映画『大コメ騒動』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
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『大コメ騒動』
(2021年製作/106分/G/日本)
【監督・原案】
本木克英
【脚本】
谷本佳織
【プロデューサー】岩城レイ子【プロダクション統括】木次谷良助【配給統括】増田英明
【撮影】南野保彦
【出演】
井上真央
三浦貴大 夏木マリ 立川志の輔 吹越満 鈴木砂羽 舞羽美海 左時枝
柴田理恵 木下ほうか 西村まさ彦 中尾暢樹 冨樫真 工藤遥 吉本実憂
内浦純一 石橋蓮司
室井滋
【HPサイト】
映画『大コメ騒動』公式サイト
【予告映像】
映画『大コメ騒動』トレーラー
映画『大コメ騒動』のオススメ度は?
星3つです
「スカッとする映画」です
おかか(母)は強し!
井上真央さん「好印象」
決死の突撃に「拍手喝采」でした
映画『大コメ騒動』の作品情報・概要
『大コメ騒動』2021年1月8日に公開された日本映画。原案・監督は本木克英、脚本は谷本佳織。主演は映画『カツベン!』の井上真央。舞台設定は1918年の富山。実際にあった“越中女房一揆”で活躍した“おかか”たちのコメ騒動をモチーフに制作されている。富山出身の俳優、室井滋、立川志の輔、映画『引っ越し大名!』の西村まさ彦、映画LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』の柴田理恵、左時枝らの好演も見所。他に映画『ダンスウィズミー』の三浦貴大、映画『Vision』』や映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の夏木マリ、映画『事故物件 恐い間取り』の木下ほうか、映画『鉄道員(ぽっぽや)』や映画『泥だらけの純情(1977)』の石橋蓮司。
映画『大コメ騒動』のあらすじ・ネタバレ
1918年の富山。男たちは毎日一升、おかか(女)は八分のコメを食べている。コメを食べないと力が出ない。男たちは海へ行き魚を獲るか、出稼ぎで北海道へ行って稼ぐしかない。女たちはコメを船に積む仕事で稼いで、コメを買っている。日銭は20銭ほど。しかし毎日少しづつコメの価格が上がっていく。何とコメの価格が日銭を上回り事態になり、生活が逼迫する。多少の学があり、文字を読めた松浦いと(井上真央) は日本とロシアとの間に戦争が起きる記事を読む。ますますコメ価格が上がり、いとはコメ屋に抗議に行こうと村のリーダー的存在の清んさのおばば(室井滋)に提案する。そして意を決して集まったおかかたちと抗議に行ったことが“越中女房一揆”と新聞で報道されてしまう。おかかたちの目的はとても明快。「夫と子どもに腹一杯ご飯を食べさせたい」だけ。戦争のことより、コメが大事。果たして、、、。
映画『大コメ騒動』の感想・内容
「とてもスカッとする映画」です。そして主演の井上真央さんのことが好きになりました。好感度アップです。本映画『大コメ騒動』の舞台は1918年の富山です。もう100年以上前に起きた実際の“一揆”をモチーフに描いています。本映画『大コメ騒動』を撮影するに辺り、当時の女性たちがどのような風貌だったのかを本木克英監督はちゃんと調査していると思います。女たちの身なりが本当に見すぼらしく、その日のご飯をどうやって調達するのかに追われていた時代です。
必見なのは井上真央さん含め出演する女優たち全員が「真っ黒クロスケ」なんです。もちろん、多少のメイクで黒くしていると思いますが、ほとんどノーメイクと言っても良いくらいの“いでたち”なんです。今ではこんな女性に出会う機会はほぼ皆無でしょう。これが実に様になっているのです。女房ならびに母親のことを“おかか”と呼んでいた時代の逞しき女たちなんですよ。美白文化が浸透して「白いほど美しい」という欧米の価値観で植民地化されてしまった日本で、本映画『大コメ騒動』に出演した女優陣にまず「拍手喝采を送りたい」と思います。
