映画『朝が来る』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『朝が来る』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『朝が来る』
(139分/G/日本/2020)
英題『True Mothers』
【監督】
河瀬直美
【原作】
辻村深月
【脚本】
河瀬直美 高橋泉
【製作総指揮】
木下直哉
【プロデューサー】
武部由実子
【撮影】
月永雄太 榊原直記
【照明】
太田康裕
【録音】
森英司 ロマン・ディムニー
【美術】
塩川節子
【編集】
ティナ・バス 渋谷陽一
【出演】
永作博美
井浦新
蒔田彩珠
浅田美代子
佐藤令旺
田中偉登
中島ひろ子
平原テツ
駒井蓮
【HPサイト】
映画『朝が来る』公式サイト
【予告映像】
映画『朝が来る』トレーラー
- 映画『朝が来る』米アカデミー賞の日本代表作品に選出
- 映画『朝が来る』のオススメ度は?
- 映画『朝が来る』の作品情報・概要
- 映画『朝が来る』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『朝が来る』の感想・内容
- 映画『朝が来る』の結末・評価
- 映画『朝が来る』のキャストについて
- まとめ 映画『朝が来る』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【家族がテーマの映画】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『MOTHER マザー』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
- 映画『天気の子』
- 映画『エリカ38』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
- 映画『はちどり』
- 映画『レ・ミゼラブル』
- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『ドッグマン』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『帰れない二人』
- 映画『朝が来る』の作品情報
映画『朝が来る』米アカデミー賞の日本代表作品に選出
河瀬直美監督&辻村深月『朝が来る』が米アカデミー賞の日本代表作品に選出
2020年10月23日に全国公開された河瀬直美監督作『朝が来る』が、第93回アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表作品に決定しました。出演は永作博美、井浦新、蒔田彩珠ら。
映画『朝が来る』のオススメ度は?
星5つです
河瀬直美監督「素晴らしい」
「役積み」すごい
エンタメとドキュメンタリーのバランスが良い
蒔田彩珠さんを「応援」したい
「朝」は必ず来ます!
映画『朝が来る』の作品情報・概要
『朝が来る』 英題『True Mothers』カンヌ国際映画祭で高く評価されている河瀬直美監督が辻村深月による長編ミステリー小説である『朝が来る』を映画化。子どもが出来ない夫婦は不妊治療を諦め、特別養子縁組制度を用いて子どもを迎え入れる。その子どもの実母は中学生で妊娠してしまいやむをえず子供を手放してしまう。しかし両者は数年後に対面する。変わり果てた実母の要求は「子どもを返してくれ、出来なければお金をくれ」出演は永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子。
映画『朝が来る』のあらすじ・ネタバレ
栗原佐都子(永作博美) と栗原清和(井浦新)は子どもを望んでいたが、 清和が無精子症のため顕微受精を受けるとになる。しかし清和は限界を感じて不妊治療をやめることに。「二人で生きていこう」と確認しあったが、旅行先で“特別養子縁組制度”についてのテレビ番組を見てから主催するNPO法人ベビーバトンへ行く。そして養子をもらうことになるが、その実母は14歳の中学生・片倉ひかり(蒔田彩珠)であった。6年後ひかりと名乗る女性から電話が鳴る「子どもを返してください、ダメならお金をください」ひかりと再会した佐都子と清和は全くの別人である女に「あなたは一体誰ですか」と投げかける。
映画『朝が来る』の感想・内容
日本が世界に誇る映画監督「河瀬直美」作品を観ましょう!
「河瀬直美監督です」「素晴らしい監督です」本当に良い映画だけを撮る人です。日本が世界に誇る映画監督です。
いま世界的に評価される日本の映画監督は河瀬直美監督、是枝裕和監督『万引き家族』、黒沢清監督『スパイの妻 劇場版』、青山真治監督『空に住む』の4名だと言って良いでしょう。
奇しくも河瀬、黒沢、青山監督の作品がいま現在公開されている状況です。映画ファンにとっては垂涎の喜びです。
これも“コロナ禍”が産んだ珍現象ですが、ここはこの3名の作品を絶対に観に行くことを強くオススメします。
どんなに辛くても必ず「朝は来ます」絶対に来ます。信じて生きましょう!
