『存在のない子供たち』(125分/レバノン/2018)
原題『Capharnaum』
- 映画『存在のない子供たち』のオススメ度は?
- 映画『存在のない子供たち』の作品概要
- 映画『存在のない子供たち』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『存在のない子供たち』の感想・評価・内容・結末
- 映画『存在のない子供たち』まとめ 一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画あわせて観たい映画
- 【毒親が登場する映画】
- 【子ども可愛がり映画】
- 【ある意味、毒親である気がする映画】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『MOTHER マザー』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
- 映画『天気の子』
- 映画『エリカ38』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
- 映画『はちどり』
- 映画『レ・ミゼラブル』
- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『ドッグマン』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『朝が来る』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『存在のない子供たち』の作品情報
映画『存在のない子供たち』のオススメ度は?
星4つです。
遠い国の現実です。
胸が締め付けられます。
我々は傍観者かもしれません。
何らかも形で貢献できれば、、、、。
子どもは遊ぶのが一番です。
児童労働は反対です。
恋人、友達、親と行ってください。
映画『存在のない子供たち』の作品概要
レバノンの女性監督ナディーン・ラバキーが描く、レバノンの現状をつぶさに写し取った良作。貧しいことは罪である。幼児虐待、人身売買、児童労働、難民、不法移民、不法就労、不当搾取がはびこる原因は何だろうか、、、。まず両親が無知であることが問題です。“教育”が一番大事なのではと感じる作品です。2018年・第71回カンヌ国際映画祭で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞。
映画『存在のない子供たち』のあらすじ・ネタバレ
レバノンの貧民窟で暮らすゼイン一家。狭い一室で家族総勢10名近くが住んでいる。両親は稼ぎもないのに子供を作る。働くのは子供達。無論、学校などは行っていない。女の子が生理を迎えたらお金持ちに売られる。ゼインは妹を売れれ自暴自棄になり家出する。そして両親を訴える。訴状は「僕を生んだから」である。レバノンが抱える幼児虐待、人身売買、児童労働、難民、不法移民、不法就労、不当搾取を織り交ぜながら映画は展開されていく。
映画『存在のない子供たち』の感想・評価・内容・結末
何もできない、しない自分のもどかしさを感じる
幼児虐待、人身売買、児童労働、難民、不法移民、不法就労、不当搾取など貧しい国々が抱える問題のオンパレードである。もちろん負のオンパレードだ。
最初から最後まで胸が締め付けられっぱなしの映画だった。かと言って私に何ができるだろうか、、、。何もできないのが現実だ。
私はこの映画が撮影されたレバノンより遠い日本で暮らしている。他人事のように観ただけだ。もっと言えばこの映画を観て自分の現状と比べて「ああ、私はあんな酷い状況で育たなくて良かった」と思う自分もいるし、この映画の現状を誰かに伝えることで「良い人アピール」をしようとする自分もいる。
人と比べることで安堵する自分の存在
いずれにしてもダメ人間だと思う。連日、テレビや新聞のニュースでどうでも良い芸能ネタに毒吐き、もっと世の中の役に立つニュースを流せと息巻くが、結局何も行動をしないのだから意味がないとさえ考えてしまう。
この映画を観て立派な感想を書くとことはできるが、彼らを救おうと行動を起こさないからテレビのくだらない芸能ネタに毒吐く自分に絶望的になる。
人間は他人と比較したがる。比較して自分より恵まれている人を妬み、僻むくせに自分より不幸な人を見て安堵し幸せを感じてしまうものだ。
だから本映画を観ている人たちもおそらく自身、あるいは自身の子どもが元気で健康に育っている現状と比較して「良かった」と思っている人もいると思う。
ナディーン・ラバキー監督の映画制作へのスタンスはいつも弱者側
さて、本映画『存在のない子供たち』はレバノンの女性が監督している。ナディーン・ラバキーさんだ。
彼女の映画製作はいつも弱者の側に立つことから始める。2001年以降、世界は分断と破壊に晒されている。今のとてつもない勢いで破滅へと向かっている。
裕福な人や国より、貧しき人や国が犠牲者と言える。もう後戻りできない状況にあると彼女は感じているはずだ。
絶望への疾走の中でもナディーン・ラバキー監督は一筋の光明を見出そうと本作を送り出した。
主演のゼインもまた辛い生活を経験している
本作の主人公ゼインを演じるは実際のシリア難民で、レバノンに移民してきた少年だ。その他出演者もほとんどが素人俳優だ。
だから映画を観ているドキュメンタリーなのかと錯覚してしてしまう理由がわかった。まずゼインの目が怖い。人を信用していない目なのだ。
この目には大人への憎悪が込めらている。生まれた頃から折檻され、けなされ、殴られ、蹴られ、働かされ、搾取され、騙され、差別されて生きてきたという卑屈の目だ。
とても演技では出せない迫力がある。
ゼインは必死になって弱者を守ろうとするが、、、
少年ゼインは大好きな妹が売られ、さらに人間不信になり家出をするが、エチオピアからの不法労働者の貧しい母娘に身を寄せる。
同じような弱者に心を通じたのだろう。血も繋がらない子供の世話を一生懸命にやる姿にホッとする。たぶん、妹が売られた痛みを知っているからだろう。
しかしその母親が不法労働で捕まってしまい、子供を養うお金がなくなり、その子を売ってしまう。ゼインは嗚咽する。自分と妹を売った両親と重ねたのだろう。
「立派な大人になりたかった」と過去形で泣き叫ぶ姿がキツイ
