映画『MOTHER マザー』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『MOTHER マザー』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『MOTHER マザー』
(2020年製作/126分/日本)
配給:スターサンズ、KADOKAWA
【監督】
大森立嗣
【脚本】
大森立嗣 港岳彦【製作】河村光庸
【出演】
長澤まさみ
奥平大兼 阿部サダヲ 夏帆 皆川猿時 仲野太賀 土村芳 木野花
- 【毒親が登場する映画】
- 【子ども可愛がり映画】
- 【ある意味、毒親である気がする映画】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
- 映画『天気の子』
- 映画『エリカ38』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
- 映画『はちどり』
- 映画『レ・ミゼラブル』
- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『ドッグマン』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『朝が来る』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
映画『MOTHER マザー』外部リンク
【HPサイト】
映画『MOTHER マザー』公式サイト
【予告映像】
映画『MOTHER マザー』トレーラー
【公式Twitter】
映画『MOTHER マザー』
【IMDbサイト】
映画『MOTHER マザー』
【 Rotten Tomatoesサイト】
映画『MOTHER マザー』
映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』ネタバレ・あらすじ「長澤まさみ祭り!」感想「四代目ツチノコは誰に?」結末「マルタ島ロケに意味がある」
第44回日本アカデミー賞において長澤まさみさんが主演女優賞を受賞!
長澤まさみさん「おめでとう」
日本中が震撼する狂気的な母親を演じた長澤まさみさんは、まさに今が旬の女優だといえます。向かうところ敵なしです。コメディ、アクション、クライムサスペンスに至るまで、幅の広い演技を魅せてくれます。今後も日本の映画界を牽引してくれるでしょう。
主演男優賞は『ミッドナイトスワン』草なぎ剛さんです。
祝!「第63回ブルーリボン賞」主演女優賞:長澤まさみ(『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJP プリンセス編』)
長澤まさみさんが2年連続の快挙!
在京スポーツ紙7社の映画担当記者で構成する東京映画記者会が主催する「第63回ブルーリボン賞」で主演女優賞を受賞しました。昨年に続き2年廉造の快挙!です。
主演男優賞は『ミッドナイトスワン』草なぎ剛さんです。こちらも素晴らしい演技でした。
映画『MOTHER マザー』のオススメ度は?
星4つ半です
長澤まさみちゃんの「狂気」を観に行きましょう!
阿部サダヲの「クソ」っぷりを観に行きましょう!
毒親ほど無益な大人はありません
日本だけではなく世界の問題です
虐待反対!
【金ロー映画】『ショーシャンクの空に』実話?ネタバレ・あらすじ。ティム・ロビンス&モーガン・フリーマン共演 「希望を持つことが大事」 感想「ジワタネホでハッピー」結末。
映画『MOTHER マザー』の作品情報・概要
大森立嗣監督・脚本作品(映画『タロウのバカ』)。港岳彦も脚本。主演は長澤まさみ(映画『すばらしき世界』や映画『SING シング ネクストステージ』や映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』や映画『コクリコ坂から』)。阿部サダヲ、夏帆(映画『海街diary』や映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』)、皆川猿時(映画『ウェディング・ハイ』)、 仲野太賀(映画『あの頃。』や映画『タロウのバカ』や映画『世界の中心で、愛をさけぶ』)、土村芳(映画『空母いぶき』)、荒巻全紀、大西信満、木野花(映画『閉鎖病棟 それぞれの朝』)らが共演。新人の奥平大兼はオーディションを受けての映画デビューとなる。実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て製作。企画・製作は『新聞記者』『宮本から君へ』『ヤクザと家族 The Family』などを手がけ脚光を浴びた河村光庸。 制作はスターサンズ。
映画『MOTHER マザー』の受賞歴
第44回日本アカデミー賞
最優秀主演女優賞(長澤まさみ、『コンフィデンスマンJP -プリンセス編-』と同時受賞)
新人俳優賞(奥平大兼)
第75回毎日映画コンクール 日本映画大賞(2020年)
第33回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 主演女優賞(長澤まさみ、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』と合わせて)