「家族」って戦争があっても信じられる存在、、、
辻村深月のヒューマンミステリー小説を河瀬直美が映画化
さて、本映画『朝が来る』ですが、ご存知の通り原作が辻村深月のヒューマンミステリー小説を映画化した作品です。
ほぼ原作に忠実に展開しています。でもそこはさすが河瀬監督です。エンタメ作品の中にドキュメンタリーをうまく溶け込ませています。
往年の河瀬ファンにとっては「やったあ」とか「待ってました」と叫んでしまうほどの場面が用意されています。わたしもその一人です。「すっごく良かった」です。
“不妊問題”と“特別養子縁組制度”について描く河瀬直美監督は「日本の宝」
本映画『朝が来る』の基本的なテーマは、“不妊問題”と“特別養子縁組制度”についての問題解決への提言と言っても良いでしょう。
その二つのテーマを主軸に若くして妊娠・出産した女の子と女の子から子どもをもらった夫婦の心の機微を表しています(特に真実告知については深く考えさせられました)
一方は妊娠したくても出来ない夫婦、そしてもう一方は知識不足からの妊娠で出産し、養子に出してしまう少女。
その心の機微を享受することで、“不妊問題”と“養子縁組制度”についていま一度「考えてみましょう」という内容です。
河瀬作品の多くを観ているわたしにとって前作『あん』に続き、オリジナル脚本ではない寂しさもありますが、それを打ち消すほど河瀬直美監督の演出力の高さを感じ取れた作品だと言えます。「言い切れます」
河瀬直美監督は日本の宝物です。
「家族」を失っても力強く生きていこう!
水の音から始まるトップカットは生命の起源の海をイメージ
すみません、河瀬讃歌をしてしまいました。
それで映画の内容ですが、上記しました通り“不妊問題”と“特別養子縁組制度”を主軸に展開して行きます。
まずトップカットが良いです。水の音が聞こえてきます。川の音?と思いますが、海の波の音に変わって、赤ちゃんの「オギャー」が聞こえます。
ここは素晴らしいですね。生命の起源は海であり、赤ちゃんが子宮の中にいる時に聞いている音も同時にイメージさせるものです。
その後、山が映し出されます。富士山のような円錐形の山です。母親の胸をイメージさせます。
そして夕日、コナラの木、森を抜ける風、ピアノの音へと繋がり、栗原佐都子(永作博美) と栗原朝斗(佐藤令旺)が歯磨きをしている場面へと気持ちよく物語が紡がれていきます。
もうさすがです。人の心をギュッと掴んで離さないスマートさと力強さがあります。
しかも朝斗が可愛すぎるのです。
河瀬監督は映画の中で「この映画を撮るにあたって、朝斗の“まなざし”というものが必要不可欠だと思っています」と語っている通り、時折見せる朝斗の“まなざし”というのが世の中を素直に見ている純粋な存在だと言えるのです。
ですから初っ端の朝斗と最後の朝斗の“まなざし”を是非注目して鑑賞して欲しいです(ネタバレになりますが、朝斗で始まって朝斗で終わります)
わたしはあなたの「家族・母親」になりたいのです
子どもが欲しくて不妊治療をする夫婦と予期せぬ妊娠をする中学生
まず本映画『朝が来る』は栗原佐都子(永作博美) と栗原清和(井浦新)夫妻とその子供 ・栗原朝斗(佐藤令旺)側と中学生で妊娠出産し養子に出した片倉ひかり(蒔田彩珠) の双方から描いていきます。
