映画『ミナリ』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ミナリ』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『ミナリ』
(2020年製作/115分/G/アメリカ)
原題『Minari』
【監督】
リー・アイザック・チョン
【製作】
デデ・ガードナー ジェレミー・クレイマー クリスティーナ・オー【製作総指揮】ブラッド・ピット ジョシュ・バーチョフ スティーブン・ユァン【脚本】リー・アイザック・チョン【撮影】ラクラン・ミルン【編集】ハリー・ユーン【音楽】エミール・モッセリ
【出演】
スティーブン・ユァン
ハン・イェリ アラン・キム ノエル・ケイト・チョー ユン・ヨジョン ウィル・パットン スコット・ヘイズ
【HPサイト】
映画『ミナリ』公式サイト
【予告映像】
映画『ミナリ』トレーラー
- 【家族がテーマの映画】
- 映画『朝が来る』
- 映画『罪の声』
- 映画『めぐり逢えたら』
- 映画『空に住む』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『オン・ザ・ロック』
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- 映画『となりのトトロ』
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- 映画『ゴッドファーザーPARTIII』
- 映画『リメンバー・ミー』
- 映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
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- 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
- 映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファイティング・ファミリー』
- 映画『人生の特等席』
映画『ミナリ』のオススメ度は?
星4つです
韓国人の「たくましさ」がわかる
韓国人の「ビジネス戦略」に納得
日本映画「完全敗北」
「立ち上がれ!日本映画」
10年かかる
映画『ミナリ』の作品情報・概要
『ミナリ』原題『Minari』2020年に公開されたアメリカ合衆国のドラマ映画である。リー・アイザック・チョン監督作品。主演はスティーヴン・ユァン。ハン・イェリ、アラン・キム、ノエル・ケイト・チョー、ユン・ヨジョン、ウィル・パットン、スコット・ヘイズ。ミナリとはセリのことで、逞しく繁殖力が強い植物である。アメリカに移住している韓国人の根付き方をうまく比喩している。監督自身の生い立ちをモチーフに移民がアメリカで成功するための苦労、挫折、さらに挑戦を交えて構成された名作と言える。
映画『ミナリ』のあらすじ・ネタバレ
意気揚々をトラックを運転する夫・ジェイコブ(スティーブン・ユァン) とは裏腹で、妻・モニカ(ハン・イェリ) は不安げな顔で乗用車で運転している。アーカンソー州のど田舎で念願の農業で、成功を夢見るジェイコブはトレーラーハウスの住居を自慢気に娘・アン(ノエル・ケイト・チョー) と息子・デビッド(アラン・キム) に話す。モニカの顔はさらに不安な表情となる。農地と言えど、雑草が生い茂っており、開墾しなければならない。まずは水。西洋文化のダウンジングは怪しすぎる。ジェイコブは自ら井戸水を掘り当てる。かつて朝鮮戦争に従軍したポール(ウィル・パットン) を雇い入れて、農作業が始まる。モニカは祖国・韓国から母親を呼び寄せる。デビットたちのお婆ちゃんだ。しかし、「臭い」「汚い」と気嫌いする。やがて、畑は井戸水が枯渇してしまう。
映画『ミナリ』の感想・内容
「日本映画は韓国映画に勝てないと痛感した映画」となります。本映画『ミナリ』はとても良い映画と言えばそうなります。大きな感動があるというより、じっくりと心を震わせてくる映画です。本映画『ミナリ』の感想・考察をする前にはっきりと断言しておきます。韓国映画は確実にアメリカ社会に根付いたと言えます。完全に市民権を獲得しています。本映画『ミナリ』のミナリとセリのことです。日本でも食べるあの山野草です。繁殖力が高い植物として有名です。つまり韓国人はアメリカ社会で完全に認知されて、未だに繁殖ならぬ、拡大を続けているという現実をまざまざと見せつけてくれる映画でした。日本人はどうでしょうか?いや、日系移民たちは韓国移民の足元にも及ばないのではないでしょうか。
アメリカへ移住した中国系アメリカ人女性の苦悩を描いた名作