映画『MOTHER マザー』のあらすじ・ネタバレ(簡易版)
周平(郡司翔)が膝に怪我をおって坂道を上がってくる。母親の三隅秋子(長澤まさみ) が自転車で迎えて、膝の血を舐めあげ「プール行くか」と言って坂を下っていく。秋子は生活保護受給者。酒とパチンコですぐに散在していまう。その度に両親の家を訪れお金を無心する。無心に失敗し不貞腐れてゲームセンターへ行くとホストの川田遼(阿部サダヲ) と出会う。二人は意気投合して一緒に暮らすが、、、。周平にとってはネグレクト、虐待、恐怖、支配といった地獄の日々が始まる。
「毒親」も『愛と青春の旅だち』のような恋をしてほしい
1964年製作映画はこんなに純愛だった「吉永小百合」の美人薄命映画
映画『MOTHER マザー』のあらすじ・ネタバレ(詳細版)
映画『MOTHER マザー』のあらすじ・ネタバレ:起
秋子は子供の周平と暮らしていましたが、別れた夫からの養育費はパチンコなどに使ってばかり。
お金が無くなると実家に行ってお金を借りようとしますが、妹は20万以上も貸してきたことから絶対にダメだと言いました。
その後、秋子はゲームセンターに行って遼という青年に会い、ゲームの腕を褒めつつも家に連れ込みます。
秋子は遼と何日か出掛けることにし、市役所の所員である宇治田に周平を預けました。
周平は家に置かれた食料を食べつつ、電話を受けた際には母宛てにお金を振り込みます。
それから6日が経過して秋子が遼と共に帰宅すると、周平を利用して宇治田を脅しますが…。
その際に誤って階段から落としたことで秋子たちは逃走。2週間が経過してから宇治田が死んでいないとわかるのです。
映画『MOTHER マザー』のあらすじ・ネタバレ:承
秋子は子供ができたことで遼とケンカになり、周平は秋子をかばって口から血を流しました。
遼は出ていき、それから5年が経過。
秋子は娘を冬華と名付け、ホームレス生活をしていた秋子たち3人の元に市の職員がやって来ます。
秋子は彼らを振り払おうとしますが、周平の説得もあって部屋を貸してもらえることに…。
周平は中高生のためのフリースクールに通うようになりました。
ある日、遼が現れて秋子は彼に出ていくよう言いますが、彼は動じず居座るようになります。
職員の亜矢は周平と冬華を連れて食事をおごり、亜矢自身も過程に問題があったことを語りました。
その後、周平は冬華の世話をするためにフリースクールを休むようになり、亜矢は本の差し入れをするのですが秋子は勝手な行動に怒りを露わにします。
映画『MOTHER マザー』のあらすじ・ネタバレ:転
遼は借金取りに追われ、秋子と共に逃げようと準備をして周平たちも一緒に来るよう言います。
その後、遼は借金取りの元に行くと言って秋子は一人残されたことに動揺して周平の頬を打って泣き叫びました。
それから6ヶ月が経過して働き始めた周平は、秋子がお金を散財するため苦労続きでした。
周平の雇い主は働かない秋子に忠告しに行き、それからは周平たちを面倒見るようになりますが…。
秋子は遼から連絡を受けて金が必要になり、周平を使って事務所の金を盗んで逃走。
そして秋子もう金を得る手段は何も残されていないと言い、周平に祖母と祖父を殺すよう言いました。
映画『MOTHER マザー』のあらすじ・ネタバレ:結
周平は母の言う通りにして5ヶ月が経過。秋子は弁護士に「私が殺せと言った証拠はあるか?」と言い、自分の子は自分の分身同然だと語ります。
一方で、周平は弁護士に「全部僕がやった」と断言し、懲役12年の刑になりました。
亜矢が面会に来て冬華の受け入れ先が決まったことを知らせると、周平は刑務所の方が居心地が良く、母親が好きだと言うのです。
映画『MOTHER マザー』の感想・内容
「長澤まさみさんが新しい境地を開いた」
とても良い映画だと思います。すごく社会的メッセージが強い作品です。是非とも劇場に足を運んで頂きたいです。
まず「長澤まさみさんが新しい境地を開いた」という印象を持ちました。
今までコメディータッチな役柄とか、ちょっとしたアクションを演じてきましたが、本映画『MOTHER マザー』本作では見事なまでの“性格俳優”になったのだなあと思わせてくれます。
“怪演”です。“狂演”です。素晴らしかったです。
長澤さんはこの映画の「母親には全く共感できなかった」と言っています。
そのコメントにホッとしました。
絶賛!河瀬直美監督最新作は『True Mothers』(英題)です
この映画の石原裕次郎の母親もある意味「毒親」かも
大森立嗣監督作品は「痛い」って聞こえてくる
無知であることが最大の問題
長澤まさみが演じる母親・三隅秋子は正直言って壊れています。
良い言い方をすれば自由で天真爛漫な人生、でも一般的に狂っているのです。
猟奇的とまではいかないけれど、精神的に破綻している人物です。
男がいないとダメな女です。性においても奔放です。
しかも出会う男がみんな“クズ男”ばかりです。
この秋子は若くして子ども周平(郡司翔)を産みますが、まともに育てられません。周平は10歳。そりゃあ、そうでしょう。
まず働いていないのです。生活保護を受給していますが、もらったら酒とパチンコに使い果たします。
無知であることが最大の問題でしょう。
「骨を食べる」って究極のマザコン?
