映画『この世界の片隅に』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『この世界の片隅に』公式サイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『この世界の片隅に』
(126分/G/日本/2016)
【監督】
片渕須直
【原作】
こうの史代
【脚本】
片渕須直
【製作】
松尾亮一郎
【出演】
のん
細谷佳正
小野大輔
尾身美詞
稲葉菜月
潘めぐみ
岩井七世
【HPサイト】
映画『この世界の片隅に』公式サイト
【予告映像】
映画『この世界の片隅に』トレーラー
- 【夢に向かって頑張っている映画】
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』
- 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
- 映画『ルース・エドガー』
- 映画『ハリエット』
- 映画『チアダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
- 映画『マディソン郡の橋』
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』
- 映画『キングダム』
- 映画『リメンバー・ミー』
- 映画『風をつかまえた少年』
- 映画『パリに見出されたピアニスト』
- 映画『レディ・マエストロ』
- 映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
- 映画『さよなら くちびる』
- 映画『王様になれ』
- 映画『ブレス あの波の向こうへ』
- 映画『ガラスの城の約束』
- 映画『リアム16歳、はじめての学校』
- 映画『ビリーブ 未来への大逆転』
- 映画『旅のおわり世界のはじまり』
- 映画『トールキン 旅のはじまり』
- 映画『チワワちゃん』
- 映画『芳華-Youth-』
- 映画『翔んだカップル』
- 映画『WAVES ウェイブス』
- 【オススメ反戦映画】
映画『この世界の片隅に』NHK総合 8/9(日) 午後 3時50分 ~ 5時56分
NHK総合 8/9(日) 午後 3時50分 ~ 5時56分
※大阪ローカルは8/11(火)午前1時00分~3時06分(月曜深夜)
邦画史上最高作品です。NHKで放送されます。
8月9日は長崎に原爆が落とされた日でもあります。
こうの史代さん原作を片渕須直監督が最高の演出で作り上げています。
そして、そして。何と言ってものんちゃんの演技が素晴らしいのです。この人はやっぱり天性の才能を持った女優さんです。
“魂”があるのです。心が優しい人だと思います。
絶対に観るべき映画です!
『この世界の片隅に』原作者はこうの史代さん。
日本の女性漫画家でイラストレーターです。こうの史代さんが編んだ本作は日本の文学史上、そして映画史上において最も評価されるべき作品であると思います。戦争というおぞましき舞台で、一市民の日常を淡々と描くことで、平和である今の時代に感謝しなければいけないと改めて思いました。
映画『この世界の片隅に』のオススメ度は?
星5つです
もう満点です
のんちゃんに会えます
お説教くさくないのが良い
平和が一番
今夏最大にヒット映画は中島みゆきさんの楽曲『糸』をモチーフ
映画『この世界の片隅に』の作品情報・概要
『この世界の片隅に』(このせかいのかたすみに)作家・こうの史代の同名漫画を映画化。『アリーテ姫』『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督・脚本の長編アニメーション映画。資金調達に困窮し、クラウドファンディングを募って資金を集める。2016年11月12日に日本国内63館で封切られた。しかしすぐに公開規模を累計484館(2019年10月31日時点)まで拡大してロングランとなる。