栗原夫妻は子どもを切望していましたが、恵まれませんでした。不妊治療を行いますが、夫の清和に原因がありました。無精子症です。
清和はショックを受けますが、顕微授精であれば妊娠できる可能性があります。
その際は、清和の睾丸から直接、精子を取り出す必要があります。
今まで、不妊の原因を女性側の問題「畑が悪い」と言い放ってきた男性を中心とした世論へのパンチとも受け取れます。
サンフランシスコ自体が「家族」だったのだ
不妊治療を断念して特別養子縁組制度を知った二人
しかし不妊治療とはとても辛いもので清和は断念します。佐都子も同意して「二人で生きていこうよ」となります。
ある日、旅行先で何気なく見ていたテレビで特別養子縁組制度の番組がやっていました。
二人は“触れてはいけない”と感じながらも見ます。NPO法人ベビーバトン代表の浅見静恵(浅田美代子) の言葉が胸に響きます。
「親が子どもを見つけるのではなく、子どもが親を見つけるためのNPOです」
そして二人は浅見のドアをノックします。
以下、特別養子縁組について補足説明します。
1、実親の同意
ただし実父母が意思を表示できない場合、あるいは実父母による虐待・悪意の遺棄などがある場合は不要。
2、養親の年齢
原則として婚姻している夫婦で25歳以上(ただし、夫婦の片方が25歳以上なら、もう一方は20歳以上)
3、養子の年齢
6歳未満。ただし6歳以前から養親が監護していれば8歳未満。
*令和2年4月1日の法改正により、原則15歳未満(例外18歳未満)に引き上げられる予定。
4、半年間の監護
養親が養子を6カ月以上監護した後に成立。
5、要保護性
実父母による看護が著しく困難または不適当などの事情があり、子の利益のため特に必要があるとき。
中学生の片倉ひかりから「朝斗」を託されて、、、
浅見のNPO訪問で養親になることを学んで、養子を迎える準備をします。「心の準備」です。
そして連絡があります。生まれたばかりの男の子です。二人は駆けつけます。
もう赤ちゃんを見た瞬間に「親」になっています。
そして実母・片倉ひかり(蒔田彩珠) は中学三年生です。本当にあどけない少女です。
ひかりは泣きながら手紙を渡して「ごめんなさい」と言って赤ちゃんと別れるのです。
この場面は胸が締め付けられますね。赤ちゃんの名前は「朝斗」と付けられました。朝に生まれたからです。
こんなに温かい「家族」って理想です
東京のタワーマンションでの格差問題も描いている
栗原ファミリーは幸せに暮らしていました。6年の歳月が経っています。ここで事件が起きます。
朝斗が幼稚園のジャングルジムから友だちを突き落とした疑惑です。佐都子はママ友らに激しく責め立てられます。でも謝りません。
ここで面白いのは清和・佐都子は高収入であり、タワーマンションの高層階に住んでおり、同じくママ友も同マンションに住んでいますが、低層階に住んでいる格差を皮肉で語っているところです。
ママ友が電話でオタクは一流企業だし、高層階に住むほどの収入があるからなどと悪態をつきます。
わたしは東京のタワーマンションについては詳しく知りませんが、河瀬監督がさりげなく紛れ込ませた日本社会への皮肉たっぷりの演出だと感じました。
実際は朝斗は友だちを突き落としていませんでした。
もし「家族」の誰かが犯罪者になってしまったら?