こんな“毒親”って実在するのでしょうか
お金がなくなると両親の家へ行き無心します。両親だけではなく妹にまでお金を無心します。
自分で無心するのだったらまだ良いのですか、周平を使ってお金を奪い取って来させます。もうこれだけで完全なる毒親です。
でもこれだけではありません。昼間のゲームセンターで川田遼(阿部サダヲ) というホストと出会い、意気投合します。
この遼もとんでもない“クソ男”なのです。お金のない秋子にお金を無心するのですから。
二人は周平をアパートに残して関西方面へ出かけます。周平は一人でアパートで過ごしますが、電気ガス水道が止めれ困窮します。
帰宅した秋子は周平に詫びることなく悪態をつきます。
コミカルな長澤まさみちゃんを観ていると元気になれる
阿部サダヲの演技に「憎しみ」を覚えた
数日後、二人は戻りますがお金がないので悪事を働きます。市役所職員を脅すのです。
でもこれは失敗し、それからは各地のラブホテルに泊まりながらの逃避行になるのです。もちろん周平は学校へは通っていません。
ここで遼がさらなるクソっぷりを発揮します。秋子と周平に暴力を振るい、二人を捨て去ります。
阿部サダヲさんの演技が本当に最高レベルのクソ人間を表しているのです。
時には秋子と周平に優しくし、自分の弱さを見せて同情させます。そして秋子を抱く、、、。
でも自分が不甲斐ない理由は「お前らのせいだ」と激怒し暴力を振るう典型的なDV男です。
阿部サダヲのこの豹変具合が最高でした。
アクション&セクシー全開の長澤まさみちゃん最高!
秋子が毒親に至った過程が見えて来ない、、、
ただこのDV男に惹かれる秋子の気持ちが見えてこないのです。
女性というのは男性像を父性に重ねることが多いと言われていますが、秋子の父親・三隅勝秀(たかお鷹)はとても優しい人柄なのです。
そしてもっと気になるのは秋子がどうしてこのような毒親になってしまったのか?についての納得できる背景の描写がないのがこの映画の勿体ない点です。
毒親は日本でもアメリカでもシリアでも存在します。毒親になる原因の多くは本人の幼少体験をもとにすることが多いと言われています。
端的に言えば幼少の頃、親から暴力を受けた、ネグレクトされた、そして性的虐待を受けた、といった経験が自身の子どもへの行動に向かうのです。
薬師丸ひろ子と鶴見辰吾はどこへ「飛んでいった」のだろうか
映画『MOTHER マザー』の結末・評価
秋子の幼少時の体験を織り交ぜればもっと良い映画になった
でも本映画『MOTHER マザー』に登場する両親の三隅勝秀(たかお鷹)と三隅秋子(木野花)は本当に優しげな人なのです。
こんな柔和な両親に育てられていたら秋子のような“毒親”(しかも非社会・反社会的)な人間にはならないと思うのです。
しかも秋子は両親のことを憎んでいます。 ここなのです、ここが勿体ないのです。
一瞬だけでも良いのです。なぜ秋子が両親を憎んでいるのか、そしてそれが原因でこんな「クソ人間」になってしまったのは描いて欲しかったのです。
そこを少しだけ描けばもっと素晴らしい作品になったと思います。
ディズニー史上最高映画!必見!
周平が祖父母殺害へ向かう気持ちに紐つける為に
両親と妹と秋子と周平が一堂に会した時に「あんたばっかり可愛がってもらって、良いわね。わたしは大学にも行かせてもらえなかった」というくだりがありますが、それだけの理由で両親を憎むでしょうか?
