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『タロウのバカ』(119分/日本/2019)
監督:大森立嗣
出演:YOSHI
菅田将暉
仲野太賀
- 映画『タロウのバカ』のオススメ度は?
- 映画『タロウのバカ』の作品概要
- 映画『タロウのバカ』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『タロウのバカ』の感想・評価・内容・結末
- 邦画界に“怪物”映画が誕生した
- わたしたちはこれが現実にあることを忘れてしまっている
- 映画『タロウのバカ』まとめ 一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【菅田将暉くん出演の映画】
- 大森立嗣監督映画】
- 【毒親が登場する映画】
- 【子ども可愛がり映画】
- 【ある意味、毒親である気がする映画】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『MOTHER マザー』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
- 映画『天気の子』
- 映画『エリカ38』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
- 映画『はちどり』
- 映画『レ・ミゼラブル』
- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『ドッグマン』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『朝が来る』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『帰れない二人』
- 映画『タロウのバカ』の作品情報
映画『タロウのバカ』のオススメ度は?
星4つです。
現代社会への力強いメッセージがあります。
「目を背けて生きていませんか?」
絶えずスクリーンから質問されます。
観終わったあと、黙考するのにオススメの映画です。
友だち、恋人、両親と観に行ってください。
映画『タロウのバカ』の作品概要
名前がない奴は「タロウ」だ。「判断つかねえ奴は殺せば良い」「好きってなに?」と衝撃的なセリフで問いかけてくる。本作は大森立嗣監督が構想20年を経て作り上げた渾身の一品。2016年に起こった相模原の障がい者施設殺傷事件を想起させたり、低年齢化する少年犯罪の凶悪性も描いているが、我々自身が社会から逸脱してモノを邪魔者のように排除していないだろうか、またはそういう人を作っているのは我々自身なのではないかと訴えてくる。
映画『タロウのバカ』のあらすじ・ネタバレ
何がきっかけでこの三人がつるむことになったかはわからないが、とにかく若者のエネルギーが暴走する。普通なら関わりたくない半グレの若者を襲い、金を奪おうとしたら銃を手に入れてしまう。ただでさえ、コントロールが効かない三人は銃を手に入れた事で意識が変わる。高校生エージは夢破れ自暴自棄に、同級生のスギオは恋する女の子の売春に胸を痛めている。そしてタロウは無戸籍、ネグレクトの母親。彼らは破滅するのが運命のように駆け抜けていく。
映画『タロウのバカ』の感想・評価・内容・結末
邦画界に“怪物”映画が誕生した
すごい映画が誕生したと思います。邦画界に怪物映画が誕生したのです。もちろん良い意味で“怪物”と書いています。
大森立嗣監督は恐ろしいです。本当に恐ろしい監督だと改めて実感しました。前作の『母を亡くした時、 僕は遺骨を食べたいと思った。』(18)がわたしにとってはいまひとつだったので、本作を観てビックリしました。
映画が終わって席から立ち上がれませんでした。“ズシリ”と大きな鉄管が頭からつま先に向けて貫かれている感覚でした。これほどの力の強い作品は近年ありません。
わたしたちはこれが現実にあることを忘れてしまっている
本映画は人によっては目を背けたくなる場面もあるでしょう。人によっては途中で席を立つ人もいるでしょう。でもそこを大森監督は狙っているのだと思います。
冒頭の障害者施設での場面は見てはいけないような人たちが出てきます。目を背けたくなる自分がいますが、それは間違いです。これが現実にあるのです。
