映画『ドッグマン』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。
映画『ドッグマン』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ドッグマン』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ドッグマン』
(103分/イタリア・フランス合作/2018)
原題『Dogman』
監督:マッテオ・ガローネ
出演:マルチェロ・フォンテ
エドアルド・ペーシェ
製作:マッテオ・ガローネ ジャン・ラバディ 他
- 映画『ドッグマン』のオススメ度は?
- 映画『ドッグマン』の作品概要
- 映画『ドッグマン』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『ドッグマン』の感想・内容
- 映画『ドッグマン』の結末・評価
- 映画『ドッグマン』まとめ 一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【傑作イタリア映画】
- 【ホラー&サスペンス映画オススメ】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『MOTHER マザー』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
- 映画『天気の子』
- 映画『エリカ38』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
- 映画『はちどり』
- 映画『レ・ミゼラブル』
- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『朝が来る』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『帰れない二人』
- 映画『ドッグマン』の作品情報
映画『ドッグマン』のオススメ度は?
星4つ半です。
とっても恐ろしい映画です。
重たい気持ちになります。
でも見ごたえがあります。
人間は生まれながらの悪人なのでしょうか。
イジメはいけません、絶対に!
友だちと観に行ってください。
映画『ドッグマン』の作品概要
1980年代にイタリアで起こった実在の殺人事件を鬼才マッテオ・ガローネ監督が独特の不条理感で描いた作品。人間は善人か悪人かを突きつけられる。主演のマルチェロ・フォンテは第71回カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した。
映画『ドッグマン』のあらすじ・ネタバレ
イタリアの寂れた海辺の町でドッグサロンを経営するお人好しのマルチェロ。妻とは別れているが、たまに訪れる娘との時間が唯一の幸せだ。町の人とも上手く付き合っている。でもどうしても縁が切れない友人がいる。町一番の荒くれ者で嫌われ者のシモーネ。彼に利用され、窃盗やコカインの売買をしてしまう。しまいには身代わりになって刑務所へ入ることに、、、。一年後出所してマルチェロは町へ帰るが、、、。
映画『ドッグマン』の感想・内容
人間の“生”の恐ろしさを表現している映画
この映画を観ている間中ずっと、本当に体が縮んでいく気がしました。恐ろしいのです。とにかく逃げ出したくなる映画なのです。
その恐ろしいというのはホラー映画のように幽霊とかゾンビが斧やナイフを持って襲ってくるモノとは違います。
また天を突き破るような大絶叫で追いかけてくるとか、高所から落とされるような恐怖感とは違います。それは生身の人間が持つ“性”による恐ろしさとでもいうのでしょうか。
人間とは本当に生まれながらの悪人なのかもと考えてしまいした。親鸞聖人の歎異抄に通じます。西洋的には性悪説でしょうか。
是枝監督の描く映画にも「不条理」な世界があります
対極的な人間を通して何を伝えようとしているか
この映画に出てくる人の性格は二つに分かれます。
善人と悪人、ひ弱と強靭、利用される人と利用する人、正直者と極悪人、いじられっ子といじめっ子、そして犬と主人。
主人公にマルチェロ(マルチェロ・フォンテ)は海辺の小さな町で犬のトリミングサロンを経営しています。
妻と離婚してますが、一人娘とは定期的に会って溺愛しています。町の人ともサッカーをしてそれなりに上手く付き合っています。
しかし唯一の悩みはシモーネ(エドアルド・ペーシェ)という町一番の荒くれ者に付きまとわれていることです。