また最終的に両親を殺害するまで恨みでしょうか?それでは納得できません。ここなんです。ここ。
もし可能であるなら一瞬で良いのです。一瞬だけ幼少の頃に両親から受けた傷を描けばもっと深みのある映画になったのです。
例えば小学生くらいの時に秋子が学校でイジメれていたのに両親は助けてくれなかった。理由はイジメる人間は父の会社の関係者だったとか。
あるいは中学生の時に親戚の伯父さんに性的暴力を受けたのに両親は信じてくれなかったとか。
その他、何らかの過去のトラウマを一瞬だけで良いので描くべきだったと思います。
それがあるかないかで、後半周平が祖父母殺害に向かう動機付けが完全に紐ついてきます。
何故ならば周平は「お母さんのこと好き」と言い放つくらい洗脳されています。
つまり「お母さんを苦しめる者を殺す」理由が見つかるのです。
14歳でお嫁に出される気持ちとは?
周平の「自分でやった」は母親への最後の愛であってほしい
さて、本映画『MOTHER マザー』は圧倒的に周平の気持ちになって観る映画です。本当に可愛そうです。
裁判では母親からの殺人命令があったか否かについて議論されますが、母親をかばって「僕だけでやった」を貫きます。
完全に母親から支配されています。母親を守りたかった気持ちもありますが、刑務所では三度の食事もありますし、暑さ寒さもしのげます。
そして勉強もできるからです。自ら15年の刑に服することで母親とも断絶できると考えたのかもしれません。
もう周平から秋子を離してほしいと願わずには要られません。
スカーレット・ヨハンソン演じる「マザー」は強かった
毒親はどこにでもいるが姿を見せない恐ろしき存在
わたし的には毒親は絶対に許せません。子どもは体も小さく、知性もなく、そして無抵抗なのです。
そういったか弱き存在に対して虐待やネグレクトなど動物でもしません。日本社会には表に出ないだけで多くの毒親が存在すると言われています。
普段はにこやかにお話しする隣の住人が実はとんでもない人間である可能性もあるのです。
しかも毒親のプロフィールも様々なのが厄介なのです。本映画『MOTHER マザー』の秋子のように知性教養がないのであれば、まだ早期の発見は出来ますが、逆に裕福で知性教養の高い人間が毒親になっていると発見は難しいでしょう。
故郷に残した妻子の為にも生き残る!
自分をどれだけ大事にできるかを学ぶことから始める
親が子どもに与える影響は大きいです。もし自分が幼少の頃受けた虐待で毒親になりそうだったら考えましょう。
脳外科医の中野信子さんが言っています。「自分をどれだけ大事にできるか、そのやり方を大人になってから学ぶべきである。信頼できる相手との関係を少しずつ築き、出来なかった安定したコミュニケーションを出来るように、自分を育てていくのは自分なのだ」
世にも不思議な奇妙な事件って各地にある
映画『MOTHER マザー』大森立嗣監督について
前作の『タロウのバカ』でも本当に力強い映像をスクリーンで見せてくれました。「これでもか、これでもか」というくらい登場人物にキャメラを向けています。しかし長さを感じさせません。役者の中からほとばしるエネルギーがすごいのです。脚本で設定したキャラクタープラス役者自身のクリエイティブを引き出すのがうまい監督だと思います。社会に埋もれた現代の「はぐれ者」に主眼をおいてますが、彼ら自身は自分たちが「常識」であり「正当」なのです。手を差し伸べるか傍観者になるかをわたしたちに説いてくる映画製作は今後も楽しみです。
映画『MOTHER マザー』のキャストについて
三隅秋子(長澤まさみ)
毒親です。息子を溺愛している、、、。「舐めるように育てきた」と自負している。長澤まさみさんの演技には迫力がありました。冒頭の自転車の場面からプールで泳ぐところで「常識がない母親」像がバッチリでした。男にだらしない雰囲気も全開でした。周平が亜矢に取られるかもしれない時のビンタも良かった。ただ濡れ場はもう少しだったです。
観よ、変幻自在の長澤まさみの演技を!
