『凪待ち』(124分/日本/2019)
- 映画『凪待ち』のオススメ度は?
- 映画『凪待ち』の作品概要
- 映画『凪待ち』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『凪待ち』の感想・評価・内容・結末
- 映画『凪待ち』まとめ 一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【クズ人間が登場する映画】
- 【格差社会を描いた映画】
- 映画『MOTHER マザー』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ばるぼら』
- 映画『滑走路』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『万引き家族』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『人数の町』
- 映画『天気の子』
- 映画『エリカ38』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『パブリック 図書館の奇跡』
- 映画『凪待ち』
- 映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
- 映画『鵞鳥湖の夜』
- 映画『はちどり』
- 映画『レ・ミゼラブル』
- 映画『パラサイト 半地下の家族』
- 映画『ジョーカー』
- 映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
- 映画『希望の灯り』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『荒野にて』
- 映画『ドッグマン』
- 映画『マイ・フェア・レディ』
- 映画『ウエスト・サイド物語』
- 映画『愛と青春の旅だち』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
- 映画『わたしは金正男を殺してない』
- 映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
- 映画『朝が来る』
- 映画『スキャンダル』
- 映画『七人の侍』
- 映画『ミリオンダラー・ベイビー』
- 映画『道』
- 映画『楽園』
- 映画『第三夫人と髪飾り』
- 映画『グラン・トリノ』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『帰れない二人』
- 映画『凪待ち』の作品情報
映画『凪待ち』のオススメ度は?
星4つです。
まず香取慎吾のクズっぷりが最高に素晴らしいです。
恒松祐里さんも本当に美しい。
でもやっぱりこの人、リリー・フランキーです。
とびっきりの演技です。
全部持って行っちゃいます。
恋人と観に行ってください!
こんなクズ男に引っかかっちゃダメですよ。
そうならないように念を押しましょう!
映画『凪待ち』の作品概要
本映画『凪待ち』を震災地である宮城の石巻を舞台で撮っている。テーマは悔恨、依存、そして誕生にあると思う。震災地では今なお、自分だけが生き残ってと後悔する人も多いと聞く。そして精神的に何かに、誰かに依存していく人もいるそうだ。そこからの脱却、再生、そして誕生も描いている良作と言える。
映画『凪待ち』のあらすじ・ネタバレ
ギャンブル依存症で酒飲みのどうしようもない木野本は恋人の亜弓の故郷である宮城へ引っ越す。真面目に働く約束をしたが所詮はクズ男。亜弓の娘が家出騒ぎを起こし、二人は大げんかする。そして夜の国道沿いで亜弓を車から降ろしたことで事件が発生する。
映画『凪待ち』の感想・評価・内容・結末
クズは結局はクズで生きていく宿命なのではないか
惜しい、実に惜しい作品である。もちろん、良い映画である。でも結末がいま一つなのだ。はっきり言ってしまえば「クズはクズ」なのだ。だから救いってはいけないと思うのだ。
映画を観ていない人はわからないと思うが、人間社会も含め生物の中には本当に役に立たない存在というのがある。役に立たないどころか迷惑ばかりかける存在だ。
でもその迷惑をかける存在というのも実はその生態系の中では必要なのは言うまでもない。その存在で“人の振り見て我が振り直せ”を学ぶからだ。
20パーセントしか真面目に働いていないのだ
アリの集団は働き者と言われている。でも実際に働いて巣を維持しているのはわずか20パーセント。残りはサボっている。
