映画『追憶(1973)』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『追憶(1973)』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『追憶(1973)』
1973年製作/118分/G/アメリカ
原題『The Way We Were』
【監督】
シドニー・ポラック
【製作】
レイ・スターク
【原作】
アーサー・ローレンツ
【撮影】
ハリー・ストラドリング・Jr.
【音楽】
マービン・ハムリッシュ
【出演】
バーブラ・ストライサンド
ロバート・レッドフォード
ブラッドフォード・ディルマン
パトリック・オニール
ロイス・チャイルズ
スーザン・ブレイクリー
サリー・カークランド
ビベカ・リンドフォース
コーネリア・シャープ
ハーブ・エデルマン
ジェームズ・ウッズ
【HPサイト】
映画『追憶(1973)』IMDbサイト
【予告映像】
映画『追憶(1973)』トレーラー
映画『追憶(1973)』NHK BSプレミアム放送 2021年1月19日(火)午後1時00分~2時59分
2021年1月19日(火)午後1時00分~2時59分
バーブラ・ストライサンドの“鼻っ柱の強さ”必見です
ロバート・レッドフォードはやっぱり超ハンサムです
若さって怖いもの知らずです。
映画『追憶(1973)』のオススメ度は?
星3つ半です
「音楽が良い」です
学生時代って誰もがこんなんだったかも
自我と思想って平行線
正義を強要しすぎると、、、
孤独に気がつかなければ幸せとも言える
映画『追憶(1973)』の作品情報・概要
『追憶』 原題『The Way We Were』1973年のアメリカ映画。シドニー・ポラック監督。脚本はアーサー・ローレンツ。彼が大学時代に体験した学生運動を元にしている。主演は映画『ようこそ映画音響の世界へ』のバーブラ・ストライサンドと映画『明日に向かって撃て!』や映画『さらば愛しきアウトロー』のロバート・レッドフォード。左翼思想・共産主義に傾倒するケイティ・モロスキーとノンポリのハベルが恋愛して、結婚、離婚して成長していく物語を第二次大戦と戦後を挟んで紡ぐ物語。マッカーシズム、赤狩りの描写も内包した社会派映画の側面もある。
映画『追憶(1973)』のあらすじ・ネタバレ
赤毛で天然パーマのケイティ・モロスキー(バーブラ・ストライサンド)は大学生。バイトを掛け持ちしながら勉強に励んでいる。そしてケイティは学内で左翼的な思想活動を行なっている。一方、ハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード) は容姿端麗、スポーツ万能、頭脳明晰でお金持ちもおぼっちゃまで大学内の人気者でノンポリ。ケイティは身分の違う彼に恋しているが、彼の周りの軽薄な友人が嫌いで近づけない。短編小説を書く授業でハベルの才能を知る。その後、二人は卒業するが、海軍に入隊して休暇に訪れたニューヨークのバーで二人は再会する。酩酊したハベルを「お持ち帰り」したケイティはハベルとの一夜に嬉々とする。しかし、、、。その後二人は付き合い、結婚してロサンゼルスへ引っ越す。ハベルは脚本家として成功の道を歩むが、ハリウッドでも“赤狩り”が始まる兆しが強まっていく、、、。
映画『追憶(1973)』の感想・内容
「胸が引き締められる映画」です。音楽が良いです。1973年度のアカデミー歌曲賞を受賞しています。歌入りは主演のバーブラ・ストライサンドがエンディングのみに唄っています。
でも劇中に何度もアレンジを変えて流れてきます。管楽器で奏でられるメロディーがその場面のケイティ・モロスキー(バーブラ・ストライサンド)とハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード) の二人の心情を浮き上がらせてきます。
これはもちろん“音楽勝ち”映画の部類に入る作品と言えます。
ばるぼらも“強い女性”です
さて映画『追憶(1973)』が世界的にヒットした要因のもう一つはやっぱり「バーブラ・ストライサンドありき」だと思うのです。
もちろんロバート・レッドフォードも良いのですが、ストライサンドの圧倒的な存在感が溢れた映画です。
まず容姿。ご覧の通り、“鷲鼻”です。この鷲鼻に気の強さが出ています。俗にいう「鼻っ柱の強い女」というイメージが当てはまるのです。
普段のストライサンドは謙虚だと思いますが、映画の中ではとても攻撃的です。一度火が点いたら鎮火するのが難儀です。
とにかく自分の意見を主張して、周囲との軋轢を作ってしまうのです。それはもう演説なんです。
強制的に自分の価値観を押し付けている感もあります。このケイティというキャラクターがぴったりだったのです。
“強い女性”といより“恐ろしい女性”だと思われます
おそらくですが、1973年のアメリカ社会は女性の地位向上を掲げた「ウーマンリブ運動(女性解放運動)」が盛んだったのです。
ですから町中に至るところにケイティのような激しい女性がいたのでしょう。
たぶん、本映画『追憶(1973)』のストライサンドの勇姿に自分を投影し、映画館へ足を運んで、ヒットになったと思うれます。但し映画の舞台設定は第二次世界大戦中と終戦後となっています。
“強い女性”というイメージはありませんが、、、、
さて本映画『追憶(1973)』は左翼思想に傾倒するケイティ・モロスキー(バーブラ・ストライサンド)と政治的主義に囚われない、いわゆるノンポリのハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード) の男女が恋愛、結婚、そして離婚する過程を米ソの対立や、ハリウッドの危機も内包しながら描いています。
ケイティの思想的背景はフランクリン・D・ルーズベルトに起因しています。彼女のアパートの部屋に写真が飾れれていますし、ルーズベルトが死去した際の悲しみからもわかります。
そしてケイティは極端な平和主義というか、もっというなら共産主義に憧憬の念を持っていると思われます。
「平和・平等・暴力反対」を唱えています。大学でもビラ撒き、集会を開いて演説しています。
ただここで、なぜケイティがこのような活動に至ったかについてはあまり明らかにされていません。それが勿体ないです。
原作者・望月衣塑子さんは“強さ”と“優しさ”が共存する女性でしょう
例えばですが、彼女の両親が共に労働組合の運動に熱心であったのにも関わらず、首切りされたとか、貧乏な生まれの者は能力があっても成功できないとか、、、。
変わってハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード) は容姿端麗、スポーツ万能、頭脳明晰で大学の人気者です。
優雅な雰囲気の彼は上流階級の出身であるとわかります。政治的に無関心というか、あまり面倒臭いことに顔を突っ込みたくない性格です。
