映画『キューポラのある街』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。
映画『キューポラのある街』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『キューポラのある街』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『キューポラのある街』
(99分/日本/1962年)
原題『Cupora,Where the Furnaces Glow』
【監督】
浦山桐郎
【脚色】
今村昌平 浦山桐郎
【出演】
東野英治郎
吉永小百合
市川好朗
【HPサイト】
映画『キューポラのある街』IMDbサイト
【予告映像】
映画『キューポラのある街』トレーラー
映画『キューポラのある街』NHK BSプレミアム放送 11月10日(火)午後1時00分〜2時41分
11月10日(火)午後1時00分〜2時41分
吉永小百合さんです
とても可憐です
努力しています
進学できるのでしょうか?
映画『キューポラのある街』のオススメ度は?
星3つ半
昭和の歴史が見えます。
吉永小百合さんはやっぱり綺麗です
気品と闘志が見えます。
強く生きる!という決意を感じます。
差別・偏見についても描いています。
映画『キューポラのある街』の作品概要
原作は早船ちよの小説。1962年(昭和37年)4月8日に公開された浦山桐郎監督デビューd作の日本映画である。上映時間は99分。脚本は浦山の師匠である今村昌平と共同執筆。吉永小百合主演に日活作品。
映画『キューポラのある街』のあらすじ・ネタバレ
鋳物の街、埼玉県川口市は鋳物工場の直立炉(キューポラ)がいくつも建っている。中学生にジュンは貧しいが元気に生きている。しかし父親は鋳物職人であるが、職人気質が災いして仕事が長続きしない。ジュンは受験勉強しているが、アルバイトで生計を助けている。楽しみにしていた修学旅行も行けなくなる。再就職した父親がまた辞めてしまったからだ。ジュンはやけになり夜の街を彷徨う。それから朝鮮人の友達との交流も、、、。
映画『キューポラのある街』の感想・内容
この映画『キューポラのある街』はとても深い話だと改めて感じます。日本は間も無く迎える高度経済成長に向かっていますが、大衆の生活はそれほど豊かでないことがわかります。長屋のような粗末な家の一間に4、5人が一緒に住んでいます。水道も外にある共同の井戸です。映画は中学生のジュン(吉永小百合)の目線で描かれています。ジュンが悩む家族、進学、友情、恋愛しながら問題解決へと向かっていきます。演じる吉永小百合さんが明るく、健気で前向きな姿に胸を打たれますが、途中から人権色が強くなる辺りで、単なる青春映画ではないことが若干気になります。
「中学生」の時に出会った人との恋を成就します
まずタイトルの“キューポラ”は銑鉄溶解炉のことです。このキューポラやこしきが林立する街のことを指してタイトルが付けられています。舞台は埼玉県川口市です。この映画を観ていて一番関心を寄せるのはやはり朝鮮人との友達問題です。(その後の彼らの悲しい歴史を知っているから今だからこそ関心を持ってしまうのかもしれません)当時、日本で生活する朝鮮人が祖国が建国されてこぞって帰還します。映画ではその背景も交えて物語が進行していきます。先にジュンの家族から恋愛と書きましたが、途中からはこの北朝鮮への帰還事業が中心となっていきます。おそらく人権擁護派であった今村昌平監督の弟子の浦山桐郎の監督デビュー作なので、人権色あるいは政治色の強い内容を入れたかったのだと思います。このことは後に北朝鮮の帰還事業を美化するものだと批判されることにもなりました。実際にこの映画を観て北朝鮮に帰った人もいたと思います。しかし当時は情報がなかったので今となっては致し方ないとしか言えません。
「中学三年生」の時に兄が大変な事件に巻き込まれて、、、
さて、映画は中学生のジュンが高校進学を前に様々な困難に立ち向かって解決していく物語です。まずは家が貧乏であること。父親は鋳物職人ですが、プライドが高く仕事が長続きしません。おまけに酒浸りのダメ父。酔っ払っては暴言を吐き、多少の暴力も振るいます。ジュンは耐えています。受験勉強に励んでいますが、進学のお金がないためパチンコ屋でアルバイトしています。父親の再就職が決まって喜びます。でも父親はすぐに問題を起こして辞めてしまいます。ジュンの弟タカユキはやんちゃで結構問題児です。ひょんなことからチンピラに絡まれてしまい、姉を巻き込んでしまい、それが大騒動につながります。
「中学三年生」で予期せぬ妊娠が発覚して、、、
