映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
(120分/PG12/アメリカ/2019)
原題『The Last Black Man in San Francisco』
【監督】
ジョー・タルボット
【製作】
カリア・ニール ジョー・タルボット
デデ・ガードナー ジェレミー・クライナー クリスティーナ・オー
【製作総指揮】
キンバリー・パーカー ブラッド・ピット サラ・エスバーグ
【原案】
ジミー・フェイルズ ジョー・タルボット
【脚本】
ジョー・タルボット ロブ・リチャート
【撮影】
アダム・ニューポート=ベラ
【美術】
ジョナ・トチェット
【編集】
デビッド・マークス
【音楽】
エミール・モセリ
【出演】
【HPサイト】
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』公式サイト
【予告映像】
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』トレーラー
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』のオススメ度は?
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の作品情報・概要
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の感想・内容
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の結末・評価
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』のキャストについて
- まとめ 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【格差社会を描いた映画】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『MOTHER マザー』
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- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
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- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
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- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
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- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『ドッグマン』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『朝が来る』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の作品情報
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』のオススメ度は?
星4つです
新しい才能の誕生です
ジョー・タルボット監督です
作家性が高いです
芸術映画です
家・友情・環境汚染
そして格差社会を描いています
すごい!
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の作品情報・概要
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』原題『The Last Black Man in San Francisco』2019年に公開されたアメリカ合衆国のドラマ映画。監督はジョー・タルボット。本作がデビュー作品である。主演はジミー・フェイルズとジョナサン・メジャース。A24製作で製作総指揮はブラッド・ピット。ジョー・タルボットとジミー・フェイルズは幼馴染の親友。二人が体験したサンフランシスコでの出来事を映画化しようKickstarterを通して資金調達して製作。
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』のあらすじ・ネタバレ
サンフランシスコで生まれ育ったジミー(ジミー・フェイルズ) とモント(ジョナサン・メジャース) は小さい頃からずっと親友だ。二人の目の前の海は汚染されているようだ。ジミーはかつて祖父が建てた家を見に行く。白人夫婦が住んでいる。塗装が剥げており、無断で色を塗っていると家主に追い払われる始末。ジミーはもう一度この家を手に入れたいと思っている。親友のモントも応援するつもりだ。ある日、その家が空き家になった。ジミーは無断で家財を入れて住み始める。
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の感想・内容
監督のジョー・タルボットの次回作が楽しみになるほど「作家性の高い」映画です
「とても作家性の高い」映画です。監督のジョー・タルボットの次回作が楽しみです。
ただわたしたち日本人にはサンフランシスコの歴史がいま一つわからないので、感情移入においては一歩踏み込めなかったという人が多いのも事実です。
多くの日系アメリカ人がサンフランシスコに住んでいたことが度々紹介されたことは良かったと思います。今後、サンフランシスコに行く際はしっかりと勉強しようと思いました。
サンフランシスコ映画の代表作はこれ!
黒人の貧困問題から環境汚染と格差社会という全世界的な社会構造に対しての痛烈なメッセージ映画
さて、本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』は“家(母屋)への懐古”思想の中で展開する「友情物語」です。でも実際はそれ以上のメッセージがあります。