物語もとてもわかりやすいです。「コメの価格が上がって、夫や子どもに食べさせてあげたい。なんで上がっているの?戦争?そんなの関係ない。コメをくれー!」と言って米屋に抗議するのです。これは実際にあった事件です。そして全国的に大きな一揆ならぬ“騒動”へと発展しました。ただ本映画『大コメ騒動』では発端が富山となっていますが、1918年当時の日本における国際情勢の動向で、全国的にこの騒動は起きたとされています。その背景は1914年に始まった第一次世界大戦に遡ります。幸いと言って良いのかわかりませんが、日本はこの大戦には大きく加担していません。何故ならば対戦はヨーロッパ大陸中心で行われていたからです。地獄の塹壕戦です。映画『彼らは生きていた』と映画『1917 命をかけた伝令』参照。
日本はどちらかというと好景気に沸いていたそうです。そして何を思ったのか、時の政府は1917年に起きたロシア革命の混乱に乗じて、“シベリア出兵”へ歩を進めたのです。事前に日本がロシアと戦争を始めると情報を得た市場ではコメの価格が徐々に上がり始めたのです。もちろん、当時の女性たちはそんなことより、夫や子どもに「コメを食べさせる」ことの方が重要です。本映画『大コメ騒動』にもありましたが、当時の女性たちの識字率が低かったこともあり、多くの人たちは新聞を読んで、今世界で何が起きているのかさえ知る由もなかったでしょう。富山のおかかたちの仕事は奇しくもコメを船に運んで、日当を貰い、その金でコメを買うという奴隷的なものでした。そこに怒りと矛盾を感じて立ち上がったのが松浦いと(井上真央) なんです。実に痛快でした。
本映画『大コメ騒動』は単なる“騒動”で大暴れしたおかかたちのストレス発散映画ではないところも良いのです。志を同じにする仲間とて、生活があります。中には敵側に懐柔されていたり、アンダーテーブル的な提案を受け入れて、自身の家族を腹一杯にさせたいと必死なところも見逃せないのです。時代は変わっても一致団結して権力に向かおうとしても、やはり身内のことが一番大事だということは今も同じです。一枚岩というのは案外、簡単に壊れるものだということも伝えてくれます。
でもですね、後半になると完全に一枚岩になるのですよ。それは信頼していた仲間が裏切っていた事実をお互いに享受したことで成されるのです。ここが人間らしいと思うのです。i良い思いをした自分自身への懺悔を込めて、面目を取り戻すために必死になって戦う姿に人間の本質が見えてくるのです。とても素晴らしい演出だったと思います。
映画『大コメ騒動』の結末・評価
さてさて本映画『大コメ騒動』では富山県出身の俳優がたくさん出ています。室井滋、立川志の輔、西村まさ彦、柴田理恵、左時枝たちです。おばばを演じた室井滋の演技は絶品でした。最初はどういう存在なのはわかりませんでした。一見、乞食(コジキ)の風貌です。きっと何か不思議な力を持っているのでしょう。おかかたちの心の拠り所となっています。おばばの心に火を点けたのは松浦いと(井上真央) です。彼女の言葉を信じて最初に行った抗議は完全に失敗に終わりました。おばばはいとを裏切り者と罵ります。でも心の底から憎んではいないのです。絶叫しながらも、優しい心でいとを見つめる演技にはうなずいてしまいました。
立川志の輔さんは物語に関係のない人物で、狂言回しのように映画を進めていきます。果たして、この手法が必要だったのかは微妙ですが、史実の設定をわかりやすくしたのは事実です。
