映画『アナザーラウンド』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
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『アナザーラウンド』
(2020年製作/115分/PG12/デンマーク)
原題『Druk』
配給:クロックワークス
【監督】
トマス・ビンターベア
【製作】シーセ・グラウム・ヨルゲンセン キャスパー・ディシン【脚本】トマス・ビンターベア トビアス・リンホルム【撮影】シュトゥルラ・ブラント・グロブレン【美術】サビーネ・ビズ【衣装】エレン・レンス マノン・ラスムッセン【編集】アンネ・オーステルード ヤヌス・ビレスコフ・ヤンセン
【出演】
マッツ・ミケルセン トマス・ボー・ラーセン マグナス・ミラン マグナス・ミラン マリア・ボネビー ヘリーヌ・ラインゴー・ノイマン スーセ・ウォルド
映画『アナザーラウンド』外部リンク
【HPサイト】
映画『アナザーラウンド』公式サイト
【予告映像】
映画『アナザーラウンド』トレーラー
映画『アナザーラウンド』 – Rotten Tomatoes
映画『アナザーラウンド』のオススメ度は?
星4つです
「飲酒のついての映画ではない」
「人生に目覚めることについての映画だ」
トマス・ビンターベア監督は「亡き愛娘に捧げる」
酒で人生は大きく狂わされる
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映画『アナザーラウンド』の作品情報・概要
『アナザーラウンド』デンマーク語『 Druk』 英題『Another Round』トマス・ヴィンターベア監督作品。ヴィンターベアとトビアス・リンホルム脚本。2020年のコメディドラマ映画。デンマーク、オランダ、スウェーデンの合作。マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、マグナス・ミラン、ラース・ランゼらが出演。ノルウェー人の哲学者が提唱した「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため、高校教師4人自らが実験する。2020年第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出された。さらに第78回ゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞にノミネート、第93回アカデミー賞でも監督賞と国際長編映画賞の候補に挙がり、国際長編映画賞を受賞した。世界的にヒットした。デンマーク語原題を和訳すると「大量飲酒」となる。英題は「もう一杯」となる。
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映画『アナザーラウンド』のあらすじ・ネタバレ
デンマークで暮らすマーティン(マッツ・ミケルセン)は高校で歴史を教える教師だ。教師の仕事にもやりがいもなく、身が入らない。生徒からのクレームも多い。家へ帰っても妻子とのコミュニケーションもほとんどない。妻は夜勤が多い。でも実際は浮気しているということも知っている。ある日、マーティンは父兄から呼び出さて、「授業が面白くない」「落第は困る」とのクレームショックを受ける。同僚に心理学教師のニコライ(マグナス・ミラン) の誕生日に行く。体育教師のトミー(トマス・ボー・ラーセン) とピーター(ラース・ランゼ) も同様にストレスを抱えており、皆で口をこぼす。ニコライが「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと、仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」とのノルウェー学者の説を紹介を聞いてマーティンも酒を飲む。そして翌日の授業の前にマーティンは酒を飲んで挑む。授業は大盛り上がり。それを聞いたニコライ、ピーター、トミーも追随する。4人は高校で酒を飲みだして、互いの成果を報告しあう。
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映画『アナザーラウンド』の感想・内容
映画『アナザーラウンド』の意味は「もう一杯飲みたい」
「悲喜交々させられる切ない映画」となります。製作国はデンマークです。昨年の第93回アカデミー賞でも監督賞と国際長編映画賞の候補に挙がり、国際長編映画賞を受賞しています。とても良い映画だと思います。派手な演出がないところが良いです。人生の折り返し地点に立った4人の男性教師が織り成す人間成長物語映画です。もちろん、「飲酒問題」の深刻さを訴求する社会派映画でもあります。
