映画『レイジング・ブル』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
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『レイジング・ブル』
(129分/アメリカ/1980)
原題『Raging Bul』
【監督】
マーティン・スコセッシ
【製作】
アーウィン・ウィンクラー ロバート・チャートフ
【出演】
ロバート・デ・ニーロ
ジョー・ペシ
キャシー・モリアーティ
映画『レイジング・ブル』IMDbサイト
【予告映像】
映画『レイジング・ブル』トレーラー
- 映画『レイジング・ブル』NHK BSプレミアム放送 9月29日(火)午後1時00分〜3時10分
- 映画『レイジング・ブル』のオススメ度は?
- 映画『レイジング・ブル』の作品概要
- 映画『レイジング・ブル』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『レイジング・ブル』の感想・内容
- 映画『レイジング・ブル』の結末・評価
- まとめ 映画『レイジング・ブル』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【ロバート・デ・ニーロ出演映画】
- 【毒親が登場する映画】
- 映画『MOTHER マザー』
- 映画『誰も知らない』
- 映画『万引き家族』
- 映画『塔の上のラプンツェル』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『ワイルドライフ』
- 映画『存在のない子供たち』
- 映画『ガラスの城の約束』
- 映画『荒野にて』
- 『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
- 映画『赤い雪 Red Snow』
- 映画『J・エドガー』
- 映画『ある少年の告白』
- 映画『タロウのバカ』
- 映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
- 映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
- 映画『コクリコ坂から』
- 映画『はちどり』
- 映画『WAVES ウェイブス』
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』
- 映画『絶唱(1975)』
- 映画『サイコ (1960年の映画)』
- 映画『ロケットマン』
- 映画『存在のない子供たち』
- 【子ども可愛がり映画】
- 【ある意味、毒親である気がする映画】
- 【オススメ芸術感満載の映画】
- 映画『レイジング・ブル』の作品情報
映画『レイジング・ブル』NHK BSプレミアム放送 9月29日(火)午後1時00分〜3時10分
9月29日(火)午後1時00分〜3時10分
「デ・ニーロ・アプローチ」って知ってますか?
俳優が映画のキャラクターに合わせるための役作りです
太ったり痩せたり大変です
髪の毛も抜きます
ボクシングも習得します
俳優って大変な仕事です
映画『レイジング・ブル』のオススメ度は?
星4つです。
この映画を観ると本当に暴力男はクソだと感じます。
栄光と地獄を描いています。
スコセッシすごし!
デ・ニーロ天才!
以後、世界の俳優に与えた影響は大きい
映画『レイジング・ブル』の作品概要
『レイジング・ブル』原題『Raging Bull』1980年公開のアメリカ映画。監督はマーティン・スコセッシ(映画『アイリッシュマン』)主演はロバート・デ・ニーロ。第53回アカデミー主演男優賞を獲得。実在のプロボクサー、ジェイク・ラモッタの自伝を元にポール・シュレイダー(『魂のゆくえ』)とマーディク・マーディンが脚本を担当した。かつてボクシングの世界ミドル級チャンピオンであったジェイク・ラモッタの半生を映画化。ジェイクを取り巻く人間関係、弟、妻、マフィアなどを通してジェイクの波乱万丈の人生を描く。暴力について訴求している。
映画『レイジング・ブル』のあらすじ・ネタバレ
ジェイク・ラモッタは“Raging Bul”(怒れる牡牛)と呼ぼれている。勇猛果敢なファイトスタイルで人気を博しているが、王座挑戦の道が開けない。弟ジョーイはマフィアのボスと取引して八百長試合の末、王座挑戦の約束をこぎつける。ジェイクは渋々納得するが、、、。それによってジェイクは、、、、。
映画『レイジング・ブル』の感想・内容
ジェイクという最低の男を最高のロバート・デ・ニーロが演じる
正直、この映画に出てくるジェイクという男は最低の人間です。女、子どもなどの弱い者へ平気で手をあげます。
顔にアザができるほどの力で殴りつけます。しかもラモッタはボクサーです。
ボクサーという人間は絶対に人を殴ってはいけないのです。
拳は凶器扱いになっているからです。これは映画ですが、観ていてこの男が憎らしくなってくるのはやはりロバート・デ・ニーロの演技の賜物でしょう。