それで優秀な20パーセントだけを集めて巣を維持できるかというとできない。やはり20パーセントしか働かない。
つまり一つの集団の中で働き者、サボる者、そして戦う者、盗む者などと確実にいるらしい。人間社会も同じで人口の何パーセントは犯罪を犯すものがいるそうだ。そういったことから考慮すると本映画の主人公の怠け癖は必要な存在だと言える
香取慎吾演じるギャンブル依存症男はセガレになれるか
本映画の香取慎吾演じる木野本は根っからの怠け者で遊び人である。彼を更生させようと色んな人が手を差し伸べるが結局はダメなのだ。
だからこの映画の結末で「わしのセガレやから」というセリフを聞いてガッカリしてしまったのだ。これで台無しになって気がしたのだ。ここは突き放して欲しかったのだ。たぶんこの木野本は再び人からお金を無心してギャンブルを行うと思います。
白石和彌監督は“凪ぎ”を“待つ”で再生と誕生をイメージさせている
本映画『凪待ち』は白石和彌監督であったから大いに期待して観た。前作の『麻雀放浪記2020』(19)はイマイチだったが『孤狼の血』(18)は絶品だった。でも本作は最後の最後が勿体無いだけで全体的にはすごく良かったと思う。
まずタイトルの“凪”が良い。津波という恐ろしい波と違って穏やかで凪いでいる海が役者の視線によって随所に挿入される。この演出はいつか来るかもしれない津波へのオマージュが込められていると感じた。
震災地はいまだに苦しんでいる人が多いと聞く。突然、愛する人がいなくなれば尾を引くのは当たり前かもしれない。人ごとかもしれないが前を向いて生きて欲しい。いつまでも過去と向き合っているのは建設的ではない気がする。
人間は過去の出来事から抜けられない“悔恨”は根深い
この映画のテーマの一つに“悔恨”があると思う。妻を津波から助けられなかった後悔、恋人を夜道に下ろした後悔、母の電話に出なかった後悔、またギャンブルをやってしまった後悔等々。確かに後悔する気持ちはわかる。
わたしの周りにも過去を後悔する人がいる。大抵は「俺は、バカだった」から始まる。そういうことで防御の壁を作っている。何故ならばそう言われると「そうだね、バカだったね」などと言えない。
つまり最初に弱さを見せることで防御し尚且つ、自分は良い人であるとアピールしているように感じるのだ。だからわたしは自分のことを卑下ばかりする人とは親しくならないようにしている。嘘っぽいからだ。
まあ、それと震災は関係ないかもしれないが、本映画のメッセージとして白石監督はわざと「未来へ向かって生きよう」と言っているのだったら素晴らしい作品である。そう思いたい。だって時間は未来にしか進まないのだから。
香取慎吾の演技のエネルギーは恐ろしい怨念を感じる
本映画『凪待ち』に於ける香取慎吾は今の実生活の表れのようにも見えた。役作りはしていると思うが、あの暴れ方には凄まじいエネルギーがあった。そのエネルギーたるや“怨念”である。
憎しみが半端ない。演技とはあっぱれである。この木野本という男は本当にクズのクズである。酒飲み、怠け者、ギャンブル、そして暴力。
でもそれを支える恋人の西田尚美演じる亜弓と娘、美波は木野本のことを普段は穏やかで優しいから好きだと言う。優しい人は上記のようなことはしない。ましてや暴力は無縁である。ただ、亜弓は育ち的に元チンピラの父親に香取を重ねたのかもしれない。つまるところは女性というのは父性の影響を多大に負う。いつしか結婚相手が父親と同じような人になる所以は間違っていないかもしれない(わたしは暴言、暴力を振るう男は大っ嫌いであり、絶対に寄らない)
香取慎吾はもうお行儀の良いアイドルではない嬉しさ
ゆえに本映画『凪待ち』の香取は最高なクズ男を演じている。まず容姿が良い。目が腐っている。体もデブっとして顔が脂っぽい。ヒゲもどこか詐欺師っぽくて良い。喋り方もダラっとしているが、激怒する時は末恐ろしい。
そしてわたしが一番注目したのは食事の仕方が実に“汚ない”点だ。猫背で肩肘をついて犬食いのように食べる演技だ。これが実にこの木野本の素性を上手く表している。
香取慎吾がグループ時代、テレビ番組で度々、食事する場面を見たことがある。アイドルだけあってお行儀良く食べていたから本映画を観てわたしは何だか嬉しくなった。本当に良い役者だと思う。
恒松祐里さんの伸び代を感じた
娘役の恒松祐里はとても綺麗だと思います。子役で鍛えているから演技も良いと思います。ただもう少し泥臭さが必要な気がします。上品すぎるのです。
