映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』ネタバレ、評価、感想。イギリス王室の王位継承権争いの物語

2019年製作
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映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』公式サイトとYouTubeを参照ください。

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『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』124//2018
原題 Mary Queen of Scots

監督:ジョージー・ルーク
製作:ティム・ビーバン エリック・フェルナー デブラ・ヘイワード
出演:シアーシャ・ローナン マーゴット・ロビー

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古今東西、世界で起きている争いの始まりは嫉妬からだ。それが憎悪、やがて戦争へとつながる

イギリス王室の映画を観だすとクセになってしまう自分がいる

イギリスの王室物の映画である。昨年から何本か見ている。『ヴィクトリア女王 最期の秘密』『女王陛下のお気に入り』その他『エリザベス』『英国王のスピーチ』『ダイアナ』等。一度、王室映画にハマる観ずにいられない。大体こういう物語は内部の権力紛争を描いたものが多い。自らの面子、プライドを損なわれないように懸命に戦う。そして相手を打ち負かすことによって自らの地位を守るというのが本流だ。

メアリーとエリザベスは従姉妹であるが、結局は争う運命に踊らされる

16世紀のイギリスは南北にとイングランドにスコットランド収められていた。国家は1つであるが元首は2人いた。スコットランドを収めるメアリー、イングランドを収めるエリザベス。2人とも血縁で結ばれているが正当な王位継承権をどちらが持つかを争うことになった。一応、年長のエリザベスが女王の座についている。エリザベスは結婚しておらず、子どももいないことから次代の王位の行方が焦点になってくる。

若く美しいメアリーと病気で醜いエリザベスの戦い

メアリーはイギリス生まれだが若くしてフランスに嫁いだ。伴侶が死にスコットランドに戻った。出戻りだ。エリザベスにとっては厄介な存在になる。メアリーは当然のことながら王位を継承したい。そのためにエリザベスに王位継承権をせがむ。エリザベスの次に順位だ。しかしエリザベスの側近たちはスコットランドに渡したくない。何とかしてそれを阻止しようとする。メアリーはスコットランドの王族の血を引く男と結婚する。ろくでなしだ。そして子供を産む。男の子だ。

王位継承権を得るために結婚し子供を産む

そしてメアリーは自らの王位継承権を譲る条件としてエリザベスに自身の息子の代母になってくれとお願いする。エリザベスも快諾し一見落着のはずだった。さあ、そこからがこの物語の本編の始まりとなる。側近たちの策略が始まるのだ。今の時代も昔も同じだ。デマや嘘の情報を流しイメージダウンを図る。人間というのは簡単に騙すことができる。先に観た映画『バイス』でもそうだった。

かつて敵だったメアリーを守ることになったエリザベス、心中はいかに

命からがら逃げたメアリーはエリザベスの元、イングランドでまるで幽閉されたように暮らす。何年も平和にいや監視されて過ごした。しかしだ、イングランド側としてはメアリーは不要な人間だ。メアリーが過去においてエリザベスに謀反を企てた証拠を探し出す。エリザベスはメアリーの処刑にサインをして葬る。これでイングランドとスコットランドが安泰になる。

情報を制する者が世界を制する

大義名分を探すために本当に小さなことを見つけ大きくし、情報を操作するやり方はどの時代もどの地域でも同じだなあと感じる。自分の保身のため、自分のメンツのため、自分のプライドのためにこだわり、時には罪のない人を殺めていく。人間とは結局はこういう生き物なのかなあとため息が漏れてしまう。

日本とイギリスは島国 どこか似ているところがある

幸いにしてメアリーの子供は命を救われてエリザベスが崩御した後、国王となった。そして現在のイギリス王室につながっている。

イギリスは島国、日本も島国。どこかに似ている部分がある。日本同様、村社会があるのではないだろうか。村の中では掟がありその掟に背く者は虐められる。つまり村八分だ。本作でも女王に逆らって追放された者が物語のプロットに大きな影響を与えている。日本は誰かより秀でた能力を持っている者は嫌われる。幼い頃はそれを個性と言って褒められるが、ある年代になるとどんぐりの背比べで生きた方が楽だと気が付く。この映画に出てくる側近たちも大それたことを言わない。誰かにやらせる。そしてその誰かが犠牲にされるという残酷な運命だ。

エリザベスの嫉妬強し

エリザベスはやはり自分よりも美しくて頭の良いメアリーに嫉妬したのだろう。メアリーはメアリーで自身の出自が正当であることを主張しエリザビスを皮肉った。「妾の子供であるあなたが上にいるのはふさわしくないと」

人間は嫉妬を持たずに生きられないのではないか

人間の1番の醜さはやはり嫉妬なのではないだろうか。嫉妬は憎悪になる。憎悪があらゆる争いや紛争そして戦争へとつながった事は歴史を観れば一目瞭然だ。そんな時、必ず誰かが囁くのだ。「あの人があなたのことをこう言っている。あの人の方があなたより秀でている」これを聞いた大帝の将軍は相手を憎みやっつけようとする。

現代社会でも同じ 結局人間は有史以来何も変わっていない

これは現代社会でも言えることだ。会社内の出世争いの内紛などはまさしくそうではないだろうか。気に入らない奴が出世するのは許せない。激しく嫉妬し、何とか陥れようとする。そして自分の優位性をアピールし何とか出世を試みる。親族会社の場合はもっと醜い。特に兄弟での争いは見れたものではないらしい。人間の持つこの嫉妬と言う感情は本当に醜い。嫉妬でも競いあって互いを高めるものならまだ良いが、ほとんどの場合は相手を打ち負かし、傷つけ、自らの立場を得るためだ。

この映画を観て、誰かに恨みを買わないように改めて心に決めた。嫉妬から始まる怨恨ほど怖いものはない。

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映画のことなら映画.comより引用

 

スタッフ

監督 ジョージー・ルーク
製作 ティム・ビーバン エリック・フェルナー デブラ・ヘイワード
製作総指揮 アメリア・グレンジャー ライザ・チェイシン
脚本 ボー・ウィリモン
撮影 ジョン・マシソン
美術 ジェームズ・メリフィールド
衣装 アレクサンドラ・バーン
編集 クリス・ディケンズ
音楽 マックス・リヒター

キャスト
シアーシャ・ローナンメアリー・スチュアート
マーゴット・ロビーエリザベス1
ジャック・ロウデンヘンリー・スチュアート(ダーンリー卿)
ジョー・アルウィンロバート・ダドリー(レスター伯爵)
デビッド・テナントジョン・ノックス
ガイ・ピアースウィリアム・セシル(バーリー男爵)
ジェンマ・チャンベス・オブ・ハードウィック
マーティン・コムストンジェームズ・ヘップバーン(ボスウェル伯爵)
イスマエル・クルス・コルドバデビッド・リッチオ
ブレンダン・コイルマチュー・スチュアート(第4代レノックス伯爵)
イアン・ハートサー・ウィリアム・メイトランド
エイドリアン・レスターサー・トーマス・ランドルフ
ジェームズ・マッカードルジェームズ・スチュアート(マリ伯爵)

作品データ
原題 Mary Queen of Scots
製作年 2018
製作国 イギリス
配給 ビターズ・エンド
上映時間 124
映倫区分 G

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