昨年、映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞でアジア系として初の作品賞を受賞したことは快挙であり、世界に衝撃を与えました。作品はもちろん、それなりに良かったのですが、アカデミー賞を受賞するためのロビー活動が凄まじかったことはあまり知られていません。先にもあげた通り、アメリカには韓国系の移民2世、3世、さらに次世代の人たちがどんどん生まれて、活躍しています。彼らは地域の選挙にも大きな影響力があると言われています。そして、映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞で評価されるように一生懸命ロビー活動を行ったのです。これって批判的な意見を言う人もいますが、当然と言えば当然だと思うのです。例えば子どもが入っている少年サッカーや野球において、監督やコーチをもてなした経験ってないでしょうか。差し入れでも良いです。やっぱり自分の子どもって可愛いじゃないですか。賄賂とかではなく「先生、どうか宜しくお願いします」です。アメリカの韓国人たちは祖国の愛する映画を一生懸命宣伝活動した結果が快挙につながったのです。
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そして、本映画『ミナリ』も同様です。すでにアカデミー賞にいくつかノミネートされています。もちろん、ロビー活動も展開された効果かもしれませんが、やはり「移民国家アメリカに根付いた全ての移民の心に響いた」映画だから幅広い支持を得たのだと言えます。物語の家族は韓国系ですが、別にイタリア系、ロシア系にしても良いのです。つまりはアメリカの先住民であるネイティブ・アメリカ人以外のすべての人の物語であり、心を寄せる映画だからヒットしているのです。実にうまいと思うのです。こういった展開を日本のフィルムメーカーは行っていません。日本国内でヒットを狙うだけの内向きな映画ばかりです。今から日本映画を世界に売っていこうとするなら最低10年はかかるでしょう。韓国映画には追いつけません。完全敗北です。
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映画『ミナリ』の考察・評価
さて、本映画『ミナリ』のセリのようにアメリカ中に繁茂、いや拡大している韓国人社会ですが、やはり相当な苦労をして、現在の市民権を獲得したことも映画から伝わってきます。物語は1980年代のアーカンソー州から始まります。一家の長である父・ジェイコブ(スティーブン・ユァン) はお金を貯めて農業で成功することを夢見ています。今であったのなら先見性があると思われそうですが、当時の韓国移民からは「変わり者」扱いされたでしょう。なぜなら、韓国に移民した人たちの多くはコンビニ、グロッサリーと言った販売業の権利を得て、ビジネスを展開していたからです。思い出すのはロス暴動の際、黒人に襲撃されたコンビニの韓国人が、銃を発砲して守っている映像です。テレビで観ましたが、とてもショックを覚えた記憶がある方の多いでしょう。
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ですから、ジェイコブ(スティーブン・ユァン) が農業へ挑戦するのは、敢えて苦難の道を選んでいることを冒頭から想起させます。当時に妻・モニカ(ハン・イェリ) は、まったく農業に興味がない視線を投げかけています。トラックを運転するジェイコブの目はらんらんですが、後ろから乗用車に娘・アン(ノエル・ケイト・チョー) と息子・デビッド(アラン・キム) を乗せて運転するモニカには不安しかありません。ここがとても重要です。夫婦ふたりはすでに“分断”しているのです。この分断の伏線は劇中あちこちに用意されています。
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ジェイコブは正直言って、農業の素人です。ほとんど経験がないようです。そして彼は収穫した農作物を売る相手は韓国移民たちなのです。1980年代は年間3万人の韓国人がアメリカへ移住していたからです。確かビジネス戦略としては正しいかもしれません。でも、ここに意を唱えるアメリカ人がいます。ポール(ウィル・パットン)です、とても変わり者です。かつて朝鮮戦争に従軍していた人物で、韓国人に対してとても親切です。そして経験なキリスト教徒です。ポールはジェイコブに「アメリカの野菜を作ってアメリカ人に売ろう」と提案しますが、ジェイコブは一蹴します。さらに広大な農地で一番重要になってくるのは“水”です。公共の水道ではコストが膨大になるため井戸を掘る必要があります。わたしもジェイコブの選択に頷いてしまうと思うのですが、アメリカでは水脈を見つけるために“ダウンジング”を使うそうです。棒みたいなのをクネクネさせて地下の水脈を見つけるという、一見「インチキっぽい」手法です。とても科学的とは言えません。これを見たジェイコブは即座に断り、自分のちからで井戸を掘って水脈を掘り当てます。最初はたくさんの水が湧き出して、農作物に与えますが、結局は枯れてしまうのです。そして大惨事へと繋がります。ここでも分断が描かれています。いわゆる西洋文化を排除した選択が大きな出来事へ繋がるのです。「剛に入れば郷に従え」が結末には描かれています。
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ジェイコブ(スティーブン・ユァン) とモニカ(ハン・イェリ)夫婦は農業初心者ですし、未収穫ですから収入がありません。アルバイトをします。それはヒヨコの雌雄判別作業なのです。ここにも分断があります。しかも夫のジェイコブの判別作業が尋常に速いのです。でもですね、映画の最後の方はモニカの方が速くなってくるのです。ここは面白い伏線だと思います。