ジミー(ジミー・フェイルズ) とモント(ジョナサン・メジャース) は無二の親友。ジミーはかつて祖父が建てた瀟洒な家を取り戻したいと思っています。
しかしそこは白人の夫婦が住んでおり、不可能です。ずっと外から眺めていますが、外壁の色が落ちていたので、無断に塗装します。当然、白人女性から罵声を浴びせられ追い払われます。
モントは演劇志望の若者です。ジミーの健気思いと一生懸命さにほだされて、家を取り戻すことに協力します。
本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』はジミーが祖父の家を取り戻す過程で、演劇志望のモントが脚本を書き上げる様子、さらに都市開発がもたらした環境汚染が著しいサンフランシスコの現状をうまく描いています。
そしてそして、何と言っても黒人の貧困問題、つまり“格差社会”についてしっかりと訴求しています。
家と友情物語と見せておいて、環境汚染と格差社会という全世界的な社会構造に対しての痛烈なメッセージ映画となっているところがすごいのです。
サンフランシスコ湾にある脱獄不可能な刑務所
重厚なテーマが内包されていることにあまり気がつかない人が多いかもしれない
ただ本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』は雰囲気がとても良いので、これほど重厚なテーマが内包されていることにあまり気がつかない人が多いのではないでしょうか。
まず全体的な色調が素晴らしいです。予告を観て、映画『ビール・ストリートの恋人たち』のバリー・ジェンキンス監督作品かと思いました。
とても濃淡で、温かみのある色調なのです。確かにこういう重厚なテーマが内包する作品に寒色系の色合いを出すと、かなり殺伐とした雰囲気になります。
であるなら割とポップにした方が良いと考えたのは賢明です。
サンフランシスコでの経験を生かしてスペインへ
オープニングの黒人の少女と防護服(たぶん白人)の人が掴みオッケー
本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の始まりが意味深なんです。
黒人の少女が空を見ています。次の瞬間に防護服を着た人がゴミを拾い集めています。これ自体が恐ろしい場面です。
少女は無防備なのに大人の人間は完全防備。「どれだけ危ないんだ?」とツッコミを入れてしまいます。
その様子を見ているのがジミー(ジミー・フェイルズ) とモント(ジョナサン・メジャース) です。バスを待っているのですが、来ません。そして演説をする黒人青年がいます。
サンフランシスコは黒人の町であったとか、いま現在は環境汚染に侵されていると言っています。特に水の問題が深刻と。
サンフランシスコの近くの町・オークランドが舞台
スケートボードと若者文化は切っても切り離せないアメリカの姿
ジミーとモントはボーッとしていますが、バスが来ないのでジミーのスケートボードに乗って町へと向かいます。
このスケートボードを用いた映画って本年でも二本あります。映画『mid90s ミッドナインティーズ』mid90s ミッドナインティーズ』と映画『行き止まりの世界に生まれて』です。
二本ともスケートボードがアメリカの少年少女たちにとってのファッションアイテムになっていること、さらには人生に多大な影響を与える不可欠な存在であることが伺い知れました。
それはかつて映画やロックがそうであったようにスケートボードは若者が通るべき道のひとつなのでしょう。
そしてそこにはヒップホップの存在もあります。
ただ本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』は黒人たちが主体でありながらヒップホップ色は薄いです。どちらかというとブルース色の方が強いです。
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の結末・評価
ジョー・タルボット監督演出「直接的に貧困を訴えていないところに新しさが“クール”」
本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』はアクション的な演出は一切ありません。ただぼんやりと眺めるように観た人も多いでしょう。
しかしながらこのサンフランシスコの現状は将来の東京の街かもしれないのです。
かつてサンフランシスコは黒人が多く住んでいました。その前は日系人です。さらにその前はネイティブアメリカンです。
でも今は家賃が急騰して、シリコンバレーで働く高給取りが住んでいます。
ジミーをみてください。家がないのでモントの家に居候しています。ジミーは携帯電話も持っていないほど、貧乏です(いや携帯を持つ持たないの価値観を超越した若者)
移動手段もスケートボードです。ここに格差社会を描いています。
ただ従来の格差社会を描いた映画『パラサイト 半地下の家族』や映画『万引き家族』、さらには映画『レ・ミゼラブル』のように直接的に貧困を訴えていないところに新しさを感じるのです。
ここがジョー・タルボット監督の将来性を感じる所以です。“クール”なんですよ。とってもクールに描く人ですね。
ジェームズ・ディーンはカリフォルニア州サリナスで事故死
発展と共に汚染が深刻になったサンフランシスコと黒人の貧困と格差社会
サンフランシスコはかつてゴールドラッシュに沸いた町です。そして発展と共に汚染が深刻になったことを冒頭の少女と防護服で描いています。うまいですね。
それをあまり強調していません。黒人の貧困状況もうまく表しています。
ジミーは介護職で生計を立てしますが、モントは何は戯曲を書いています。
収入の有無は不明です。そしていつもモントの家の前でたむろしている黒人たちはおそらく無職でしょう。ほぼギャングです。
しかも仲間の一人が殺されます。貧しいから殺されたのです。
A24作品はやっぱりオシャレです
戯曲を用いての友情物語の演出にジョー・タルボットの高い作家性に驚きを感じる
そして本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の終盤で、思いがけない事実が判明します。
ジミーが愛して手に入れた祖父が建てた家は実際には他の誰かが建てた家だったのです。それをモントがジミーに告げるのです。