佇まいも所作もおそらく育ちの良さが出てしまって、引きこもっていた人とは思えないほど華やかなのは残念です。母親に反抗する場面もいま一つ迫力に欠けてます。
香取慎吾との鏡を使っての語り場面は良い演技だと思いますが、本映画は純愛ではないので不要な演出だと感じました。でもこの恒松祐里さんはきっと将来が明ると思います。
待ってました!千両役者リリー・フランキー、全部持っていきます
そしてリリー・フランキー。この人が出てくると何でもリセットされてしまいます。本当にちゃら~とやってのけます。『万引き家族』のダメっぷりも最高でしたが、映画『凪待ち』も実に奇妙に溶け込んでいました。
とっても良い人を演じています。真面目で面倒見が良く、お人好しで、地域の誰からも頼りされ、好かれる人です。こういう人っています。それがまさかって展開ですが、“悪い奴ほどよく眠る”理論に照らし合わせる合点がいきます。
わたしがリリー・フランキーの演技で惹かれたのは祭りで木野本が暴れて、チンピラに謝りを入れて、なだめる場面です。とっても良い人なんです。
震災地 石巻撮影映画 クズ人間の再生と誕生を絡めている名作
さて、映画は木野本の恋人である亜弓を殺した犯人を探すことに重きを置いていないです。第一に震災地の復興を掲げ、木野本ギャンブル依存の恐ろしさを主軸に展開していきます。
弱い心との葛藤です。何度も何度も恋人の財布からお金を拝借したり、借金したり、肩代わりでもらったお金をギャンブルに投入したりと救いようがない人間を震災地に置いたという点に意味があります(でも、悲しいかな、この木野本は震災地のように復活は難しいと思いますが、、、)
震災から8年経ちましたが、まだ人々の心は荒れているのでしょうか。早く“凪いで”欲しいです。
ギャンブル依存症は本当に恐ろしい病気だと痛感させられた映画でした。
映画『凪待ち』まとめ 一言で言うと!
“諦めは心の養生”“悪銭身につかず”
いつまでも失敗や不運ばかりに思いを巡らせるより、キッパリと過去と決別して前を向いて進むのも人生である。そしてギャンブルなどで手に入れたお金は結局は身のためにならないと思います。ただ依存はなかなか脱するのは難しい。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【クズ人間が登場する映画】
映画『ゴールデン・リバー』
父親がプライドが高く働きません。そのせいで妻が浮気へ走ります。
映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。
映画『エリカ38』
人を騙してお金を取る人たち。弱者から取るあたりがクズ。
映画『コレット』
妻を監禁して本を書かせ、稼いだお金を独占し散財する男
『天才作家の妻 40年目の真実』
文才なき夫が妻の文才で一流作家になりノーベル文学賞を取る話
【格差社会を描いた映画】
映画『MOTHER マザー』
毒親が生まれたのは格差社会が原因?
映画『ミッドナイトスワン』
LGBTQに対する差別・格差は早急に解決して欲しい
映画『ばるぼら』
ばるぼらは社会の“排泄物”のように扱われた
映画『滑走路』
イジメから非正規社員問題まで絡めた名作
映画『絶唱(1975)』
封建制度の時代の格差ってどうしようなかった、、、
映画『万引き家族』
是枝監督の描く映画は「痛い」
映画『誰も知らない』
是枝監督が世界の映画作家に与えた影響は多大なり!
映画『存在のない子供たち』
戸籍も存在もない社会って“格差”どころじゃあない
映画『行き止まりの世界に生まれて』
格差と虐待は比例するのか
映画『人数の町』
格差もまったく存在しない町へ行こう!
映画『天気の子』
このふたりも日本社会からはみ出していると言える
映画『エリカ38』
エリカが詐欺師になったのは貧しい生い立ちから
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
黒人というだけで“チャンス”が与えられない社会がある
映画『パブリック 図書館の奇跡』
「笑うな!」ホームレスにだって人権があります!
映画『凪待ち』
社会の底辺で生きてきた男、、、
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
無教養が格差を広げている
映画『鵞鳥湖の夜』
発展すればするほど格差が広がります
映画『はちどり』
韓国社会の現実は恐ろしい
映画『レ・ミゼラブル』
この少年たちの“怨恨”は根深い
映画『パラサイト 半地下の家族』
アカデミー作品賞獲得という快挙!