そして本映画『ミナリ』の主人公と言って良いお婆ちゃんスンジャ(ユン・ヨジョン)が登場することで一気に引き込まれていきます。このお婆ちゃんは韓国から呼び寄せた人です。デビッドとアンは当初から毛嫌いしています。「ばあちゃん、臭い」とか「汚い」です。その気持ちわかります。わたしも小さい頃、おばあちゃんって独特の加齢臭があって、ちょっと嫌な気持ちになったことがあります。遊びに行っても、ご飯は煮物だったり、漬物だったりと、ハンバーグが好きだったわたしには辛いモノばかりでした。でも、お婆ちゃんは小遣いをくれるので、大好きな存在でした。このデビットとアンも最後はお婆ちゃん好きになっていきます。ここは世代の分断を表していますし、アメリカで生まれ育った韓国人と祖国から韓国人の分断も描いています。
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さらに本映画『ミナリ』を観ていくと、キリスト教徒という宗教がアメリカではとても重宝されることがわかるのです。ジェイコブたちの元々の宗教はおそらく儒教、あるいは仏教だったと思われますが、キリスト教徒として描かれています。簡単に宗教を変えているようです。資料で調べると韓国の国民の半数近くはキリスト教徒とのことです。アジアではとても多いと言えます。なぜ、彼らがキリスト教徒になるのかは、やはりアメリカで生きていくための選択だったと思います。ここには分断は存在していません。しかも白人系の住民からの弾圧はありません。実際はあったはずです。
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さてさて、お婆ちゃんのスンジャ(ユン・ヨジョン) ですが、とてもユニークな女性です。何も気にしないのです。自分が口をつけた食べ物をデビットに食べさせようとしたり、教会のミサで、寄付されたお金を盗んだりします。デビットに花札、つまりギャンブルを教えたりします。そして、このスンジャの思わぬ行動が後々、大惨事と希望へと発展していきます。まずスンジャは韓国から密かに“ミナリのタネ”を持ってきました。それを農地の奥にある谷に撒きます。これは良き結果になります。もうひとつは、脳卒中で半身不随になったスンジャが、ゴミ焼却で大火事を起こして、収穫した納屋を全焼させます。でもこのふたつが結実して最後にハッピーエンド感が味わえるのです。これは見事です。水に苦しんでいたジェイコブは水辺に繁茂するミナリに救いを求めます。さらに現地の水脈探しのダウンジングも取り入れています。完全に融合しました。
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映画『ミナリ』の結末
さて、本映画『ミナリ』を観ているとどうしても日本のテレビドラマの『北の国から』を思い出さずには要られません。ほぼ「あのまんま」です。もちろん、監督のリー・アイザック・チョンが模倣したのではありません。となると、昔の日本のテレビドラマって結構、面白い作品があるので、現代風にリメイクすればアメリカでもヒットするのでは?と考えてしまいます。本映画『ミナリ』を観て「韓国人は本当に逞しいなあ」と感じずにはいられませんでした。
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映画『ミナリ』のキャストについて
ジェイコブ(スティーブン・ユァン)
モニカ(ハン・イェリ)
デビッド(アラン・キム)
アン(ノエル・ケイト・チョー)
スンジャ(ユン・ヨジョン)
ポール(ウィル・パットン)
ビリー(スコット・ヘイズ)
まとめ 映画『ミナリ』一言で言うと!
「A24作品映画の勢いが止まらない」
今やアメリカ映画界のみならず、世界のフィルムメーカーたちから羨望の眼差しを向けられているA24作品は本当に素晴らしいと思います。エンタメ映画というより、高い芸術映画を量産している言えます。そして本映画『ミナリ』は韓国映画です。しかも劇中は韓国語を中心に展開されるのに製作国はアメリカなのです。この事実に驚愕されない日本のフィルムメーカーはいないでしょう。
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映画『ミナリ』の作品情報
スタッフ・キャスト
監督
リー・アイザック・チョン
製作
デデ・ガードナー ジェレミー・クレイマー クリスティーナ・オー
製作総指揮
ブラッド・ピット ジョシュ・バーチョフ スティーブン・ユァン
脚本
リー・アイザック・チョン
撮影
ラクラン・ミルン
編集
ハリー・ユーン
音楽
エミール・モッセリ
ジェイコブ(スティーブン・ユァン)
モニカ(ハン・イェリ)
デビッド(アラン・キム)
アン(ノエル・ケイト・チョー)
スンジャ(ユン・ヨジョン)
ポール(ウィル・パットン)
ビリー(スコット・ヘイズ)
2020年製作/115分/G/アメリカ
原題:Minari
配給:ギャガ