体が不自由、あるいは精神に異常をきたしている人たちがいます。それをわたしたちは知らないふりをしています。知らないふりどころか、こういう人たちがテレビに出てくると「かわいそう」とか言って同情だけはしますが、何もしません。見て見ぬフリをしています。
同情するフリをして良い人アピールするわたしたちの方が問題
同情の気持ちを表す事で“良い人アピール”しているだけです。自身とは関係のない人たちの存在を上部では認めていますが、実際は蚊帳の外にしています。
わたしもその一人です。出来るだけ面倒臭い付き合いはしたくありません。自分の周りには綺麗なモノだけを集めてセレブな人間を装うことに夢中になろうとしています。
でも大森監督は敢えて障害者の人たちをキャスティングしています。手が変な形に曲がっている人、顔の表情が独特な人、奇声を出している人、そしてダウン症の少年少女たち。
直視できない自分に違和感を覚えます。でも彼ら(ダウン症の少年少女)を観ているとなんて楽しそうに生きているのかと感じ、羨ましくもなります。
本当に救いようのないほど悲しい境遇なのだろうか、、、
さて、映画ですが本当にこんなめちゃくちゃな若者がいたら絶対に関わりたくない、と多くの人は思うでしょう。わめき、怒り、殴り、盗み、殺す、もうめちゃくちゃです。
特に主演のタロウ(YOSHI)は本当に悲しいくらい愛のない人間です。無戸籍、学校も行ったことがない、育児放棄の母親、、、。
誰にも構ってもらっていないから人間社会のルールも知りません。いや興味がありません。人を殴っても何にも感じません。
「好きってなに?」っていうセリフに全てが込められています。なんて悲しい少年なのだろうと。
タロウの兄貴分のエージ(菅田将暉 )はもうヤケっぱちで生きている高校生です。柔道のスポーツ推薦で入った高校に入りましたが、怪我で断念し自暴自棄に生きます。
親友のスギオ(仲野太賀)を道ずれにします。スギオが恋する女性、洋子(植田紗々)はネットで客をとって売春をやっていて、スギオは苦悩しています。
そして三人の行き所のないエネルギーが集まって凶暴になります。
やり場のない三人の悲痛な叫びがこだました
三人は絶えず怒り狂っているように見えます。大きな声を出して、互いに虚勢を張り、暴れる。時にはそれが半グレ集団にも立ち向かっていきます。
殴られても蹴られても決して負け犬のように腹を見せて降参しません。自分たちの世界でけじめをつけようとします。それはそれで良いのではないでしょうか。
タロウの苛立ちの頂点の場面が忘れられません。公園で休んでいる主婦に拳銃を握らせ「おばさんの子ども可愛いか?本当に可愛いか?好きって何だよ!じゃあ俺を撃ってみろよ」と迫ります。タロウの叫びが聞こえてきます。「俺を殺してくれよ」と。あまりにも悲しいです。
スギオの叫びの場面も衝撃的です。洋子が客をホテルに引き込んだ後、雨が降る橋で前方からくる女性を倒しレイプに及びます。でも出来ません。そして雨中、泣き叫びます。愛する洋子に叫んでいるようでした。
そしてエージ。ずっと叫んでいますが、唯一無言の叫びが心に残りました。柔道部の面々に投げられ絞められボコボコにされる場面です。これはエージが自身の夢を昇華させた場面とも言えます。
映画は終始、この三人の若者の暴走で突き抜けて行きます。キャメラはじっくり、いやしつこく、いやいやネチっこく長回しで捉えています。
最後の河原でタロウとエージの場面は兎にも角にもタロウの心情にぴったりと寄り添っています。かなりの長さですが、目が離せません。
何かを期待してしまうのです。ここで彼らが人間らしい反省の言葉とか出るのか、、、と。そんな演出はありません。
エージを失った後のタロウはもう動物です。この世の阿鼻叫喚のごとく地面に転がり叫びまくります。一番大切なモノを失ってタロウは人間としても自我が芽生えてのでしょうか。
そんなことはどうでも良い。それは自分で考えるもモノと大森監督の声が聞こえてきました。スッゴイ映画でした。
*菅田将暉くんはカッコいいですね。
*仲野太賀くんの優しげな瞳にウルウルきます。
*YOSHIくんはデビュー作ですから思いっきりやったと思います。次回作が問題ですね。
*この映画を観ていて思い出したのは石井岳龍監督の『狂い咲きサンダーロード』です。こちらもエネルギーが大爆発していました。
*もうひとつ。ダルデンヌ兄弟の作風を思い出しました。『ロゼッタ』と『ある子ども』です。こちらもすごかった。
映画『タロウのバカ』まとめ 一言で言うと!