彼らの職業は教師です。とても安定している仕事だと思います。しかしながらどんな仕事でも何年も、何十年も続けているとマンネリ化してしまうものなのでしょう。人間とはマンネリ化状態が続くとモチベーションが下がる生き物です。特に教師という仕事は、教える内容にあまり変化はありません。歴史を教えても過去の出来事が間違っていたので、今年から新しい教科書になったと言うのは稀でしょう。数学も新しい公式が発見されたから、今日からこれを使いましょうとはなりません。
主人公マーティン(マッツ・ミケルセン)の歴史の授業はあまり評価されていません。生徒から、そして父兄からのクレームが寄せられ窮地に陥ります。プライドがボロボロに傷つけれれます。マーティンの心の拠り所となるはずの家庭は、妻子との会話がほとんどありません。妻は他の男と情事を重ねています。マーティンはそれを黙って見過ごしています。「妻は浮気する」「仕事は面白くない」そして「クレームが来やがった」となれば自暴自棄になっても仕方ない状況です。
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彼には体育教師・トミー(トマス・ボー・ラーセン) 、音楽教師・ニコライ(マグナス・ミラン) 、心理学教師・ニコライ(マグナス・ミラン) の4人の同僚がいます。ニコライの誕生日パーティーへ行った際に、「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと、仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」と聞きました。それまで酒を我慢していたマーティンは飲み始めるところから「天国と地獄」が待ち受けるという展開に進んで行きます。マーティンは一人先んじて実験します。授業の前に酒を飲んで挑むのです。結果として授業は大成功です。かつて、教師という職業についた時の感動も味わえました。それを聞いた残りの3人も学校へ酒ビンを持ち込み隠れて飲んで授業を行います。彼ら4人は異口同音で「素晴らしい成果」とたたえ合います。でも、それからはエスカレートしていく一方なのです。悲劇的な結果になるのは目に見えています。
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映画『アナザーラウンド』の考察・評価
本映画『アナザーラウンド』で面白いなあと思ったのは過去の偉人たちを上げていかに大酒のみが良いことかを肯定する場面でしょう。例えばヒトラーはとても真面目で、酒も飲まずタバコも吸わず生きてきた人物です。変わってイギリスの首相を務めたチャーチルは大酒飲みで、女好きで、良く喋り、荒くれ者だったいう例えをします。生徒たちどちらが良い人間なのかを聞いたりします。ここではお酒と人格と偉業は比例されないということを表しています。敢えてヒトラーを善人に仕立て上げていますが、製作者側の意図は寧ろ逆説的に訴求していると思います。「お酒はほどほどに」というニュアンスではないでしょうか。
本映画『アナザーラウンド』のメッセージは「酒は危険だ」「人生を狂わす」と言うことを明確に伝えていると思います。日本よりも、欧米ではアルコール依存症の人がとても多いです。アメリカの映画などを見ると本当によく酒を飲んでいます。しかもアルコール依存の親は、必ずと言っていいほど子どもに暴力を振るっています。アメリカの暗部・恥部である大きな社会問題です。ふと、1920年代の禁酒法時代させました。当時は酒を飲むと人は働かなくなるし、国が衰退していくと言う理由から禁止法になっていったと思います。そりゃあそうでしょう。安い給料でこき使われて、酒飲んでストレスを発散しないとやっていけない時代だったのですから。
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しかし現在、もし禁酒法を導入されるのであれば、学問として研究・検証された結果に基づいて施行されると思います。酒がもたらす良いことって、そんなにないと思います。「酒は心身に悪い」ですし、「家計も壊す」し、「人間関係も壊す」し「酒は人生を狂わす」のです。麻薬やマリファナよりも、「酒が最悪のドラック」だと言うこと人もいます。