映画『この世界の片隅に』のあらすじ・ネタバレ
「ボーと」した性格のすずは絵を描くことが大好きな少女。マイペースで失敗ばかりする。ある日、すずをお嫁さんい欲しいと呉から北條周作(細谷佳正) が訪ねてくる。よくわからないまま嫁ぐ。嫁いだ先で小姑にいじめられるが、明るく、気にしない「ボーと」した性格で乗り越えていく。戦争が激しさを増しても日常に楽しみを見つけ前向きに生きていく。空襲の後、姪っ子・晴美と歩いている際に爆弾が爆発し晴美が死亡し、自身も右手を失ってしまう。
映画『この世界の片隅に』の感想・内容
のんちゃんの第一声「“ボーとした子”」でやられてしまった
「ウチはよう“ボーとした子”じゃって言われとって」
オープニングでいきなりのんちゃんが喋ります。もうこれで全部持って行かれました。最初のセリフで一気にやられたのです。
のんちゃんです。のんちゃんなんです。
彼女の声、彼女のイントネーションがスクリーンの中へ誘ってくれました。わたしのアニメ史上、いや映画史上、最も映画と一体になった作品と言えます。
とにかく素晴らしい映画です。
この映画『この世界の片隅に』を初めて観た時のショックは忘れられないです。
もちろん映画館で観ましたが、始まりから最後までスクリーンから目を離せず、耳を三倍くらいに大きくして鑑賞しました。
もう他のことは何も存在しないほど集中したことを覚えています。
繰り返します。やっぱり、北條(浦野)すず演ずるのんちゃんの第一声にやられてしまったのです。とにかく「優しい」「おっとりしている」そしてなぜか「安心感」を得たのです。
片渕監督はかつてジブリ映画を手伝っていました
若い二人の恋愛の最大の障害はやっぱり戦争でした
戦争を“舞台”にしているが「お説教くさくない」映画だから良い
鑑賞前に少しだけ勉強しましたが、本映画『この世界の片隅に』は核兵器反対映画とか反戦映画とか平和希求映画なのかなという印象を持っていました。
それはわたしたちは第二次世界大戦において国内外に甚大な被害をもたらした事実を鑑みると「当たり前」であり「永遠に訴える必要がある」と思っていました。
それはわたしたちの責任だと、、、。でも本映画『この世界の片隅に』はそんなジャンルに入らない映画だったのです。
第二次世界大戦前後を舞台にしていますが、スクリーンから発せられるメッセージが「お説教くさくない」のです。
『この世界の片隅に』には「戦争反対」等の強制的な押し付けがまったくない
わたしが育った時代は著書、音楽、絵画、そして映画でも「戦争反対」「核兵器反対」「平和国家」を前面に押し出している作品が多く、いつの間にかわたしも声高に子どもたちに言っていたと思うのです。
でも本映画『この世界の片隅に』にはそれらの強制的な押し付けがまったくないのです。本当にないのです。
声を大にしていいます。この映画が若者たちからお年寄りの心を虜にした理由は「お説教くさくない」と言っても良いと思います。
原爆をテーマにした宮沢りえ主演の名作
すずを中心とした人たちの日常生活を淡々と描いている
すずの生きている時代は戦時中です。でも、すずを中心とした人たちの日常生活を淡々と描いているのです。
すずは「ボーとしとるけ」という通りマイペースです。とびっきり明るい性格でもありません。戦争についてイエスとかノーとかも語りません。
家事も失敗ばかりします。厳しい兄に怒られてばかりです。嫁ぎ先の小姑にいじめられます。周りの人からもちょっとバカにされています。
ここなんです。ここ。
すずの良いところは決して自己嫌悪に陥ったり、人を恨み仕返しをしたりしないのです。特に小姑の黒村晴美(稲葉菜月)のイビリは強烈で観ているわたしは腹正しくなってきたほどです。
でも、従来の映画にはこう言った嫌味な小姑が登場するのは当たり前で、その場合は誰かが助けたり、守ったり、もしくは本人が強くなって見返すというのが常道でした。