若者の凶暴な情熱が吠え始めたら止められない
若い時のエネルギーは本当に強烈だ。一度、火がついたらもう消えない。それが良い炎であれば建設的だが、間違ったら手に負えない。でもそれが正しいか間違いかはどうでも良いのかもしれない。動物にはルールなどないから、勝手に人間の作物を食べる。人間からしたらドロボーだ。でも彼らには関係ない。そう考えるとこの映画の三人は最も動物的なエネルギーを持った人間であると言える。やりたいことをやりたいようにやる、それだけだ。我々はいつの頃からか、人の目を気にしすぎて「良い子ちゃんぶる人間」になってしまっているのかもしれない。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【菅田将暉くん出演の映画】
映画『生きてるだけで、愛。』
菅田将暉くんの優しさいっぱいの映画です
映画『アルキメデスの大戦』
菅田将暉くんの天才ぶりはいいのですが、
大森立嗣監督映画】
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
母を亡くすことは悲しいですが、マザコンぶりがすごい
【毒親が登場する映画】
映画『存在のない子供たち』
これがレバノンの現状なのだろうか。出生証明書もない子供たち
映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。
映画『荒野にて』
父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。
映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。
映画『J・エドガー』
息子が可愛くて仕方ありません。徹底的な教育を施します。
映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。
【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。
映画『パパは奮闘中』
蒸発した妻の代わりに子育てします。
【ある意味、毒親である気がする映画】
映画『ビューティフル・ボーイ』
薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。
映画『ベン・イズ・バック』
薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。
【格差社会を描いた映画】
映画『MOTHER マザー』
毒親が生まれたのは格差社会が原因?
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『存在のない子供たち』
戸籍も存在もない社会って“格差”どころじゃあない
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
黒人というだけで“チャンス”が与えられない社会がある
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『はちどり』
韓国社会の現実は恐ろしい
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
格差が招いた犯罪
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
日本の底辺男の希望映画です
映画『希望の灯り』
かつての東西冷戦の格差って?
映画『タロウのバカ』
タロウが悲しすぎる
映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
無学な父親を亡くしてしまい、、、
映画『ドッグマン』
不条理すぎる映画です
映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
差別・嫌悪される理由は本人にも問題ありでは、、、
映画『わたしは金正男を殺してない』
貧しい国から来た女性を使っての犯罪です
映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
少年たちはアメリカ社会の未来を憂いての犯行だったのか
映画『朝が来る』
格差社会もあるけれど教育が大事だと思う、、、
映画『スキャンダル』
男どもに「一泡吹かせてやる!」ダンサーたちの挑戦!
映画『七人の侍』
黒澤明が描く“格差社会”はダイナミックだ
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
ど貧乏育ちだけど「成功したい」気持ちに嘘はない
映画『道』
人生は厳しい“道”ばかりだけど「間違い」はしたくない
映画『楽園』
田舎の“ムラ社会”の中の“格差社会”って陰険だ
映画『第三夫人と髪飾り』
格差というより“習慣”とか“伝統”と言った理由で、、、
映画『グラン・トリノ』
人種差別者が“格差社会”に初めて気がついたら!
映画『赤い雪 Red Snow』
貧しいことは悲劇です
映画『帰れない二人』
中国の発展がもたらす“格差社会”は速度が早い
映画『タロウのバカ』の作品情報
スタッフ・キャスト
監督
大森立嗣
脚本
大森立嗣
編集
大森立嗣
音楽
大友良英
キャスト
タロウ(YOSHI)
エージ(菅田将暉 )
スギオ(仲野太賀)
吉岡(奥野瑛太)
洋子(植田紗々)
恵子(豊田エリー)
小田(國村隼)
角谷藍子
門矢勇生
荒巻全紀
ACE
葵揚
水澤紳吾
池内万作
伊達諒
中島朋人
大谷麻衣
播田美保
水上竜士
小林千里
原沢侑高
伊藤佳範
大駱駝艦
2019年製作/119分/R15+/日本
配給:東京テアトル