体ないのだ。

最後の最後にピースを埋めて欲しかった

ジャーナリストも恐らく何かをつかんだのであろうが、特殊な理由で報道できなかったのだ。是非とも知りたい。この映画をパズルを埋めるように観ていたのだが、大きなピースがど真ん中にポッカリ空いてしまっている。それが残念だ。

以下、ウッディ・ハレルソン出演作品

『ガラスの城の約束』

映画『ガラスの城の約束』ネタバレ・あらすじ 毒親 ネグレクト 虐待 過保護 過干渉 こんな両親いらないと思った作品
社会と隔絶するように生きる家族。父親はアル中で無職、母親はアーティスト気取りで家事も育児もしない。子どもは4人。彼らの世界はこの毒親になる。飲んだくれで暴言を吐く父親に洗脳されているかのようで、父親を尊敬、崇拝している。しかし成長するにつれて一家がおかしいと気づく。そして家を脱出する。毒親、ネグレクト、ハラスメント。
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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督 ロブ・ライナー
製作 マシュー・ジョージ ロブ・ライナー ミシェル・ライナー エリザベス・A・ベル
製作総指揮 マーティン・シェイファー ウェイン・マーク・ゴッドフリー ロバート・ジョーンズ アラステア・バーリンガム トニー・パーカー クリストファー・H・ワーナー
脚本 ジョーイ・ハートストーン
撮影 バリー・マーコウィッツ
美術 クリストファー・R・デムーリ
衣装 ダン・ムーア
編集 ボブ・ジョイス
音楽 ジェフ・ビール
字幕監修 池上彰

キャスト
ウッディ・ハレルソンジョナサン・ランデー
ジェームズ・マースデンウォーレン・ストロベル
ロブ・ライナージョン・ウォルコット
ジェシカ・ビールリサ
ミラ・ジョボビッチヴラトカ・ランデー
トミー・リー・ジョーンズジョー・ギャロウェイ
ルーク・テニーアダム・グリーン
リチャード・シフ

作品データ
原題 Shock and Awe
製作年 2017
製作国 アメリカ
配給 ツイン
上映時間 91
映倫区分 G

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