そして実家に帰って妹が妊娠し出産の際、亡くなったことを知り、男を刺す。逮捕されて留置場に行く。そして裁判で両親を告訴する。「両親の罪は何か?」と問われて「僕を生んだこと」と答える。きついです。「貧乏なくせに子供を作るな。責任が取れないのなら産むな」でと続ける。胸が締め付けられる。「けなされ、叩かれ、出て行けクソガキと言われて生きてきた。僕はずっと生き地獄で暮らしている。立派な大人になりたかった」というのだ。まだ、12歳の少年がだ。もう未来がないような表現だ。本当に痛い。
最後の最後で笑う姿に「どうか生き抜いて」と祈ることしかできない
ゼインはせめて出生証明書が欲しい。存在が認められていないから人間社会においては不在となる。
学校にも行けない、仕事も就けない、病院にも行けないのだ。人間として認められていないから幼児虐待、人身売買、児童労働、不当搾取や差別の対象になるのだ。
でもだ、ようやく最後にゼインは手に入れる。最後の最後に笑う。ずっと欲しかった出生証明書用の写真撮影の時だ。ゼインが笑うのはこの映画では最初で最後だったが、少しだけ救われた気がした。
映画『存在のない子供たち』まとめ 一言で言うと!
子どもたちに教育を!
教育が必要であると感じました。学校へ行って友と机を並べて学ぶ。知識、知性をつけて世界について考えることが大事です。自分の痛みを人に語り、人の痛みを分かつことで優しさが身につきます。子どもや女子を大切にする気持ちを育むには教育から始める必要があると思います。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画あわせて観たい映画
【毒親が登場する映画】
映画『ワイルドライフ』
働かない父親。不倫に走る母親。子供の面倒をみません。
映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。
映画『荒野にて』
父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。
映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。
映画『J・エドガー』
息子が可愛くて仕方ありません。徹底的な教育を施します。
映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。
【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。
映画『パパは奮闘中』
蒸発した妻の代わりに子育てします。
【ある意味、毒親である気がする映画】
映画『ビューティフル・ボーイ』
薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。
映画『ベン・イズ・バック』
薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。
【格差社会を描いた映画】
映画『MOTHER マザー』
毒親が生まれたのは格差社会が原因?
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
黒人というだけで“チャンス”が与えられない社会がある
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『はちどり』
韓国社会の現実は恐ろしい
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
格差が招いた犯罪
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
日本の底辺男の希望映画です
映画『希望の灯り』
かつての東西冷戦の格差って?
映画『タロウのバカ』
タロウが悲しすぎる
映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
無学な父親を亡くしてしまい、、、
映画『ドッグマン』
不条理すぎる映画です
映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
差別・嫌悪される理由は本人にも問題ありでは、、、
映画『わたしは金正男を殺してない』
貧しい国から来た女性を使っての犯罪です
映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
少年たちはアメリカ社会の未来を憂いての犯行だったのか
映画『朝が来る』
格差社会もあるけれど教育が大事だと思う、、、
映画『スキャンダル』
男どもに「一泡吹かせてやる!」ダンサーたちの挑戦!
映画『七人の侍』
黒澤明が描く“格差社会”はダイナミックだ
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
ど貧乏育ちだけど「成功したい」気持ちに嘘はない
映画『道』
人生は厳しい“道”ばかりだけど「間違い」はしたくない
映画『楽園』
田舎の“ムラ社会”の中の“格差社会”って陰険だ
映画『第三夫人と髪飾り』
格差というより“習慣”とか“伝統”と言った理由で、、、
映画『グラン・トリノ』
人種差別者が“格差社会”に初めて気がついたら!
映画『赤い雪 Red Snow』
貧しいことは悲劇です
映画『存在のない子供たち』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ
監督
ナディーン・ラバキー
製作
ミヒェル・メルクト
ハーレド・ムザンナル
製作総指揮
アクラム・サファー
アンヌ=ドミニク・トゥーサン
レイ・バラカット
ジェイソン・クリオット
脚本
ナディーン・ラバキー
ジハード・ホジェイリ
ミシェル・ケサルワニ
ジョルジュ・ハッバス
ハーレド・ムザンナル
撮影
クリストファー・アウン
編集
コンスタンティン・ボック
音楽
ハーレド・ムザンナル
キャスト
ゼイン・アル・ラフィーアゼイン
ヨルダノス・シフェラウラヒル・シファラ
ボルワティフ・トレジャー・バンコレヨナス
カウサル・アル・ハッダードスアード
ファーディー・カーメル・ユーセフセリーム
シドラ・イザームサハル
アラーア・シュシュニーヤアスプロ
ナディーン・ラバキー
作品データ
原題 Capharnaum
製作年 2018年
製作国 レバノン
配給 キノフィルムズ
上映時間 125分
映倫区分 PG12