映画『古都(1980)』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
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『古都(1980)』
(1980年製作/125分/日本)
原題『Ancient City』
【監督】
市川崑
【脚本】
日高真也 市川崑【原作】川端康成【製作】堀威夫 笹井英男【制作補】金沢修【撮影】長谷川清【美術】坂口岳玄【音楽】田辺信一【録音】大橋鉄矢【照明】加藤松作【編集】長田千鶴子【助監督】川崎善広【スチール】橋山直己
【出演】
山口百恵
實川延若 岸惠子 三浦友和 北詰友樹 沖雅也 石田信之 加藤武 浜村純 小林昭二 常田富士男 泉じゅん 宝生あやこ 山本ゆか里 三條美紀 富沢亜古 八木景子
【HPサイト】
映画『古都(1980)』IMDbサイト
【予告映像】
映画『古都(1980)』トレーラー
- 映画『古都(1980)』NHK BSプレミアム放送 未定
- 映画『古都(1980)』のオススメ度は?
- 映画『古都(1980)』の作品情報・概要
- 映画『古都(1980)』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『古都(1980)』の感想・内容
- 【山口百恵文芸シリーズ】
- 【家族がテーマの映画】
- 映画『朝が来る』
- 映画『罪の声』
- 映画『めぐり逢えたら』
- 映画『空に住む』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『オン・ザ・ロック』
- 映画『浅田家!』
- 映画『望み』
- 映画『となりのトトロ』
- 映画『WAVES ウェイブス』
- 映画『ゴッドファーザーPARTIII』
- 映画『リメンバー・ミー』
- 映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
- 映画『ポルトガル、夏の終わり』
- 映画『フェアウェル』
- 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』
- 映画『借りぐらしのアリエッティ』
- 映画『この世界の片隅に』
- 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
- 映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファイティング・ファミリー』
- 映画『人生の特等席』
映画『古都(1980)』NHK BSプレミアム放送 未定
映画『古都(1980)』のオススメ度は?
星4つです
百恵さんが「美しい」です
「浮き上がって」ます
市川崑監督すごし!
三浦友和さんの出番は少ない
映画『古都(1980)』の作品情報・概要
『古都』1980年製作の日本映画。原作は川端康成。市川崑監督作品。撮影は長谷川清。山口百恵が一人二役という難役に挑戦して話題になった。双子の姉妹が離れ離れになるが再会して心を通い合わせるが、相手を慮って永遠の別れを選択する。川端康成の日本人の美意識を京都という舞台で究極まで高めた。市川崑監督の演出も際立っている。山口百恵作品の中で「最も美しい映画」と言われる所以も理解できる。三浦友和の登場尺数は短いのが気になる。實川延若、岸惠子、北詰友樹、沖雅也、石田信之、加藤武共演。
映画『古都(1980)』のあらすじ・ネタバレ
千重子(山口百恵) は京都の呉服問屋の一人娘で、その美しさは街で評判になっている。父・佐田太吉郎(實川延若) と母・しげ(岸惠子) は千重子を大切に育て上げた。しかし千重子に秘密があった。両親は子宝を望むも叶わず、ある夜、店の軒先に捨てられていたのが千重子だったのである。千重子もそのことを聞いて驚いたが、愛情深い両親に感謝して、一緒に暮らしている。一方、京都の北山杉で暮らす苗子(山口百恵)は父母ともに亡くしており、天涯孤独。生き別れた姉か妹がいることは聞いていた。ある日、北山杉を訪れた千重子は遠くを歩く、自分そっくりの苗子を見て驚く。そして祇園祭の夜、苗子が街に降りて来たところに遭遇。二人の運命の糸は交差していく。
映画『古都(1980)』の感想・内容