でも、本映画『この世界の片隅に』にはそう言ったネガティブな行動がないのです。すずはずっとマイペースです。落ち込みもしません。愚痴もこぼしません。
片渕須直監督の狙い「怒りや憎悪の感情は何も解決しない」
ですから観ているわたしたちがすずに変わって“怒り”や“憎しみ”を持ってしまうのです。
実はこう言った感情を抱かせることこそ、片渕須直監督の狙いのひとつだったのではないでしょうか。
「映画の中ですずを守る正義の人間がいないからわたしが守る」というような気持ちって一見、大切なことかもしれませんが、よく考えてみると「怒りや憎悪の感情は何も解決しない」に行き着くのです。
ここなんです。ここ。とっても深いのです。
世界中に起きている紛争や戦争などの悲劇はこの「憎悪」の連鎖によって過去から現在、そして未来へと続いていきます。
憎悪は怒りというエネルギーを爆発させて復讐へと向かいます。その結果が戦争という悲劇でした。
犠牲者のほとんどは一般市民です。戦争は「不安」に陥れます。不安という感情からは何も生み出しません。鬱の温床なのです。
「妻子に会いたい」を希望に生き残ってみせる
映画『この世界の片隅に』の結末・評価
水を飲むように平和の大切さが身に沁みてわかる映画
わたしは過去において数多くの戦争映画を観てきました。もちろん、わたしの血と骨になったことは事実です。
あまりにもメッセージ性が強くて落ち込んでしまった映画もあります。
過去の作品を列挙して考えてみると、日本のことを自虐的に描き、日本人を非人道的な野蛮人であると言っている作品が多かったです。
こう言った映画を観た後って、やっぱりわたし自身も自己嫌悪に陥ってしまうのです。「わたしたちは戦争犯罪者の子孫」とか「ずっと謝罪し続けなきゃいけない」などです。
でも本映画『この世界の片隅に』では違ったベクトルで戦争のおぞましさを伝えているので、水を飲むように平和の大切さが身に沁みてわかるのです。素晴らしい。
第二次世界大戦前の恋愛事情も描いています
当時に馬鹿げた国家体制を「笑い飛ばす」ところが痛快!
本映画『この世界の片隅に』で当時の日本の体制が恐ろしいと思った箇所はいくつかあります。すずが憲兵に捕まる場面が一番恐ろしかったです。
絵を描くことが大好きなすずが、海を写生していたのです、そこには軍艦が停留しており、スパイ行為と間違われるのです。ここはゾッとしました。
当時の国家体制が異常であったからです。すずは家族に申し訳ないという表情をします。でも家族は大笑いするのです。
ここがすごいと思うのです。片渕須直監督の知識教養の高さを垣間見たのです。
通常の演出であったのならこの憲兵の恐ろしさを暴力を用いるかと思いますが、本映画『この世界の片隅に』では“笑い飛ばす”のです。実に痛快でした。
ですから余計に当時の日本という国家の異常性を伝えているのです。素晴らしい。そして義理の母の次の言葉がぐっと染み入ります。
「みんなが笑って暮らせればいいのにね」
戦時中「生き物に目を配る」描写が秀逸
生き物も多く登場するのも本映画の魅力です。ハチ、メジロ、チョウチョウ、アリ、猫、サギなど。
特に笑ったのはアリの行列を姪っ子の黒村晴美(稲葉菜月)と追いかける場面です。誰もが小さい頃に経験したこともあると思います。
それを戦争中にユーモアたっぷりに見せてくれる片渕須直監督に拍手喝采です。
かつて戦争を舞台にした映画でこのような小さな命を通して、一市民の日常を表した映画は思い浮かびません。
戦争という惨事の中で小さな生き物の命の存在は確実にありました。
「片隅」にありました。
右も左も若者たちは「平和」を愛する気持ちは同じだった
小さな生き物を想う心優しいすずに胸が締め付けられる
すずの「ボーと」した性格から小さな生き物へ向ける優しさを描くと当時に「犠牲者は人間だけではない」というニュアンスも伝わってきました。
