映画『PLAN 75』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『PLAN 75』公式サイト・IMDbサイト・ Rotten Tomatoesサイトにて作品情報・キャスト情報ならびにレビューをご確認ください。
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『PLAN 75』
2022年製作/112分/G/日本・フランス・フィリピン・カタール合作
配給:ハピネットファントム・スタジオ
【監督】
早川千絵
【脚本】早川千絵【脚本協力】ジェイソン・グレイ【エグゼクティブプロデューサー】小西啓介 水野詠子 國實瑞惠 石垣裕之 フレデリック・コルベ ウィルフレド・C・マナーラン【プロデューサー】水野詠子 ジェイソン・グレイ フレデリック・コルベ マエバ・サビニャン【コ・プロデューサー】アレンバーグ・アン【ラインプロデューサー】古賀奏一郎【撮影】浦田秀穂【照明】常谷良男【録音】臼井勝【美術】塩川節子【スタイリスト】岡本華菜子【ヘアメイク】宮内三千代【音楽】レミ・ブバル【サウンドデザイン】フィリップ・グリベル【編集】アンヌ・クロッ【キャスティング】細川久美子【助監督】近藤有希【制作担当】金子堅太郎
【出演】
倍賞千恵子 磯村勇斗 たかお鷹 河合優実 ステファニー・アリアン 大方斐紗子
串田和美
映画『PLAN 75』外部リンク
【HPサイト】
映画『PLAN 75』公式サイト
【予告映像】
映画『PLAN 75』トレーラー
【公式Twitter】
映画『PLAN 75』
【IMDbサイト】
映画『PLAN 75』
【 Rotten Tomatoesサイト】
映画『PLAN 75』
映画『PLAN 75』のオススメ度は?
星5つです
「胸を突き刺します」
さすが是枝組
早川千絵監督は頭が良い
映画『PLAN 75』の作品情報・概要
『PLAN 75』2022年6月17日に公開された映画作品。早川千絵監督作品。日本・フランス・フィリピン・カタール合作。75歳以上の高齢者に対して自らの生死の権利を保障し、支援する制度「PLAN 75」の施行に伴う制度の対象者たちや市役所の職員、スタッフの苦悩を描く。主演は本作が9年ぶりの映画主演作となる倍賞千恵子(映画『ハウルの動く城』や映画『小さいおうち』や映画「天気の子」)。磯村勇斗(映画『ホリック xxxHOLiC』や映画『前科者』や映画『ヤクザと家族 The Family』)、たかお鷹(映画『MOTHER マザー』や映画『決戦は日曜日』)、河合優実(映画『ちょっと思い出しただけ』や映画『サマーフィルムにのって』)、ステファニー・アリアン、大方斐紗子(『あなたの番です 劇場版』や映画『閉鎖病棟 それぞれの朝』)、串田和美(映画『誰も知らない』)らが出演。
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映画『PLAN 75』の受賞歴
第75回 カンヌ国際映画祭(2022年)
受賞:カメラドール(新人監督賞) スペシャル・メンション 早川千絵 出品:ある視点部門
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映画『PLAN 75』のあらすじ・ネタバレ
78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子) はホテルの清掃員としてひとりで暮らしている。夫は数年前に他界した。子どもはいない。
ホテルで働く同僚もみな老人だ。軽口を叩くことがストレス発散となっている。
しかし、ある日、角谷ミチ(倍賞千恵子)たち、年老いた清掃員は突然、解雇される。
生活の糧がなくなった角谷は政府が推し進める「プラン75」に申請する。
一方、市役所で「プラン75」の推進に力を入れている岡部ヒロム(磯村勇斗) は叔父の岡部幸夫(たかお鷹)と再会して、「プラン75」に導く。
フィリピンから出稼ぎに来たマリア(ステファニー・アリアン)は娘の手術代を稼ぐために、 「プラン75」で亡くなった人たちの遺品整理の仕事紹介される。
夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。
住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。
一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。
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映画『PLAN 75』の感想・内容