映画『ジョーカー』
格差が招いた犯罪
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』
日本の底辺男の希望映画です
映画『希望の灯り』
かつての東西冷戦の格差って?
映画『タロウのバカ』
タロウが悲しすぎる
映画『存在のない子供たち』
生まれたという存在がないとは、、、
映画『荒野にて』
無学な父親を亡くしてしまい、、、
映画『ドッグマン』
不条理すぎる映画です
映画『マイ・フェア・レディ』
イギリスの階級社会で這い上がるのは難しい、、、
映画『ウエスト・サイド物語』
人種が絡んだ格差社会って辛い
映画『愛と青春の旅だち』
パイロット目指す若者と工場で働く女の子の恋愛
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
いつも黒人が“容疑者”にされてしまう理由はなに?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
差別・嫌悪される理由は本人にも問題ありでは、、、
映画『わたしは金正男を殺してない』
貧しい国から来た女性を使っての犯罪です
映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』
少年たちはアメリカ社会の未来を憂いての犯行だったのか
映画『朝が来る』
格差社会もあるけれど教育が大事だと思う、、、
映画『スキャンダル』
男どもに「一泡吹かせてやる!」ダンサーたちの挑戦!
映画『七人の侍』
黒澤明が描く“格差社会”はダイナミックだ
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
ど貧乏育ちだけど「成功したい」気持ちに嘘はない
映画『道』
人生は厳しい“道”ばかりだけど「間違い」はしたくない
映画『楽園』
田舎の“ムラ社会”の中の“格差社会”って陰険だ
映画『第三夫人と髪飾り』
格差というより“習慣”とか“伝統”と言った理由で、、、
映画『グラン・トリノ』
人種差別者が“格差社会”に初めて気がついたら!
映画『赤い雪 Red Snow』
貧しいことは悲劇です
映画『帰れない二人』
中国の発展がもたらす“格差社会”は速度が早い
映画『凪待ち』の作品情報
スタッフ
監督
白石和彌
『ひとよ』(19)『麻雀放浪記2020』(19)『止められるか、俺たちを』(18)『孤狼の血』(18)『サニー 32』(18)『凶悪』(13)脚本
加藤正人
製作総指揮
木下直哉
プロデューサー
椎井友紀子
赤城聡
撮影
福本淳
照明
市川徳充
録音
浦田和治
美術
今村力
衣装
高橋さやか
装飾
京極友良
ヘアメイク
有路涼子
編集
加藤ひとみ
音楽
安川午朗
音楽プロデューサー
津島玄一
音響効果
柴崎憲治
VFXスーパーバイザー
小坂一順
助監督
小野寺昭洋
スクリプター
野村愛
スチール
田中宏幸
制作担当
松田憲一良
キャスト
香取慎吾(木野本郁男)
『クソ野郎と美しき世界』(18)『ギャラクシー街道』(15)『人類資金』(13)『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ!』(11)『西遊記』(07)恒松祐里(昆野美波)
『酔うと化け物になる父がつらい』(19)『殺さない彼と死なない彼女』(19)『アイネクライネナハトムジーク』(19)西田尚美(昆野亜弓)
『五億円のじんせい』(19)『新聞記者』(19)『ウィーアーリトルゾンビーズ』(19)『生きてるだけで、愛。』(18)『ウォーターボーイズ』(01)『愛を乞うひと』(98)『ひみつの花園(1997)』(97)吉澤健(昆野勝美)
音尾琢真(’村上竜次)
リリー・フランキー(小野寺修司)
『THE COLLECTORS さらば青春の新宿JAM』(18)『銃』(18)『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18)『万引き家族』(18)『』()『お父さんと伊藤さん』(16)『一茶』(17)『なつやすみの巨匠』(05)三浦誠己
寺十吾
佐久本宝
田中隆三
黒田大輔
鹿野浩明
奥野瑛太
麿赤兒
不破万作
宮崎吐夢
沖原一生
江井エステファニー
ウダタカキ
野中隆光
岡本智礼
本木幸世
作品データ
製作年 2019年
製作国 日本
配給 キノフィルムズ
上映時間 124分
映倫区分 PG12
オフィシャルサイト