映画『フェアウェル』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『フェアウェル』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『フェアウェル』
(100分/G/アメリカ/2019)
原題『The Farewell』
【監督】
ルル・ワン
【脚本】
ルル・ワン
【撮影】
アンナ・フランケスカ・ソラーノ
【美術】
ヨン・オク・リー
【衣装】
アテナ・ワン
【編集】
マシュー・フリードマン マイケル・テイラー
【音楽】
アレックス・ウェストン
【出演】
オークワフィナ
ツィ・マー
ダイアナ・リン
チャオ・シュウチェン
水原碧衣
ルー・ホン
【HPサイト】
映画『フェアウェル』公式サイト
【予告映像】
映画『フェアウェル』トレーラー
- 映画『フェアウェル』のオススメ度は?
- 映画『フェアウェル』の作品情報・概要
- 映画『フェアウェル』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『フェアウェル』の感想・内容
- 映画『フェアウェル』の結末・評価
- 映画『フェアウェル』のキャストについて
- まとめ 映画『フェアウェル』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 【夢に向かって頑張っている映画】
- 映画『行き止まりの世界に生まれて』
- 映画『カセットテープ・ダイアリーズ』
- 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
- 映画『ルース・エドガー』
- 映画『ハリエット』
- 映画『チアダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
- 映画『マディソン郡の橋』
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』
- 映画『キングダム』
- 映画『リメンバー・ミー』
- 映画『風をつかまえた少年』
- 映画『パリに見出されたピアニスト』
- 映画『レディ・マエストロ』
- 映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
- 映画『さよなら くちびる』
- 映画『王様になれ』
- 映画『ブレス あの波の向こうへ』
- 映画『ガラスの城の約束』
- 映画『リアム16歳、はじめての学校』
- 映画『ビリーブ 未来への大逆転』
- 映画『旅のおわり世界のはじまり』
- 映画『トールキン 旅のはじまり』
- 映画『チワワちゃん』
- 映画『芳華-Youth-』
- 映画『翔んだカップル』
- 映画『WAVES ウェイブス』
- 【夢に向かって頑張っている映画】
- 映画『フェアウェル』の作品情報
映画『フェアウェル』のオススメ度は?
星4つです
観よ!オークワフィナの存在力
中国系アメリカ人の葛藤
ガン告知するか否か問題
再びアメリカに戻る理由は?
どこで生きようと「わたしはわたし」
映画『フェアウェル』の作品情報・概要
『フェアウェル』原題『The Farewell』2019年のアメリカ合衆国のドラマ映画。監督はルル・ワン、主演はオークワフィナ。本作はルル・ワン監督の実体験を題材にしている。2017年に出演したラジオ番組『ディス・アメリカン・ライフ』で語った「What You Don’t Know」を原作としている。2019年7月12日に4館のみの限定公開であったが、話題となり全米704館まで拡大。主演のオークワフィナはゴールデングローブ賞で主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)を獲得した傑作。
映画『フェアウェル』のあらすじ・ネタバレ
アメリカ・ニューヨークで物書きを夢見るビリー(オークワフィナ) は中国系アメリカ人。祖国の祖母ナイナイ(チャオ・シュウチェン)と電話で話すのか大好きだ。ビリーはグッゲンハイム・フェローから選外になった通知を受けて落ち込んでいる。実家に帰ると父ハイヤン(ツィ・マー) が泣いている。理由はナイナイがガンで余命が少ないこと。そして両親は中国へ帰ることになる。ナイナイに悟られないように甥っ子の結婚式をデッチ上げて。「感受性が強い」ビリーは置いてけぼりに、、、。でも後日、中国・長春へ向かうビリー。そして祖母と対面する。「告知するか否か」の文化の違いに戸惑う、、、。
映画『フェアウェル』の感想・内容
オークワフィナの存在力が半端ない映画です
「とても良い映画」です。物語も良いのですが、やはり主演のビリー演じるオークワフィナさんが抜群なんです。
とにかくスクリーンへの吸引力が強いのです。
彼女は中国、韓国の血を引くアジア系です。アメリカで生まれて、ラッパーとしても活躍しています。
アジア系の役者の中で、いまナンバーワンの存在ではないでしょうか。
オークワフィナをあまり知らない人が本映画『フェアウェル』を観ると若干、違和感を覚えるかもしれません。
何故ならば彼女の顔は“美形”でもないし“可愛い系”でもないからです。
もちろん、その価値観は“目鼻立ち”の良さが求められる西洋文化に毒されたわたしたちのコンプレックスによるものですから、比肩してはいけません。
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彼女の演技を観ているだけで何を言っているのか理解できる
パンフレットの写真を見ると彼女はアゴを突き出してます。鼻の穴も丸見えです。その姿にラッパーとしてもプライドの片鱗が伺えます。