少女の声で「子どもを返してください。ダメならお金をください」が恐ろしい
そしてもう一つの事件。これが本映画『朝が来る』の始まりのベルとなります。謎の電話がかかってきます。
少女の声で「子どもを返してください。ダメならお金をください」です。
この声の主がひかりであるか否かが後半までわからないように物語は進んでいきます。ミステリーの要素が膨らんできます。
ただひかりと思われる人物の容姿を断片的に捉えているのが、ちょっと残念です。
できるのであれば変わり果てた姿を全身で捉えて欲しかったと思いました。
ひかり演じる蒔田彩珠さんであれば十分にニセモノを演じきれたのではないでしょうか。
中国生まれアメリカ育ちのわたしが一番大切なものは「家族」です
河瀬監督の映画は撮影に入る前に「役積み」と「順撮り」の成せる技
清和と佐都子はひかりを突き放します。「あなたはひかりさんではない」「あなたは一体誰ですか?」と。
この場面の永作さんの表情が絶品なのです。本当に得体の知れない人物を見る目なのです。どこの誰かわからない不審な女を見る目なのです。
よくもこんな演技が出来るものだと感心しますが、それは河瀬監督の独特の映画作りの成せる技から来るのは間違いありません。
河瀬監督の映画は撮影に入る前に「役積み」を行います。
役作りではなく登場人物が経験してきたこと、これから経験することをリアルな状況で体験し、その人物になっていくこと。
「積み上げ、積み重ねる」ことです。それは「時間の集積」となって演技を最高の状態に持っていくことになります。
しかも今の映画では珍しい「順撮り」で撮影されます。さらに映画製作の現場では出演者同士は役柄の名前で呼び合います。
そして、そして、清和と佐都子とひかりの対面の場面では演じる永作博美、井浦新夫妻と蒔田彩珠が数日間、合わないように徹底されての本番一発撮りだったのです。
ですから変わり果てはひかりを見た佐都子は絶句したのです。
すごいです、本当にすごいです、河瀬直美!
本映画『朝が来る』の役積みで浅田美代子さんは広島の一軒家に住み着き、NPOの勉強をみっちりしています。
ひかり役の蒔田彩珠さんと彼氏役・麻生巧(田中偉登)の二人も中学に数日間通っています。ここまで徹底すると映画監督は世界広しと言えど河瀬監督だけでしょう。
愛するあなたの子どもの「母・家族」になりたい
映画『朝が来る』の結末・評価
毒親の「世間体」が産み出した悲劇の女の子がひかりだった
さてさて本映画『朝が来る』でわたしなりに気になった点をいくつか挙げます。タワーマンションの室内での映像ですが、「手持ち」感を出しています。
その揺れ方が不安を煽るのです。まず冒頭の清和を送り出した後の玄関方向の廊下、その後にかかってくる電話への繋がりがミステリー感を助長しています。
今までの河瀬作品ではあまり感じられなかった雰囲気です。ひかりが絡んでくると手持ち感が強い印象を受けました。
次にひかりの両親・片倉貴子(中島ひろ子) と片倉勝(平原テツ)のきつい言葉の数々も印象に残りました。二人は教師ですが世間体を気にしています。
「あんたが妊娠するからとんでもないことに巻き込まれて」感が満載です。「人生がダメになる」や「肺炎で休んでることにしとけ」などです。
確かに田舎ですから大問題になるかも知れません。ある意味「世間体を気にした村社会」から抜け出せない人たちです。
自身の娘の心配より我が身の心配をする“毒親”ですね。
そしてわたし的に一番心に突き刺さったのは、ひかりがチンピラにお金を渡す場面です。「なんでわたしがこんな目に合うの?」と尋ねるとチンピラが「バカだからだろ」と言い放ちます。
これは痛いですね。本当に痛いです。当たっているのです。適切かどうかわかりませんが、やはり知性教養を積むことの大切さを表しています。
中学しか出ていないから学を積めませんでした。この場合は14歳で子どもを産んだことを“悲劇”だと考えた親の浅はかさと、14歳で子どもを産んだ少女にもちゃんとした教育の機会を当てるべきであるというメッセージだと思うのです。
「バカだから」と言い放ちますが、理解ある大人が周りにいればひかりの人生も変わってきたのです。
こちらも「世間体」を気にする親の犠牲者であるひかりの悲しみを表していました。すごい!