マーティン・スコセッシ監督が描くリアリズム
監督はマーティン・スコセッシです。ニューヨーク、リトルイタリーで生まれ、周りはマフィアばかり少年時代を過ごしています。その生い立ちが活かされています。
彼の作風はとてもリアルで、ことマフィアに関する映像表現は追随を許しません。本映画『レイジング・ブル』に於いてもマフィアとの関係性を説いています。
派手ではありませんが、すっと心に入ってくる接近の仕方に恐怖を覚えます。
マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロは『タクシー・ドライバー』以来のコンビです。
ジェイク・ラモッタという実在のボクサーの半生を描いています。
映画とは演出として主人公の行動や逸話を大げさに脚色する傾向にありますが、本作でのラモッタの挙動は全て本当だと言われていますから、ジェイクがいかに“クソ人間”だったのかに怒り心頭になるひともいます。
それだけ夢中にさせる映画を作った二人は本当にすごいと感じます。
白黒映画だからこそ伝わる強さがある
この映画は白黒作品です。白黒作品であるからこそ、迫力が出ていると思います。
光と陰のコントラスト、飛び散る汗、栄光と地獄が本当にうまく表現されています。
ボクシング映画の金字塔と言われています。
ボクシング映画でやはり有名なのはポール・ニューマン主演、ロバート・ワイズ監督の『傷だらけの栄光』(56)です。こちらも素晴らしい出来です。
もうひとつ、ボクシング映画といって良いのかわかりませんがルキノ・ヴィスコンティ監督の『若者のすべて』(60)があります。こちらも素晴らしいです。
スコセッシが言いたかった“暴力”
この映画でスコセッシが言いたかったことはやはり“暴力”ではないでしょうか。
ジェイクの暴力はおそらく幼少の頃、自身が虐待されたからではないでしょうか。虐待されて子どもが成長して虐待する側に回る可能性は高いと言われています。
それとジェイクはある種のサイコパス的な性質を持っていると思われます。自己中心、尊大、人を巻き込む、目立ちたいなどは正にその典型です。
嫉妬心、猜疑心は自身を破綻させる
しかもジェイクのネチっこい性格、嫉妬心、猜疑心は一向に治ることはなかったそうです。
人を信じない、時としては肉親を殴り、憎み、関係性を破綻にさせるのは異常です。
ジェイクはユダヤ人とイタリア人の両親を持っています。
普通であれば信心深い人間になるはずですが、神にも唾を吐きます。
ここまでの“クソ人間”は本当にいないくらいに描いています。
日本もアメリカも幼児虐待は深刻な問題
日本では近年、親の子どもに対する虐待報道が盛んに行われるようになってきました。それはとて良いことだと思います。
確かに日本の習慣として“しつけ”と称してほっぺたを叩いたり、長時間立たせたりとかありますが、今では完全にアウトでしょう。
アメリカ社会では子どもや女性に対しての暴力は絶対に許されません。もしそれが発覚すると間違いなく刑務所行きになります。
しかし近年のアメリカの映画を観ると“毒親”を扱った作品の多さに驚きの念を禁じえません。それ故に深刻で表面に出ていないケースが多いのでしょう。
栄光から地獄に落ちていく男の悲哀だが、、、
さて、映画の結末ですが正に「栄光と地獄」の映画です。
かつてボクサーとして活躍し地位も名誉も富も掴んだ男が地獄へ落ちます。お金もありません。家族もありません。孤独です。日銭を稼ぐのに必死です。
しかも過去の人と言われ笑われていることに気が付いていません。未だに自分はチャンプだと思い込んでいます。
性格も傍若無人のままです。嫉妬深く、猜疑心が強く、独占的で思いやりも謙虚さもありません。しかし年を取ってしまった、、、、。それが悲しさを助長しています。
映画『レイジング・ブル』の結末・評価
ジェイクの涙に見える人間らしさ
しかしジェイクは本当に何を求めて生きたのか、を考えてしまいます。
確かにクソ人間ですが、なぜジェイクがあれほどまでの最悪な人間になったのかはやはり教育をちゃんと受けていないからだと思います。
劇中の下品な振る舞いや言葉に品性を全く感じません。人間としての優しさはやはり教養から来るものだと思うのです。
映画の中で印象的な場面が2つあります。ジェイクが泣く場面です。
ひとつ目は八百長試合で負けて、控え室で号泣する場面、こちらは「俺はなんてことをしてしまった。取り返しのつかないことだ」と言っています。ジェイクの声が「神様許してくれ」とでも言っているようです。
多少、信心深いのかなあと感じます。
ふたつ目は刑務所にぶち込まれてコンクリートの壁を拳で乱打しながら「なんでこんなことになってまったんだあ、俺は何にも悪くないのに!」と叫ぶ場面です。ここは確かにジェイクに濡れ衣が着せられている場面です。「神は俺を見捨てた」にも聞こえます。
人間は涙を流すと本音が見えてきます。この場面が観れただけでも救われた気持ちになりました。
でも暴力はダメです。特に女性、子どもにはダメ!