ことあるごとにコカインを買いに行かされたり、窃盗の手伝いをさせられます。気が弱いし、体も貧弱なため言うことを聞かざるを得ません。これはもうイジメの構造と同じです。
そして窃盗の罪を押し付けられ逮捕されてしまいます。仁義を着るというか、仕返しが怖いから罪を被ったのでしょうか。
どうあがいても報われない「不条理」ってあります
悪人に変貌していくマルチェロを応援してしまう
そこから物語は静かに静かに復讐へと向かっていきます。その静けさがマッテオ・ガローネ監督の持ち味なのでしょう。
刑務所で一年過ごしたマルチェロは町へ戻ってきます。そしてシモーネに自ら近づいていきます。たぶんですが、刑務所暮らしで多少の度胸はついたと想像できます。
マルチェロは当初はシモーネから約束のお金をもらうだけでしたが、さすがに堪忍袋の緒が切れるのです。
そしてシモーネを巧みに誘い出して犬用のゲージに閉じ込めます。わたしはこの場面を観ているときに、一心不乱に「どうか、上手く閉じ込めて」と祈ってしまいました。
ただでさえ荒くれ者のシモーネですから、力づくでゲージを壊すかもしれませんし、マルチェロの計画を見破り殺すかもしれません。
映画『ドッグマン』の結末・評価
こんな悪党には絶対に制裁を加えたくなる
兎にも角にもシモーネを犬のゲージに入れて自由を奪いました。ここからは本当に凄惨な場面が続きますが、不思議とマルチェロを応援したくなりました。
「こんな悪党など殺してしまえ」的な感情です。実際、もしわたしがマルチェロの立場で、いつも利用されてばかりいたらさすがにやり切れません。
犯罪の身代わりにもなり、お金もせびられ、良いように扱われるなんて、まさにイジメの代表です。こんな不条理は許されません。
わたしはイジメられる方にも問題があると言う人には嫌悪感を抱きます。イジメは絶対的にイジメる側に問題があるのです。これは声を大にして言います。
イジメ問題についても描いているが人間の本質に鋭く突っ込んでいる
本映画はイジメについても描いていますが、やっぱり人間の本質について鋭く描いている作品です。
映画の最後の場面でマルチェロが町の人たちに向かって吠えます。でも誰もいません。マルチェロは町一番の荒くれ者を片ずけて意気揚々としています。
自分の力を誇示しようとしていますが、虚しさが募ります。誰もいない、誰も観ていない、、、。結局、人間は孤独なのか、人は面倒なことに関わりたくないのです。
厄介なことは嫌なのです。この町が寂れているのはなぜでしょうか?実は人のコミュニケーションも希薄だったからではないでしょうか。
一見「楽」なのか「苦痛」なのかわかりませんが裏には「不条理」なる現実がある気が、、
善人ぶっていてもやっぱり本質は悪人なのか
人間なんて所詮、他人同士なのです。深く付き合うことで災難に遭う可能性も高くなります。それだったら表向きの愛想だけで暮らした方が楽なのかもしれません。
そしてもう一つ、マルチェロはお人好しで優しい人物のように思われますが、実はかなりのズル賢さがあるのも事実です。ここに人間の本質を表しています。
シモーネに誘われますが、ちゃんと分け前を要求する場面でわかります。窃盗はいけないと思いながら、成功したらお金が欲しい、つまり強欲な人間なのです。
その場面でなぜ、シモーネと縁を切らないのか、いや切れないのかは同じ穴のムジナだからと気付かされます。でもやっぱりマルチェロを応援したくなります。
冒頭にあげたようにマルチェロとシモーネの関係性は対極です。でも犬と主人ですが、最後の最後にマルチェロが主人になったところで逆転します。
でもマルチェロのこれからは地獄に落ちる予感があります。犬のゲージではなく刑務所のゲージで一生暮らす、、、そんな終わり方の映画でした。
*イタリアで生きるということは実は相当な労力が必要だということでしょうか。イタリア人は誰にでも良い顔をしなければならないという性があるようです。
誰からも好かれたい、誰にも嫌われたくない、を気にしながら暮らさなければいけないそうです。ですからこのマルチェロが断れない理由もわかります。
*この映画ではイタリアの明るい人の笑い声も青い空も一切ありません。また町並みも灰色っぽくて薄暗いです。その雰囲気にかつてのヴィスコンティーやフェリーニ作品に通じるモノを感じ取れます。
*主演のマルチェロ・フォンテの顔、体が全てだった。全身から醸し出す雰囲気はこの映画のために生まれてきたかのようだった。映画初主演でカンヌで賞を獲るとは素晴らしい。
映画『ドッグマン』まとめ 一言で言うと!