そして圧巻だったのはサギを逃す場面です。「こっちへ来たら行けん」と言って逃した直後に空襲に遭います。
そして夫の北條周作(細谷佳正)が助けるのです。二人は小川に逃れて助かりますが、ここで愛を語るのです。この一連の流れに胸が熱くさせられます。
確かに宮崎駿も高畑勲も戦争をテーマに映画を作っています。でも正直言って「押し付け感」が強いのです。
もう古い演出と言っても良いのです。『風立ちぬ』も『火垂るの墓』も名作ですが、もう最初から「泣かそう、泣かそう」が見え見えなのです。
冷めてしまうのです。そう言ったことを考えると片渕監督の演出はこれからの若者向きだと感じました。
それと近年のアニメ映画の声優の起用にも問題があると思います。テレビに出ているタレント、歌手、お笑い芸人などには辟易としています。
知名度と演技力が伴っていません。“魂”に響いてこないのです。
その点、のんちゃんは良い。もちろん脇を固める声優さんも素晴らしい。
終戦と敗戦に対して「感情爆発」は圧巻
本映画『この世界の片隅に』は終始、すずの「ボーと」した雰囲気で進むかと思わせておきながら、すずが感情を爆発させる場面がちゃんと用意されています。
これがまた良いのです。この「ボーと」したすずが爆発するからこそ、映画が引き立つのです。そしてのんさんの演技が素晴らしいのです。
8月15日の終戦です。玉音放送を聞いたすずが爆発するのです。ここはすごかったです。本当にすごかったです。
「そんな覚悟の上じゃ、無いんかね。最後の一人まで戦うんじゃなかったかね、今まだここに五人おるのに、まだ左だよ、両足も残っとるのに。飛び去っていく、ウチらのこれまでが。それで良いと思ってきたものが。」
そして「じゃけん、暴力に屈せんとならんのかね、あー、何んも考えん、ぼーっとしたウチのまんまで死にたかったなあ」です。
この場面にも小さな生き物が登場します。飛び交うトンボと道端にはかぼちゃの花が咲いています。すずは涙目でかぼちゃを見つけます。そうです、戦争が終わりました。
そして「片隅」があちこちにあるのです。
戦争に足跡がどうしてもぬぐいきれません
こうの史代+片渕須直×のんちゃんで邦画史上最高映画決定!「いま“片隅”にある平和に感謝したい
本映画『この世界の片隅に』は、もちろん、こうの史代さん、片渕監督を含めた製作陣の魂がこもった作品であることは間違いありませんが、やっぱり「のんちゃんが素晴らしい」の一言になります。
おそらくのんちゃんという人間は本当に心優しい人なのだと思うのです。もう伝わってくのです。
うわべで演技する俳優さんはたくさんいます。でものんちゃんは心の底から演じていると思うのです。
わたしは本映画を何度も観ています(DVDや動画配信も含む)でも最近は映像は観ません。
代わりに“音声”だけを再生しています。これだけで良いのです。
音声だけだとより一層、のんちゃんの優しさが伝わってくるのです。一度、試しください。
戦争に翻弄された作家は平和を希求していたことは事実
映画『この世界の片隅に』すず(のんちゃん)の性格に惹かれるエピソード
・お嫁に行く先の名字も覚えてない
・祝言(結婚)式の最中に着物がシワになると言ってぬぐ。
・嫁いだ先の住所を知らない。「あのー、ここって呉市の何街ちですか?」
・犬猿の仲の人たちを仲良くさせる。
・小姑に広島へ帰れ!(いわゆる離縁)と言われ「里帰りオッケー」と勘違いし感謝する
・里帰りから戻る時、絵を描くことに夢中になりすぎて電車を逃す。
・すずが「妊娠したかも」って場面のご飯2人前も笑える
などたくさんあります。ほのぼのとします。でもほのぼのの向こうには戦争という惨事があり、より一層胸が締め付けられるのです。
*もうひとつ、忘れてはいけない描写があります。
呉の街へ買い物にきて、迷子になってしまう場面です。ここは伏線もあったと思います。遊郭で働く白木リン(岩井七世)との出会いです。実は彼女は夫・周作がかつて惚れていた女性です。
映画『この世界の片隅に』の傘の意味は?