しかし、やっぱり許せないのは暴力です。
ジェイクが人間関係を破綻させる原因はこれに尽きます。
弟ジョーイに対して妻ビッキーとの仲を疑ってフルボッコにして終わり、、、。あまりにも悲しい。
実の兄弟が仲違いすることほど醜いことはないです。
数年後、ジェイクは街でジョーイと会い、仲直りを提案します。しかしそれは実現しなかったように思えます。
ジェイクがジョーイに対して恨みを持っているのではという場面があります。
ジェイクは弟ジョーイを許せなかったのか
不摂生で太ったジェイクは見世物まがいのコメディアンをやっています。
楽屋で台詞回しの練習をしていますが、映画『波止場』を用いています。
弟は有望なボクサーであったが、兄から八百長を指示されてから転落していく、弟は八百長を指示した兄を許せない、あれがなかったら俺は成功していた、、、と。
これは本映画の逆です。つまりジェイクにとって唯一の誇りだったことを捨てた瞬間に地獄は落ちてしまったと、、、、。
これは一理あるかもしれません。でも暴力とは別です。
アスリートやボクサーにとって一番大切なのはやはりモチベーションでしょう。
ひとつの目的に向かって生きています。
ジェイクの場合は無敗で自力でチャンピオンになる、でした。それが彼の存在価値だったのでしょう。
ゴミのように育ち、教養もありません。ボクシングだけです。ボクシングは実力だけの世界です。
その世界で自分を捨てろと言ったジョーイはやっぱり許せなかったのかもしれません。
そう考えて観るとジェイクに少しは心を寄せることができます。
先にも書きましたがこの映画は本当によくできています。
デ・ニーロの演技の賜物ですが、やはりスコセッシ監督の演出の素晴らしさの骨頂だった映画だと思います。
*音楽が良い。
*スコセッシの「ドリーショット」の吸引力に注目して観ると良いかもしれません。時おり、人物に向かってカメラをまっすぐに接近させます。それがとても良い効果を出しています。冒頭のリーブスとの戦いでコーナーに座ったジェイクにカメラがドリーで接近します。これでこの映画への吸引力が決まったと言ってもいいでしょう。
*白黒映画ですが、オープニングのタイトルが赤字とビッキーとの幸せの日々がプライベート撮影っぽく8ミリカラーで紹介しています。これが結構良いエッセンスになっています。
まとめ 映画『レイジング・ブル』一言で言うと!