ジュンは楽しみにしていた修学旅行に行けませんでした。そしてさらなる追い討ちがきます。ジュンは街のチンピラに絡まれてレイプされそうになります。しかも中学生なのにお酒を飲まされます。今では完全にアウトな描写です。そして終盤に友達の朝鮮人の姉弟家族が列車に乗って北朝鮮へ旅立っていきます。この場面はとても複雑な気持ちで観てしまいまいました。それはその後の歴史を知っているわれわれの目線からも憐れみを含んでいますが、当時は「まさか北朝鮮が、、、、」などとは眉唾にも思っていなかったでしょう。宣伝では「この世の楽園」となっていましたから。
映画『キューポラのある街』の結末・評価
この『キューポラのある街』は確かに中学生のジュンの成長物語であります。最終的に貧乏な家であるがため定時制高校へ進学します。その時のセリフが前向きです。「働きながらお給料もらって勉強する、自分の力で」というようなことを言っていますが、裏を返せば「ダメな父親に愛想つかした。このままじゃわたしの人生終わっちゃう」です。でも時代、いや家父長制というのでしょうか、家族の進む道は全て父親が決定するという忌まわしき制度の壁が立ちはかどっています。これが一番の悪害です。ジュンはそれにもめげず、父親の悪口を言わず進学するのです。
「中学三年生」屋根の上から見た世界って美しい
それはもう無言の抗議であり、父親を捨てた証拠でもあります。そのジュンの心意気にレジスタンスを感じさせます。そうです。この『キューポラのある街』に出てくる北朝鮮へ帰る人たちのことを指します。彼らは日本で酷い差別と偏見を受けていました。抗っていたと思います。ジュンは彼らの権力に屈服しない生き方に自分の生き方を重ねたのかもしれません。これは想像ですが、脚本は今村昌平です。彼は映画の中に人権擁護、あるいは権力に対して戦うという描写を入れるのが特徴でしたから、狙っていたのかもしれません。
まさか「中学」の同級生を兄妹になるなんて、、、
この『キューポラのある街』は後の吉永小百合さんの人生にも影響を与えているのではないかと思います。吉永さんは映画女優としては珍しく政治的な発言や運動をしています。とても勇気ある女優です。いち早く“脱原発”発言です。共産党の期間新聞紙の赤旗でも政府に対して批判的な発言もしています。この映画がきっかけかわかりませんが、吉永小百合さんは日本の映画俳優の中では“誰にも媚びないし”“正義を貫く”ことを信条にしている稀有な俳優さんとわかります。おそらく『キューポラのある街』出演の影響が大きいのではないでしょうか。
来年は「中学生」その前に初恋だ
*ジュンの父親の石黒辰五郎(東野英治郎) が工場をクビになる場面で辰五郎は必死に経営者を庇います。労働者側は経営者に抗議します。でも結果的に辰五郎はクビになり酒浸りになります。で辰五郎を救ったのはかつての仲間たちの労働者の組合です。この描き方は上手いと思います。ここに家父長制度というか、君主に仕える日本人の習性をうまく
表しています。お世話になった人を守って自己満足しますが、何もいいことはありません。悲しきサガですね。いつも損ばかりするのは正直者と貧乏人です。
まとめ 映画『キューポラのある街』一言で言うと!
「ダメ親父を乗り越えてわたしは生きる!」
酒浸りのクソでダメな親父が本当に憎たらしい。でも親だから何も言えない。我慢するしかない。自分の力で高校へ行って、自分の人生を歩んでいこう!
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映画『キューポラのある街』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
浦山桐郎
脚色
今村昌平 浦山桐郎
原作
早船ちよ
企画
大塚和
撮影
姫田真佐久
美術
中村公彦
音楽
黛敏郎
録音
古山恒夫
照明
岩木保夫
編集
丹治睦夫
スチール
井本俊康
石黒辰五郎(東野英治郎)
ジュン(吉永小百合)
タカユキ(市川好朗)
金山ヨシエ(鈴木光子)
サンキチ(森坂秀樹)
父(浜村純)
母美代(菅井きん)
塚本克巳(浜田光夫)
うめ(北林谷栄)
松永親方(殿山泰司 )
ノッポ川(勝喜久雄)
中島ノブコ(日吉順子)
東吾(下元勉)
野田先生(加藤武)
ズク(西田隆昭)
シミヅ(坂本勇男)
カオリちゃん(岡田可愛 )
リスちゃん(青木加代子)
平さん(小林昭二)
内山溝井哲夫
松永鋳工の職工A青木富夫
松永鋳工の職工B澄川透
松永鋳工の職工C土田義雄
少年A武田晴道
少年B谷岸典久
少年C杉山元
刑事河上信夫
鑑別所の教師小沢昭一
1962年製作/99分/日本
原題:Cupora,Where the Furnaces Glow
配給:日活