周平(少年期)(奥平大兼)
17歳の周平です。妹の面倒を良くみています。他の親子とは「何かが違う」とわかっていても言い出せません。秋子に支配されています。奥平大兼さんは新人とのことですが、存在感がありました。最後の面会場面は涙無くしては観ることができませんでした。将来が楽しみです。
川田遼(阿部サダヲ)
ホスト。もう阿部さんのクソっぷりは最高ですね。すごい俳優ですね。秋子を親子を二度にわたり捨てますが、その捨て方の違いが印象に残っています。出来ることなら映画の中で死んで欲しかった。
高橋亜矢(夏帆)
児童相談員。自身もかつて虐待を受けて育ったから周平の気持ちがわかる。何とか周平を救出しようと頑張る。夏帆さんがこの映画の中では唯一の希望の「花」でした。とても清楚な演技の中に「人を助けたい」という気持ちが溢れていました。
「うーん」って感じの映画でした
宇治田守(皆川猿時)
市役所職員。秋子に想いを寄せています。スケベ親父です。皆川猿時さんは良い味出していたと思います。特にレストランで川田遼(阿部サダヲ)に怒鳴られる時のビビリっぷりは最高でした。
赤川圭一(仲野太賀)
ラブホテル の2代目。最初は「ひょっとしたら救済者」と思わせましたが、秋子と寝た辺りから“クズ”と判明。ラブホテルの客室を提供するのではなく敷地にテントを張って二人に住処を提供。仲野太賀さんはとてもハンサム。この顔の奥の冷酷な素顔が見えました。
これからが楽しみな俳優です
三隅楓(土村芳)
秋子の妹。自身は大学へ行かせてもらって良い暮らしをしている。土村芳さんは出番は少なかったですが、札束を叩きつける場面の悲しさは伝わってきました。
渋い演技をする俳優だと思います
三隅秋子(木野花)
秋子の母親。心優しい雰囲気が全開していました。木野花さんは教養の高い雰囲気が充満していました。やっぱり娘と孫を見る時の表情がとても素晴らしい。円熟味を感じます。
「入院患者」そのままって感じでした
周平(幼少期)(郡司翔)
郡司翔は難しい演技だったと思います。
まとめ 映画『MOTHER マザー』一言で言うと!
「自分をどれだけ大事に出来るのかを学びましょう」
中野信子さんの言葉です。その通りだと思います。過去において辛い体験は一生涯に渡って苦しめることもあります。そしてそれが他者に向かう可能性を持っています。でも自分を大事することから始めるのです。分からなければ学習するのです。無知であると進歩できません。
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【毒親が登場する映画】
映画『誰も知らない』
我らが是枝監督が描く毒親は一味違う
映画『万引き家族』
毒親から救出「楽しければ良いじゃん」でも捕まる
映画『塔の上のラプンツェル』
ディズニー史上最悪の毒親でしょう
映画『絶唱(1975)』
封建制が残る時代とはいえ子どもの自由を奪う権利はない
映画『ワイルドライフ』
子どもの前で夫以外の男性と情事を見せたら、、、
映画『存在のない子供たち』
これがレバノンの現状なのだろうか。出生証明書もない子供たち
映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。
映画『荒野にて』
父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。
映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。
映画『J・エドガー』
息子が可愛くて仕方ありません。徹底的な教育を施します。
映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。
映画『タロウのバカ』
現代ニッポンにバカと叫ぶ!
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
親の教育が悪かったからこんな男になったのか、、、
映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
毒親で育って「アーサー」と出会うのは不運?
【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。
映画『パパは奮闘中』
蒸発した妻の代わりに子育てします。
【ある意味、毒親である気がする映画】
映画『ビューティフル・ボーイ』
薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。
映画『ベン・イズ・バック』
薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。
映画『37セカンズ』
お母さんはちょっと過干渉すぎます
映画『燃えよスーリヤ!!』
インド的な教育方法?
映画『ジョーカー』
アーサーの母親は間違いなく狂っていました
【格差社会を描いた映画】
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『存在のない子供たち』
戸籍も存在もない社会って“格差”どころじゃあない
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
黒人というだけで“チャンス”が与えられない社会がある
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『はちどり』
韓国社会の現実は恐ろしい
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
格差が招いた犯罪
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
日本の底辺男の希望映画です
映画『希望の灯り』
かつての東西冷戦の格差って?
映画『タロウのバカ』
タロウが悲しすぎる
映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
無学な父親を亡くしてしまい、、、
映画『ドッグマン』
不条理すぎる映画です
映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
差別・嫌悪される理由は本人にも問題ありでは、、、
映画『わたしは金正男を殺してない』
貧しい国から来た女性を使っての犯罪です
映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
少年たちはアメリカ社会の未来を憂いての犯行だったのか
映画『朝が来る』
格差社会もあるけれど教育が大事だと思う、、、
映画『スキャンダル』
男どもに「一泡吹かせてやる!」ダンサーたちの挑戦!