「一寸の虫にも五分の魂」
小さな者・弱い者でも、それ相応の意地や感情はもっているから決してばかにしてはならないという意味です。ジェイクにもプライドがあります。一度、プライドが傷つけられてそこからどうするかは本人次第かもしれません。逆に闘志を燃やす人もいますし、負け癖がつく人もいます。まさに右に行くか左に行くか、それとも違う道を行くか、この選択は難しいけれど人生とは自分が決めるものであることは確かです。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【ロバート・デ・ニーロ出演映画】
映画『ジョーカー』
貫禄あります。年齢に見合う素晴らしい演技です。
『レイジング・ブル 』
ジャケット写真も素晴らしいと評判です
『タクシー・ドライバー』
狂気に向かう心情が恐ろしい
『 ゴッドファーザー PART I・II・III 』
1975年 アカデミー助演男優賞受賞
【毒親が登場する映画】
映画『MOTHER マザー』
長澤まさみが演じる“毒親”最強物語
映画『誰も知らない』
我らが是枝監督が描く毒親は一味違う
映画『万引き家族』
毒親から救出「楽しければ良いじゃん」でも捕まる
映画『塔の上のラプンツェル』
ディズニー史上最悪の毒親でしょう
映画『絶唱(1975)』
封建制が残る時代とはいえ子どもの自由を奪う権利はない
映画『ワイルドライフ』
子どもの前で夫以外の男性と情事を見せたら、、、
映画『存在のない子供たち』
これがレバノンの現状なのだろうか。出生証明書もない子供たち
映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。
映画『荒野にて』
父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。
映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。
映画『J・エドガー』
息子が可愛くて仕方ありません。徹底的な教育を施します。
映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。
映画『タロウのバカ』
現代ニッポンにバカと叫ぶ!
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
親の教育が悪かったからこんな男になったのか、、、
映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
毒親で育って「アーサー」と出会うのは不運?
映画『コクリコ坂から』
子どもを置き去りに海外留学するのは毒親?
映画『はちどり』
娘に無関心すぎる韓国の親たちは一般的か?
映画『WAVES ウェイブス』
知らぬ間に子どもを支配している親
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』
宗教の教義と“毒親”の境界は不鮮明だ
映画『絶唱(1975)』
子どもの恋愛を邪魔する親は毒そのものだ
映画『サイコ (1960年の映画)』
“毒親”への歪んだ愛情の裏返し
映画『ロケットマン』
父親からの愛情は、、、、
映画『存在のない子供たち』
“毒親”を裁判で訴えてやる!
【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。
映画『パパは奮闘中』
蒸発した妻の代わりに子育てします。
【ある意味、毒親である気がする映画】
映画『ビューティフル・ボーイ』
薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。
映画『ベン・イズ・バック』
薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。
映画『37セカンズ』
お母さんはちょっと過干渉すぎます
映画『燃えよスーリヤ!!』
インド的な教育方法?
映画『ジョーカー』
アーサーの母親は間違いなく狂っていました
【オススメ芸術感満載の映画】
映画『ばるぼら』
2020年一番の芸術映画間違いなし!
映画『ROMA/ローマ』
アルフォンソ・キュアロンの映像は“美”しかない
映画『サスペリア』
最強芸術映画です
映画『マリッジ・ストーリー』
男女の距離感がとても芸術的です
映画『ゴッドファーザー』
陰影が恐ろしさを助長します
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
死の瞬間はこれほど美しいのだろうか
https://undazeart.com/million-dollar-baby/
映画『レイジング・ブル』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
マーティン・スコセッシ
製作
アーウィン・ウィンクラー ロバート・チャートフ
原作
ジェイク・ラモッタ ジョセフ・カーター ピーター・サベージ
脚本
ポール・シュレイダー マーディク・マーティン
撮影
マイケル・チャップマン
美術
ジーン・ルドルフ
編集
セルマ・スクーンメイカー
音楽
レス・ラザロビッツ
ロバート・デ・ニーロ
ジョー・ペシ
キャシー・モリアーティ
フランク・ビンセント
ニコラス・コラサント
マリオ・ガロ
バーニー・アレン
ジョセフ・ボノ
ロリ・アン・フラックス
テレサ・サルダナ
フランク・アドニス
ビル・ハンラーン
ドン・ダンフィ
フロイド・アンダーソン
ジョニー・バーンズ
エディ・ムスタファ・ムハマド
ケビン・メイホン
ルイス・ラフティス
ジョニー・ターナー
1980年製作/129分/アメリカ
原題:Raging Bul