「とても素晴らしい映画」だと思います。さらに「命を大事にしなければいけない」と改めて感じさせてくれた一品です。
そしてそして「共感を得る」映画でもあります。
まず本映画『PLAN 75』の監督である早川千絵さんの才能に驚愕しました。とても繊細で包容力があるにも関わらず、残酷で冷酷な物語の結末をきっちりと描く手腕にため息が出ました。
最初に印象つけてくるテーマは命です。でも結末が近づくにつれて、違うことに気がつきます。
展開が悲劇的、絶望的な雰囲気が垂れ込めていますが、最後の夕日で「希望」を見せてくれました。
ちなみにこの場面は夕日となっていますが、実際の撮影は朝日の中で行われたと思います。じっくり太陽を見ていると、少しずつ昇っていました。
思わずトリフォーの『アメリカの夜』を思い出してしまいました。
さて、早川監督ですが、本映画『PLAN 75』が長編劇場デビューとなっています。
しかもカンヌ映画祭に出品という幸運にも恵まれています。第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラ・ドール特別表彰をもらっています。
もちろん、是枝裕和監督(映画『万引き家族』や映画『誰も知らない』)の後押しがあったと思います。是枝組ということで、社会的メッセージが高いです。
先の『マイスモールランド』の川和田恵真監督も是枝組の一員です。邦画は完全に女性監督の時代に入ったと言っても良いのではないでしょうか。
早川監督のインタビューを見ていると、とても柔和な感じで優しさに満ちています。
そして「頭が良い人」という印象が一番強く残ります。経歴を拝見すると、ニューヨークの美大を卒業されています。
おそらく良家のお嬢さんであり、知性教養の高い親族の元育ったと思われます。
では本映画『PLAN 75』の評論をさせていただきます。「死をテーマ」にした映画は古今東西多く作られてきました。
人類が誕生していらい、多くの人の心には「死は悲劇」「死は苦痛」「死は恐怖」という感情が刻印されていると思います。それらを解決する、いや救う方法として宗教が生まれたのは否めません。
まず、本映画『PLAN 75』には宗教色が一切排除されている点が素晴らしいと思うのです。
宗教の多くは「自死は罪」とする趣があります。その理由もわかります。残された遺族や社会に衝撃を与えるからでしょう。
しかしながら本映画『PLAN 75』を観ていると、「わたしも自死を選ぶかも」という感情が芽生えてくるのです。
映画の前半で、「生まれる時は選べなかったから、死ぬ時は選びたい」という言葉がありました。
わたしも同様に思っています。それが本映画『PLAN 75』の75歳になった時に訪れるのです。
主演の倍賞千恵子さんの一挙手一投足から目が離せません。
最初こそは一生懸命生きているのですが、仕事が無くなり、生活費が枯渇していくと、興味が無かった『PLAN 75』へと気持ちを向け始めるのです。
家族もいない彼女にとって、生きていくことの意味がなくなったのです。実はここに早川監督の仕掛けたトラップがあるのです。
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映画『PLAN 75』の考察・評価
実は本映画『PLAN 75』のテーマは「死」を主軸に置いていますが、実はそれはカモフラージュで「弱者に対して不寛容な日本社会ってなんだ?」ということを突きつけてくるのです。
早川監督が本映画『PLAN 75』を発案するきっかけになったのは2000年台半ば以降「自己責任という言葉が幅をきかせるようになり、社会的に弱い立場の人を叩く社会の空気が広がっていたように思う」さらに「人々の不寛容が加速すれば『PLAN 75』のような制度が生まれる可能性がある」と危惧したことが発端だそうです。
とても頭が良いし、国家に対して映画表現で物を言い続ける是枝監督好みのアイデアです。
ただですね、わたし自身は死をネガティブに捉えていませんので、「こんな制度があったら良いなあ」と思うところもあります。
気力体力も衰えて、頭もボケてこの先何十年も生きていくことは茨の道を歩むようなものです。
となると75歳を迎えることがひとつの目標となるのです。その日になったら「やっと来た」と安心できるような気がします。
早川監督の本意と逸脱してしまいますが、わたしの持っている「死生観」には「死は恐怖、苦痛、悲劇ではない」ので、そういう選択をするのかもしれません。
正直、人生80年は長すぎます。
さてさて、本映画『PLAN 75』の登場人物の角谷ミチ(倍賞千恵子) の姿も印象的ですが、岡部ヒロム(磯村勇斗) 、成宮瑶子(河合優実) 、そしてマリア(ステファニー・アリアン) を取り巻く状況と感情の変化が抜群です。