戦争によって失ってしまう「家族」ほど悲しいものはない
河瀬直美監督自らキャメラを担いでの映像にウルウルしてしまう
そしてそして、河瀬ファンにはたまらない河瀬節が最も感じられたのは、おそらく河瀬監督自らキャメラを担いで撮影したであろう、NPO法人での体感会の話と、似島での誕生日パーティーの場面です。
前者は実際に特別養子縁組された家族が登場しています。そして血の繋がりなんて小さな問題と言っています。
養子を得て幸せこよない雰囲気が伝わってきます。後者はNPO法人ベビーバトンで出産を控える女の子一人が誕生日を迎えてみんなで祝福する場面です。
ここも河瀬監督が撮影していると思われます。
妊婦役の葉月ひとみさんが泣いています。これは演技なのか、それともこの撮影中に誕生日を迎えたのかわかりませんが、とても良い涙なのです。
どちらも映像の尺は長いのですが、河瀬ファンとしては垂涎の喜びを感じます。
撮影カメラはおそらく民生機だと思いますが、映画全体の雰囲気を壊すことなく、盛り上げています。
前述したエンタメとドキュメンタリーをうまく組み合わせた構成にあっぱれです。その他もたくさんあります。
要所要所にサクラ、スズメ、山などをインサートカットとして入れることで安心感を高めてくれてます。
親しき中にも礼儀あり「家族」にも触れていけない秘密がある
“まなざし”の中に「世界には希望がある」
さてさて本映画『朝が来る』は“不妊問題”と“特別養子縁組制度”についてを主軸に進展しますが、上記したいくつかの問題を内包した「いまこそ考えるべき」映画です。
不妊治療においては菅総理が保険適用へと歩を切っています。
特別養子縁組制度への理解も深まるでしょう。
もともと、日本人は血族優先主義が強く血の繋がらない他者の子どもを養子として迎えることは珍しいことでした。
養子をもらう際は兄弟親戚といった場合が多かったのも事実です。
でも昔から「産みの親より育ての親」が大事なのはわかっているのです。
欧米と一概に比較してはいけませんが、確かに日本での特別養子縁組の数は少ないのが現実です。ここ数年は年間500から600件ほどです。
ただし欧米の場合の養子縁組については様々な異論があることも明記しておきます。
セレブと言われる人たちは貧しい他国から養子をもらっている場合が多いです。
実子に恵まれなかった人、あるいは実子以外にも子どもを欲しい人です。
お金がある人たちです。そして彼らは純粋に子どもが好きなのは間違いありませんが、やはり社会的なイメージ戦略もあることも事実です。
貧しい国や地域からの子どもを引き取ることで「良い人」「優しい人」と人々は賞賛します。
結果的に子どもが幸せになればオッケーだと思います。
養子縁組において一番重要なのは子どもの幸せを作れるかどうかだと思うのです。
本映画『朝が来る』では「親が子どもと見つけるのではなく子どもが親を見つける」と表現していました。
子どもが親を見つめる時の“まなざし”って大事だと思うのです。
河瀬監督は子どもが親、そして大人社会を見る“まなざし”の中に「世界には希望がある」ことを描いていると感じました。
どんなに辛くても必ず「朝は来ます」絶対に来ます。信じて生きて行きましょう!とても素晴らしい映画でした。
なんだかほっこりしてしまう「家族」が見られます
エンドカットは朝日の中、栗原朝斗(佐藤令旺) が片倉ひかり(蒔田彩珠) を見つめて終わります。
*「なかったことにしないでね」
*「会えて良かったよ」
幾多の試練を乗り越えて「家族」になった二人
映画『朝が来る』のキャストについて
栗原佐都子(永作博美)
栗原清和(井浦新)
片倉ひかり(蒔田彩珠)
浅見静恵(浅田美代子)
栗原朝斗(佐藤令旺)
麻生巧(田中偉登)
片倉貴子(中島ひろ子)
片倉勝(平原テツ)
片倉美咲(駒井蓮)
まとめ 映画『朝が来る』一言で言うと!