「しっとりとじっくりと、そして凛とした雰囲気の映画」です。山口百恵さん、最後の主演映画です。これは綺麗です。しっかりとじっくり撮られています。そして京都を舞台にしているからでしょうか、とても凛としています。原作は文豪・川端康成です。そして監督は名匠・市川崑です。これはもう市川監督の映像美と世界観が溢れています。山口百恵さんは本当にカリスマ性がありますが、市川崑監督によって間違いなく「頂点を突き破って」もう誰にも届かぬ存在に押し上げたと言っても良いでしょう。とにかく「美しい」のです。
「女性活躍社会」を牽引した作家
物語の感想に入る前に市川崑監督と長谷川清撮影監督の経験と技術の高さに敬意を示したいのです。山口百恵さんが「浮き上がってくる」のです。目の前にいるような気がするのです。それが本当に神々しいと言いますか。大スターですから、絶対に目の前にいないとわかっているのですが、思わず手を伸ばしたくなるのです。でもそれは陽炎のごとく、手は空振りを繰り返します。市川監督は女性を撮るのは上手いと言われています。撮影監督の長谷川さんの光の読み方と言うのでしょうか、それも絶妙なんです。杉林などの自然光を取り入れた撮影も、呉服屋の室内の照明も抜群です。百恵さんが本当に「浮き上がってくる」のです。影絵を使った演出と撮影にもハッとさせられました。それと、京都の野外ロケの場面で、ロングショットから寄るのですが、ボケのメリハリが素晴らしいと感じます。
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さて、本映画『古都(1980)』を持って、山口百恵さんの映画出演は最後となりました。もう二度と銀幕に姿を現しません。この時、21歳です。とても美しいです。幸せな結婚へと向かう女性の美しさをここまで高められるのだろうかとため息が出てしまいます。本映画『古都(1980)』では百恵さんは一人二役という難役をこなしています。一方の三浦友和さんは、そんなに出番がないのです。鑑賞していて「あれ、いつ友和さん出てくるの?」とザワザワするくらい遅い登場です。しかも百恵さんと友和さんは映画の中で結ばれません。そこは川端康成作品なのでオッケーするしかないと思いますが、工夫次第では二人がもっと絡む設定はできたと思うのです。
「女性の活躍」を早くから応援していた宮崎監督すごし!
例えば京都に住む千重子(山口百恵) に秀男(石田信之)と竜助(沖雅也) が恋します。一方、山の娘・苗子(山口百恵) に恋するのは清作(三浦友和)です。ここを工夫して友和さんが、京都の秀男か竜介を演じても良かったと思うのです。友和さんも一人二役を演じていたら、とても面白くて芸術的な作品になった気がするのです。 ただ、竜助役の沖雅也さんはとてもカッコいいし、金持ちの坊ちゃんが非常に様になっているのも見どころのひとつです。いやあ、でも友和さんの町の男と山の男の二役は観たかったあと思わずには要られません。
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映画『古都(1980)』の考察・評価
さてさて、本映画『古都(1980)』は今では考えられないような日本人の習慣というか、迷信というか、「決めつけ」思想も内包した物語になっています。千重子(山口百恵) と苗子(山口百恵)は双子として、この世に生を受けました。でも昔の人は双子は縁起が悪いとか、「犬畜生腹」と忌み嫌っていた事実もあります。ですから、双子がうあ。れた際は、どちらか一人を養子に出したり、一人を殺めたりする場合もあったそうです。出生率が落ちている現代日本では考えられないことです。そして千重子(山口百恵)が捨てられることになるのです。裕福な人の家の前に置き去りにするのは、せめて「生きて欲しい」という願いもあったのでしょう。河原とか山の中に置き去りにするのはもう殺人と言ってもいいですから。
今ではパワハラ間違いなしの「女性の活躍」ぶりに恐怖する
千重子は運よく、子宝に恵まれない佐田太吉郎(實川延若) としげ(岸惠子)夫妻に拾われたので命が救われました。しかもこの二人は千重子を我が子のように愛情深く育てました。愛をたくさんもらった千重子も本当に心やさしい女性に育っています。百恵さんはこういった品のある女性が本当に似合っています。一方、 苗子(山口百恵)は京都の北山杉の職人のもとで育てられますが、父が山仕事で死亡し、後を追うように母も病死します。天涯孤独になった苗子は村の人によって育てられます。こちらの苗子を演じている百恵さんはどこか遠慮がちで、影があります。厳しく育てられたのだろうと想像できます。
