映画『はちどり』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『はちどり』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『はちどり』
(138分/PG12/韓国・アメリカ合作/2018)
原題『House of Hummingbird』
【監督】
キム・ボラ
【脚本】
キム・ボラ
【製作】
キム・ボラ
【出演】
パク・ジフ
キム・セビョク
チョン・インギ
イ・スンヨン
スヒパク・スヨン
キル・ヘヨン
【HPサイト】
映画『はちどり』公式サイト
【予告映像】
映画『はちどり』トレーラー
- 【毒親が登場する映画】
- 【子ども可愛がり映画】
- 【ある意味、毒親である気がする映画】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『MOTHER マザー』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
- 映画『天気の子』
- 映画『エリカ38』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
- 映画『レ・ミゼラブル』
- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『ドッグマン』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『朝が来る』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『帰れない二人』
映画『はちどり』のオススメ度は?
星4つです
韓国社会のことがわかります
女性監督の映画は温かみがあります
主演のパク・ジフが良い
映画『はちどり』の作品情報・概要
『はちどり』原題『House of Hummingbird』2018年に公開された韓国のドラマ映画。キム・ボラ監督長編デビュー作品。主演はパク・ジフ。第69回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門インターナショナル審査員賞グランプリ受賞。世界各国で50以上の賞を獲得。
映画『はちどり』のあらすじ・ネタバレ
1994年のソウル。中学二年生の14歳のウニ(パク・ジフ) は両親と兄と姉の五人家族で集合住宅に住んでいる。学校では友だちもいないので塾の友だちと遊ぶ。多感な年頃でボーイフレンドもいて、キスしたりしている。両親はウニに興味がないらしく兄の進学ばかりを優先させている。兄はそのストレスのはけ口としてウニを頻繁に殴る。ウニは首に“シコリ”が出来て手術を受ける。ウニは唯一、塾のヨンジ先生に心を寄せる。しかしヨンジ先生に悲劇が訪れる、、、、。
映画『はちどり』の感想・内容
とても良い映画だと思います。そしてとても深い映画だと思います。舞台が1994年ということを忘れてはいけません。
韓国は今でこそ経済的にも発展して、民主的な国というイメージがありますが、実は民主化宣言が出されたのは、1987年6月29日に当時の盧泰愚大統領候補が出したのです。それまでは軍事政権だったのです。
なぜ民主化宣言をしたのかは翌88年のソウルオリンピックがあるからです。
民主化された韓国は急激な成長を迎えます。本映画『はちどり』の主人公ウニ(パク・ジフ) の多感な年齢を背景にこの物語が描かているのが秀逸なのです。
世界に衝撃を与えた映画と言ったらこれ!
一見、映画は淡々と進行して行きます。何も大きな問題やトラブルがない日常を捉えているかと思いますが、実はそれは錯覚なのです。
これほどスケールの大きい映画はないと思うのです。先にあげました韓国の民主化を受けて6年の月日が流れていますが、人々の生活や思考も大きく変化しています。
経済成長と発展によってもたらされる格差社会の根底も見えてきます。
さらに相変わらず家父長制度が根付いた儒教社会の厳しさが見え隠れします。一家はソウル郊外の集合住宅に住んでいます。
家族で何を決めるのはすべて男である父親です。何がなんと言おうと男なのです。「女は口を出すな」的な要素がふんだんに盛り込まれています。
子どもは男がすべて、なのです。男の子の進学のためにすべてを費やす的な風潮を感じます。「ソウル大学へ行け」です。
光州事件をモチーフに描いた名作です
映画『はちどり』の結末・評価
ウニ(パク・ジフ) は父母からも無視されているような雰囲気があります。さらに兄からひどい暴力を受けています。
韓国社会では女性が男性に暴力を振るうことが日常的だと聞いたことがあるので、この場面はショックでした。
ウニは孤独を抱えています。学校でも友だちがいません。塾の友だちと仲良くしています。さらにボーイフレンドもいてキスをしたりと、結構なおませさんです。
タバコも吸うし、クラブ(ディスコ)に行って楽しんでいます。
日本社会にも生き辛い世界があります
映画は淡々と進んでいるように見えますが、ウニの表情が「涼しげ」なので見逃してしまう韓国社会があることに気がつかなくては行けません。さらにウニが後輩の女の子との恋愛感情もさりげなく入れているところが素晴らしいです。
そしてこの「涼しげ」なウニを通して韓国で起きた事件や他国からのニュースを挿入してくるのです。
こちらは親の過干渉をテーマにした映画です
まず北朝鮮の金日成死去のニュース映像に見入る韓国国民。彼らにとって北朝鮮の存在は恐怖もあありますが、やはり同胞ですから、憎みきれません。
そして金日成の死去によってもたらされる新たな変化に振り回される心情が描かれています。
そして聖水大橋の事故です。これが韓国社会に与えたダメージがいかに大きかったかを描いています。“手抜き工事”が発覚して国民の怒りは頂点に向かいました。
そして本映画『はちどり』ではその怒りを静かなウニの目線から描いているのも特徴です。その目には1997年の通貨危機を見越しているような眼差しです。
ウニには唯一心を許す人物が登場します。塾の講師のヨンジ先生(キム・セビョク) です。彼女はウニの心に寄り添いますが、悲劇が訪れます。