昔の風習でしょうか。傘を持って嫁入りするようにおばあさんに言われます。すずは「はて?」って顔をします。
だたその後のセリフに「大人になるってこと」とありますから、意味的には何となくわかります。
そして祝言(結婚)式が終わって、寝室でのやり取りで傘に意味がはっきりわかります。初夜です。
周作が「傘持ってきたか?」の問いに「はい」というすず。それを受け取った周作は「刺していいか?」と聞きます。
丁寧な言い方をすれば「あなたのことを抱いて良いですか?」となるのでしょう。
その後、天井からのショットで二人はキスをします。この演出も良かったです。
映画『この世界の片隅に』の声優・キャストについて
北條(浦野)すずのん
もう何もいうことはありません。のんちゃんの演技は最高以上の言葉が見つかりません。この人でなければありえないです。目の前にのんちゃんがいるような錯覚を覚えました。
北條周作(細谷佳正)
すずの夫。とても優しい人です。リンに恋していたそうですが、ちゃんとすずを愛します。ホッとしました。細谷佳正さんの演技はとにかく穏やかで愛情に溢れていました。
水原哲(小野大輔 )
ずずの幼馴染。出兵します。すずへの思いを断ち切ろうとします。本当はすずを攫って行きたかったと思います。でも筋を通します。
黒村径子(尾身美詞)
周作の姉で晴美の母。未亡人。すずにきつく当たります。理由があります。最後はちょっと優しくなります。尾身美詞さんは憎らしさ満載の演技でした。良かったです。
黒村晴美(稲葉菜月)
径子の娘。すずと仲良しになります。子どもらしく天真爛漫。アリの行列を追いかける場面は笑えました。地雷で死亡します。
浦野すみ(潘めぐみ)
すずの妹。しっかり者。被爆します。
白木リン(岩井七世)
遊郭で働いています。周作の元彼女です。とても貧乏で教養も乏しいです。すずに絵を描いてもらいます。
まとめ 映画『この世界の片隅に』一言で言うと!
「この世界の片隅でわたしを見つけてくれてありがとう」
もうこの言葉しかありません。わたしの周り、あなたの周りの“片隅”に大切なことがたくさんあります。それを大事にして生きていきたいです。
合わせて観たい映画
【夢に向かって頑張っている映画】
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』
大学へ行って「絶対に作家になるんだ!」夢と勇気がもらえる映画
映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
男女差別があった時代の女流作家の生き方が描かている
映画『ルース・エドガー』
両親には感謝しているけど「良い子」でいるのもキツイ
映画『ハリエット』
人を助けるのがわたしの使命
映画『チアダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
目指すは全米制覇!
映画『マディソン郡の橋』
夢見た人とひと時の恋
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』
この国の行方をタクシーに乗せて
映画『キングダム』
目指すは天下の大将軍
映画『リメンバー・ミー』
父の夢は僕の夢
映画『風をつかまえた少年』
貧しくても夢があれば生きていける
映画『パリに見出されたピアニスト』
夢の叶え方がわからない少年に手を差し伸べる人
映画『レディ・マエストロ』
女性指揮者のパイオニアが困難を乗り越えて夢を実現する物語
映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
ソ連から亡命してまで自身の夢を掴んだ
映画『さよなら くちびる』
音楽をやりたい!その夢を果たすために何が必要か?
映画『王様になれ』
カメラマンになりたいんだ!と叫びが聞こえる映画
映画『ブレス あの波の向こうへ』
どんな時も頭の中はサーフィンの事ばかり
映画『ガラスの城の約束』
毒親の妨害を振り切って夢はまっしぐら
映画『リアム16歳、はじめての学校』
名門大学目指して母と息子で目指す受験
映画『ビリーブ 未来への大逆転』
女という事で笑われようがやりたいことがあるから気にしない
映画『旅のおわり世界のはじまり』
異国の地で歌手になることを決意した女の子
映画『トールキン 旅のはじまり』
仲間と未来の夢を語り合う青年たち
映画『チワワちゃん』
青春の儚いエネルギーが大爆発しています
映画『芳華-Youth-』
戦争に青春を取られてしまう悲劇
映画『翔んだカップル』
薬師丸ひろ子が時代を築いた理由がわかります
映画『WAVES ウェイブス』
アメリカの高校生の青春は残酷な運命に、、、
【オススメ反戦映画】
映画『絶唱(1975)』
山口百恵と三浦友和が描く「反戦映画の傑作!」
映画『ホタル』
高倉健さん自身が「反戦」の代表的な俳優
映画『父と暮せば』
宮沢りえさんと原田芳雄さん親子が描く被爆都市・広島
映画『アメリカン・スナイパー』
クリント・イーストウッドはまっすぐ「戦争反対!」と言及!