「子どもが欲しいというより親になりたい」
子どもが欲しいという気持ちも大事ですが、子どもを通して“親”になる事の方が難しいと思います。責任のある親のことです。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【家族がテーマの映画】
映画『浅田家!』
写真を通して「家族愛」を深める映画
映画『望み』
少年犯罪に巻き込まれた息子の安否を巡って、、、
映画『となりのトトロ』
やっぱり家族みんなで暮らしたい
映画『WAVES ウェイブス』
高校生の息子が殺人犯になってしまった、、、
映画『ゴッドファーザーPARTIII』
イタリア人の家族愛は深すぎる
映画『リメンバー・ミー』
死んでしまった父を呼び戻すのだ!
映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
てんやわんやの家族物語
映画『ポルトガル、夏の終わり』
終活のためにみんなを集めたが、、、
映画『フェアウェル』
生まれは中国で育ちはアメリカ「わたしはわたし」
映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』
ほんわか家族に癒される映画です
映画『借りぐらしのアリエッティ』
小人家族の小さな幸せ物語
映画『この世界の片隅に』
優しい家族と乗り越える
映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
アメリカ人好きな家族映画の決定版
映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』
家族で農場経営って本当に理想的です
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
絶対に「無実」だと信じる強い家族
映画『ファイティング・ファミリー』
家族の夢を実現するために「わたしは戦う!」
【格差社会を描いた映画】
映画『MOTHER マザー』
毒親が生まれたのは格差社会が原因?
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『存在のない子供たち』
戸籍も存在もない社会って“格差”どころじゃあない
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
黒人というだけで“チャンス”が与えられない社会がある
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『はちどり』
韓国社会の現実は恐ろしい
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
格差が招いた犯罪
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
日本の底辺男の希望映画です
映画『希望の灯り』
かつての東西冷戦の格差って?
映画『タロウのバカ』
タロウが悲しすぎる
映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
無学な父親を亡くしてしまい、、、
映画『ドッグマン』
不条理すぎる映画です
映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
差別・嫌悪される理由は本人にも問題ありでは、、、
映画『わたしは金正男を殺してない』
貧しい国から来た女性を使っての犯罪です
映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
少年たちはアメリカ社会の未来を憂いての犯行だったのか
映画『スキャンダル』
男どもに「一泡吹かせてやる!」ダンサーたちの挑戦!
映画『七人の侍』
黒澤明が描く“格差社会”はダイナミックだ
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
ど貧乏育ちだけど「成功したい」気持ちに嘘はない
映画『道』
人生は厳しい“道”ばかりだけど「間違い」はしたくない
映画『楽園』
田舎の“ムラ社会”の中の“格差社会”って陰険だ
映画『第三夫人と髪飾り』
格差というより“習慣”とか“伝統”と言った理由で、、、
映画『グラン・トリノ』
人種差別者が“格差社会”に初めて気がついたら!
映画『赤い雪 Red Snow』
貧しいことは悲劇です
映画『帰れない二人』
中国の発展がもたらす“格差社会”は速度が早い
映画『朝が来る』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
河瀬直美
原作
辻村深月
脚本
河瀬直美 高橋泉
製作総指揮
木下直哉
プロデューサー
武部由実子
撮影
月永雄太 榊原直記
照明
太田康裕
録音
森英司 ロマン・ディムニー
美術
塩川節子
スタイリスト
小林身和子
ヘアメイク
小泉尚子
編集
ティナ・バス 渋谷陽一
音楽
小瀬村晶 アン・トン・ザット
主題歌
C&K
サウンドデザイナー
ロマン・ディムニー
ラインプロデューサー
齋藤寛朗
制作担当
小野山哲史
助監督
甲斐聖太郎
栗原佐都子(永作博美)
栗原清和(井浦新)
片倉ひかり(蒔田彩珠)
浅見静恵(浅田美代子)
栗原朝斗(佐藤令旺)
麻生巧(田中偉登)
片倉貴子(中島ひろ子)
片倉勝(平原テツ)
片倉美咲(駒井蓮)
山下リオ
森田想
堀内正美
山本浩司
三浦誠己
池津祥子
若葉竜也
青木崇高
浜野剛利重剛
2020年製作/139分/G/日本
配給:キノフィルムズ