でも、ここで問題が発生するのです。ケイティはハベルのことが好きで堪らないのです。
でもハベルの周りには同じような上流階級の友だちばかりがいます。ケイティが最も毛嫌いする人たちです。
なぜならが彼らはいつも軽口を叩き、人を馬鹿にするジョークを言うことで、中身のない人間だからです。
“強い”松たか子さんと“フワフワ”森七菜さんがよかった
ケイティは大学へ通いながら、ラジオ局や新聞社でアルバイトをしている苦学生です。
そして高い思想を持っていますから、上流階級の連中に対して強いライバル心があります。
それゆえにハベルに近づけないのです。でもチャンスはありました。
短編小説を書く授業で、ハベルの小説が自分より高評価をもらった時です。
悔し涙を流して、自らの原稿を破り捨てた帰り道で、ハベルに一杯誘われます。
この時にケイティの嬉しそうな顔と言ったらありません。でも、その後二人は卒業してしまいます。
そして数年後、ニューヨークのバーで再会します。
あの時別れた女性は“強く”なって帰ってきました
なんとハベルは海軍に入っていました。真っ白な軍服で酩酊していました。
ケイティは酩酊したハベルを自身のアパートへ「お持ち帰り」します。そしてベッドで一緒に眠るのです。
この時のバーブラ・ストライサンドの演技はとても可愛いのです。あれだけ気の強い女性が恥じらいながら、ハベルに「抱かれたい」と言う思いを必死に伝えているのです。
このギャップもヒットの後押しとなったと思います。でもケイティとハベルは一線を越えられませんでした。
ガッカリ感満載の朝のケイティも可愛いです。豪華な朝食でハベルをもてなしますが、さすがに二日酔いのハベルは食べられません。
ここでもケイティの「空気を読めない女」あるいは「好きになってもらいたい」モード全開で可愛いです。
それでも母は“強い”のです
二人は再会を誓って別れます。そして案の定、再会して晴れて恋人となります。
ハベルがケイティに惹かれたのは強い女性もありますが、やはり文章を書く才能を認めてくれた女性だからでしょう。
ケイティが「あなたには文才がある。書いて!」の言葉を信じてハベルは成功への階段を上がっていきます。
そして映画の脚本家としてロサンゼルスへ引っ越すのです。ケイティは相も変わらず、政治活動を続けています。
ハリウッドという商業主義の真っ只中で生きるハベルと、共産主義に傾倒するケイティは全く真逆ですが、幸せに過ごします。
でも、でもですね。ケイティの悪い癖は治ってないのです。激しい性格、一度、火が点いたら治らない演説、自分の正義を人に強要する性格などなどです。
天気の子の陽菜は“強い”力を持っています
ケイティのせいで、ハベルも仲間から孤立していきます。
しかも時はハリウッドにマッカーシズムが押し寄せて“赤狩り”が行われようとしています。
皆が大人しく過ごそうとしているのにケイティは抗議の運動を展開します。さすがにハベルは頭を掲げます。
心の中は「ケイティの気持ちはわかるが、やり方が違う」です。ハベルは疲れ切ってしまい、ケイティから心が離れて浮気をします。
それを知ったケイティはショックです。しかも妊娠していました。二人は別れを決意します。
ケイティは最後のお願いとして「子どもが生まれる。では一緒にいて」とお願いします。そして二人は別れます。
ヒラリー・スワンクの“強さ”と“繊細”の演技が秀逸
映画『追憶(1973)』の結末・評価
数年後、二人はニューヨークで再会します。
ハベルはテレビの脚本家になっていました。そして新しい妻を紹介します。ケイティも再婚したと言います。
二人は抱き合います。懐かしい日々を思い出しています。
ハベルは尋ねます。「彼女は?(レイチェル)」ケイティは答えます。「とても美しい子よ」そして二人は別れます。
ハベルが振り返るとケイティは「原爆反対」と言いながらビラを配っています。
井上真央さんの好感度アップ!「母は強し!」
いま改めて本映画『追憶(1973)』を観ると、とても単純な物語だとわかります。
前述しましたが、ケイティとハベルの育った家庭環境などもわかりません。
それをノンポリのハベルにとっては戦争へ行くことは一番面倒なことだと思われるのに、海軍に入っている点も摩訶不思議です。
ただここでハベルが戦地へ行って、悲惨な体験をしたのであれば、その後も展開が変わってきます。それがありません。
そしてケイティですが、一貫して極端な左翼思想を貫きます。人間ってあるげ程度成長して、社会に出ると「若すぎてわからなかったことが、わかるようになる」もんなんですよ。
それはやっぱり好きな人と結婚して、子どもを持って、守る存在が出来た時が一番大きいと思うのです。
もう社会や国や、他人の幸せどころではなくなると思うのです。ここに人間の成長が見られるのです。
でも本映画『追憶(1973)』のケイティにはそれがありません。“ぶっ飛ばし人生”なんです。それともう一つ、平和とか戦争反対と言っているのに「人種差別反対」は唱えていないところにも疑問を持ってしまうのです。
まあこれは当時のアメリカ情勢、つまり映画の舞台の1945年から1955年くらいまでなので、キング牧師前をいうことで納得します。
*本映画『追憶(1973)』を観ていると以下の作品を彷彿させます。
映画『コクリコ坂から』のメル。映画『キューポラのある街』のジュン。二人とも将来は「活動家になっている」ような気がするからです。
彼女には「強くたくましく」生きて欲しい
映画『追憶(1973)』のキャストについて
ケイティ・モロスキー(バーブラ・ストライサンド)
ハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード)
J・J(ブラッドフォード・ディルマン)
ジョージ(パトリック・オニール)
キャロル(ロイス・チャイルズ)
スーザン・ブレイクリー
サリー・カークランド
ビベカ・リンドフォース
コーネリア・シャープ
ハーブ・エデルマン
フランキー(ジェームズ・ウッズ)
まとめ 映画『追憶(1973)』一言で言うと!
「若すぎてわからなかったこともわかるようになる」
誰もが通る道ですが、これがわかるようになるともう子どもには戻れないと言うことでしょうか。純粋さがなくなっていまうと、つまらない大人になってしまうことでしょうか。いつまでも人や社会、そして国家のために活動する人のエネルギーってすごい。
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映画『ボディガード(1992)』
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映画『オフィシャル・シークレット』
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映画『フェアウェル』
これがわたしの生きる道!