映画『七人の侍』
黒澤明が描く“格差社会”はダイナミックだ
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
ど貧乏育ちだけど「成功したい」気持ちに嘘はない
映画『道』
人生は厳しい“道”ばかりだけど「間違い」はしたくない
映画『楽園』
田舎の“ムラ社会”の中の“格差社会”って陰険だ
映画『第三夫人と髪飾り』
格差というより“習慣”とか“伝統”と言った理由で、、、
映画『グラン・トリノ』
人種差別者が“格差社会”に初めて気がついたら!
映画『MOTHER マザー』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
大森立嗣
脚本
大森立嗣 港岳彦
企画
河村光庸
製作
河村光庸
エグゼクティブプロデューサー
河村光庸
プロデューサー
佐藤順子
共同プロデューサー
金井隆治 鈴木俊輔 岡本圭三 飯田雅裕
撮影
辻智彦
照明
大久保礼司
録音
高田伸也
美術
大原清孝
衣装
纐纈春樹
へアメイク
豊川京子
編集
早野亮
音楽
岩代太郎
助監督
近藤有希
キャスティング
杉野剛
題字
赤松陽構造
スチール
三木匡宏
ラインプロデューサー
古賀秦一郎
制作担当
三村薫
三隅秋子(長澤まさみ)
周平(少年期)(奥平大兼)
川田遼(阿部サダヲ)
高橋亜矢(夏帆)
宇治田守(皆川猿時)
赤川圭一(仲野太賀)
三隅楓(土村芳)
荒巻全紀
大西信満
三隅秋子(木野花)
周平(幼少期)(郡司翔)
冬華(浅田芭路)
2020年製作/126分/日本
配給:スターサンズ、KADOKAWA
映画『MOTHER マザー』のレビュー
映画全体を通して終始、子供がかわいそうでしたね。そして”共依存”の恐ろしさが伝わってくる作品でした。
秋子は子供を育てる対象と思わず、自身の分身として育てていたようです。
序盤で子供の傷を舐めたり、プールに飛び込んで監視員に怒られたりしている姿は奔放なだけかと思いましたが、子供を利用するためだったのかもしれません。
秋子は母にお金を借りに行った際に愛情を受けてこなかったと言い、怒りを露わにしてコップを投げて割りました。
こうした姿から、親子関係に歪んだ思いを抱いているのだと伝わってきます。
秋子は遼の子供ができた時に中絶するよう強く言われますが、自分の子供は絶対に産むと断言。
そうして殴り合いになった末に遼は出ていきますが…彼女は子供を中絶することが道徳的に悪いと思っていたのではなく、遼を自分の側につなぎとめるためにそう言い放ったのではと考えられます。
そんな秋子に対し、周平から見れば祖母とケンカしている姿や、知らない男に色目を使ったりする姿ばかり見ることになりましたが…。
果たしてどんな感情を抱いていたのでしょうね。
映画の最後に「母親が好き」という言葉を残していたことから、何があって母親を見捨てないという心を持っていたのかもしれません。
お湯が作れないからカップ麺を乾いた状態で食べたり、電気が止められて真っ暗な部屋で過ごしたりという不遇な生活がエスカレートしていきましたが…。
ホームレス生活と冬華の世話も経て、刑務所で過ごす方が彼にとっては楽だったのかなと改めて思いました。
そして、周平が共依存となるのには十分だったようです。
秋子は彼に平気でウソをつかせ、頭を下げてお金を借りさせることはさも当然のようでした。
そうした中で、周平が祖母に事情を話しにいくと、祖母は激昂して嫌気を露わにしましたね。
お金も無いのに子供を作ったことも原因の発端でしたが、これまでの言動に耐え切れなかったのでしょう。
祖母からも叔母からも「二度と姿を見せるな」と言われる周平の心情は計り知れませんが、母親のためにと思って耐えてきたのかもしれません。
映画の後半で周平の雇い主が「親だったら子供のため子供のために働け!」と秋子に強く言ってくれたシーンはスカッとしましたね。
よく言ってくれたと思いましたがその後、秋子に懐柔されたのを見るとその感情も薄れてしまいました。
すぐに身体を売るようなマネをする秋子を通して、誰かに依存しないと生きていけない人間の末路を描く姿がまとまっている映画だと思います。