そして映画の結末が最高なんです。浜でコメの積荷を行う男たちの目の前に何百人ものおかかたちが結集して、さらに血相を変えて、突進していくのです。井上真央さん演じる松浦いとが「行けー」と絶叫します。思わず「頑張れ!」と叫んでしまいました。見事にコメを奪取します。「おかかは強いんです」「おかかは子どものために何でもします」という迫力に胸が熱くなりました。
さてもう一点、とても素晴らしいと思う演出があります。それはいとの息子が「俺、兵隊さんになる。偉くなってみんなのお腹をいっぱいにする」と言います。でもいとは息子を抱きしめて「絶対に兵隊にはさせん」という場面です。ここはとても良いですね。さらにその様子を見ていた義母の松浦タキ(夏木マリ) が言います。「おかかは子どものためなら何でもするのだ」それは自身が過去において食べ物を盗んでまで子どもに食べさせた経験からくるものでした。本映画『大コメ騒動』には約100年前の女性たちの社会的な立場もうまく内包されていました。朝から晩まで働きづめで、ご飯の心配ばかりしている。さらには男どもの言いなりになって意見すら言えない。勉強などさせて貰えないから文字もロクに読めない。さらに貧乏な家で生まれた女は女郎屋に売られてしまう悲劇などなど。そういった諸問題のバランスをうまく取り入れたことで、最後の“強奪”場面で一気に花が開いた感じがしました。「とてもスカッとした映画」でした。
映画『大コメ騒動』のキャストについて
松浦いと(井上真央)
松浦利夫(三浦貴大)
松浦タキ(夏木マリ)
尾上公作(立川志の輔)
水野源蔵(吹越満)
水野トキ(鈴木砂羽)
小川サチ(舞羽美海)
鷲田とみ(左時枝))
きみ(柴田理恵)
鳥井鈴太郎(木下ほうか)
活動家(西村まさ彦)
一ノ瀬実(中尾暢樹)
沢辺フジ(冨樫真)
池田雪(工藤遥)
ヒサ(吉本実憂)
熊澤剛史(内浦純一)
黒岩仙太郎(石橋蓮司)
清んさのおばば(室井滋)
まとめ 映画『大コメ騒動』一言で言うと!
「おかかは無敵!」
子どもに「腹一杯食べさせたい」のだ。そのためなら盗人になっても良いのだ。
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映画『マリッジ・ストーリー』
もう一度女優として活躍したい
映画『プライベート・ウォー』
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映画『マイ・フェア・レディ』
レディになることが果たして「正しいのか」
映画『大コメ騒動』の作品情報
スタッフ・キャスト
監督
本木克英
原案
本木克英
脚本
谷本佳織
プロデューサー
岩城レイ子
プロダクション統括
木次谷良助
配給統括
増田英明
キャスティングプロデューサー
福岡康裕
音楽プロデューサー
佐々木次彦
ラインプロデューサー
石川貴博
アシスタントプロデューサー
谷口夏美
撮影
南野保彦
照明
江川敏則
録音
山本研二
整音
小林喬
美術
倉田智子
装飾
鎌田康男
編集
川瀬功
音響効果
堀内みゆき
音楽
田中拓人
主題歌
米米CLUB
メインタイトルデザイン
赤松陽構造
スタントコーテディネーター
東山龍平
VFXスーパーバイザー
鎌田匡晃
スクリプター
小林加苗
俳優担当
高橋雄三
助監督
井上昌典
制作担当
曽根晋
ブロダクションマネージャー
杉崎隆行
松浦いと(井上真央)
松浦利夫(三浦貴大)
松浦タキ(夏木マリ)
尾上公作(立川志の輔)
水野源蔵(吹越満)
水野トキ(鈴木砂羽)
小川サチ(舞羽美海)
鷲田とみ(左時枝))
きみ(柴田理恵)
鳥井鈴太郎(木下ほうか)
活動家(西村まさ彦)
一ノ瀬実(中尾暢樹)
沢辺フジ(冨樫真)
池田雪(工藤遥)
ヒサ(吉本実憂)
熊澤剛史(内浦純一)
黒岩仙太郎(石橋蓮司)
清んさのおばば(室井滋)
2021年製作/106分/G/日本
配給:ラビットハウス、エレファントハウス