映画『となりのトトロ』
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映画『透明人間』
「このストーキング野郎!」退治してやる

映画『スキャンダル』
ニューヨーク野郎から「お金巻き上げてやる!」

映画『ミリオンダラー・ベイビー』
貧しいけれど「世界チャンプの夢」は捨てられない

映画『キューポラのある街』
わたしの未来は絶対に明るい!

映画『コレット』
フランスの女流作家の先駆け的存在

映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』
ローラ・アルバートの才能をもっと評価したい

『天才作家の妻 40年目の真実』
夫のゴーストライターでは終われない

映画『マリッジ・ストーリー』
もう一度女優として活躍したい

映画『プライベート・ウォー』
戦争がわたしを呼んでいる

映画『マイ・フェア・レディ』
レディになることが果たして「正しいのか」

映画『追憶(1973)』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
シドニー・ポラック
製作
レイ・スターク
原作
アーサー・ローレンツ
撮影
ハリー・ストラドリング・Jr.
音楽
マービン・ハムリッシュ
ケイティ・モロスキー(バーブラ・ストライサンド)
ハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード)
J・J(ブラッドフォード・ディルマン)
ジョージ(パトリック・オニール)
キャロル(ロイス・チャイルズ)
スーザン・ブレイクリー
サリー・カークランド
ビベカ・リンドフォース
コーネリア・シャープ
ハーブ・エデルマン
フランキー(ジェームズ・ウッズ)
1973年製作/118分/G/アメリカ
原題:The Way We Were