映画『スパイの妻 劇場版』
黒沢清監督の恐ろしさを改めて知る、、、
映画『炎の舞』
戦争が二人を切り裂いたことは間違いなし!
映画『オフィシャル・シークレット』
一人の女性の勇気が戦争を阻止する!
映画『愛と死の記録』
原子爆弾は本当に恐ろしいものです
映画『あゝひめゆりの塔』
彼女たちには大きな夢と希望があっただろうに、、、
映画『硫黄島からの手紙』
二宮くん「演技うますぎ」です
映画『名もなき生涯』
「絶対に戦争へは行かない!」強い人間の物語
映画『この道』
北原白秋は偉大だったことがわかる映画
映画『1917 命をかけた伝令』
映画『彼らは生きていた』
第一次世界大戦の少年たちは悲惨すぎる、、、
映画『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』
鬼軍曹・クリント・イーストウッド参上
映画『父親たちの星条旗』
この戦争での勝者は誰なのだ!
映画『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』
フィンランドとソ連の戦争は泥沼だった
映画『家へ帰ろう』
戦争によって引き裂かれた人たちの再会物語
映画『プライベート・ウォー』
たとえ片目を失っても「わたしは戦地へ行く」女性ジャーナリスト
映画『田園の守り人たち』
愛する男たちは戦争にとられてしまった
映画『この世界の片隅に』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
片渕須直
原作
こうの史代
脚本
片渕須直
企画
丸山正雄
プロデューサー
真木太郎
製作プロデューサー
松尾亮一郎
製作代表
市村友一 岩田圭介 渡邊耕一 古川博志 山本和男 太田和宏 二宮清隆 河野聡 戸塚源久 桝山寛 大塚学 神部宗之
監督補
浦谷千恵
画面構成
浦谷千恵
キャラクターデザイン
松原秀典
作画監督
松原秀典
美術監督
林孝輔
特殊作画
野村健太
演出補
野村健太
劇中画
四宮義俊 浦谷千恵 こうの史代 林孝輔
色彩設計
坂本いづみ
撮影監督
熊澤祐哉
撮影監修
淡輪雄介
編集
木村佳史子
音響監督
片渕須直
音響効果
柴崎憲治
音楽
コトリンゴ
音楽プロデューサー
佐々木史朗 飯田幸子
アソシエイトプロデューサー
米森裕人 安部幸枝
アシスタントプロデューサー
近藤千昭
アニメーション制作
MAPPA
広島弁監修
栩野幸知
広島弁ガイド収録
新谷真弓
お経読経
上園陽
お経録音
青原さとし
北條(浦野)すず(のん)
北條周作(細谷佳正)
水原哲(小野大輔 )
黒村径子(尾身美詞)
黒村晴美(稲葉菜月)
浦野すみ(潘めぐみ)
白木リン(岩井七世)
北條円太郎牛山茂
北條サン新谷真弓
浦野十郎小山剛志
浦野キセノ津田真澄
浦野要一大森夏向
刈谷さんたちばなことね
知多さん瀬田ひろ美
堂本さん世弥きくよ
小林の伯父佐々木望
小林の伯母塩田朋子
森田イト京田尚子
マリナ目黒未奈
千鶴子池田優音
ばけもん三宅健太
憲兵栩野幸知
ラヴェルヌ拓海
小暮日菜子
ラヴェルヌ知輝
喜安浩平
杉本真奈美
建石翔太
川上莉央
関根正明
三好翼
せかき孝輔
佐保光樹
大亀あすか
吉田有希
梶田大嗣
木村伽矢
田中真奈美
かずこ
長谷美希
野沙織
桜奈里彩
巴奎依
広瀬ゆうき
水希蒼
八木菜緒
澁谷天外
2016年製作/126分/G/日本
配給:東京テアトル
追記
『この世界の片隅に』 映画
広島出身(広島県広島市西区出身)のこうの史代の同名漫画を原作に、片渕須直監督・脚本。資金調達に苦しみ、クラウドファンディングで辛うじて集める。『恋とプロデューサー~EVOL×LOVE~』『呪術廻戦』MAPPAが長編アニメーションとして製作。本作は完全版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』から30分以上カットされて公開された。