この告げ方が良いのです。モントが書いた戯曲で涙ながらに演じて告げるのです。ここにもジョー・タルボットの高い作家性を感じます。素晴らしい。
A24はユーモアのセンスも抜群です
ジミーも知っていたのです。その家が祖父が建てた家ではないことを、、、。
でもこれほどまでに家に固執したのはやはり、自身の家族が離散したことへの懐古もあり、「もう一度家族と過ごしたい」という思いがあったのでしょう。
結果的に家を戻したことで父とも母とも対面を果たします。そしてジミーはサンフランシスコを後にします。
A24は新しい才能を発掘する名人です
日本の都市部の将来を予見させる映画である
さて、わたし自身は“家”に対する愛着が薄いので、どうしてこんなに固執するのかは理解できません。
温故知新と言いますが、いつまでも過去の思い出探しに魅力を感じないのです。
ですから本映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の最初の方は「かったるいなあ」と思っていました。
でも途中から気がついて驚きました。
あまりにもテーマが深いことにです。単なる家への懐古物語、友情物語では済まないと、、、。
都市開発、環境汚染、貧困、差別、そして格差社会を見事に描いていたからです。
そう考えると日本の都市部の将来を見ているような気がしてきました。「良い映画」でした。
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』のキャストについて
ジミー(ジミー・フェイルズ)
モント(ジョナサン・メジャース)
ティシーナ・アーノルド
ロブ・モーガン
マイク・エップス
フィン・ウィットロック
ダニー・グローバー
ソーラ・バーチ
まとめ 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』一言で言うと!
「生家は失ったけど強く生きていかなければ!」
アメリカ人は生まれ故郷のことも、生家のこともあまり大切にしない文化だと思っていました。でも黒人の人の立場で考えたら大きなことかもしれません。元々はアフリカ大陸です。ですからことさらルーツや生家に対する思い入れは強いのかもしれません。いつも失ってばかりの人生ってイメージがあります。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【格差社会を描いた映画】
【格差社会を描いた映画】
映画『MOTHER マザー』
毒親が生まれたのは格差社会が原因?
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『存在のない子供たち』
戸籍も存在もない社会って“格差”どころじゃあない
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『はちどり』
韓国社会の現実は恐ろしい
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
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映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
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映画『希望の灯り』
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映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
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映画『ドッグマン』
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映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
差別・嫌悪される理由は本人にも問題ありでは、、、
映画『わたしは金正男を殺してない』
貧しい国から来た女性を使っての犯罪です
映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
少年たちはアメリカ社会の未来を憂いての犯行だったのか
映画『朝が来る』
格差社会もあるけれど教育が大事だと思う、、、
映画『スキャンダル』
男どもに「一泡吹かせてやる!」ダンサーたちの挑戦!
映画『七人の侍』
黒澤明が描く“格差社会”はダイナミックだ
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
ど貧乏育ちだけど「成功したい」気持ちに嘘はない
映画『道』
人生は厳しい“道”ばかりだけど「間違い」はしたくない
映画『楽園』
田舎の“ムラ社会”の中の“格差社会”って陰険だ
映画『第三夫人と髪飾り』
格差というより“習慣”とか“伝統”と言った理由で、、、
映画『グラン・トリノ』
人種差別者が“格差社会”に初めて気がついたら!
映画『赤い雪 Red Snow』
貧しいことは悲劇です
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ジョー・タルボット
製作
カリア・ニール ジョー・タルボット デデ・ガードナー ジェレミー・クライナー クリスティーナ・オー
製作総指揮
キンバリー・パーカー ブラッド・ピット サラ・エスバーグ
原案
ジミー・フェイルズ ジョー・タルボット
脚本
ジョー・タルボット ロブ・リチャート
撮影
アダム・ニューポート=ベラ
美術
ジョナ・トチェット
衣装
アマンダ・ラミレス
編集
デビッド・マークス
音楽
エミール・モセリ
ジミー(ジミー・フェイルズ)
モント(ジョナサン・メジャース)
ティシーナ・アーノルド
ロブ・モーガン
マイク・エップス
フィン・ウィットロック
ダニー・グローバー
ソーラ・バーチ
2019年製作/120分/PG12/アメリカ
原題:The Last Black Man in San Francisco
配給:ファントム・フィルム