『エリック・クラプトン~12小節の人生~』(135分/英/2017)

イギリス映画
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原題 『Eric Clapton: Life in 12 Bars』

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クラプトンは身をもって自らの恥部を公表することで薬物やアルコールの危険性を訴えているのかもしれない。この映画を観れば絶対にドラッグやアルコールに手を出さないはずだ。

かつてのクラプトンはドラッグまみれのクズだった。でもそこから這い上がって行く、、、という美談では済まされないほど、深刻だった

 世界的に有名なアーチスト。最も偉大なギタリスト等の名声を手に入れた希代の音楽家である。最早説明するまでもない。この映画について好評するのにちょっと躊躇してしまう。コアなクラプトンファンは彼がこのようにドラッグに塗れた人生を送っていることは知っているだろうし、それを称賛している人も多い。だから私の好評を読むと気に触るかもしれない。でも映画の好評を書くということはその人物の好評にも繋がってしまうのだから書かざるを得ない。特にこれはドキュメンタリーだから尚更である。その点、これだけ惹きつけられたのだからこの映画は成功していると言って良い。

 はっきり言おう。映画の中のクラプトンはクズだ。どうしようもないクズでカスだ。マリファナ、コカイン、ヘロイン等のドラッグに溺れ、立ち直ったかと思えばアルコール依存症、つまりアル中で家族も世間もすべてを狂わす。接する人すべてに迷惑をかけてばかりだ。コンサートでの悪態は目を覆いたくなる。ファンを侮辱してはいけない。本当に観ていて虫唾が走った。今のSNS時代であったなら瞬殺されているだろう。二度と人前に出られまい。それほど酷い行状なのだ。

あの時代、天才クラプトンだから許されたのだろう。しかし日本は平和で安全であることを誇りに思う。しかしドラッグを持って創作するとはどういう現象が起きるのか全く想像できない。

 クラプトンのような天才は過去においての汚点は名曲を作るために必要であったかのような構成に疑問を感じる。私は日本に暮らしている。この国では上記したドラッグは身近にない。テレビで薬物で検挙される人たちは私たち一般人からすると遥か彼方の宇宙で起きているような話だ。この国はそれだけ安全で平和なのである。あるのはせめて酒だけだ。もし日本のアーチストがクラプトンのようにドラッグまみれであったなら二度と表舞台に立てないと思う。(過去に於いてドラッグで捕まって復活した人はいるが、さすがに現在では無理だろう。諸外国だとドラッグに緩いのか、まるで勲章のように復活しているからよくわからない)

 当時のアメリカやイギリスではドラッグが半ば合法であるかのような印象を受ける。決してそうではないだろう。私は大した創作者ではないが、そういったドラッグの力を借りて作られた芸術作品には敬意を表せないのだ。やはり素面の状態で創作された芸術が美しいと感じる。甘いかもしれない。繰り返すがこの国ではドラッグが溢れていない。それだけで誇りを感じる。とにかくこの映画に登場するクラプトンはクズだ。マリファナ、ヘロイン、コカインその他と次から次へと手を出す。クラプトン信者には申し訳ないが言わせてもらう。マリファナやヘロインのことはよくわからない、この国でそういった中毒患者を見たことがないから。快感があるのか?いや映画の中のクラプトンを観ていると決して楽しそうでもないし、幸せそうでもない。なぜドラッグをやるのかわからない。

アルコール依存症は深刻な病だ。社会の病だ。酒が家族を壊し友情も壊し、仕事も無くす。待っているのは孤独だけ。

 でもアル中は見たことがあるからわかる。世界中、どこの街にもいると思う。朝から公園で酒を飲み、路上の所構わず寝る。時には奇声を発し誰かと喧嘩する。体は痩せ衰え血色も悪い。脳もイかれて行くのだろう。彼ら人生で何があったのか知らないが、助けたいと気持ちにさせないのもアル中だからだろう。昔『酒とバラの日々』というアル中をテーマにした名画があった。それを思い出した。アル中は本当に恐ろしい病気だと私は思う。ひょっとしたら酒こそが、この世の中にある最悪なドラッグなのではないだろうか。飲みだしたら止められないという。クラプトンもそうだったが、朝から飲み続ける。飲んで飲んで飲み続ける。恐怖が来る。でもその恐怖を払いのけるために飲む。死にたくなる。自殺しようと思っても自殺を止める。その理由をクラプトンが「自殺したらもう酒が飲めなくなるから自殺しない」ジョークにならない。笑えない。本当に本末転倒だ。質が悪い。何かのきっかけがなければ止められないという。でもきっかけなどない。止めるには一気に止めるしかないのだ。クラプトンの場合は愛息の死によって酒を止めるに至ったそうだ。そして名曲が生まれた。それを世界中の人が賛否しているのが私には違和感を覚えて仕方がない。芸術とはそういうものなのだろうか。わからない。ただこの映画を観ていて製作者の何らかのメッセージを感じる。酒は悪だ。酒は何も残さない。酒こそ人生の敵だ。そして酒で身を滅ぼした人は山ほどいるが、クラプトンのように称賛されるの類まれな才能を持った人間だけで常人は何も得ることができないというメッセージも感じた。観終わった後、汚物が詰まってるような感じがした。何だか二日酔いのような気分になった。

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監督 リリ・フィニー・ザナック
製作 ジョン・バトセック
編集 クリス・キング
   ポール・モナハン
音楽 グスターボ・サンタオラヤ

原題 Eric Clapton: Life in 12 Bars
製作年 2017年
製作国 イギリス
配給 ポニーキャニオン、STAR CHANNEL MOVIES
上映時間 135分
映倫区分 PG12

 

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