体型もしっかりしています。肩幅も広く、歩く様はなんか「格闘家?」って思ってしまうほど、迫力があります。
でもですね。演技は実に繊細なんですよ。
首の振り方、視線の流し方、言葉の強弱はもちろんのこと、じっと座っている様も、走っている姿に至るまでの全てに気持ちがこもっているのです。
注視せざる得ないのです。わたし、そんなに英語は得意ではありませんが、彼女の演技を観ているだけで何を言っているのか理解できたほどです。
本当に素晴らしい女優さんです。
「告知問題」を主軸にしたビリーの葛藤と挑戦を交えた成長物語
さて本映画『フェアウェル』は割とベタな物語と言えます。「余命宣告されたお婆ちゃんに告知するかしないか?」を中心に展開していきます。
結果的には告知しません。
でもこの“告知問題”を主軸に捉えながら中国人としての誇りや伝統、そして新たな生き方を描いています。
わたしは日本で生まれ、日本に住んでいますから、移民の気持ちにはなれません。
本映画『フェアウェル』はルーツは中国にあるのに自身が育った年月はアメリカの方が多く、思考的には欧米化しているビリー(オークワフィナ) の葛藤と挑戦を交えた成長物語なのです。
移民としてアメリカへ降り立ったコルレオーネファミリー
「お婆ちゃんがガンである」ビリーは連れて帰れない
ビリーは6歳の時に父ハイヤン(ツィ・マー) と母ルー・ジアン(ダイアナ・リン) と共にアメリカへ渡りました。
両親は苦労しましたが、アメリカでしっかりとアメリカ社会で生きています。
ビリーは物書きになることを夢見ていますが、なかなか芽が出ません。学芸員の面接も落ちています。
ビリーは祖国のお婆ちゃんのナイナイ(チャオ・シュウチェン) と頻繁に電話で話します。
お互い「とても好きな存在」です。
ある日、ビリー実家へ帰ると父が泣いています。理由を聞くと「お婆ちゃんがガンである」ことがわかり、余命数ヶ月です。そして両親は中国へ里帰りすることになります。
但し、感受性の強いビリーは連れていけないといいます。理由は「お婆ちゃんにバレてしまう」からです。
中国で暮らす親族と、海外に出た親族の価値観の相違
両親たちの作戦は日本に移住した父の弟の子どもが結婚するとデッチ上げて一族が集まり、お婆ちゃんの最後を見届けるというものです。
さすがのビリーも我慢なりません。両親が中国へ発ったあと、すぐに単身で飛び立ちます。
中国・長春のお婆ちゃんのアパートに着いたビリーは泣きっ面です。皆が見守る中、思いっきりの笑顔を見せて乗り越えます。
本映画『フェアウェル』は中国で暮らす親族と、海外に出た親族の価値観の相違を持って展開して行きます。
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中国ではガンの告知はしないが欧米では告知する
まず中国ではガンの告知は行わないのが一般的だそうです。それはガンという恐怖に殺されるからです。
変わって親族が耐え忍ぶことが美徳と考えられています。
一方、アメリカで育ったビリーは「告知しよう」と提案します。
終活を大事にするのはもちろんですが、やはり極めて個人的な秘密を伝えないことは“罪”になるという考え方を持っています。
もちろん、どちらが正しいかは断言できない問題です。
映画『フェアウェル』の結末・評価
ビリーが中国に来て改めて自身のルーツと家族の大切さを噛みしめる
物語は「告知するか否か」に沿って進んで行きますが、ビリーが中国に来て改めて自身のルーツと家族の大切さを噛みしめるように進んで行きます。
アメリカ育ちのビリーにとっていつしか故郷の中国は異国の地になってしまっています。
しかも街を見渡しても6歳の頃の中国はありません。今や高層ビルが立ち並び、アメリカよりも発展しようとしています。
かつて自身がアメリカに降り立った時の高層ビルの光景と重なっているのです。時を経て、全くの逆転状態になっているのです。
しかも中国に暮らす親族は「アメリカより中国の方が今やチャンスはある」と自信満々に言ってのけます。
ビリーはお婆ちゃんの元に残ろうとしますが、再びアメリカへ帰って行きます。
もうアメリカ人なのです。本人はわかったと思います。「アメリカで勝負するしかない」と。
黒人としての誇りだけは絶対に忘れない
「ナイナイは6年後も現在も生きている」に驚愕するが、、、
さて本映画『フェアウェル』はニューヨークに帰ったビリーが空を見上げて「ハッ」と声を発すると木立の鳥が飛び立って終わります。
鳥はスズメです。スズメは繁栄の象徴です。映画の中で何度か登場します。
それを観て「気持ちの良い映画だな」と思った瞬間、お婆ちゃんが映し出されて「ナイナイは6年後も現在も生きている」とテキストが流れます。
「ええっー」と腰がずり落ちそうになった人も多いでしょう。
実際、このエンディングに賛否が問われています。「お婆ちゃん生きているのかい」とか「告知問題必要ないじゃん」などです。
でも長生きしていることを祝福する文化は世界共通だと思うので大目に見ましょう。
貧しいオランダ移民の女の子が指揮者のなる夢を追いかける
映画公開を通してお婆ちゃんに「ガン告知」をしたルル・ワン監督
実は本映画『フェアウェル』はルル・ワン監督の経験による実話なんです。彼女自身の体験によって紡がれた物語なんです。
数年前にお婆ちゃんの余命を聞いて、中国に戻り、この映画の着想となったのです。
そして映画を監督して世界的に大きな評価を受けて成功への階段を登り始めています。
一番喜んでいるのはワン監督のお婆ちゃんでしょう。
ただここでひとつ疑問があります。お婆ちゃんは本映画『フェアウェル』を観たのでしょうか?