『この世界の片隅に』 実話かドラマか
本映画『この世界の片隅に』は実話かドラマかについてですが、完全なる実話ではありません。こうの史代さんの創造物です。でも戦争も原爆投下も実際にありました。戦争で肉親を亡くしたり、戦災孤児になった人も多くいたでしょう。もちろん、すずのように手を失った人もいました。それは事実でしょう。そういった背景や出来事を総合的に取材・調査を重ねて、こうの史代さんがまとめあげた創造物です。「戦争」という舞台全体で見れば実話と言えます。
『この世界の片隅に』 漫画
こうの史代さんの漫画作品です。双葉社の『漫画アクション』にて2007年1月23日号 – 2009年1月20日号まで連載されていました。単行本は、同社より2008年から2009年に上・中・下巻が発売され、2011年に前編・後編の形式で発売されました。
『夕凪の街 桜の国』『戦争と広島』を発表して「原爆作家」と見られることに抵抗を感じたこうの氏は舞台を呉市に移して制作。理由は自身が原爆を語るような立場ではないこと。「原爆以外の死、戦争全体にもう1回向き合わなければバランスが取れない」さらに『誰もかれも』の『死』の数で悲劇の重さを量らねばならぬ『戦災もの』を、どうもうまく理解出来ていない」ことを背景としている。「そこ(戦時中)にだって幾つも転がっていた筈の『誰か』の『生』の悲しみやきらめきを知ろうとしました」と述べている。
つまりこうのさん自身が広島を舞台に戦争の最も悲惨な出来事“原爆”を描いてきたことは間違いではないが、自身は若い世代であり、被爆もしていない。そんな自分が原爆に語るには知らないことが多すぎるという謙虚な姿勢から『この世界の片隅に』は誕生したと言える。舞台を広島市から呉市に移したのは呉市は当時の日本にとっては重要な港であり、空襲も多くあったが、原爆は投下されなかった。そして広島に投下された。映画の中ですずに「広島へ帰れ」と促される場面は広島の方が安心であるという旨を表している。しかしもし広島へ帰っていたらすずも被爆していたというニュアンスも込められている。“たられば”ではあるが、もし呉市が軍の要衝でなかったのら広島への原爆投下は回避されていたのかもしれない。
『この世界の片隅に』水原哲
すずの幼友達で初恋の人。乱暴者。水原哲の兄は海難事故で死んでいる。両親の仲は良くない。孤独を感じている。海を眺めている時にすずが通りかかり、絵が下手な水原の代わりに描いてあげる。白波を見て「波のウサギ」の絵だ。水原はすずにツバキの花をあげる。その後、成長した水原は海軍に入り、呉に来てすずに今生の別れをいう。すずに「好きだと」想いを告げるが時すでに遅し。その際、すずを抱き寄せキスしたり「すずは良い匂いだ、甘い匂いだ」という。すずは「もう習作のことが好きだ」と言って断る。すずが水原を好きだったことを表す場面にすずと習作の祝言(結婚式)の時にツバキの花が見える。
『この世界の片隅に』 リン
白木リンは学もなく、貧しい家の育ち。遊郭で働いている、いや働かされている。若い周作はリンに恋をし、身請けしたいと思っていた(身請けとは遊郭にお金を支払いもらってくること)互いに相思相愛であったが、親族の反対もあり断念。心配した親族が結婚を促し、すずが相手となる。つまり周作とすずの結婚には恋愛結婚ではなくお見合いであることがわかる。もちろん当時は会ったこともない、話したこともない人を結婚することは珍しくなった時代。若い人から見れば「なんで好きでもない人と結婚するの?」という意見もあるが、それは当時の習慣であったと言うしかない。またすずはなぜ抵抗しなかったのかについては当時の多くの女性たちの立場が弱かったと言うしかない。ただ救われたのはすずは周作の印象を「キャラメルが口の中に広がっていくみたい」と言っているので良かったと言える。
『この世界の片隅に』 妊娠?