「正直者はバカを見る!のか、、、。」
確かにそうかもしれません。イジメに遭っている人は勇気がないから「やめろ!」とは言えません。怖いです。恐ろしいです。そんな時は学校などは休みましょう。行かなくて良いのです。そんな人たちから離れましょう。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【傑作イタリア映画】
映画『幸福なラザロ』
お人好しのラザロの悲しい人生
映画『イル・ヴォーロ with プラシド・ドミンゴ 魅惑のライブ 3大テノールに捧ぐ』
伝説になるであろうオペラのコンサート
映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
イタリアの家族はいつもこんなにドタバタなのか
映画『ザ・プレイス 運命の交差点』
神からの使いでしょうか。人々の悩みを解決して行きます。
映画『荒野の用心棒』
我らがクリント・イーストウッドがセルジオ・レオーネ監督と組んだ名作です。ここからイーストウッドは世界へ出ます。
映画『夕陽のガンマン』
クリント・イーストウッドがセルジオ・レオーネ監督と組んだ第二弾。
映画『続・夕陽のガンマン』
クリント・イーストウッドがセルジオ・レオーネ監督と組んだ第三弾。
【ホラー&サスペンス映画オススメ】
映画『事故物件 恐い間取り』
中田監督新作は事故物件芸人ホラー
映画『ラ・ヨローナ 彷徨う女』
グアテマラという国の怨念物語
映画『ミッドサマー』
新しいジャンル“フェスティバル・スリラー”誕生です
映画『透明人間』
姿も形も見えない恐ろしさってどんな感じだろうか?
映画『ルース・エドガー』
なんとも言えない「あと味」が残る映画です
映画『サイコ (1960年の映画)』
サスペンスの神様と言ったらヒッチコックです
映画『ナイチンゲール』
人種・女性差別を楽しむゲスな人間がいました
映画『ダーティーハリー』
「サイコパスって?」を世界に広めた映画
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
レイプと殺人を楽しむクソ野郎です
映画『テッド・バンディ』
テッド・バンディ無くしてサイコパスは語れません
映画『私の知らないわたしの素顔』
ビノシュの妖艶さが恐ろしさを増長させます
【格差社会を描いた映画】
映画『MOTHER マザー』
毒親が生まれたのは格差社会が原因?
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『存在のない子供たち』
戸籍も存在もない社会って“格差”どころじゃあない
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
黒人というだけで“チャンス”が与えられない社会がある
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『はちどり』
韓国社会の現実は恐ろしい
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
格差が招いた犯罪
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
日本の底辺男の希望映画です
映画『希望の灯り』
かつての東西冷戦の格差って?
映画『タロウのバカ』
タロウが悲しすぎる
映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
無学な父親を亡くしてしまい、、、
映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
差別・嫌悪される理由は本人にも問題ありでは、、、
映画『わたしは金正男を殺してない』
貧しい国から来た女性を使っての犯罪です
映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
少年たちはアメリカ社会の未来を憂いての犯行だったのか
映画『朝が来る』
格差社会もあるけれど教育が大事だと思う、、、
映画『スキャンダル』
男どもに「一泡吹かせてやる!」ダンサーたちの挑戦!
映画『七人の侍』
黒澤明が描く“格差社会”はダイナミックだ
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
ど貧乏育ちだけど「成功したい」気持ちに嘘はない
映画『道』
人生は厳しい“道”ばかりだけど「間違い」はしたくない
映画『楽園』
田舎の“ムラ社会”の中の“格差社会”って陰険だ
映画『第三夫人と髪飾り』
格差というより“習慣”とか“伝統”と言った理由で、、、
映画『グラン・トリノ』
人種差別者が“格差社会”に初めて気がついたら!
映画『赤い雪 Red Snow』
貧しいことは悲劇です
映画『帰れない二人』
中国の発展がもたらす“格差社会”は速度が早い
映画『ドッグマン』の作品情報
スタッフ・キャスト
監督
マッテオ・ガローネ
製作
マッテオ・ガローネ ジャン・ラバディ ジェレミー・トーマス パオロ・デル・ブロッコ
製作総指揮
アレッシオ・ラッツァレスキ
原案
ウーゴ・キーティ マッシモ・ガウディオソ マッテオ・ガローネ
脚本
ウーゴ・キーティ マルリツィオ・ブラウッチ マッテオ・ガローネ マッシモ・ガウディオソ
撮影
ニコライ・ブルーエル
美術
ディミトリー・カプアーニ
衣装
マッシモ・カンティーニ・パリーニ
編集
マルコ・スポレンティーニ
音楽
ミケーレ・ブラガ
マルチェロ(マルチェロ・フォンテ)
シモーネ(エドアルド・ペーシェ)
シモーネの母親(ヌンツィア・スキャーノ )
フランコ(アダモ・ディオニージ )
フランチェスコ(フランチェスコ・アクアローリ )
アリダ(アリダ・バルダリ・カラブリア )
料理屋の主人(ジャンルカ・ゴビ )
2018年製作/103分/PG12/イタリア・フランス合作
原題:Dogman
配給:キノフィルムズ