それが先の聖水大橋の事故です。ヨンジ先生が事故死していたのです。
この展開は良かったです。「ヨンジ先生も無視するの?」って思っていたところに実は、、、って感じでした。一瞬、重たい気持ちになりました。ここは良かったです。
原題は『House of Hummingbird』です。ハミングバードの家となります。ハミングバードは一秒間に数百回も翼を羽ばたくことができます。でもそこに立ち止まっています。
一生懸命に翼を動かしますが、誰も気がついてくれないというニュアンスがあるのでしょうか。それとも家から外へ飛び出したいという主張もあるのでしょうか。
本映画『はちどり』は韓国映画の激しくて、ドンデン返し盛り沢山の作風とはまったく異なりますが、とても感慨深い作品です。
しっとりと淡々とではありますが、心に沁み行ってきます。とても良い映画でした。
大森立嗣監督が描く日本社会は痛すぎる
映画『はちどり』のキャストについて
ウニ(パク・ジフ)
ヨンジ(キム・セビョク)
ウニの父(チョン・インギ)
ウニの母(イ・スンヨン)
ウニの姉(スヒパク・スヨン)
ヨンジの母(キル・ヘヨン)
まとめ 映画『はちどり』一言で言うと!
「淡々とした日常の背景にある世界の恐怖」
水鳥は一見、軽やかに泳いでいるように見えます。でも水中からその様を眺めると実は必死になって脚を動かしています。わたしたちの社会や日常でも、表向きは穏やかに見えることってたくさんありますが、裏を見ると実は大変なことが起きているのかもしれません。
合わせて観たい映画
【毒親が登場する映画】
映画『MOTHER マザー』
長澤まさみが演じる“毒親”最強物語
映画『誰も知らない』
我らが是枝監督が描く毒親は一味違う
映画『万引き家族』
毒親から救出「楽しければ良いじゃん」でも捕まる
映画『塔の上のラプンツェル』
ディズニー史上最悪の毒親でしょう
映画『絶唱(1975)』
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子どもの前で夫以外の男性と情事を見せたら、、、
映画『存在のない子供たち』
これがレバノンの現状なのだろうか。出生証明書もない子供たち
映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。
映画『荒野にて』
父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。
映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。
映画『J・エドガー』
息子が可愛くて仕方ありません。徹底的な教育を施します。
映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。
映画『タロウのバカ』
現代ニッポンにバカと叫ぶ!
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
親の教育が悪かったからこんな男になったのか、、、
映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
毒親で育って「アーサー」と出会うのは不運?
【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。
映画『パパは奮闘中』
蒸発した妻の代わりに子育てします。
【ある意味、毒親である気がする映画】
映画『ビューティフル・ボーイ』
薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。
映画『ベン・イズ・バック』
薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。
映画『37セカンズ』
お母さんはちょっと過干渉すぎます
映画『燃えよスーリヤ!!』
インド的な教育方法?
映画『ジョーカー』
アーサーの母親は間違いなく狂っていました
【格差社会を描いた映画】
映画『MOTHER マザー』
毒親が生まれたのは格差社会が原因?
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『存在のない子供たち』
戸籍も存在もない社会って“格差”どころじゃあない
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
黒人というだけで“チャンス”が与えられない社会がある
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
格差が招いた犯罪
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
日本の底辺男の希望映画です
映画『希望の灯り』
かつての東西冷戦の格差って?
映画『タロウのバカ』
タロウが悲しすぎる
映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
無学な父親を亡くしてしまい、、、
映画『ドッグマン』
不条理すぎる映画です
映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
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映画『赤い雪 Red Snow』
貧しいことは悲劇です
映画『帰れない二人』
中国の発展がもたらす“格差社会”は速度が早い
映画『はちどり』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
キム・ボラ
製作
キム・ボラ
撮影
カン・グクヒョン
脚本
キム・ボラ
ウニ(パク・ジフ)
ヨンジ(キム・セビョク)
ウニの父(チョン・インギ)
ウニの母(イ・スンヨン)
ウニの姉(スヒパク・スヨン)
ヨンジの母(キル・ヘヨン)
2018年製作/138分/PG12/韓国・アメリカ合作
原題:House of Hummingbird
配給:アニモプロデュース