すずと周作が戦火の合間を縫って広島へデートへ行った際に発覚。橋の上で互いの「愛する」想いを語っている時に小さくて痩せてるすずが「最近、食欲がなくて」と言う場面で二人は「もしや!」って顔をする。次のカットで家に戻ったすずの夕食を出す黒村径子(尾身美詞) が「はい、二人前」と言ってどんぶりいっぱいのご飯を出す。翌日、病院から肩を丸め出てくるすず。次の場面の食事で径子は茶碗の半分くらいの茶碗を「はい、一人前」と言って出す場面で「妊娠はしていない」と言った表現をしている。
『この世界の片隅に』 傘
今では無くなってしまった習慣です。昔の祝言(結婚)の多くは今まで見たこともあったことも話したこともない相手とするの一般的だったのです。夫婦とはやはり子供を作る行いをします。でもお互い初対面で緊張もしていますからうまくことが運びません。ことをうまく運ぶためにこのような会話で緊張をほぐす役割があったそうです。本映画『この世界の片隅に』 でおばあが「新しい傘を持っていけ。向こうに聞かれたら持ってきたといえ」とあります。すずはその通り傘を持っていきます。周作はすずに聞きます。そして傘を受け取ります。傘を受け取り周作は干し柿を引き寄せて、すずと分け合い食べます。それからすずと結ばれます。
ネットの他の情報では周作も緊張していて、初夜を逃したと書いてありますが、わたし的には初夜をしっかりとやり遂げたと思います。緊張するすずのほっぺたを触り「昔からここにホクロがあった」と言って労っています。周作は女性経験が豊富な感じも伝わってきます。それもそのはず、白木リンと関係を持っていましたから。ですからまだ男性経験のないすずの緊張をほぐしたのでしょう。
以下、民俗学の権威である藤井昭著『日本の民俗 広島』(第一法規)の「柿の木問答」から引用させていただきます。
婿「あんたがたの家には、柿の木があるか」
嫁「はぁ、ええのがあります」
婿「柿は、ようなるか」
嫁「はぁ、いつもようなります」
婿「これから登って、もいでくうてもよいかの」
嫁「はい、どうぞ」
今では無くなってしまった習慣です。
『この世界の片隅に』ヨーコ(ようこ)
すずと周作が原爆投下後の広島を訪れて、ベンチで海苔巻きを食べていました。その時にすずが落とした海苔巻きが転がり、それを拾ったのがヨーコです。彼女は戦災孤児でした。少し前の映像で母親を思われる人物に寄り添っています。死んでいます。身体中が腐っているようです。ヨーコはすずに海苔巻きを返そうとしますが、心優しいすずは「ええよ」と言って食べさせます。その後、ヨーコはすずの横に座って眠ってしまいます。すずの無くなってしまった右手をあたかも握りしめてるような感じで。すずと周作はヨーコを連れて帰ります。連れ帰った家族はヨーコを受け入れました。
続く