観たのなら自分が「ガンである」ことを知ってしまうのではないでしょうか。全世界への告知です。それってどうなんでしょうか。
いやいや、ひょっとしたらワン監督は中国文化ならびに風習へのパンチとして映画公開を持って「告知」するという強硬路線をとったのでしょうか。
*ガン告知について考えてみます。わたしも母親を早くにガンで亡くしています。当時は告知することは「絶望」を意味することで、知らせずに母を送りました。けれどもいま考えると告知すれば良かったと思う時があります。それは残り少ない人生を後悔なく過ごす時間があっても良かったのではと思うのです。確かに自分の余命を知ったら気が狂うかもしれません。でも案外、人間は受け入れることが可能な動物です。自身の残り少ない灯火を家族と共に見つめることで、安らかな最後を迎えることができるのではないかと最近は考えるようになっています。
映画『フェアウェル』のキャストについて
ビリー(オークワフィナ)
ハイヤン(ツィ・マー)
ルー・ジアン(ダイアナ・リン)
ナイナイ(チャオ・シュウチェン)
アイコ(水原碧衣)
ルー・ホン
まとめ 映画『フェアウェル』一言で言うと!
「どこで生きようと“わたしはわたし”なのだ」
本映画『フェアウェル』はルル・ワン監督の実体験を元に製作された映画です。彼女はおそらく自身のルーツについて悩んだ末の物語だと思いますが、最後の最後でビリーが空を見上げて「ハッ」発するところに決意が表れていると思います。「がんばろう」とか「わたしはわたし」なのだ、です。どこにいても家族とは繋がっているし、しっかりと生きていくことが大事なのだということではないでしょうか。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【夢に向かって頑張っている映画】
映画『行き止まりの世界に生まれて』
苦しかった日々を乗り越えて「挑戦」するのだ!
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』
大学へ行って「絶対に作家になるんだ!」夢と勇気がもらえる映画
映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
男女差別があった時代の女流作家の生き方が描かている
映画『ルース・エドガー』
両親には感謝しているけど「良い子」でいるのもキツイ
映画『ハリエット』
人を助けるのがわたしの使命
映画『チアダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
目指すは全米制覇!
映画『マディソン郡の橋』
夢見た人とひと時の恋
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』
この国の行方をタクシーに乗せて
映画『キングダム』
目指すは天下の大将軍
映画『リメンバー・ミー』
父の夢は僕の夢
映画『風をつかまえた少年』
貧しくても夢があれば生きていける
映画『パリに見出されたピアニスト』
夢の叶え方がわからない少年に手を差し伸べる人
映画『レディ・マエストロ』
女性指揮者のパイオニアが困難を乗り越えて夢を実現する物語
映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
ソ連から亡命してまで自身の夢を掴んだ
映画『さよなら くちびる』
音楽をやりたい!その夢を果たすために何が必要か?
映画『王様になれ』
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映画『ブレス あの波の向こうへ』
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映画『WAVES ウェイブス』
アメリカの高校生の青春は残酷な運命に、、、
映画『フェアウェル』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ルル・ワン
脚本
ルル・ワン
撮影
アンナ・フランケスカ・ソラーノ
美術
ヨン・オク・リー
衣装
アテナ・ワン
編集
マシュー・フリードマン マイケル・テイラー
音楽
アレックス・ウェストン
音楽監修
スーザン・ジェイコブス ディラン・ニーリー
ビリー(オークワフィナ)
ハイヤン(ツィ・マー)
ルー・ジアン(ダイアナ・リン)
ナイナイ(チャオ・シュウチェン)
アイコ(水原碧衣)
ルー・ホン
2019年製作/100分/G/アメリカ
原題:The Farewell
配給:ショウゲート