3人はいずれも老人の角谷と違って、いまを生きる若者です。この対比がとてもうまくわたしたちの心にインプットされました。
岡部ヒロムは役所で『PLAN 75』を推進する公務員です。笑顔で「死という商品」を提案しています。
成宮瑶子は『PLAN 75』のコールセンターで働くオペレーターです。当初の二人は『PLAN 75』についてまったく違和感を持っていません。
寧ろ当然のことであり、年老いた人々の最後の救済と思っている節があります。それた次第に変わっていきます。
マリアはフィリピンから来た労働者です。娘が重病で手術代を稼がなくてはいけません。
紹介された仕事が『PLAN 75』で亡くなった人たちの遺品整理です。遺品整理には現金や貴重品が残されており、公然のごとく「ネコババ」が許されます。
他の出稼ぎより楽に稼げます。しかしながら、マリアも疑問に思うようになっていくです。
一見、角谷ミチ(倍賞千恵子)とはまったく異なる物語のように見えますが、3人とも「不寛容な社会で生きている」という日本社会の底辺にいることが垣間見えてくるのです。
そして将来の『PLAN 75』の予備軍であることにまだ気が付いていなかったのです。
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映画『PLAN 75』の結末
本映画『PLAN 75』を観て、思い浮かべるは『ミリオンダラー・ベイビー』『ジョニーは戦場へ行った』『海を飛ぶ夢』です。
これらは安楽死・尊厳死をテーマしており、本映画『PLAN 75』とはまったく異なります。
これらは自身の肉体が何らかの形で衰えたり、麻痺したことで、「死を選ぶ」のです。
本映画『PLAN 75』の角谷ミチ(倍賞千恵子) は老いて肉体は衰えましたが、身動きは可能です。
つまり「仕方なく死ぬしかない」と決断するところがまったく異なります。
わたし自身も社会的には弱者の部類に入るかもしれません。不寛容に扱われているのかもしれません。
でも生きていくしかないと思っています。戦後の日本は急速に発展を遂げて、その後のバブル崩壊を今も引きずっています。
80年代、世界一番の経済大国になった熱狂とその後に訪れた暗澹たる日々を過ごしていると、「人のことよりまずは自分」となってしまいます。
まだバブル期の方が人への興味があり、「寛容な時代」だったのではないかと思います。
いまは人のことを気にかける余裕すらありません。それが「不寛容な日本」を作っていると思います。
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映画『PLAN 75』のキャストについて
角谷ミチ(倍賞千恵子)
岡部ヒロム(磯村勇斗)
岡部幸夫(たかお鷹)
成宮瑶子(河合優実)
マリア(ステファニー・アリアン)
牧稲子(大方斐紗子)
藤丸釜足(串田和美)
まとめ 映画『PLAN 75』一言で言うと!
「世界へ!早川千絵監督」
素晴らしい才能が世界へ羽ばたきました。祝福しましょう!
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映画『ホタル』
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映画『PLAN 75』の作品情報
https://eiga.com/movie/96517/
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
早川千絵
脚本
早川千絵
脚本協力
ジェイソン・グレイ
エグゼクティブプロデューサー
小西啓介 水野詠子 國實瑞惠 石垣裕之 フレデリック・コルベ ウィルフレド・C・マナーラン
プロデューサー
水野詠子 ジェイソン・グレイ フレデリック・コルベ マエバ・サビニャン
コ・プロデューサー
アレンバーグ・アン
ラインプロデューサー
古賀奏一郎
撮影
浦田秀穂
照明
常谷良男
録音
臼井勝
美術
塩川節子
スタイリスト
岡本華菜子
ヘアメイク
宮内三千代
音楽
レミ・ブバル
サウンドデザイン
フィリップ・グリベル
編集
アンヌ・クロッツ
キャスティング
細川久美子
助監督
近藤有希
制作担当
金子堅太郎
角谷ミチ(倍賞千恵子)
岡部ヒロム(磯村勇斗)
岡部幸夫(たかお鷹)
成宮瑶子(河合優実)
マリア(ステファニー・アリアン)
牧稲子(大方斐紗子)
藤丸釜足(串田和美)
2022年製作/112分/G/日本・フランス・フィリピン・カタール合作
配給:ハピネットファントム・スタジオ