本映画『アナザーラウンド』の4人の教師は0.05%の血中濃度によって仕事にも家庭にも幸せが訪れると言う理由をつけて酒を飲んでいます。けれども本音はただ「飲みたいだけ」でしょう。飲むための口実として「0.05%を保って仕事をしなければいけない」を紐付けているだけです。笑ってしまいますが、これはわたしたちにも言えることなのです。お酒を飲みたいがために仕事を早めにを終わったり、打ち合わせと称して飲み会を持ったり、タバコを止めて口が寂しいからと言う理由をつけて飲んでいるだけです。もはやアルコール依存症ですね。
一度、アルコール依存症になるとなかなか抜け出せないと言われています。特に一人暮らしの人や、家族がいても孤立しているような環境にいる人。その寂しさや苦痛から逃れようと「少しなら良いや」と酒に紐付けて飲んでしまうのです。映画と同じく飲酒量は右肩上がりに増えていきます。アルコール依存症になるとひとりではなかなか解決できません。地域にあるボランティアの断酒会などに参加することをお勧めします。同じような仲間がいて同じ悩みを共有し、告白しあえることでモチベーションとなって、断酒を継続させるのです。生きている限り永遠に続けなければいけない習慣であり作業です。それをデメリットと捉えるかメリットを捉えるかは本人次第です。再び酒に手を出したらアルコール依存症に逆戻りです。それほど恐ろしい病気です。
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映画『アナザーラウンド』の結末
さて、本映画『アナザーラウンド』結末はとても悲しい展開となりました。体育教師・トミー(トマス・ボー・ラーセン) 酒を飲んでヨットで海に出て死んでしまいます。酒が引き起こした死亡事故と言っても良いのではないでしょうか。彼は家族もなく孤独でした。そして酒に溺れて、海で溺死したのです。この時になって、ようやくマーティンら3人は酒を飲みながらの授業を止めるとにします。
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ただし、ここから本映画『アナザーラウンド』はその悲しみを大酒を飲んで発散する方向に流れます。教え子たちの卒業式典のあと、大酒のみ大会が用意されています。そして亡きトミーへの鎮魂歌のように「飲んで、歌って、踊って」の大騒ぎをするのです。笑えます。アメリカの飲酒問題映画とは異なります。そちらはアルコールを悪者として描き、施設に入ってアルコールと戦って、打ち勝ち、そして社会復帰して新しい人間が誕生するという展開に持っていきます。しかし、本映画『アナザーラウンド』は違いました。最後は大酒のみで終わるのです。タイトルを和訳すると「大量飲酒」ですから、それで良いのかなあと納得するしかないです。とても良い映画でした。でも、とてもせつない映画でした。「人生の悲喜交々」と言いましょうか、ひとりぼっちで引き潮をずっと見ているような感覚に包まれました。
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映画『アナザーラウンド』のキャストについて
マーティン(マッツ・ミケルセン)
トミー(トマス・ボー・ラーセン)
ニコライ(マグナス・ミラン)
ピーター(ラース・ランゼ)
アニカ(マリア・ボネビー)
ヘリーヌ・ラインゴー・ノイマン
スーセ・ウォルド
まとめ 映画『アナザーラウンド』一言で言うと!
「酒は百害しかない」
わたし自身はお酒を飲みません。「飲まなくても楽しくなれる」ようになったからです。お酒のない生活ってとても楽です。
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映画『フリーソロ』
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映画『アナザーラウンド』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
トマス・ビンターベア
製作
シーセ・グラウム・ヨルゲンセン キャスパー・ディシン
脚本
トマス・ビンターベア トビアス・リンホルム
撮影
シュトゥルラ・ブラント・グロブレン
美術
サビーネ・ビズ
衣装
エレン・レンス マノン・ラスムッセン
編集
アンネ・オーステルード ヤヌス・ビレスコフ・ヤンセン
マーティン(マッツ・ミケルセン)
トミー(トマス・ボー・ラーセン)
ニコライ(マグナス・ミラン)
ピーター(ラース・ランゼ)
アニカ(マリア・ボネビー)
ヘリーヌ・ラインゴー・ノイマン
スーセ・ウォルド
2020年製作/115分/PG12/デンマーク
原題:Druk
配給:クロックワークス