ばるぼらの「活躍」によって大作家となった
そして離れ離れになった二人が出会ってしまうのです。一度目は千重子が北山杉へ行った際、遠くを歩く苗子を見つけました。二度目は苗子が祇園祭に賑わう宵山の晩「御旅所」にお詣りしている時です。お互い「鏡合わせ」になって驚いています。もっとも一番驚いたのは千重子です。実は苗子は自分が双子だということを知っており、もう一人の妹、あるいは姉を探していたからです。千重子は捨て子だったので、出自については全く知りませんでした。二人は再び会うのだろうと予感して別れます。この場面は京都で撮影されていますが、とても上手いと思います。今と違ってCG技術がないので、撮影は何度も切り返しながら行ったと思います。百恵さんは二役を演じることの負担は相当だったのではないでしょうか。セリフだけではなく、表情も作り替えなくてはいけないからです。声のトーンも変えていますし、京都ことばも変えていると思われます(この京都ことばの習得は難しかったのではないでしょうか)
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映画『古都(1980)』の結末
物語の結末は実は予定調和で終わります。千重子は不憫な育ちをした苗子と一緒に暮らしたいと切望するのですが、苗子が断り二人は永遠の別れを選ぶのです。ここに川端文学の「日本人としての美意識」が感じられます。「迷惑をかけてはいけない」思想です。苗子の去り際の良さに悲壮感を感じさせます。とても美しいのですが、苗子の自己犠牲の元に千重子は幸せへと進むという、表裏一体物語が成り立ちます。もちろん、苗子が北山杉へ帰って、真一(北詰友樹) と結婚すると願って止みません。しかし、苗子が朝もやの中を、振り向きもせず立ち去っていく様を観ますと、五里霧中的な人生が待っていると思わずには要られませんでした。
のんちゃんの久々の銀幕での「活躍」に涙が出ました
本映画『古都(1980)』は千重子にはハッピーエンドが用意され、苗子にはまだまだ苦労が続くだろうという二つの結末が用意されているところも素晴らしいのではないでしょうか。実際の山口百恵さんと三浦友和さんはご結婚されて、ずっと幸せであることはファンとして、心から喜ばしいと思っています。
移民の国で「大活躍」して欲しい!頑張れ!
映画『古都(1980)』のキャストについて
千重子(山口百恵)
苗子(山口百恵)
佐田太吉郎(實川延若)
しげ(岸惠子)
清作(三浦友和)
真一(北詰友樹)
竜助(沖雅也)
秀男(石田信之)
水木弥平(加藤武)
大友宗蔵(浜村純)
遠藤(小林昭二)
剣持(常田富士男)
まとめ 映画『古都(1980)』一言で言うと!
「山口百恵さん引退すれど永遠になる」
本当に日本の芸能史上、最も成功して、最も幸せを掴んだ大スターと言って良いでしょう、不世出です。もう二度と現れません。おそらく「自分を知っていた」のでしょう。自分が求めるのは華やかなスポットライトではなく、小さな光だけで良いことを。三浦友和さんとの暮らしで、幸せを手に入れた百恵さんは人生の意味を「知っていた」と思います。
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映画『ファイティング・ファミリー』
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映画『人生の特等席』
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映画『古都(1980)』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
市川崑
脚本
日高真也 市川崑
原作
川端康成
製作
堀威夫 笹井英男
制作補
金沢修
撮影
長谷川清
美術
坂口岳玄
音楽
田辺信一
録音
大橋鉄矢
照明
加藤松作
編集
長田千鶴子
助監督
川崎善広
スチール
橋山直己
千重子(山口百恵)
苗子(山口百恵)
佐田太吉郎(實川延若)
しげ(岸惠子)
清作(三浦友和)
真一(北詰友樹)
竜助(沖雅也)
秀男(石田信之)
水木弥平(加藤武)
大友宗蔵(浜村純)
遠藤(小林昭二)
剣持(常田富士男)
雨宮正子(泉じゅん)
お茶屋のおかみ(宝生あやこ)
芸者(山本ゆか里)
遠藤の奥さん(三條美紀)
村の娘(富沢亜古)
村の娘(八木景子)
1980年製作/125分/日本
原題:Ancient City
配給:東